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―三階→二階
[階下へ降りると、廊下の先に人影がある。俯き、頻りに首をひねるその視線の先には曰くありげな盆が置かれていた。]
やあ。藤峰君。
一体どうしたんだい?
随分と思案げな様子だが。
うっかりぶつけて、瑕でもつけてしまったんじゃないだろうね?
[私は笑いながらその後ろ姿に声をかけた。]
[身なりのよい男は、手を振って、自分とは反対方向に向かう。トラブルとしても、さほど深刻なものでもなさそうだ。
若い女性、と言うより、近寄ってみると少女と言ったほうが実情に近い。自分と変わらないくらいの身長があるようだ。]
や、どうも。あなたも天賀谷氏に呼ばれてこちらに?
[すでに取っているにもかかわらず、脱帽の手つきをしたが、髪の毛をつかんだのみ。傍から見るとただの阿呆である。]
あ、あの、いえ、
私ももう今すぐ失礼しますから……
[踵を返す雲井に慌てて声を掛けたところで、
更に別の声が重なった。
『どうしよう、まだこんな格好のままなのに』
困り果てながら、それでも勤めは果たさなければという使命感も働いてしまう。]
―自室→二階―
蒐集品も見たいんだが、俺が一番見たいのは日本刀の刀身のほうだからな。さすがに主もいないところで抜くわけにも行かぬだろう。
[メイドを捕まえて話に花を咲かせている様子]
へえ、天賀谷氏最近の掘り出し物が、その水鏡なのかい。
ちょっと見せてもらっていいかな。そいつは廊下に並んでいるんだろう?
[やおら立ち上がり、二階へ]
[少女の様子をよくよく見ると、手には高級な洋菓子らしき箱だのさまざまな服だのに混じって、メイド服と思しき物を持っている。]
??あの、失礼ですが……??
[言葉をかけては見たものの、かけている本人も何と声をかけてよいやら。]
[さつきが朝食を摂る様子を、杏と名乗ったメイドは傍らで見守っていた。白磁のティーポットから紅茶を注ぎ、其々の料理について簡単な口上を述べると、エプロンの前で手を組む。
静かに立つ娘の姿は、其処に等身大の人形が置かれたかの様だった]
……うん、っと。
そう硬ぅなられると、落ち着かへんのどすけど、杏はん?
[千切ったロールパンの塊を飲み込んで、さつきは目を向ける。少女の様子に変化は無く、まるでそうしている事が彼女に課せられた義務であるかにも思えた]
……ええと、あ、そや。
十三叔父様のこと、聞かして貰ろてもよろし?
病を得てしまわはったということやけど、ほんまに?
先にお手紙頂いた時には――もう半年も前のことやったけど
――お変わりのぅしてはるって、書いていらしたけど。
──黄昏時──
[天賀谷は未だ、誰の前にも姿を現しては居なかったが、招待状を持った客人が複数入り乱れ、大勢の来客に慣れない使用人達が右往左往する中、それでも晩餐の準備は着々と進められている様だった。
二階の広間のテーブルには純白のクロスが敷かれ、何処から運び込まれたのか豪華な真紅の薔薇が飾られ、昼間藤峰によって磨き上げられた銀食器類が並べられる。
黄金色から菫色に空が変化し始める頃、燭台の蝋燭に恭しく火が灯された────。]
[必要以外の事を話してはいけないとでも云われているのだろうか――軽い失望と共にさつきがそう考えた時、杏の口元に僅かな動きが現れた。彼女の裡で何か葛藤でもあったのだろうか、ふぅと小さな吐息が薄紅の唇から洩れた]
「いいえ、ご主人様は今もご壮健にいらっしゃいます。お客様方もお揃いに成った様ですから、今晩にはお姿をお見せになるかと存じます」
それは宜しおした。うちだけやのうて、京都に残してきたばあやも、心配してましたさかいに。
[杏が答える表情からは先ほどまでの人形めいた硬さは消え、彼女の頬にはさつきに向けた微笑さえも浮かんでいた]
[しかし、安堵の心持ちと共に食事を再開したさつきは気づかなかったのである……廊下の様子を窺うように、杏がちらと視線を逸らしたこと、そしてはしばみ色をした彼女の瞳が何処か妖しい色合いを帯びて輝いたことには。
給仕の用は無くなったと見たのか、杏は一礼して背を向けた]
[食堂からホールへの扉は開け放たれ、今は1つの大きな部屋となっている。廊下へ続く扉も開け放たれたままで、ちょうど廊下に設置された──…例の水鏡…──を、食堂、ホールの両方から臨む事が出来た。
中国大陸の骨董品──例えば、壷であるだとか彫刻であるだとかと、水鏡の様相は何処か異なっており、天賀谷が 十三が敢えて、その水鏡(今朝、夜桜によって水を替えられた其れ──…今はただ静謐な水盆にしか見えない)を、客人に披露したがってると言うのは明白で、其れで居て奇妙な事実であった。]
──回想・夜明け前/麓の村──
[>>164葬式が終った後らしき、一軒の大きな農家の裏手に黒塗りの車が音も無く滑り込んだ。一部屋だけ闇を恐れる様に灯りが灯ってる部屋が有る。]
──…アァ、此の部屋なのだろうねえ。
来たよ、兄さん…。
[仁科は呟き、慣れた様子でひょいと生け垣を越えた。
手袋を取った白い手を雨戸に掛ける。仁科を待っていた様に其れは開いている。10帖程の室内には布団以外何もなく、灯りの傍に酒瓶を抱えたまま震えている──…屍鬼に遭ったと言う若い男が震えていた。]
[声を掛けられ、更に困り顔になった。
――嗚呼どうしよう、お客様だ。
――否、同僚に見られたらそれはそれで困るけれど。
何から話そう。考えた末]
あ、あの、私は翠と申します。
天賀谷家で使用人をしております……。
此の格好には其の、訳が……。
[自己紹介をした。]
[仁科は帽子を被ったままだ。
口元だけで頬笑み、震える男の傍に猫の様に滑り込む…──。]
あたしに、屍鬼に遭ったと言う話を聞かせておくれ。
[慣れた手付きで酒を注ぎ、帽子の奥の黒い瞳でじっと男を覗き込み乍ら、自らの襟元をくつろげる。]
―二階廊下―
[水鏡が見つけられずに歩くうちに夜桜とすれ違う]
ああ、ちょっと尋ねたいんだが……。
この界隈には進駐軍は来ないのかい。
[壁に無造作に飾られた異国の円月刀を指差し、呆れ顔に言う]
東京じゃ刀狩が行われて、めぼしい刀がみんな赤羽の倉庫に叩き込まれたりしたってのに。
天賀谷氏にはよっぽどのコネでもあるのかな。
[山村のことで、進駐軍も東京ほどには厳しくないらしいことを夜桜の言葉から類推する]
……と、あれ? 前に来た時にはこんなものはなかったはずだが……。
[水を湛えた盆は随分と凝った品だ。装飾や意匠から、日本の物ではあるまい。]
――まさか
[妄執といえるほどにその存在を追った一つの伝承、それに由来するいわば要となる品。突然の邂逅に戸惑いながらもその真贋を確かめるかのごとく、手を伸ばしかけたところで――]
「――枚坂さま」
[声が聞こえた。]
[翠と言う娘が、使用人と自己紹介したのに、]
『ああ、なるほどね』
[となんとなく納得してしまう。状況的に納得するのもどうかと言う気もしたが。]
えーと、もしかして、着替えしないといけないとか?
俺の部屋でよければ使ってもらってかまいませんが。俺は外に出てますし。
……ちょっといる間に煙草をかなりふかしたんで、それがお嫌でなければ、だけど。
[まさか、翠がいつまでもそのままの格好でもまずかろうと思って、提案してみた。]
夜桜さん。
[振り返ると、瞳に神秘的な光を湛えた女性が佇んでいた。]
これはいつからここに……?
ああ、君はもしかしたら最近こちらにやってきたのだろうか。
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