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あの伯爵夫人…元、伯爵夫人には、ここぞとばかりに我が上役様がおいでになって、いつもの気取り顔でご案内なさってましたよ。
[そしてテキパキとエントランスに居並んだ召使達に指示をして見せる辺りが抜け目ないのだからと、指示された側の者として万次郎は小さく付け加える。
抜かりなく仕事をこなせる有能な自分の上役であるところの執事を、万次郎は尊敬している。
しかし彼が出てこなければ、あのポスターでだけ目にしたことのある外国映画のヒロインにも似た方を案内するチャンスが自分にもあったかもしれないと、やや悔しいのだ]
旦那様にとっても大事な方だから粗相の無いようにだなんて言って風のように執事室から出ておいでになったけど…俺にはわかる。
大河原様は疲れてご自分ではお婆さんみたいな姿だなんて仰っていたけど、…とんでもない。
あの微笑みをほんの束の間でも、少しでも近い距離で目にしていたかったに違いないんだから。
[尋ねる翠に、答える自分の顔がやや仏頂面になってしまったかなと、慌ててそこで口を噤む]
…そうですね。
旦那様がお客様を招かれるのは、確かに珍しい…
でも同じお客様なら、旦那様がお呼びになった方のほうがずっともてなし甲斐があるってもんです。
[独白の様に漏らした翠の言葉に返して、僅かに眉を寄せる彼女とは対照的に、微笑みながら肩を竦めた]
いえいえ、この仕事俺にはまだ慣れないし…雑談は良い息抜きですよ。
[軽く手を挙げて首を横に振る万次郎へ、翠は最後の一言と一緒に悪戯っぽく笑う。
朱に染まりかける顔を隠した咳払いの後、今度は首を鳴らすことなく逆方向に足を進めて*背を向けた*]
冒険家 ナサニエル が参加しました。
冒険家 ナサニエルは、守護者 を希望しました(他の人には見えません)。
―東京・とある古美術店―
[白鞘に刀を収めると、口に銜えた懐紙、ならぬチリ紙を傍らに置いた]
地金がよく錬れて詰み、焼刃は直刃。小乱で細かな金線・砂流しや小足・葉が働く……。
俺の目に狂いがなければ、国は美濃。おそらくは兼国と見た。どうだ?
「当たりですな。さすがは十代目」
……十代目はよせ。ご先祖とはじいさんの代ですっぱり縁が切れてらあ。
持ち上げたって何にも出ないぜ。
「それは残念。いかがでしょうなその刀。しかるべき筋への斡旋をお願いしたいのですが」
無茶を言うな。
金ピカに飾り立てたこしらえがついていりゃあまだしも、白鞘と刀身だけじゃねえか。
こんなモノ、見つかったが最後GHQに召し上げられて鋳つぶされちまわあ。
……悪いこたあ言わん、蔵の奧へ隠しておけ。
俺も、業物がヤンキーの手に渡るのを見るのは忍びない。
[骨董品店の店主は...に嘆願する]
「ですがこの刀の主は金子にお困りの様子で」
今の御時世、金に困ってない奴なんかいるのかい。
「もう寄る辺は望月さんしか」
そう言われたって、金持ちでしかもGHQの目をくらませる田舎暮らしの知り合いなんぞ、俺には……
「……望月さん?」
いた。一人当てがある。
[蔓はある。しかし、そいつの好みは俺には分からない]
……おまえさんの所にあるめぼしい刀を、もう何振りか持ってこい。
どれかがお気に召すかもしれんからな。
「お気に召すって……何処のお客さんなんです」
……五月蠅いな。
俺でなくちゃ逢えない手蔓なんだ。おまえさんはおとなしく東京で待っていな。
学生 メイ が参加しました。
学生 メイは、守護者 を希望しました(他の人には見えません)。
[夕闇に暮れた駅舎に警笛が谺した。
ボォーッというどこか物悲しげな響きを残し、汽車が出る。僅かばかりの乗客も大半がこの……駅で降りた。改札では駅員が切符を受け取って彼らを見送り、遣れ遣れといった風情で小さく伸びをした。次の列車まではまた相当の時間があるのだろう。彼の視線がホームを見遣り、未だ其処に佇む娘と同行者の姿を見出したのは、もう警笛の音も遠くなった頃のことであった]
[押し迫る夜の帳を祓うように、やがて電熱灯に光が点った。
照らし出された娘は、年の頃およそ15,6か。されどいま一方の姿は、其の光で浮き出た闇に却って沈み、判然としなかった]
行ってしもた、なぁ……。
うち、ほんまに行ってしもてもええんやろか。
[風がさわさわと木々をなびかせ、其れに乗って娘の呟きが駅員の耳に届いた。山間ながらも、さして寒いとは感じられぬそよ風だった。
とはいえさすがに焦れたのか、同行者は娘の袖を引く。
さつきさん、という呼びかけを彼は聞き取り、娘の名を認識した]
ん。かんにん、かんにん。
ちょっとなぁ、ぼぅっとしてたて言うか。
[さつきと呼ばれた娘は、はにかんだような笑顔を見せて改札へと向かう]
……こない山奥でも、やっぱり桜は散るもんやねんなぁって……そう思て。来しなかって、大方の桜が散ってしもてたやろ?
もう卯の月も終い近こなってんなぁって……。
[駅員に切符を渡してさつきは改札を抜ける。と――。その一帯には、時季外れの雪のごとく、薄く白い花弁が舞っていた]
[さつきが周囲を見回せど、桜の樹は見当たらぬ。
いずれから花びらは飛んで来た物か――]
―― 深草の野べの桜し心あらばことしばかりは墨染にさけ
[そうしてただ宙を見つめる彼女が、何と感じて其の歌を諳んじたのか――知る者はなかった]
──麓の村/酒場──
[はらはらと櫻の花弁が舞い散る光景を窓越しに眺め乍ら、女運転手は杯を重ねて居る。帽子も取らぬ制服姿の侭だ。酒場に運転手の他に、女の客の姿は無いが、何時もの事なのか其れを気に掛ける様子は無い。]
──…へえ。
姐さん、そちらの兄さんの家に屍鬼が出たってのは本当かい?
[腰を浮かし、馴染みの姐さんの居る方へ移動する。
既に冷めかけた熱燗の徳利の口をブラブラさせながら。]
自分はこの店の馴染みだが…、
見かけない兄さんだねえ。確かに顔色が随分悪い様だが、へえ…男前じゃないか。
[帽子から覗く片目だけで流し目。ククと笑い乍ら、屍鬼が家に来たと言う若い男をそのままじろじろと眺める。男は杯を持ったままカタカタとからくり人形か何かの様に震えている。]
……此処では言えない程おそろしい目にあったのかい。
[姐さんにもう一杯この兄さんに付けておくれ──と声を掛け乍ら、]
酒を呑んでも言えない程かい?
…それは、是非とも聞いてみたくなるねえ。
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