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流れ者 ギルバート は 修道女 ステラ に投票した
修道女 ステラ は 流れ者 ギルバート に投票した
冒険家 ナサニエル は 修道女 ステラ に投票した
書生 ハーヴェイ は 修道女 ステラ に投票した
美術商 ヒューバート は 見習いメイド ネリー に投票した
見習いメイド ネリー は 書生 ハーヴェイ に投票した
新米記者 ソフィー は 美術商 ヒューバート に投票した
流れ者 ギルバート に 1人が投票した
修道女 ステラ に 3人が投票した
書生 ハーヴェイ に 1人が投票した
美術商 ヒューバート に 1人が投票した
見習いメイド ネリー に 1人が投票した
修道女 ステラ は村人の手により処刑された……
今日は犠牲者がいないようだ。人狼は襲撃に失敗したのだろうか?
現在の生存者は、流れ者 ギルバート、冒険家 ナサニエル、書生 ハーヴェイ、美術商 ヒューバート、見習いメイド ネリー、新米記者 ソフィーの6名。
は!
[声から、ナサニエルの手に握られているのを知った。]
それ、わたしの…!
[ネリーはどこともつかず手だけをあらぬ方向へ伸ばす。]
[何も言わず、それを取り、見られないように頭を伏せ、再び身につける。いつも受け身のネリーがこれほど感情を表に出すのは珍しい。
しばらくネリーは黙り込んでいた。]
い、今のは忘れて下さい…終わったら、聞きたければお話します…
「血のにおい。
ギルバートのにおい。
覚えてる?」
………ああ。
「なつかしいね。」
ほんのちょっとしか経って無いけどな。
「ううん。
ずっといっしょにいたのに、ナサニエルはボクの声が聞けなくなってたの。
くらくて、せまくて、あたたかい中にいたときは、ボクたちはいつもいっしょにおしゃべりしてたのに。」
……………?
「あいたかったよ、ナサニエル。」
あ、は、はい…
[ネリーは咥内の事を触れられたくないのか、避けようとするからなのか、ボールギャグで封印したいからなのか、拾ってナサニエルに渡そうとした。]
―車中―
[マリアンヌ・ファイスフルは修道女出身のアイドル歌手で、純情可憐な容貌と天使のような甘い歌声が人気を博していた。
だが、その彼女はそのイメージからはあまりに意外なことに、様々な有名人とのセックススキャンダルやドラッグで身を持ち崩すことになる。
ゴシップ記事に彩りを添える存在となって、歌手としての彼女を見ることはなくなった。
彼女は完全に過去の人として忘れ去られようとしていた。]
[身体中、所々に紅く染まっているネリーは優しく抱きしめられた。]
ごめんなさい…
こんな事、忘れたい、忘れたいんです…!
忘れられなくても、せめて今だけでも忘れるようにして…
[ところが、何年か経って彼女は突然歌手としての活動を再開する。
再登場したマリアンヌ・ファイスフルの声は、天使のようだったかつてとはすっかり様変わりし、嗄れたダミ声になっていた。
聖女から婬蕩な悪女へと堕落したマリアンヌ。
かつて持っていた魅力は大きく損なわれていた。]
「何を目的に」お前がそんなふうにされたかは、あらかた想像がつく。
だから………誰がやったかは、聞かない。
[ネリーを抱き締めたまま、窓の外を見つめている。]
[だが、その歌は積み重ねられた経験によって人の心を打つ説得力を得るようになっていた。そのダミ声でしか表現することのできないものが、確かにそこにはあった。
人は変わる。
変わるが、毎日の中で確かになにかを得ていく。
喪うものが、同じくらい――時には遥かに多くとも。
私は、アンゼリカでステラの姿を見かけるたびに、こっそりジュークボックスでマリアンヌの歌をかけた。
ステラに力強く、確かな歩みで生きて欲しいと、私はそんな願いを持っていたのかもしれない。
愛人としての立場を捨て家庭に戻った男の――
身勝手な心情と云われても仕方がなかったとしても。]
[ネリーはナサニエルの慈悲に深く感謝した。
不可侵なモノの領域を知っているからだと思ったからだ。]
ありがとう…
お願いです。その…続けてください。
口枷や手錠などで、もっと…
[そういった類の言葉を口にするのは彼女自身、得意ではないらしい。]
ハーヴェイ……
ラルフの写真なんだが、ひょっとしたらステラ…エイヴァリー先生が場所を知っているかもしれない。
ステラがこの町にやってきた頃、ラルフは既に亡くなっていた。
だが、ステラがこの町で教職を受け持った時に、最初に任された仕事の一つは、卒業生のアルバムの編纂だったんだ。
彼女は、その年度の卒業生の写真を管理していたはずだから……
[そう云って、彼女の部屋に寄ってもかまわないか? と訊ねた]
……………?
[一瞬、きょとりとした顔をする。
てっきり止めて欲しいと言われると思ったからに他ならない。だが……]
………当たり前だろうが、ネリー。
ったく……俺がそこで止めるかっての。
予想外のことがあったのは事実だがなァ、そんなことで俺が動じると思ったのか?
……ネリーごときにナメられたらおしまいだっての。
[暫くぼんやりとカーステレオに聞き入っていたが不意に話しかけられて少し驚く]
え…?あ、ステラさんの家ですか?
俺は別にかまいませんけど…。
[一瞬、ナサニエルの動きが止まったかと思った。
だが口調が支配者らしいものにすぐに切り替わった。ナサニエルがどう考えているのかは解らない。だがネリー自身の望みは察したのであろう、とは感じた。]
………いいだろう。
それがお前の「望み」ならば。
[ネリーの顎をくいと上げ、唇を重ねた。舌を中に押し入れ、口内を強引に掻き分けてゆく――]
[自らをニナと呼ぶ、少女は吸い込まれそうな丸い瞳をしていた。]
──…そうね、一緒なのね。
縫い跡…──。
あなたも誰かに殺されてしまったのね…。
[痛みをやわらげようとするかのような、ニナの行動とその無垢な涙に、私は言葉を失う。]
ありがとう、ニナ。
あなたの言葉……、聞こえてる。
私はきっと、生きてる人と死んでる人の間くらいに居るのね。
[柩の蓋を閉めてしまう事が出来ずに、*呆然としたまま*。]
[唇の奥を舌で弄ぶ。
その壁は、人工的な造りの――否。それには目をつぶる。
ネリーの背中に掌をあてがい、そっとなぞり、爪を立て――冷え固まった赤い蝋を削る農耕機のごとく、白い筋を描いた。]
[唇の奥を嬲られる感触。何年も強硬に拒否、隠してきたぶん久しぶりの柔らかい肉の感触。
四つん這いの姿勢になる。三つ編みや首輪の鎖が揺れる。
ナサニエルの爪を感じている。]
[爪を立て、指先を背中の向こうへと進める。
床に胡座をかいているナサニエルの腹部あたりにネリーの顔を置き、膝まづいた姿勢で背中が傾斜するようにしてやる。]
………で、ここ。
どうなってンだ?
[ニヤリと笑い、尻尾に手を伸ばし――ゆっくりとそれを出し入れする。]
─寝室─
「あなたにあげる様な血も肉も持っていないの。」
[不意にステラが何かを投げつけてきた。
それを視認し、咄嗟に避ける。
昔、硫酸の壜を投げつけられた経験があったのが仇になった。フェイントと分かっていても、目が一瞬そちらに行ってしまう。]
[その隙に女は部屋の外に逃げ出していた。]
―車内―
悪いね。あまり時間はかからないと思うが。
[そう云って、ステラの住所を思い浮かべながらハンドルを切った。]
[なぜだろう。
なぜ、こんなに胸騒ぎがするのだろう。
不意に、マリアンヌ・ファイスフルの歌声が、そう、ステラのことを思い浮かべた瞬間にかかったせいなのだろうか。]
や、ああ、んんいぐ……
それは、私の尻尾です……動かさないで…
[尻尾…を掻き混ぜられたのは久しかった。
急速に刺激させられ、ネリーは「やめて」と哀願した。]
[舌打ち。]
[だが、男と女の歩幅の違い、まして速度に勝る人狼と常人並の体力しかない「血族」ではそもそも勝負にならなかった。
ステラが階段に差し掛かったところで追いつき、手を伸ばし腕を掴もうとした、]
[その時]
「やめて」?
………やめるハズ、ないだろ。
[余裕の笑みを浮かべて、その尻尾を出し入れしてみせる。小さく動かし、沈黙し――そして深く、強く押し込む。]
………で、こっちは?
[空いた片手の指先で、ネリーのニプレスを強く捻った。]
[ドクン─
心臓が波打った。近い。ナニカが。
今の自分は少しばかりこの「感覚」を失っていたが、覚えのある気配に、ある名を口にする]
…ギル……バート……
[─ニーナの死体も肉もまだ脳裏には浮かび上がってこない。
しかし、また何かが湧き上がってくるのを感じた─]
先生…今、あの家から何か聞こえませんでしたか?
[住所を調べるヒューバートを横に、何か嫌な気配を発する家。
そのせいか、またやや青ざめながら、その家を見つめた。
確かに聞こえた。女の叫び声]
あ…う…あ…!
ああああひっ…ああ…!
[声を出すとボールギャグがまた来るからかと思ったのか、中途半端な言葉、喘ぎ、嬌声が漏れ、手足を動かす。
しかし歯を隠すためのボールギャグや、或いは手錠が欲しいとも言えず。]
自らの意志に反して開閉する尻尾を刺激させられ、誘うように揺れる胸を絞られて声にならないうめき声をあげる。]
[あの悲鳴、聞いた。
いつ? 昨日…夜。
なんで? 殺したかったから…
誰を? …青い髪の…ニーナという…
記憶が逆流したように渦を巻く]
なんだって――!?
[それは確かに、ステラの声だった。
厭な予感が的中したことに背筋が震える。]
ステラ!!
[短く叫ぶと、急ブレーキをかけ、その家のすぐ側に車を滑り込ませた。車が停まる間もなく、運転席から転がり出る。]
ステラ!!!
[半ばうめくような嬌声をあげるネリーの背中を見て、ナサニエルはふと笑う。]
………で。
[ネリーの上体を起こしてやり、露になった胸に手を添える。ゆっくり、柔らかくそれを弄び、その先端に唇を寄せ――歯を立てる。]
じゃ、そうだなァ……
ネリー。
お前が欲しいモノをその口で言ってごらん?
[尻尾を入れた口とは違う孔に手を伸ばし、その入口を、くちゃりと音を立てて弄った。]
……こっちの口、よく動くくせにマトモに喋ンねぇからさ。
[鈍い音と共に、ステラの身体が1階の床に叩き付けられた。
そのままぐったりと四肢を投げ出し動かなくなる。]
[しばらく階上で立ち尽くし、横たわるステラを眺めていた。
彼女は死んだのだろうか?
それを確めるために、ゆっくりと一段ずつ段を踏みしめて、階下へ下りていく。
ギシリ、と階段の板が鳴った。]
ちょ…先生!
[ビンゴでステラ宅だったらしく、血相を変えたヒューバートが駆け出していく。
何故あんなに血相を変えて、と言うべきか、先生と呼んでいたステラを呼び捨てにするのが不思議だったというべきか]
[ステラを跨いで下り、改めてステラを観察する。
壊れた人形の様に横たわる、彼女の胸が浅く上下しているのが見て取れた。
その傍らにしゃがみ込み、喉に手を当てると、彼女の唇から呻き声が洩れた。
目蓋がぴくぴくと痙攣し、長い睫毛が震えている。]
[仰向けになり、手のひらに収まるほどの程良い胸の盛り上がりを撫でられ、優しく噛まれる。そして…]
う…
[ネリーは口ごもった。一度無防備に身体をのけぞる。あふれる蜜を指先ですくわれ、顔を紅くする。
が、覚悟を決めて声を絞った。]
私は犬です…犬ですから…いっぱい欲しいんです…
目や首や尻尾と同じように、口にも手にも足先にも、そしてここにも…
[腰の後ろに手を回し、ナイフの柄に手を掛けた、まさにその瞬間。
急ブレーキの、甲高い悲鳴に似た音がこの家のすぐ側で上がった。
続いて乱暴に車のドアを開ける音。
女の名を呼ぶ叫びまで聞こえるではないか。]
[眉を顰め、彼女を見下ろし……柄を掴んだ手を離した。]
[強烈な破砕音が夜の静寂に響き渡る。ステラの姿を探し求め彷徨った眼差しが、階段の下に横たわる彼女と傍らの男に定まった]
お前は――
[咄嗟に状況がよく飲み込めない様子で、目の前の男に胡乱な眼差しを投げる。]
……カウボーイ
ここで何を――
[ヒューバートが勢い良くドアを破り、中へ飛び込んでいく。しかし自分は何故か…一瞬入ることを躊躇してしまった。
悲鳴が聞こえ、しかもそれが知り合いの家であれば当然助けに行かなければなからなかったのに。
一瞬は一瞬、すぐにヒューバートの後ろから家へと入っていく。勿論片手には銃を持って]
[ヒューバートの声に、ちらりと肩越しに振り返った。
その瞳は、人ならざる色の黄金に染まっていた。]
[立ち止まることなく、そのまま2階に姿を消す。]
ギルバート…!
[彼をそう認識できたかすら怪しい。
突如、脳にすさまじいノイズが鳴った。
歯がカチカチと震える。
恐怖ではない。抑えきれない、何か]
[男は一瞬で身を翻し、階上へと消える。]
――なっ
待て――
[一瞬、横たわるステラに視線が流れ――]
ハーヴ!
ステラを頼む。
[そう云うと、勢いよく階段を駆け上っていった。ホルスターから自動拳銃を抜き出す]
ヘイ!
止まれ!!
[銃口を向けた刹那、人間離れした双眸が暗闇の中からも瞭然とそれとわかるほどギラリと赫き、黄金の光が射抜くように私を見据えていた。]
くそっ!
[身震いするほどの本能的な恐怖感が、私に引き金を引き絞らせる。だが、その弾丸は踊り場の壁面を弾き、残像のような男の姿は階上へと消えた。]
[綺麗に受身を取った身体が大地に転がる。
さしてダメージを受けた様子もなく、男は立ち上がり走り出す。
その姿は急速に遠ざかり、やがて視界から消えた。]
[「ステラを頼む」その声で我に返った。
落下したステラの息を確認する。
胸は肌蹴け、白い乳房がむき出しになっていた。
女性の体を間際で見、腕に抱くのは久しかった。
まさかこんな状況で性的欲求なんぞ沸くわけもなかったが。
だが、自分の目は腕の中のステラを見るよりも別の何か…琥珀色の影をずっと見つめていた]
――馬鹿な……
[後を追った私が目にしたのは、窓から飛翔する男の後ろ姿だった。
男は元から闇の片割れであったかのように、陰夜の中へと溶け込んでいった。]
[一旦ステラを床に寝かせ、肌蹴た胸を隠すために浴室へタオルを取りに行く。キッチンを横切った際、ふとあるものを目に留め、それを手にとったがすぐに元に戻した。
大判のタオルを巻いてやった後、抱き上げてヒューバートから支持された寝室へと運び寝かせた。
水や氷を用意し、打ちつけた所などを冷えたタオルで冷やしてやる。
一見、甲斐甲斐しく世話をしているように見え、事実していたが…
普段と違う所は、あのギルバートの姿を目撃してからピアスがずっと、赤い光を放ち続けていることだろうか─*]
[ルーサーであったもの]
[罪による死]
[塵は塵に]
すべ て を 御 手に委 ね ます ……
[悔い改め]
[聖霊との交わり]
[救い]
[再生]
[永遠の生命]
[青い光]
アーメン……
――流れ込む景色 / あの日見たもの――
[走る車]
[止まない雨]
[家] [招かれざる客]
[結社の男] [告げる]
結社の男 「報告書はまとまったかね? ドクター ラング。
ところで、調査の結果、我々の追い求めていた獲物 [Code : 914735598] がこの町に訪れていること分かった。さっき、キミが接触したヤツだ。
もうすぐ、ヤツを利用して、この町でちょっとした事件が起きる。キミには、その鎮圧に協力してもらいたい。それから、それが済めばこの町で本格的な実験を行うことになるだろう。忙しくなるぞ。」
――流れ込む景色 / あの日見たもの――
ルーサー 「利用? 本格的な実験?」
結社の男 「ヤツを捕獲する前にその活動を利用して、実験サンプルの増加を促す。我々にとっては願っても無いことだ。既にこの町の外部との連絡経路は遮断した。包囲網は完全だ。もう、逃げられはせん。ククッ。」
ルーサー 「ヤツ…… ギルバート、あの青年を捕らえれば、それでお終いではないのか……?」
結社の男 「知らなかったとは言わせんぞ。この町は、人狼の因子を持った人間の宝庫だ。なんといったって、キミの奥方のルーツなのだからな。」
ルーサー 「……」
結社の男 「我々でさえ、気付かなかったというのによく調べ上げたものだ。その情熱には敬服するよ。今後は、是非、それを結社のために活用してくれ。」
――流れ込む景色 / あの日見たもの――
ルーサー 「もう、許してくれ…… 私は今まで十分に協力したろう…… これ以上、神に背くこと…… 何より、この町の人々を欺くようなことはできない……」
結社の男 「今更何を言っている? 神、神、神だとッ、神などありはするものか。いや、我々こそが新時代の『神』だ。
そうだ、もうすぐだ。あと少しで先達達が成しえなかった『永遠の生命』が実現する。我々の手によってだ。その時こそ、我々は『神』となる……」
ルーサー 「く、狂っている…… その為に、貴様らは、一体、どれほどの犠牲を払ってきたんだ…… ベトナムでもそうだったな。お前達は、あの地で、恐ろしい…… そして、また罪も無い人々をその手に掛けようとしている……」
結社の男 「くだらん。大事を成すために少々の犠牲は不可欠だ。まして、この町の奴らはマトモな人間ですら無いのだぞ。目を覚ませ。ドクター。」
――流れ込む景色 / あの日見たもの――
ルーサー 「目を覚ますのは貴様達だ…… やはり、私は間違っていた…… 妻を、マリアを生き返らせたいなどと。彼女は、そんなことを望んでいなかったのだ。
もういい、彼女の遺体を返してくれ。散々弄んだのだ、もう充分だろう。私は彼女を塵に返す。そして、この町から去れ。」
結社の男 「血迷ったのか? 家族がどうなってもいいのか、ドクター?」
ルーサー 「もし、家族に手を出してみろ。私は結社の活動を世間に公表する。ただで済むと思うなよ。それが嫌なら、マリアの遺体を返して、この町から去れ。そして、私と家族の周りに2度と近づくな。」
結社の男 「ふッ、ふはッ、フハハハッ。アーッハッハッハ。」
ルーサー 「な、何がおかしいッ!」
――流れ込む景色 / あの日見たもの――
結社の男 「これが笑わずにいられるか。あの弱虫ルーサーがなあ。随分大きく出たじゃないか。しかし、残念だよ。それじゃあ、キミとはこれまでだな。」
ルーサー 「なっ、なら、この町から去るのだな。」
結社の男 「フッ、調子に乗るなよ。貴様の代わりなどいくらでもいるんだぞ。もういい、貴様は用済みだ。死んでもらうか。オイッ。」
[男が声を上げると、その背後から人影が]
結社の男 「ああ、それから最後に言い忘れていたんだがね。君の奥方、、、だったものだがね。もう、バラバラに切り刻んでしまったのでとっくに復元は不可能なんだ。すまんな。」
ルーサー 「きっ、貴様ァァァッッ!! 私を騙したのかッ!!」
結社の男 「人類の進歩に貢献させてやったのだ。有難く思うんだな、この虫ケラが。」
[次の瞬間、ルーサーの視界は衝撃と灼さを帯びた赤で染まった。それが彼の見た最期の景色だった。]
[青い光が震える。]
神よ。私は愚かでした。どうぞ、この町をあの悪しき者達からお守りください……
[その震えは『音』も立てずに周囲へと流れんで、*消えた*。]
[天窓の光が淡い菫色に染まる夜明け過ぎ、重い扉が開き、ユージーンの手によってニーナの柩が運び込まれて来た。
私は結局、私の柩をのぞきこむ少女の様子があまりにも純粋すぎて、柩の蓋を閉じる機会を失ってしまっていたのだけれど、ユージーンは、柩の蓋に気付くところか、リックが白い骨になっていることにも気付かなかった。
気付かなかったと言うよりは、意図的に確認しないように心がけていると言うのか。私はガラス越しに墓守の動作を見ていて、そのような印象を受けた。]
──…この安置所は一体。
―ステラ自宅―
『ファファラ…… すまない。もっと早く来れれば……』
[傷嘆すべき出来事の中で、ただ彼女に息があることだけが唯一の救いだった。彼女がまだ生きていることを確かめ、小さな安堵が胸を去来する。
愛人としての過去を表沙汰にしたくない、その感情は私の足を彼女の元から遠ざけてきた。私は、一度としてステラの自宅を訪ねたことがなかったのだ。
もし、以前から関心を寄せていたならもっと早くに駆けつけることができただろう。
いや、そもそも互いの隔てがなかったなら、彼女は私の保護の申し出を快く受け入れてくれたのではないか。
苦悶に歪むステラの表情は痛々しく、それは私の罪科を私の良心に突きつけていた。
ハーヴェイの視線が逸れた束の間、私の指は彼女の漆黒の髪を愛おしむように撫でていた]
[ステラの自宅内に残る痕跡が、そこで起きた出来事を雄弁に物語っていた。廊下には、彼女のものと思しき護身用の小型拳銃が落ち、窓はガラスが割られていた。
だが、彼女を冷やすため氷を用意しようとした私は、それらとは無関係におぞましい事件の痕跡を目にすることとなった。
冷凍庫に収められていた“それ (>>6:293)”に奇妙な不審を感じゆっくりと包みを開け中身を改めた刹那、私はトイレに駆け込み胃の内容物をぶちまけていた。
何があったかを糺すハーヴェイの声に適切に答えを返したかどうか、定かではない。]
『なにをしていたんだ、ファファラ……』
[他に何か事件の痕跡がないか不躾にも屋内を捜索していた私の目が、フォトスタンドの一葉の写真(>>6:294-)に留まった。]
カウボーイ……
――ギルバート・ブレイク
――まさか
[到底、容易には信じられないことだった。最初は、私の“目”がまた現実を書き換えているのかと思ったくらいだ。
だが、今起きている不可解な数々の事件を繙く手懸かりの一つとして、私はしばしその写真を拝借することにした。]
「死体が生き返って噛み付かれたらどうする気だ」
[以前にママから、ママの子ども時代の思い出話を聞いた事がある。
多分、祖母のお墓掃除に二人でやって来た時だと思う。
「死体が生き返るなんて事があるわけはないけど。
ネイとミッキー……。同級生が2人も奇妙な死に方をしたの。
だから、ロティ。
墓地に忍び込むなんて遊び、あなたはけしてしないでね。」
私はママの話が妙に気になって、その後、図書館で調べた。
地方新聞のヘイヴンに関する記事が保存されているスクラップブックによると、この田舎に新聞が存在するようになって100年ばかり、ママが話して居たような種類の猟奇事件は、ママの話した事件を含めてヘイヴンでは4件起きていた。
ヘイヴンでは二十数年に1回程度、起きる可能性のある事件なのだ──と思うと、私にはその数字が多いのか少ないのかは良くわからなかったけれど、少なくとも、夜の墓地や安置所を一人で散歩したいとは思わなくなった。]
[ナサニエルの手が、ネリー――否、再び「雌犬」となった女の目元に伸び、目隠しを元の位置に戻した。]
……どうしてくれようかなァ……?
[雌犬の耳元で低く囁くと、黒い革トランクから両端に小さなクリップがついた鎖を取り出した。クリップを開口させ、雌犬の双のニプレスに咥えさせる。]
で……手と口、だっけ?
欲張りだなァ……雌犬のくせに。
[床に落ちていたボールギャグを再び雌犬の口の中に押し込み、後頭部で金具をカチリと合わせた。雌犬の両腕を身体の前に出して、その両手を合掌させる。そして手錠を取り出し、それを雌犬の両手首にはめた。]
[首輪に繋がれていた鎖の一端をベッドの脚から解放し、雌犬の身体をベッドに寝かせる。ナサニエルは鎖の端を手にして、ジャラリとひとつ、回して鳴らす。]
上の口と下の口、先に液体が溢れて止まらなくなるのはどっちだろうな?なァ、雌犬?
[喉の奥で小さく笑うと、首輪から繋がれた鎖を雌犬の脚の付け根――赤い湿地の窪みに沿って通し、鎖の一端を手錠の鎖の中央に掛けた。]
わたし、死んだんだ…。
[ローズマリーは自分の空虚な胸のあたりをさぐった]
わたしのこころは空っぽになってしまった。
[そして徐々に手を下腹部に伸ばして]
でも、ここは無事。
わたしの大事な子宮。
あの人の種が宿っているゆりかご…。
きっと生まれるの。
わたしの赤ちゃん。
わたしが生きていなくても。
わたしの死を養分として。
きっと生まれてくるの。
だから、わたしは死んではいないの。
わたしの魂はここからまた生まれてくるのよ。
うふふふふ、くすくすくす。
いたっ…はぅ…
[ナサニエルが無慈悲な言葉を投げつける。形の良い双の胸にクリップを取り付けられ、乳首をなじる鉄の味わいに耐える。]
ん…ぁ…う…
[「はい、あーんして」と言われたが如く口を開け、ボールギャグが詰め込まれる。と同時に両手も纏められた。
ネリーはベッドへ連れていかれる。途中、引っ立てられる形になり、よろめく。
ベッドの上でじっとしていると鎖の位置を変えられたらしく、腕がさらに不自由になる。
咥えきれずに唇からはみ出すボールから、ねっとりとした唾液が零れ、それを隠そうとして両手で口元を抑えようとするが、手を引くと首輪から背中を通して伸びる鎖が肉の裂け目に深々と入り込み、ネリーを虐めたおすのだ。]
…ん、く…ふうう…ぅああん!
は…はういへ…!
[声を出して我慢しようとするも、乳房を刺激する鎖に抗いがたくなる。動くとその重量が刺激をネリーに与える。
取って欲しいと懇願しようとするもまともな声を出せずに転がり回る。
下腹部はみだらに充血し、クレヴァスの奥、ぬめったひだを収縮させ、いやらしい液体で潤ませてしまう。]
[ドクン─ドクン─
「彼」が残した殺気は大きかった。
一時の静寂のように忘れていた何かを引き出させるのに十分な程。
俺は、目の前のステラを見た──]
[自分の兄の裏の顔すら知らなかった自分が何故人の裏事情なぞ知ることができるだろうか。
打ち身だらけの体に、ヒューバートと自分はできるだけの処置を行った。
その最中、違和感を感じたのは決して気のせいではなかった。
ヒューバートとステラの間に何かある──
最初も、エイヴァリー宅におけるヒューバートのステラへの態度も知り合いでありシャーロットの教師だからだと思っていた。
しかし、手当ての最中、それとなく垣間見えた二人の関係。
勿論堂々としたものではなかった。
しかし、本当にごく自然であったその行為─髪に触れる行為はそのままごく自然に二人の間に何かがあったことを物語っていた。
昔から髪に触れることは枕を交わした間柄ということ──]
[当然ヒューバートは俺に悟られない様に振舞っていたのだろう。しかし昔の癖みたいなモノなのか、彼は時々ステラの髪に触れていた。とても優しく丁寧に、とても自然に。
そしてそれは自分がナサニエルに対し殺意をもった理由と同じだった。
妻子を持ったヒューバートとステラ
俺を苦しめていた兄とナサニエル
似てる、そう思って終わるはずだった。
そこにギルバートの殺意さえ残っていなければ。
だが、今は中毒になってしまう程そこはギルバートの殺気が満ちていた。
中てられたようにまた暗い感情が頭をよぎる]
あの時殺してやるつもりだった。
兄を抱いたナサニエルを。
そして…本来自分とは全く関係ない筈のステラへもその感情が芽生えた。
目の前で過去をトレースするこの女性へ、どす黒いものが浮かび上がってきたのだ。
覚えのあるようでないような言い表せない感情。
また、目が細く歪んだ。
「先生、あの人…ギルバートがまだ近くにいるかもしれません。それにもしかしたら彼一人ではないのかも。俺、外見てきますけど…」
案の定ヒューバートは自分が行くという、俺が考えた通りの行動に出、そのままステラを俺に託して出て行った。
視線だけでそれを見送った後、俺は行動を起こした]
先程見つけ、今また手に摂ったそれ─キッチンにおいてあった、ネズミ捕りにも使われる砒素。
「愚者の毒」とも言われるほど検出が容易な毒だったが、選んだのはただ単にこの名前が気に入っていただけ。
そして次に救急箱を探しだす。
中に入っていたのは数種類の常備薬と…瓶入りのカプセルタイプの解熱剤。
他は使用された形跡がなく、そして今彼女が怪我で熱っぽいこともあり必ずこの解熱剤を使うだろう。
中身は一回分程度しか残っておらず、カプセルの中身を全て砒素に入れ替え、元に戻した。
戻ってきたヒューバートと、僅かに意識を取り戻したステラ。
ここに滞在しようかというヒューバートの申し出をステラは雑貨屋と同様の理由で強く断った。
それでも強く説得するヒューバートだったが、頑なに断るステラに負け、そのままエイヴァリー宅を後にすることになる]
去り際、俺はこれ見よがしに薬箱を枕元に置いておいてやった。
礼をいうステラへお大事に、と声をかけて。
早く楽になるといい。永遠に。
結果は早くて数時間後だろうか。バンクロフト邸への連絡がヒューバートに届く時の反応で分かるだろう。予定通りだったと]
―ステラ宅→図書館―
エイヴァリー先生も、案外頑固だよなぁ。
なあ?
[私は、車中で同意を求めるように、ハーヴェイに水を向けていた。
彼の心の裡を知るよしもなく。
ステラは、未だちゃんとした応対のできる状態ではなかったが、断りへの罪滅ぼしのつもりなのかラルフの写真について訊ねる私に、戸棚の一つを指さしてみせた。そこには、一つの鍵が入っていた。
図書館にある彼女が管理を許されているキャビネットの一つの鍵と、地下にある書庫の鍵を一時的に貸与してくれるということだった。
私は礼を言い、しばらく経った後、ハーヴェイと共にその場を後にした。
さすがに兇手も、我々の妨害が入ったすぐ後にとって返してくることはあるまいと判断した所以だったが、明日にはかっ攫ってでもステラの身を保護しようと覚悟を固めていた。
宵闇に沈む図書館の前で、シボレーは静かに停車した。]
……………「はういへ」?
なぁに?雌犬。何言ってンのか俺全然わかんない。
[目を細めてニコリと笑う。
勿論、目隠しされた雌犬には見えないだろうが。]
だいたいそれ、お前がくれって言ったじゃん。
だから豪華に飾ってやったのになァ……。
[ふたつのニプレスを繋ぐチェーンを指先で上下に動かし、弄ぶ。チャラ…チャラ…と小さな音が響いた。]
ほら、上すごいよ?
ダラダラ、ダラダラ、これなぁに?
[雌犬のふくよかな唇にそっと触れ、微かに下ろす。ぼたりと唾液が零れ落ち、それが雌犬の身体に垂れた。]
………ね?
可愛い雌犬サン?
[空いた片手で、尻尾を弄る。]
『――いつまで寝ているつもりだ』
[声がした。
僕の耳のすぐ後ろで。
いや、もしかしたらその声は、僕の頭の中から聞こえていたのかもしれない。
なぜなら僕にはもう、周りの音を聞き取ることなんてできなかったから]
ウェ……ン……ディ……
[かすれ声で呼んだその名を最後に、僕の意識は白く途絶えた]
…そうですね。
でも先生も十分頑固だと思いますよ?
職業先生って皆頑固なんですかね。
[今しがた自分がしたことは忘れたように言葉を返す]
本調べるんでしたよね。
内容教えて下さい。俺も探しますから…
[結局ステラの刺青を目にすることはなく、そのまま言われた通りの本を探しに]
『――いつまで寝ているつもりだ?』
[また同じ、声がした。
今度ははっきりとわかった。これは幻聴だと。だって僕はもう死んでいるのだ。死人が何かを見たり聴いたりできる訳がない。できるのなら母さんだって、必死に名を呼んで揺すったウェンディに何かの反応をしていた筈だった]
……だから、僕はもう死んでるんだって。
うふ…うあ…んっ。
[乳房の先端をひねられ、両手で抗議の意志を示そうにも、下腹部を締め上げてしまいかえない怖さから腕を満足に使えない。]
ンーー
[ボールギャグの内側を舐めたりして痛みを誤魔化そうにも程があるのだ。]
ふ、うく…んあ…
[唾液がこぼれ、尻尾が振れる。まるで誘っているかのように扇情的だ。]
[雌犬の身体を横向きに寝かせ、その脚をがばりと開く。赤いクレヴァスに食い込む銀色の鎖が、堪えようとしてなお溢れ出す透明な液体に濡れ、ギラギラと輝いている。]
へぇ………すげぇな。
想像以上の濡れ方してンじゃん。
[赤い襞に、指を這わせる。鎖を押し退け、その奥に指先を忍ばせようとすると、赤い襞がビクリと動き中に招き入れようとする。が……]
ダメ。まだあげない。
[指先が、寸前のところで引き返した。]
―図書館―
え? 私が頑固だって?
馬鹿云っちゃいけない。
それを云うなら、ハーヴだってなかなかのもんさ。
[子供のように言い返すあたりがそうした頑固な性格の一端を形作るものであることに私は無自覚に云う。
ステラの図章のことは今は優先順位が低かった。
キリスト教関係についても扱われる図章学の本やベスティアリ―中世の動物寓話譚―は借り出して自宅で読むことにする。]
ハーヴ、カール・オルフの『時の終わりの劇』のレコードがあったら、オーディオセットにかけてくれ。
[インスピレーションを呼び覚ましそうな曲をかけながら、事件に関係のありそうな書籍・新聞記事等、目に付く限り手にとっていった。]
欲しい?欲しい?
……でもまだダメ。
そんなにうるさく鳴いたら、ご褒美はあげられないなァ?
雌犬はきちんと躾しないと。
………脚閉じるなって。
[ビクリと動き閉じかかる雌犬の脚を手で広げ、内股を舌で舐める。指先は相変わらず鎖のあたりを動き回り、雌犬の襞のまわりを探索している。尻尾のあたりまで液体は流れ込み、豊かな水脈を作り上げている。]
くくっ………なぁ、雌犬?
なんでこっちに挿れてねぇのに、後ろまでぐちゃぐちゃに濡れてンだろうなァ……?
俺が頑固?多分恩師が変な人ですから感染しないようにですよ。
[いけしゃあしゃあと]
そうか、これが先生の妙なセンスを呼び起こす曲ですか…
[見つけたレコードをかけ、ヒューバートが持っている本を覗き込む]
あれ…?先生こういう本って使ってましたっけ?
中世とか…ご自宅にはなかったですよね?
何調べるんですか?
ああんんーーあっ…くぅ…いぐっ…
[足を閉じるのを強引に抑えられ、裸身をひくつかせる。
嬲られるという感情が自分自身をたかぶらせるのだろうか。]
はっ…はっ…
[2回3回と豊かな茂みから音を出し、楽器のような嬌声が飛び出る。]
んぁ、は、は…アンッ!
ああ。中世のキリスト教文献には興味はなかったんだが……
エイヴァリー先生が昔、キリストの教えに関わっていたことは知っているかい?
ラング牧師も襲われたからなぁ。
ひょっとしたら、キリスト教も事件になんらかの関わりがあるんじゃないかと思ったんだ。
[ステラの躰に刺青が刻印されていることは、プライベートなこと故に話しづらく、私はそのように事情を説明した。]
妙なセンスってひどいな。
こいつは――
なかなか、おもしろい曲なんだぜ。
[『時の終わりの劇』は、紀元前二世紀のローマで遺された予言『Oracula Sibyllina』、古代ギリシャ・オルフェウス教の讃歌、グノーシス、ベネディクト修道会の寺院で発見された『カルミナ・ブラーナ』の内容から抽出されたフラグメントを要素とし、構成されている。
その中心的な概念は、“時の終わり”において世界のすべてが霊化し唯一物と同化するというものだった。
悪魔と神の合一、天と地の融合。全てが必然的な回帰へと向かい、永遠のカノンに帰結する。
簡単に、曲の由来をハーヴェイに話していた。
その荘重な音曲に耳を傾けながら、オルムステッド一家の自動車事故の記事やソフィアの死亡記事に目を通した。]
[私は、ニーナが運び込まれた後はしばらくユージーンも来ないだろうと考え、起き上がる。貧血のような酷い目眩がするが構わず、蓋をあけてよろめきながらも、ゆっくりと柩を出た。
あどけなく優しいニナを見ていると、私は胸が締め付けられるような罪悪感を感じた…──けれども。私がこの半死状態から回復するためには、もっと人間の血肉が必要なのだ。]
…ニーナ、ごめんね。
あんっ…ううあうぁっ、あっ…
[鎖で源泉を隠そうと手を必死に動かすも、クレヴァスを刺激してしまい、更に焦りを生み、いきそこなって逆に昂ぶってしまう。
とぷり、と液が身体からラインを作って少しずつ落ちていく。]
[壁に手を付きながら、冷たい安置所の床をずるずると足を引きずるようにして、リックの骨やニーナの柩のある向かいの台座を目指す。
久しぶりにリックの声が聞こえたような気がした。]
そういう本なら俺少し持ってましたね。次もって来ましょうか?
実はルーサーさんから宗教美術の関係で結構話し聞いてたりしてたんで。
って、ステラさんがキリスト教に…?
[なのにヒューバートとあんな関係だったのだろうか、と少しいぶかしそうな顔をし]
いえ…それだったら多分ルーサーさんとも交流深かったんでしょうね。ルーサーさんが襲われてステラさんが今まで何もなかったというのもまた不思議な話ですが。
なんで先生そんなことご存知なんですか?
[柔らかな臀部に歯を立てて、ゆっくりと噛み付いた。肉づきが良いせいか、思ったよりもソフトな痛みとして伝わるかもしれない…と、ナサニエルは感じた。]
[扇情的に尻尾が揺れる。
フサリ、フサリ……静かな音と、雌犬の淫らな鳴き声が奇妙な響きを作り上げる。]
欲しい?雌犬。
………あげよっか?
[未だ塞がっていない、蜜だらけの孔に指先を突っ込んだ。]
う……あぅ… ん。 う、うあ!
[首を振るだけで首輪から伝わる秘部を刺激してしまいそうだ。
開かされた両足の根本に何かが食い込んだのを感じた。首や胸も責められているので痛いとは感じたけど、どこが何が痛いかはぐちゃぐちゃで
解らなかった。
口からこぼれ落ちた唾液がシーツに染みを作る。]
ああ。エイヴァリー先生は、私が大学院に通っていた頃知り合った学徒でね。
職を探していたから、ヘイヴンの教職を斡旋した経緯があったのさ。それで、身の上話を聞く機会があったってわけさ。
[記事を繰りながら、説明する。]
[ステラが個人で管理していたキャビネットから持ち出した、ファイルケースを大きな机の上に置く。
私は椅子に腰をかけると、隣のハーヴェイと話をしながら写真を一枚一枚改めていった。
その手が、一葉の写真を前に止まった。]
これは……
[ニーナと一緒に映る一人の少年。おそらくは、ラルフとおぼしきその貌を漸く見いだしていた。脳の奥がチリチリと痛痒を感じ、それが確かに記憶に重なる人物であると直感する。
しかしなぜ、と私は思う。私はなぜこの少年の記憶を消したのか。
そこに映っていたのは、整った顔立ちではあったが鋭く尖った印象は特になく、凡庸といっていい雰囲気の好感の持てる少年だったからだ。]
いや――
……そんなバカな……
[突如戦慄が首筋を伝って駆け抜けていった。その面影はつい最近出会ったばかりの人物と奇妙に重なることを、直感が唐突な閃きをもって指し示したからだ。]
“兄さん”――
……そういう…ことか……
[顔をあげ、私は虚空を睨んでいた。その奥深くにある人物の姿を思い描きながら]
[ヒューバートが記事を覗き込み、驚愕した表情をする。隣で整理を手伝いながら資料探しをしていたが、ふと覗き込むとそこには先程見た─]
これ……この人……
ニーナさんの…お兄さん…?でも…
[恐らく直感したことは珍しくヒューバートとシンクロしただろう]
[2ヤードにも満たない距離。這って進んだ時ほどではないが、随分と時間が掛かる。私は荒い呼吸を繰り返し、漸くニーナの柩に辿りつく。]
──…ああ。
だめ、きちんと閉じられた蓋を開けるだけの力が…今の私には。
[私は柩に縋るようにして床に崩れ落ち、台座の横に倒れこんでしまった。目眩と吐き気が酷い。]
[シーツに零れ落ちた唾液はそのままに、ナサニエルは雌犬の秘孔を指で探っている。生々しい肉感が指をぎゅうと締め上げ、指を伝って掌にその根元まで液体が染みた。]
………どうした?
上も下もぐちゃぐちゃ………
そんなに気持ちいいんだ?ふぅん………
[指を締め上げる場所を、さらに刺激する。]
流れ者 ギルバートは、新米記者 ソフィー を投票先に選びました。
ううん…う…
[言葉を発する事は出来ないが、気持ちいいと言っても、そうじゃないと言っても理屈を突きつけられて弄ばれるのは明らかだ。
わざと顔を背けて頭の角度を下げて、保留の意志を見せる。]
あ!あうあ!いあ…
[拒否も悲鳴も許されず、一番見られたくない肉芽を、直で嬲られ、頭がぼやけそうになる。
どこかを楽にしようと試みる。胸の金属は外せないか――手を伸ばす。]
ダメだっての。
[蜜だらけの孔を刺激していた指を外して、雌犬がニプレスを取ろうとする動きを制する。]
[ナサニエルはタンクトップを脱ぎ、上半身の肌と、そこに刻まれたタトゥーを露にした。横に寝かせた雌犬の身体を四つん這いの体勢に変え、その下に潜り込んだ。
――雌犬の意思だけでは、何もさせないために。]
…俺はもう少しここに。
一寸自分も調べたいことがあるんで。
何か一人じゃ持ちきれないものとかあるのならいきますけど。
それと、先生。
[少し神妙な顔をして]
…先生は、お化けとかって信じますか…?
人間以外のものって…
あふう…
[ボールギャグからヒュウッと音が出る吸う音か吐く音なのか。四つん這いの姿勢になると鎖の長さが足りないのか、少しお尻を突き上げる形になってしまう。]
――そうか
[ラルフの写真をポケットにしまうと、残るというハーヴェイに頷いた。]
お化けか……
――信じたくはなかったが……
[「死体が生き返って――」 あの言葉が頭蓋で反響する。]
――いや
今はわからないな。
信じたいような、はたまた確信しているような……
……やはり信じたくないような…
…そんな心境さ。
[自分で巧く説明できないんだが、と笑った]
……ん?
どうした?可愛い雌犬サン?
ほら、こんなに尻が欲しがってる。
[雌犬の涎がダラダラとナサニエルの身体に垂れ落ちる。]
………なぁ?
俺のヤツ、ブチ込んで欲しい?
─町を囲む森の中─
[鬱蒼と生い茂る樹々は深い闇を宿し、雲間より出ずる月の明かりもここには届かない。
そこは夜の領域。人ならざるものの棲む世界。
虫達の合唱と夜鳥の啼き声に、湿った落ち葉を踏み締める微かな物音が混じる。
男は闇の奥を見通し、*ゆっくりと歩いて行く。*]
―地下―
[地下に降りていく。永い時に置き去りにされたようなその空間はひんやりとした冷気に満たされ、幽かに黴臭かった。
薄靄の中の底知れぬ沼に足を浸していくように、闇の中を降りてゆく。
階段の底まで降り行くと、突き当たりには青錆の浮いた扉が立ちふさがっていた。
錆びた金属の耳障りな擦過音を伴って古びた錠が開く。]
――うわっ
[扉を開いた私は、思わず小さな叫声を漏らしていた。
眼前には暗澹たる冥暗の中よりおぞましい怪物の姿が浮かび上がっていた。
それが一枚の絵画であることにはすぐに気がついたが、それでも深閑とした夜に地下の暗黒の中で対峙するには怖気を震うほどの禍々しい迫力がその絵には籠もっていた。]
はぅ………
[ネリーは少しでもナサニエルから離れようとしつつ、顔をベッドにうずめた。覚悟を決めているのか。
じらし上手のナサニエルだからまだ何かあるのか。期待の心を持ちつつ、ネリーは一言だけ鳴いた。]
わん…
………ん?
声が小さくて聞こえないんだけど。
欲しくないの?ふぅん……
[自分から離れた雌犬を観察して、ニヤニヤと笑っている。]
じゃ、おしまいにしようか。
[ゴヤの『我が子を喰らうサトゥルヌス』
おぞましい表情の巨神が一杯に目を見開き、両手で握りつぶさんばかりに抱えた人間を喰い千切っている。おそらくは、複製画なのだろう。
サトゥルヌスは、鎌で父ウラノスを去勢させ権力を奪う。
予言で、自分がしたのと同じように我が子に支配力を奪われると言われ、次々と我が子を喰らって殺した。
それは、おそらく複製画だったのだろう。だが、大事なことにはそれは一般的に知られている“修正”がほどこされたものではなかった。通常塗りつぶされている陰部は、我が子を喰らう恍惚に呪わしいまでに激しく屹立していたのだ。
私は僅かに感じた嘔吐感を怺えながら、壁際のスイッチに触れた。
地下の書庫の奥深くまでやや頼りない電灯の燭がともっていった。]
[これだけ自らがたかぶっているのに、あの「声」が何かをかきわけて届いた。私は何処へと言うこともなく小さく叫ぶ]
ああ…
はへ…はえ…
ああう…!
はっ…はっ…
[身体が軽くなった。人の力で自分を抑えつけるものがなくなったからだ。どことなく視姦されてると思う。]
あん…わん…
[まだ小さい呟きを見せる。]
ハーヴ、待たせてすまない。
あらかたの用は済んだよ。
今日はこれで充分だ。
[後片付けを済ませ、オーディオセットの電源を切る。
図書館の外へとハーヴェイをいざなった。]
[ヒューバートと別れた後、再び本を探し始める。それは伝説、神話の類の本だった。
先程問うた「化け物」について調べるにはあまりにも参考にならない本だったが。
ペラペラとページを捲る。
何故こんな御伽噺のような本を手にしてしまったのかは分からなかったがふと捲ったページで手は止まる]
……ぁ…!
[恐らく、ヒューバートに呼び掛けられるまでそのページを瞬きもせずに見つめていただろう]
[悔しい、ボールギャグがなければ言いたい事が言えるのに。
ネリーは起きあがって声の出る方向を向いた。
涎や胸を責める金属が悩ましい。]
あ…ん…わ、わん。わ…わんっ、わん!
[開いたページは「人狼」。
そして先程響いた「声」
脳裏にシャーロット、ニーナの…自分が手にかけた死体がよぎった]
…………
[ほんの僅かな時間の忘却。恐らく最後の一瞬の為のささやかな贈り物だったのだろう。
一度忘れ、戻ってきたこの「感覚」は…以前よりも確りとした形を伴って再び脳を支配する]
…人…狼……
俺は……人…じゃ…
…いえ……
特には……。
[ヒューバートの問いかけには僅かに反応し、視線は結局借りたその本の方向に落ちている]
先生は…?何か…ありましたか?
[先程と変わり上の空のように言葉をつむぐ]
書生 ハーヴェイは、美術商 ヒューバート を能力(襲う)の対象に選びました。
よおし……いい子だ。
ちゃんと欲しいって言えたなァ。
[起き上がった雌犬を見て、先ほどとは異なる笑みを浮かべた。
ズボンを脱ぎ、床に落とす音がした。棚から何かを取り出し、ビニールを破る。]
……おいで、雌犬サン。
[赤い襞の間を走る鎖を外して、雌犬の身体を自分の身体の上に乗せる。ぬらぬらと蜜が溢れる場所に、熱い塊が当たる。]
………これ、何か分かるよね?
―車内―
[夜の闇の中を、シボレーは静かに家路へと向かっていた。
後部座席には、借り出した幾冊かの書籍とレコードが横たえられている。
何かあったかとのハーヴェイの問いかけに、ぽそりと――]
――人狼……
[呟いていた]
[以前は見るもの全てに殺意を持ち、殺さなければどうしようもなかった。
恐らく今も衝動は止められない所まで来ているのだろう。
しかし今はその流れるような衝動に障害がある。
激流の中の岩のようなもの。
恩師が自分にくれたあの優しい言葉と眼差し。
砕け散った理性の代わりに心に落ちてきたそれ。
あの時恩師から暖かさを感じた自分は確かに以前と同じだった]
くぅ…ん。
[平衡感覚が曖昧なのでふらつきながら腰を上げ、膝を曲げる。
ぶるぶると不自由な四肢を震わせながら。秘所を少しあてがわれ、羞恥感や期待感で弾けそうになる。
太股が痙攣すると何もかも終わってしまいそうだ。]
あう…んん
[「人狼」という言葉に、ビクリと反応を返す。
くしくも…]
俺が…見ていたのと…同じ…
[小さな声。恐らくヒューバートには聞こえなかっただろうが]
[──…私は力尽きて倒れたのではなかった。
私は不思議な引力に引寄せられ、ちょうどニーナの柩とリックの骨の残る台座の隙間に、吸い寄せられるように倒れたのだった。
下半身に不思議な浮遊感と鈴がなるような音が──。]
…な、何かと私の身体が共鳴している?
あ──…。
[私は、小さく喘ぎ声を漏らす。]
[こんな状態でも感じてしまう私は、一体何なのだろうと不思議に思う。淫靡な痛みに焦がれるなんて。
本当の快楽は麻薬なのだと思う。それも、極上の麻薬は心の底からクラリと――]
[乱れた髪を避けて覗き込むと、ニーナの柩が置かれた台座の根元に抉り取られたような穴がある。其処にすっぽりと収まっているのは、蝶の羽根のような優美な曲線を持った骨──、女性の骨盤だった。
鈴の音は骨盤の隙間から聞こえているように思う。
私はその骨の持ち主の女性と目が合った──ような錯覚をおぼえた。]
[──…教えて上げましょうか?]
[あなたが何者なのか。ヘイヴンがどんな場所なのか。]
[……になって目覚めた<あなたにだけ>]
[──本当の事を教えて上げましょうか。]
[鈴の音は、玉を転がすような美しい女性の声に変化し、私に語りかけてきた。
私は倒れた姿勢のまま、誰とも知れない美しい骨盤の持ち主に夢中で頷いていた…──。]
元気がねえな。
………要らない?コレ。
[己の性器を指で持ち上げ、雌犬の襞をビタビタと叩く。]
なァんてな。
嫌がってもヤるけどな!
[ダラダラと蜜が零れ落ちる場所に、熱い塊を挿れ、下から一気に突き上げた。]
[女性の声が更に震え、白い骨をただ見ていると言うのに、
微かな微笑が見えたような感覚を覚える。]
――人狼……
[彼女はそう*呟いた*。]
信じられないことばかりだ……
[独り言めいた呟きが漏れていた。
各々の思いの満ちた沈黙を運び、シボレーは間もなくバンクロフトの邸宅へと辿り着いていた]
ふ? ふぅ! うんあああぁ!!
んふふふんーー!!
[力を加えられ、ぐしっと腰を収縮させられた瞬間、あまりにも残酷なものに突き上げられた。戦慄や恐怖、歓喜の声を上げる。]
[「声」を出す感覚が戻ったのか、ややノイズは混じるがよほど確りとした「声」になっている]
ギルバート…
本当に俺の願いを叶えてくれるのなら…
…会いたい。
俺が行くから…どうか……
[最後はまた掻き消えるように小さく消えた]
あ、あ…あああぁぁあ!
[頭がどうにかなりそうだった。
ナサニエルに突き上げられたものに加え、その「声」を無防備に受けているからなのか。]
―バンクロフト邸・アトリエ―
ハーヴ、今日は思わぬ荒事に巻き込んじまって悪かった。
ありがとう。
ゆっくり休んでくれ。
[車をガレージに入れ、ハーヴェイを見送る。
ソフィーの様子を伺い簡単に外で起きた出来事を話した。
彼女の無事に安堵しながら]
[己の上に居る雌犬の口からは涎が垂れ、そこかしこに撒き散らされる。切なげに眉を寄せる雌犬の目元は見えないが、苦痛以外の何かがそこにはあった。]
[ガンガンと何度も腰を突き上げ、雌犬の孔を図太い肉棒で掻き回す。先ほどから差し込んだままの尻尾――アナルプラグと、自身の肉棒で、雌犬の身体の奥を強く貫く。]
[バンクロフト邸についた後、アトリエへ戻り]
お疲れ様でした…。
[表情は変わらないがやや疲れたように]
すみません、俺一旦部屋戻ります。
また何か御用があったら呼んでください
[ヒューバートが呟いた「人狼」と自分が見ていたページの「人狼」。
確かに偶然の一致ではあったのだが──*]
[いっそ舌を噛んでしまいたい、とも頭をよぎるが、鉄の口枷を埋め込まれている状態ではそれもできる筈がなく。刺激を和らげようとばかりに、ボールギャグにむしゃぶりつく。]
あっあぅ、うっ、うぐ…!
[アナルプラグをいじられ、更に身体の中に挿入された何か。
これまでの経験から男性の性器であることは間違いなく、ぐりっぐりっと私に圧してくる感覚。
ぐちゃぐちゃの刺激がネリーを壊していく。
いつの間にか、玉のような汗がふきだしていた。]
あ、あん、う、ふ、ふぁ…!
[ニプレスに付けておいたクリップを外し、大きな掌でその胸を大きく揉みしだく。細長く筋張った指と指の間から、柔らかな乳房の脂肪が浮き出た。]
そう……そうだよ、雌犬……
すげぇ中が良くなってンな………ぁッ
もっと絞めてごらん、俺のこと………!
[たわわに乳房がこぼれ、ナサニエルに受け止められる。
イヤイヤを言うのはおろか、そのそぶりさえも出来ず、息継ぎの余裕さえなく、苛烈に虐め倒され、暗闇の中であがき続ける。]
あ……ッ。ん、ァン…ワン…!
いい子だ……そう、もっと鳴けよ………
[突き上げるスピードをさらに上げ、腰を回して中を捏ね回す。蜜の湿気があたりを包み込み、それ特有のにおいが唾液のにおいと混ざりあい、辺りを支配する。
顔と胸――ハートマークのタトゥーの上には雌犬の唾液が散乱し、乾いたそれは白い跡を残している。]
[幾度も、幾度も、突き上げる。ぐちゃぐちゃになるまで、互いの境界が分からなくなるまで。時間を掛けて、激しく攻め立てる。]
は……あッ………う………!
ああ……いい、イクぞ………ッ!
[ナサニエルは、膨張した器官から白濁した液体を雌犬の中に放出した――]
ふあん、ンァ、いぅ、ああぁ…ああん…!
[三つ編みや首輪の鎖が激しく揺れる。切なそうに喘ぐネリー。
唾液は太ももにまで達し、冷たくなった液は身体を冷やそうとする。紅い蝋燭の跡を少し残した身体は何度も突き上げられ壊れてしまいそう。]
ク、ク、ああ…!
[アクメの波がネリーをどろどろに押し流し、下腹部も濁流に飲み込まれた。]
[事が済んだ後。
「雌犬」の身体を拘束していたものをひとつずつ剥いでゆく。視界を開き、言葉を交わす権利を回復させ、尻尾を外して彼女を再び「人間」に戻した。]
ネリー………お前。
[そう言いながら、自分の性器を包んでいたゴムを取り外し、その口を縛ってゴミ箱に棄てた。煙草をとライターをテーブルから引摺り下ろし、紫煙をくゆらせる。]
大丈夫だったか?
―アトリエ―
[熱いシャワーで一日の汗と埃を洗い流す。ボブの突進によってタイルに叩きつけられた背中の筋肉が幾らか熱を帯び痛んだ。
血の流れが熱によって活力を帯び、爽やかな疲れが全身を薄く包んでいた。
シャワーを浴び終えると、真新しいボクサーショーツを下ろし、ラコステのポロシャツにライトブラウンのチノパンを身につける。
ほんの少しでもいい。酔いに気持ちを紛らわす時間を求め、バーカウンターに向かった。
ブルイックラディーは、シャーロットの哀しみの泪を思い起こさずにはいられない。今日は、十六年熟成のブッシュミルズモルトをグラスに注いだ。]
―アトリエ・作業場―
[今は後片付けの終わったリビングではなく、書籍とレコードを抱えたまま階下の作業場へと向かう。
コルビジェの純白のソファーに腰を降ろす。千尋に重なる黒々とした森林の幽邃とした深淵に思いを馳せながら、グラスを傾けた。]
[オーディオセットにかけられたベルリオーズの『幻想交響曲』が広漠とした烏夜の闇の中へ溶け込んでいく。
『第四楽章 - 断頭台への行進』
若い芸術家は夢の中で恋人を殺して死刑を宣告される。その行列に伴う曲調は、時に陰鬱で荒寥としているかと思えば、暢達で陽気な足取りへと変化した。
死の恐怖を打ち破る愛の回想――そして、断頭の刃が打ち下ろされる。]
若き芸術家――か……
[私はそこに横たわる罪に思いを馳せた]
[飼い主の身体が離れると、ネリーはそのままベッドへ崩れ落ちた。少しずつ拘束具が取り払われる。目隠しは酷く湿っていて、口枷からは唾液の線が零れ落ちた。]
あの……私……
[せっかく言葉で意思を表す権利があるのに、何を言えばいいのか戸惑う。]
私、嫌な人かもしれません…
こんな事で感じちゃったり、こんな事を求めてしまったり…
[ああ、自分はやはりこのような主が必要なのかもしれない身体なのか、と再認識する。ニーナの『飼い主も飼い主ならペットもペット』と言う言葉の意味を改めて痛感させられる。
少なくとも今この時、ナサニエルを主人、飼い主として求めていたのだから。]
[改めてネリーは自分の上半身を晒したまま、ナサニエルの上半身を見上げた。そのタトゥー等から彼もまた何かに戒められて生きている、と思う。]
んー……………
[煙草を咥えたまま、頭をポリポリと掻いて考える。]
あのさ。余計なコトだったらごめんな?
お前ってさ、「折檻」や「強姦」はすげぇ「され慣れてる」気ィしたんだけど……。
[煙を吐き出し、ナサニエルは笑う。]
俺がやったのはそういうンじゃないから。
……俺がやったのは、「支配」のつもり。
折檻や強姦はさ、ヤる側の都合だけで、ヤられる側のこと全然考えないことじゃん。……お前の身体のことも……そう。だからネリーが必死になって逃げてンの見てて、「ああ、こいつ心配だな」って内心思ったわけ。
………言い訳してるみたいだけどな?
だから実は……俺はお前からの「依頼」をちょっとだけ無視した。すまん。
嫌がるお前をなだめすかして……ってのは、お前の「要求」ではあるけれど、お前に「必要」なことではない気がしたから。
……何って言えばいいんだろう。
ほら、抱かれてる時に褒められたら嬉しい気ィしない?
私…! もしかしたら、支配…求めているかもしれません。
確かに折檻も強姦も何度も…あります。
けれどそれは私が望んでいたのか分からなかったんです。
最初の主から離れようと思えばすぐに離れる事ができたのに。ある意味、私は逃げていたのかもしれません。
それに気づいただけでも…ご、ごめんなさいナサニエルさんこんな事言っちゃって。
[ネリーはどの顔を思い浮かべているのだろうか。ノーマンではない事は確かだったが、それはボブかリックか。]
[ネリーが「契約」を求めたのは自分の内側の心を知りたかったからだった。その契約は彼女にとって大きな意味をもたらしていた。
と同時にネリーは契約相手の内側の何か…をあわよくば推し量りたいとも思っていた。だが自分の事に精一杯でなかなか掴む事はできなかった。]
ん……そっか。
少なくとも、ネリーのことをきちんと考えてくれる人間の元に居た方が、ネリーだってしあわせにはなれるよな。
………いや、限り無く余計なお世話だと思うンだが。
っていうか、俺……娘を持った父親かっての。
[ネリーは上目遣いでナサニエルの瞳や上半身を見ながら考え、ゆっくりと言葉を発した。]
あの…私、これからバンクロフトの家に行く約束をしているのですが…迷っています。
私、本当はあまり行きたくありません。
いずれ行かなければならないとも思うのですが…あそこは。あそこは危険なんです…気をつけて下さい…
………………。
[目を丸くして、ネリーの言葉を聞いた。]
あ……ああ、いいけど……
あのさ、そしたらお前も危険なんじゃないの……?
私の事はいいんです。
…って言ったら怒られますよね。
[うっかり自分の十八番の言葉を出してしまう。もはや脊髄反射に近い。]
その…すごく…危険です。こう、私が今までに見たことのないおどろおどろしさがあって…
[あまりにも抽象的な表現をするネリー。]
[ナサニエルは私を心の底から救ってくれようとした人だ。私は彼を信用に値していた。
少なくともハーヴェイを近づけたくなかったのだ。
もしナサニエルがギルバートの言う危険を侵そうとするのなら、私は身体を張ってでもナサニエルを止めようと思った。]
………そっか。
[煙草を咥えてベッドに座る。]
じゃ、しばらく隠れてる?
数週間はさすがに無理だけど、1日くらいなら何とかなるんじゃねぇの?その間に次の逃げ場作っておきなよ。
……まあ、俺ン家は「千客万来」だから、ありえねぇ声とか聞こえてきても目ェつぶってくれるのが条件だけど。
―アトリエ・作業場―
[地下作業場で硬化の済んだ十本のファロスを一つ一つ型から外す。
透明アクリルの作業台の上をスポットライトで照らし出した。
レベッカの店で購ったリモコン式のディルドを作業台で分解し、男性器を形作る柔らかな外装部分を取り外した。
できあがったファロスのパーティングラインを綺麗に切り取り、内部を機械が収まるよう叮嚀に刳り抜く。ファロスのサイズにあわせて台座を加工するのはそれほど手間のかかることではない。
既製品の機械部分を利用するかたちで、実在の人物をモデルとしたディルドができあがった。]
[私はちびちびとシングルモルトを舐めながら、できあがった一つ一つのディルドをチェスの駒のように並べる。未だ見たことのない“男”はバナナで、“女”は柘榴。
アクリルの作業台の上に並べられた“駒”を使って人間関係の相関に思いを馳せながら、今までの事件を振り返ることにした。]
[両手はやがて床についていた。端から見ると裸体を晒した女が男に土下座しているように見える。
ネリーはそのまま思案する。]
あの…しばらく、1日か2日ここにいて、まずいと思ったらこの家のどこかに隠れてもいいですか…?
勿論、約束は守ります。
彼が私に声で攻撃すれば、私も鳴動してしまい見つかってしまうかもしれない。
おそらく、徒労かもしれない。
でも、何もしない訳にもいかない。
彼を止める事は私では不可能に近い。最後はギルに…頼るしかない。
りょーかい。
じゃ、そういう「契約」ってコトで。
[ネリーの言葉に微笑みながら、煙草の火を揉み消した。]
………で。モノのついでなんだが。
[床にひざまづいたネリーの身体を持ち上げ、ベッドの上に座らせる。ナサニエルのブルーグリーンの目が、ネリーの瞳をじっと捉える。]
お前の「要求」ではなく、お前に「必要」なモノを今から見せてやろうか。気に入らなかったら棄てちまって構わねぇよ。
[そう言い放ち、ナサニエルはネリーの唇に深いくちづけを施した。]
あ、ありがとうございます。
[ほっと安堵するネリー。気がつくと身体を持ち上げられていた。]
え…? あふ…
[甘いディープキス。フレンチキスや投げキッスはあったが深みのある接吻は何年ぶりだろうか。ネリーは翡翠の瞳をナサニエルに向け、*裸身を預けていた*]
ん………
[髪を優しく撫で、蕩けるような視線をネリーに送り、ナサニエルはゆるやかに微笑んだ。そして、ネリーの白い肌にくちづけ、幾つもの赤い跡を刻み込む。]
[「雌犬」という名の代わりに、彼女の名を。
罵倒の代わりに、賛美の言葉を。
痛みの代わりに、限り無い愛撫を。
何度も、何度も、刻み込む。]
ネリー……
ああ、すげぇいいよ……
お前のからだ……気持ちいい……ッ
[柔らかなリズムで、ゆっくりとネリーを支配する。
来たるべき「終焉」の時まで――*]
[扉から棺が運ばれる。
それを眺める少女はいつの間にか成長し、14くらいの彼女へと変化する。
この分で行くと、そのうちシャーロットと瓜二つ、とまではゆかずとも二卵性の双子に見えるくらいになる時間もあるのだろう。
ずるずると動いていく従妹にじっと視線を注ぎながら]
…待って。
ニナ、まだ生きてるから。
[だからお願い、食べないで、と。
小さく*懇願する声*]
[闇に沈んだ森から発せられた遠吠えは、高く高く尾を引いて、瀕死の町を懐に抱く谷間に谺した。]
[夜鳥が甲高い声で啼きながら、梢を大きく揺らして相次いで飛び立つ。虫の声がピタリと沈黙した。
闇の懐のどこかでは、獣たちが顔を挙げ、気配に耳をそばだてる。]
[それは、聞き取る「耳」を持った者へと送る、無音の叫び。]
[谷底に横たわる町では、幾人もの人間が不安げに空を見上げた。
彼らは叫びを聞くこともその意味を感じ取ることも出来ず、突如湧き上がった恐れの意味を図りかねて、*おののくのだった。*]
[バンクロフト邸にて魅入られたように人狼のページを見つめ続ける。
そして聞こえた咆哮。
ゆるりと頭を巡らし、その方向を認知する。
紅いピアスは静かに光を湛え、見つめる瞳は時折黄金色を放っていただろうか−−*]
―夕刻から、夜へ―
[2階の寝室にネリーを1人残し、ナサニエルは庭先に出た。手には、大きなトマトケチャップの缶と、中身を失った咳止め薬の瓶が2ダース。そして、紙片。]
[瓶を全てダストシュートの中に放り込むと、ナサニエルは芝生の上に座った。
カチリ………
ライターの火が、紙片に点る。]
………さよなら、ルーシー。
[薬物独特のにおいを撒き散らしながら、静かに煙を上げ、紙片は燃えている。]
「まだ生きているから」
[ニナの懇願に、私は否定とも肯定ともつかない動作で首を振る。
青白く輝く14歳のニナに触れても、そこには少女の肉体の感触はなく、あくまで不思議な温度を持った光でしかなかった。
それに、柩の中に横たわる彼女はあどけない子どもでは無く、私よりも年上の女性なのだった。]
[私は床に倒れ、ニナに覗き込まれた姿勢のまま、
女性の骨が示した方向のくすんだ石壁を見上げる。
そこに刻まれているのは、バイロンの言葉…──。]
…これが何か?
[──…旅人はすでに訪れていたの。
彼女は答える。
…でも、それは私も知らないもっと遠い過去の出来事。
…新大陸へ移る以前の出来事。
あなたには私の記憶を見せてあげる。あなたが何者かが理解出来るように。]
[私は女性の骨があえかな言葉の響きで指し示すヴィジョンに目を向ける。それは石壁に刻まれた文字の上に水のように広がり、彼女の過去へと私を誘う。
ニナをはじめ、かつてヘイヴンの住人だったであろう室内にある青白い光達は、骨の声にもヴィジョンにも*気が付けないようだ*──。]
[紙片から手を離し、トマトケチャップの缶の中に落とすと、次々と同じ紙片を缶の中に放り込む。
奇妙なにおいを放つ焚き火を眺めながら、ナサニエルは煙草に火をつけた。]
死の、におい………
お前は、やっぱり、そうだった。
もはや「夢」や「幻覚」なんかじゃない。
アレは現実だ。
[ナサニエルのブルーグリーンの瞳に、赤い火がゆらゆらと映る。]
全てお前がやったんだな………ギルバート。
[煙草の先から、紫煙がたなびく。]
[炎に向かい、語りかける。]
ローズマリーが、ステラに食われるヴィジョンが見えた。
ステラがお前を憎み、そしてお前がステラを殺そうとするヴィジョンも。
ああ、そうか……としか思えねぇけどな。
だってお前は、「そういう存在」なんだろ?
[じりじりと静かに燃える炎を見つめ、呟く。]
………「死」の、官能、か。
………なぁ、ギルバート。
お前……さ。
俺にこんなものを「与えて」、いったい何がしたかったんだ?
本能?
それとも、何か意図があってのこと?
[唇を歪めて、静かに笑う。]
……どうでもいいか、そんなことは。
[炎のゆらめきに焦点を合わせる。赤いその先に、ギルバートとステラの姿が見えた。]
………うん、分かった。
[誰にともなく、ぼそりと呟く。
静かな――しかし、ひどく具体的なヴィジョンが、「契約」相手が死んだという事実を宣告した。]
[背筋に、甘い痺れ。
炎と、死の宣告が、かつて彼が愛したものよりも強く激しい官能をもたらした。]
[紙片――LSDは、ゆっくりと空へと昇る。]
ルーシー………お前は
そらに行くんだなァ……
ダイヤモンドを手にしてさ………
[甘い甘い官能の中、ナサニエルは白くたなびく煙を見つめている――*]
流れ者 ギルバートは、書生 ハーヴェイ を投票先に選びました。
―地下作業場―
[傍らには、フェイマス・モンスターズ・オブ・フィルムランドやスクリーン・ストーリーズ、マッドといった雑誌が重ねられている。]
やれやれ……
こんなものまで拵えるとは、正気の沙汰じゃないのかもしれないな……
[バーナーで溶かされた銀の燦めきは、鋳型に流し込まれていった。
やがて、工具の揃えられた作業台にカートリッジが並べられる。ブレッドの取り外された薬莢に、鋳造された新たな弾頭が取りつけられた]
聖水や十字架は、信仰心のない者が持っても役に立たないだろうな。
あまり頼りにする気持ちにはなれねえ……
[そんなことを考える自分自身がどこか滑稽にも思える。
だが、客観視した理性ではなく、より根源的な直感が、なにより私自身の体を流れる血や肉がその存在を確信し顫動していた。
あの、黄金の眼差しに射すくめられた瞬間の血液が沸騰するかのような恐怖と裏腹の亢奮――
今は、それがどんなものであれ頼みとしたい心境だった]
――劫初の起こりから存在し続けるかのような
根源的な鳴動が激浪となって押し寄せる。
魂を震わせるその波を感じたのは
それから間もなくのことだった――
――自宅――
[ギルバートの殺意がわたしに向かってきた時。なぜかわたしは密かに隠し持っていた聖水の瓶を彼に向かって投げつけていた。
彼はわたしに死を与えてくれると言ったのに。でもそれがわたしの本心なのだろう。わたしは神から死を奪われた人間ではなく、自ら逃げてきた人間だったのだと。その時改めて思い知らされた。]
[一瞬の隙を突いて逃げ出した刹那、わたしはギルバートの手から逃れようとバランスを崩して、勢いよく階段から滑り落ちてしまった。
激しい音が耳を裂く。でも不思議と痛みは感じなかった。ただ息苦しさが…わたしの胸を締め付けていた。]
[喘ぐように呼吸を繰り返す身体。ぼやける視界の先にギルバートの歪んだ微笑が見えた。透き通る黄金色に見える瞳が、彼が普通の人間ではない事を物語っている。]
『嗚呼、やっぱりわたし死ぬんだね…。もし願いがかなうのなら…死ぬ前に一度だけ…あの人に…抱かれたかった――』
[生と死の挟間でわたしが脳裏に浮かべた人は、迷う事無くバートその人だった。
もし願いがかなうのなら。わたしは彼の腕に抱かれてもう一度眠りたかった。性欲の捌け口としてではなくただその温もりに。]
[私はナサニエルの寝室でまどろんでいた。
ただ、身体を求め、与えられたという私にとっておおよそ初めてに近い喜びと言うものを知った。後ろのほうは覚えていない。]
私…
[今、私は起き上がり、シーツを被っているだけ。
何も考えず、今はただ濁った意識のままでいたい。そう感じていた。]
――自宅――
[再び目が覚めると、死んだはずのわたしの身体は、柩ではなくベッドに寝かされていた。]
『あれ…?これが死の感覚…?にしては…随分とリアルね』
[痛む身体に顔を歪めながら、視線だけで辺りを見渡す。と、そこには意識を失う前あれ程逢いたいと懇願したバートの姿が映った。
わたしはあまりの突然の出来事に、心臓が止まるかと思った。そのまま息が出来なくて嬉しさで死んでしまってもいいとまで思った。実際死んでいるのであれば、随分と変な話だけど。]
あ…バー…ト…?
[わたしは掠れる声で、近くに居る彼にだけ聞こえる声色でそっと呼びかける。これで気付いてくれたなら。わたしは生きている証拠だろう。]
[果たして彼は気付いてくれた。ほんの僅かだが眉を上げて答えてくれた。近くにはどうやらハーヴェイさんが居るらしい。彼に気付かれないように表向きはある一定の距離を保つ態度を取って居たけれど。]
『嗚呼…駄目よバート…その手の感触を味わってしまったら…。わたし全てを投げ出してしまいたくなるの…』
[髪を梳く優しい手の動きが、彼の本心を言葉ではない物で伝えてくれる。]
[緑の髪がウェーブを描き、胸元まで流れている。私は指で髪を掬い、人差し指に一巻き、二巻きと弄ぶ。
前髪はしっとりと下へ降り、唇あたりまで達しているだろうか。]
私、このままでいたい…でも、
でも、私にしなければならない事が、きっとある…
[髪筋越しに伝わるバートの優しさ。それは人言えぬ恋と解っていながらも断ち切れないわたしの弱さに、浸透するかのように染み渡り胸を熱くする。]
[いけない恋ということは解っている。同性愛と不倫、そのどちらも人には認められない恋だということは百も承知。でも愛さずにはいられない。慕わずには居られない。
たとえ誰からも理解されなくても。愛した本人達から最後には見向きもされなくても。]
バ…ぁト…?何故…あなたが此処に?
[わたしは雑貨屋での彼の素っ気無い態度を思い出しながら、ふと疑問に思ったことを訊ねてみた。あの時彼ははっきりとわたしにこう告げたのだ。
「一人の友人として――」と。
ねぇ、今此処に居るのも。そしてこうして目を盗んで髪に触れてくれるのも…あなたの言う【一人の友人として】の行動なの?]
そういえば、ルーサー先生の話も聞かない。先生、元気かしら。
もし先生の身に何かあったら、リックや旦那様と同じような事が…
[私は高等教育なんて受けてない。
でも、私は根っからのヘイヴニアン、ヘイヴニッシュ、ヘイヴニスト。この街は普通の街とは違う何かがある。
エレメンタリースクールが教えた内容にごく僅かな違和感があればある。
同様に、何か触れたくないモノを持って、皆生きている事を。
胸の桜色の突起に触れる。熱い興奮で乱れきっていたのを確信する。]
…先生…。
[窓からシボレーが出発していくのが見える。
しかしそれを見送る目はいつものような優しいライトブラウンではなかった。
冷たく光るその色はどこか悲しげな、何か儚いものを見るような目。]
[でもバートはわたしの質問には答えず、隙を見ては髪を撫ぜてくれた。一瞬だけ覗かせた微笑。目尻に寄った皺がお互いの知らない年数を物語っている。
『いい男になったね…バート。でも、あなたをそんな風に魅力的に変えたのは…わたしじゃないのね――』]
[私は、ヘイヴンに残っている何かがあると言うのなら、それは繁栄とは言わないまでも、保存し、半永久的に伝えていかなければならないと思っている。
それが守らなければならないものかもしれないし、それがアイデンティファイになっているのだと思う。
だが同時に、守り通す者がそれを放棄する、或いは維持できないというのなら災いをもたらす前に、摘み取る事も選択しなければならないのだろう。]
私は…どうすれば…
[私にはもうこれっぽっちの心の余裕もない。]
>>150 >>151
[音にならない叫びが私の中を突き抜けて行った。
髪が後ろへ薙いでいきそうだ。思わず目にごみが入るのを避けるかのように目を伏せる。]
あなたは。
あなた達の望みは、何なの…?
美術商 ヒューバートは、書生 ハーヴェイ を投票先に選びました。
─森の中─
[ゆっくりと歩を進め、森の切れ目から眼下に町が見下ろせる高台に立つ。
元々少ない明かりも今は一層まばらで、闇の中では今にも消え失せそうなほど頼りない。]
[彼はそこで、待ち人を待つ。
約束を果たすために。]
[やがてバートはわたしをこんな目に合わせたギルバートの姿を探す為に席を立つ。
そして残されたハーヴェイさんとの一時。わたしはぼんやりと宙を眺めながら、自分の中の二つの感情について考えていた。]
[女として愛したローズ。その思いはとても激しくまるで燃え盛る炎のようだった。その顛末は彼女を殺し心臓を奪い、口にすることでようやく沈静化を図ることに成功する位。
そしてバートへの思い。こちらは打って変わって水を張詰めたように静かで穏やかな感情。わたしは愛人という立場を決して望んでは居なかったけれど、でも彼の家庭を壊そうとは一度も思ったことは無かった。
確かに家庭訪問先で見た溺愛さには胸が痛んだけれど。でもそれを割って入ろうとは、全く思わなかった。わたしは望んで得た訳ではない愛人という立場に、一種のプライドのような物を持っていた。たとえ後ろ指を差されようとも、気高くそして自らを蔑むような真似だけはしたくはない。これは、家庭を持つことで母になり妻になってしまう女性像から真っ向から反発して、常に女であろうというわたしの決意の表れだったように思える。]
─ 森への道 ─
[シボレーを見送った後、誰にも悟られないように外に出ていた。まるで導かれるように。
闇の中、一人歩くひ弱そうな青年に心配そうに声をかける者もあったが、その青年の顔を見たものは…]
[端正な顔に浮かぶ目は冷たい色をしていたが漂う殺気は隠せない。
尋常ならざるその雰囲気に、ある者は後ずさりある者は体が固まって動けなかった。
そして長い旅のように歩み続け、ようやっとついたその先に待つ者の名を呟く]
……ギルバート……
──バンクロフト邸・客室(ニーナ発見前)──
[バンクロフト邸での夕餉の後、食堂を飛び出したソフィーは客室に戻ると血の気の引いた蒼白い顔でベッドへと横になった。
頭の中にはヒューバートの祖父母の言葉が繰り返し甦り、首筋の疵口は熱を持ったまま引き攣れるような痛みを発していた。]
[薄い布団を被り堅く目を瞑る。
しかし声は何処までも追い掛けて来た。]
『飼い慣らせ』 『獣を』
『正しい交わり──正しい"血脈"』
『───狼憑き』
[普通ならば老人の妄想で片付けられてしまいそうな言葉達。
しかしソフィーには妄言で片付けられない理由があった。
網膜に焼きついた、浅ましく血を啜る野犬のような父の姿。
本能に突き動かされるように、血を求めていたイアン。
その"獣"を抑え込む術は、肉体を餌に行う背徳の行為。
それは正しく、血を分けた血族──"血脈"同士の"交わり"。]
[薄暗い室内で、戦慄く唇が無意識の言葉を紡ぎ出す。]
では…あの人達は知って──?
[浮かびかけた思考を自ら否定する。]
違う…。
そんな筈ない……お母さんが死んでからは
一度もバンクロフト家の招待に応じてない……。
[そもそも精神状態の不安定な父自身、外出は控えていた。
精々が自分を伴って行き着けの店に顔を出す程度で。]
私達の関係を知っているわけじゃない…?
じゃあ、あれは何の事を言って……?
[次々と浮かぶ疑問を、確認するように唇に乗せる。]
[名を呼ばれ、彼は薄く、今にも剥がれそうに脆い微笑を浮かべる。
迎え入れるように腕を広げ、夜の底に沈んだ町を背に立つ。]
──ハーヴェイ。
よく来たな。
[こめかみがズキズキと痛み出した。
まるで病がぶり返したかのように身体全体が熱を持っている。
気だるさでなく何処か高揚感を伴った熱さ───。]
気にしすぎ…かもしれない……。
普段ならこんな事くらいで動揺したりはしないのに…。
[些細な事に敏感になり過ぎていると感じる。
無用な関連付けで自分を追い詰めている。]
きっとそうだ……まだ疲れてるだけ。
色々な事があり過ぎて…落ち着かないだけ。
『もし…バートがローズへ向かう感情を知ったなら…。さすがに軽蔑するかしら?』
[わたしは同じ疑問をローズには抱かなかった。わたしには解ってる。ローズがわたしと寝たのも、彼女特有の気まぐれだろうということを。
それは同じ同性だから、同じ嗜好を持ち合わせているから解る。彼女はわたしを心から求めてはいないし、またわたしも本心の何処かでは求めていなかったように思える。
確かにわたしはローズの事が好きだった。彼女の肉体の一部を食してしまう位に。
でも同じ位彼女の事を見ていなかったように思える。言うなれば、ローズを見ながら誰か他の人を重ね合わせて恋慕していたような――]
[そこまで考えて、わたしははっとしながらハーヴェイさんの姿を探した。こんな醜い志向を読み取られたらと、不安に思っての行動だった。
しかし彼もまた何処かに行ったらしく、少なくてもこの寝室には姿は見えなかった。
わたしは彼の不在を心から感謝し、深く深くため息を吐いた。]
[広げられた腕に戸惑いもなく、吸い込まれるように近づき、虚ろな微笑を向ける]
来た……
[自分を散々苦しめていた彼の気配。しかし今は心地よさすら感じる。
ゆっくりと手を頬に滑らせながら]
…やっと…会えた……
[自分を宥めるような声音。
静寂の室内に暗示のように響く。]
ポーカーフェイスを思い出しなさい…ソフィー。
秘密は、永遠に秘密のまま。
もし何かを知っている人がいたとしても──、
知らない顔をしていればいい。
そうすればなかった事になる。
それが私達がここで生きて行く為の、術。
何時までもずっと……、二人きりで…。
ねぇ、そうでしょう……?
だから早く帰ってきて、お父さん……。
[呟いて瞳を閉じ、しばしの間、強引な眠りへと──。]
新米記者 ソフィーは、書生 ハーヴェイ を投票先に選びました。
―自宅1階・リビング―
[彼にしては珍しく、部屋中を包むようにレコードの音を流していた。]
Cat's foot iron craw
(猫の忍び足 鉄の爪)
Neuro-surgeons scream for more
(神経外科医は手術を叫び続ける)
At paranoia's poison door
(パラノイアの危険な入口)
Twenty first century schizoid man.
(21世紀のスキッツォイド・マン)
[頭の中を支配せんとするようなホーンセクションの音。ギターの音が響き、ベース音は胸を叩く。
――音の洪水は彼を攻め立て、或いはリドルを投げ掛ける。]
_________________________________________
彼女の記憶は、2ヤードほどの頑丈な檻の中ではじまる。
他のトラックは不衛生な状態で複数の檻が混在していたが、彼女の檻はトラックの中でも、特別な一台に乗せられていた。二重の幕、表には当たり障りのない大道具。
検問等に引っ掛かっても不自然に見えないその仕掛けの所為で、彼女の檻の中は常に薄暗かった。
檻に捕えられてからどれほどの月日が経過していたのか、彼女は昼夜の区別を忘れはじめていた。彼女は日に当たる事の無い彼女の肌は病的に白かった。
衣装は気紛れにドレスが与えられる事があれば、襤褸のままの時も、着ない方がマシだと言いたくなるようなきわどく卑猥な衣装の時もあった。共通しているのは、細い首と手足に繋がれた金属の拘束具。首輪に繋がれたチェーンは、常に檻に留められ厳重に錠が掛けられていた。
鉄道移動が廃れ、トラック移動が主要になってからのサーカスは、田舎の興行を止め、都会のみで大規模な巡業をするものが主流だった。そのトラックの一軍が──とある山間の小さな田舎町を通過したのは、給油とタイヤの修理の都合に過ぎなかっただろう。
[私はトラックが最初に停車した鬱蒼とした森の傍を通るうねる一本道に見覚えがある事に気が付いた。
それは、いつもパパの車の助手席で見ている、ごく親しんだ風景。]
_________________________________________
けばけばしい極彩色のテントの内側。
檻の覆いが取り去られ、ショーがはじまる。単純で俗悪なショーだ。
その日の彼女の餌は珍しく、人間の子どもだった。
大抵は「人間の肉」と称された牛や馬、時に犬の屍骸(すべて何処かの民家から攫って来たもの)だったので、彼女は幼い頃、自分が人間だった時代に祖母から習った歌いながら食事をしていた。その町につく前に迷い込んだ都会出身の浮浪者の子ども。人肉が彼女の餌として「その町」で出された事は偶然にすぎなかったのだが。
彼女は食事の時間、目の前に好奇心を剥き出しにした客が居る事には、すでに慣れきっていた。客が罵声を浴びせようと、笑い声をあげて自分を指差そうと、何も感じなくなっていた。食事中に目の前で吐瀉物を撒かれるのと、甘ったるいコークをぶつけられるのだけは、あまり好ましくはなかったけれど。
[歩み寄ってきたハーヴェイを腕の中に抱き取り、その瞳を見詰める。
頬に滑る手の触れるがままに任せ、彼の求めるものが確かにそこに居ると理解できるのを待つように。]
At paranoia's poison door―――
[男は、黙って口許を歪めた。
その目には、澄んだ色の光が宿る。]
ああ……………
「死」の官能が、そこに………!
[目の前には何も無い。
否、彼にしか見えぬ何かが在った。
――「後戻りはできない」。
ギルバートの金色の光が、彼の脳裏に蘇る。]
………もちろん。
望む、ところだ………
[車のキィを手にし、外に出る。]
_________________________________________
弓張り月がやけにくっきりと浮かんだその夜に現れた3人組の客は、今までの客と様相が違っていた。まず、一人の男が彼女が口に銜えた人肉を指差す。すでに断片であるそれを、彼には一目見ただけで人肉だと分かったらしい。
そして、横に見世物小屋の主人が居るにも関わらず、彼は彼女にしか聞こえない声で囁いたと言う。
「私は話す以外の能力は何も無いが、君が何者か分かる。この町の人間は皆、私と似たり寄ったりだ。君の味方になるよ。明日の夜、必ず助けに来る…──。」
じっと檻を見つめたままの男に勘違いをした主人が「檻に入ってあの娘を好きにしていただいても宜しいんですよ、旦那様方」と3人組に意味ありげに耳打ちをする。男は黙って見世物小屋の主人から一歩距離を取り、“Lycanthrope”とおどろおどろしい文字で書かれた札を指で軽くはじいて、出て行った。
[私は石壁に映った長い金髪の彼女が、檻の外へと揺れる大きな青い瞳を向ける姿を見つめる。安っぽい赤いドレスを着た彼女は、珍しく動揺を見せていた。]
_________________________________________
次に私が見た場面は、燃えるトラックの群れと動物が焼かれ泣き叫ぶ声が印象的な夜の場面。先刻、彼女の檻の前に現れた男達と他数人の者が、トラックの持ち主達を屠殺用の刃物と銃で殺し、バラした物をその焔の中へ投げ込んでいた。
彼女はその光景を、彼女に話し掛けた男の首に縋るようにして抱きかかえられながら無言で見つめていた。檻の中での生活が長過ぎた彼女は、足の肉が削げ落ち歩く事が出来なかった。男は言う。
「私は人狼の血を引く者が暮らすこの町で、墓守をしている。新鮮な人肉を君に与える事は出来ないが、死人が出た時、安置所に納めた後から君に少し分ける事は出来ると思う。平穏が欲しくは無いか──」
自らを積んで来たトラックが、檻だけを残して完全に焼け落ちる様子から目を逸らすことなく、彼女は彼に頷いた。
[ヘイヴンを囲う深い森の奥から、遠吠え(>>150)が聞こえる…──。
音は無いのだけれど、私はそれが声である事が理解出来た。
私の血を引いた子ども達の子孫もまだヘイヴンに居るのよ…。
と言う言葉を残して、何時の間にか彼女が見せるヴィジョンは終っていた。結末が暗澹たるものではなかったことに、私は安堵の息を漏らす。
ああそれにしても、旅人が<彼>がこの町に来ているのだ。
<彼>──…ギルバート・ブレイクが、平凡な田舎町だったはずのヘイヴンに厄災を齎した張本人なのだと、私は知る。私が誰かに刺された事も、私が人間として死亡する直前に人狼として目覚め、仮死状態でこの安置所に運ばれ、リックを喰らい、女性の骨の見せるヴィジョンでヘイヴンの知られざる過去を知った事も、すべて──彼が引き起こした出来事なのだと。]
──お前の全てを消し去ってやろう。
過去も、思い出も、苦痛も、未来も……その身体ごと全部。
[三日月のごと、弧を描く唇に嗤いを乗せて、いっそ優しささえ感じる声音で、強く囁いた。]
[リビングの机の上に、書き置きと鍵が残してあった。]
「ネリーへ
安全な場所に逃げたいなり、危険な場所に行きたいなり、お前が何処かへ行きたいのなら、この合鍵で家のドアを閉めるように。
――帰る場所が見つかったなら、鍵は直ちに返せ。」
――――――
「ハーヴェイ…… もし私が無事に帰ってきて
その時、何もかもが解決していたのなら
――君に云えなかったことを云うよ。」
今はもう、深い眠りに落ちているであろう彼の寝室の扉の前で、私はそっと呟いていた。
眠りに落ちているであろう彼に、その言葉はきっと届きはしないだろう――そう思いながら。
安らかな眠りと闇の静寂が彼を安息から妨げない事を願って――私はアトリエを後にした。
――
―車中―
ハーヴェイ……
君は私を軽蔑するだろうな。
私の身も心も灼き尽くしてもやまぬほどの熱情の正体を知ったなら。
[生命の危機を感じるその時、人の生存本能は著しく昂ぶるものなのだろう。
黄金の光と闇から押し寄せる波濤。
私の中の獣欲は叫びを上げ、ひたすらそのかつえを充たそうと私自身を突き動かしていた。]
[しばらくして戻ってきたバートは、用心の為に此処に居残ると言う。わたしはそれを頑なに断った。
傷付いた身体で弱った精神力。そんな中彼がこの場所に滞在したならば…。わたしはどうなってしまうか解らなかった。]
『嗚呼、ローズの時のようにまた再び彼の命を奪って…わたしだけの物にしてしまうかも知れない…。わたしはそれが――怖い』
[再び教われる恐怖心より、自らが狂う方が怖かった。だから何としてでも彼には帰ってもらいたかった。
一通りの押し問答の末、助け舟を出してくれたハーヴェイさんによって、バートは不本意そうに折れてくれた。わたしはほっと胸を撫で下ろして、一言だけ謝罪の言葉を呟いた。]
ごめんなさい…バート――
[そして鎮痛解熱剤の入った薬箱を枕元に置いてくれたハーヴェイさんと、名残惜しそうに立ち去るバートを見送って。
早速わたしは水差しを引寄せ、薬箱に手を掛けた。
実の所気丈には振舞っていたけれど、傷みも熱も我慢が効かないほどわたしの身体を蝕んでいた。だから少しでも楽になりたいと…
薬箱から辛うじて一回分だけ残っていたカプセル薬を取り出し。迷う事無く口に含んだ。]
[全て消し去る─その言葉が彼から紡がれ、耳に届いた時
一瞬だけ笑顔を浮かべた。不安と儚さにゆれた、壊れそうな笑顔。
僅かに胸の鼓動が高鳴ったのは望みがかなうからだろうか。
それとも……]
書生 ハーヴェイは、流れ者 ギルバート を投票先に選びました。
書生 ハーヴェイは、冒険家 ナサニエル を能力(襲う)の対象に選びました。
見習いメイド ネリーは、書生 ハーヴェイ を投票先に選びました。
[私は気がつくと飛び起きていた。
身体中が汗みずくになっている。玉の汗を全身に浮かべている。]
な、なに…? この気持ち…
[カチカチと歯が鳴っている。]
確証もない。信じたくもない。けれど…
[下着だけ身につけ、ナサニエルの家を這うように歩いた。
書き置きを発見する。]
[目の前の肉体から漂う馥郁たる香り。]
[緩やかで大きなうねりが、腹腔の奥深くから湧き上がる。
甘い痺れが稲妻のように尾骶骨から脳髄へと駆け上がる。
根源的で不可分なその本能に、ゆっくりと呑みこまれていく。]
──バンクロフト邸・客室(ステラ発見前)──
[ニーナの悲報を聞くや、ソフィーは倒れそうになった。
報せをもたらしたヒューバートの口から、ニーナの遺体が喰い荒らされたような状態だったと聞いた為だ。
度重なる不幸な事故、恐ろしい事件。
失踪したまま戻らない父。
これらをニーナの死と関連付けて考える事は出来なかった。]
そんな……そんな……。
どうして一人で外に……ニーナさん……。
[ヒューバートの手を借りてソファに腰を下ろし、瞑目する。
少し出掛けるので一緒に来るかと聞かれても断った。
一人にする事を心配してくれたようだが、とても行く気にはなれなかったし、家人が居るから平気だと言って断った。
今は一人になりたかった。]
[私はナサニエルの書き置きを読んだ。
思わず顔が引き攣った。リックにアルバムを見せられたと同じぐらいの動揺が拡がる。]
あの人…あの人は「血族」を知っている!?
[主を失った部屋の中、音の濁流は構わず流れる。]
Blood rack barbed wire
(血塗られた拷問台 有刺鉄線)
Politicians' funeral pyre
(政治家の火葬のための薪)
Innocents raped with napalm fire
(罪なき者がナパームの炎に犯される)
Twenty first century schizoid man....
(21世紀のスキッツォイド・マン)
[机の上には、何かに怯えるような顔をした有色人種の顔が描かれた――青を基調としたレコードジャケットが置かれている。
"IN THE COURT OF THE CRIMSON KING"――KING CRIMSON]
「逃げろ」
[初めて言われたものではなかった。今更ながら、意味が、意義がよく分かる。私には誰よりも力がない。たぶん、逃げおおせる力も乏しい。
忠告通りに従うのが正しいと思う。しかし行ってもそこへ行き着ける確証はないし何より危険だ。だが一生見逃してしまうだろう何かもある。]
[一度抱き締めた腕を解き、柔らかい口接けを与えながら、手をハーヴェイの胸の辺りへと滑らせていく。
一つずつワイシャツのボタンを外し、前を開いた。]
……お前が、欲しい。全部、くれ。
[口接けの合間に、熱い吐息と共に告げる。]
[キスの合間、とけそうな意識の中で問う]
一つだけ…聞きたい…
何故お前は…ここにきた…?
どうして…こんなこと…を……
流れ者 ギルバートは、新米記者 ソフィー を能力(襲う)の対象に選びました。
ロティ――
[間もなく、陰鬱たる森林に分け入る。安置所からわずかに隔たった処にある廃屋の陰に目立たぬよう車を停めると、人の気配を伺いながら安置所へと歩みを進めた]
―安置所―
[「新しい作品?」 そう好奇心に目を輝かせて問いかけてくれた娘に、今は私は最初に作品を見せたかった。
死そのもののように冷たく厳粛な冥暗の中で、私はそこに奈落へ通じる穴が口を開けているかのように一歩一歩慎重に歩みを進める。
どれほどおぞましい深淵がそこに横たわっていても、彼女を求める歩みは小揺るぎもしなかった。
私はシャーロットがどこに居るか知っている。一度辿り着いたその場所を忘れ去ることなどありえない。
やがて、常闇の中に延ばした指先がそっと柔らかな肌に触れ――
――私は彼女を抱きすくめていた]
[外殻は発せられた熱に次第に蕩けていきながらも、意外にクリアーな「声」で返答が返ってきた。]
……ここに「血族」が居ると知ったからだ。
セドリック──ローズの弟が、ヘイヴンについて教えてくれた。
…ギル……
[風をさえぎっていたシャツが肌蹴られる。
あらわになった白い肌が僅かに震えた。
暖かさを求めるように腕を首に回し、自分から深いキスを送る。銀の糸が細く垂れた]
いいよ…全部……お前に……
セドリックも……「血族」だった。
狭い地域で他と交流がない場所……
特異な伝承……
もしかしたら、と。
が、結局は勘だ。
[バンクロフト邸から─恐らくヒューバートとハーヴェイを乗せた─車の音が遠ざかると、ソフィーは客室を出て、マーティンに一言断ってバスルームを拝借した。
浴室に入ると温度調節もせずにシャワーのコックを捻る。
降り注ぐ冷水が火照った肌の表面を滑り落ちて行った。]
仲間……
お前たちが……お前が正しくその血を御することが出来たなら……
同族はお前を仲間として迎え入れただろう……
[シャーロットの身体を抱きしめたヒューバートは、彼女に着せたドレスが所々泥と埃に塗れ擦り切れ、真新しい鮮血が染み付いている事に気付くだろうか。
ただし、彼女自身の身体には何処にも新しい傷は見当たらない。]
[トヨペットクラウンのハンドルを握るナサニエルの口許は、先ほどの曲の歌詞を朗読するかのように小さくパクパクと開く。]
[彼には、或る望みがあった。
――恍惚を求めるが故に。]
[ニーナの柩の傍で、人狼であった女性の骨が見せるヴィジョンを見た私の身に起こった出来事は後から語る事にしようか──。或いは語られないかもしれない。
短い言葉で簡潔に話すならば、私は愛すべき従姉ではなく、生きた人間をこの手で殺しその肉を貪った。]
[ナサニエルの口許が、歪んだ。]
『我々は、等しく「獣」――
己が身を焼き尽くさんと猛る程に純粋な、「思慕」の奴隷なのだ――』
[安置所の床には、何故か粉々になったガラスの破片に塗れている。
シャーロットの姿は衣服の異変に気付かなければ、ヒューバートが安置した時とそれほどの違いはなかっただろう。彼女の目蓋は眠るように閉じられたまま。]
――ロティ
[ドレスをなぞる指先が幽かな汚れに触れる。
此処でなにがあったのか知るよしもなかったが、彼女の身は少なくとも損なわれていないことに心から安堵した。]
明朝になればニーナもここへ連れてくる。
その時に新しい服を持ってくるよ。
ソフィーに仕立てを頼んでいたドレスもできあがったんだ。
君にできたら――着て欲しい。
[自分の体を這い回る手に肌は熱を持つ。
体に経験は十分にあった。しかし背中に手が触れた時だけ抵抗したのは条件反射なのだろう。
それでもギルバートの首に回した片方の手で彼の手をとり、導くように体に触れさせる。
もっと、とねだるように。そしてそれは徐々に下へと導かれた]
……ロティ。
もし、私を拒むなら――
どうか、君の腕の中で私を喰ってくれ。
私は、君が居なくて生きてゆけるわけがない。
君の居ない世界の終わりに
取り残されるくらいなら、いっそ――
――この身を捧げ、君の血となり肉となりたい。
[シャーロットが再び動き出すための力となるなら、この身を捧げても惜しくはなかった。
彼女の閉じられた瞼にそっと口吻をした。]
そう…遅すぎた……
知ることも…見つけることも…気づくことも……
[その後、身を寄せ合う熱にこの声は途切れるだろうか─]
[ナサニエルが詞を朗読するその頃――床に蹲るネリーの耳に、音の触手が伸びた。]
Death seed blind man's greed
(死の種 無知なる者の強欲)
Poets' starving children bleed
(詩人は飢え 子供達は血を流す)
Nothing he's got he really needs
(だが 欲しいものはなにひとつ得られない)
Twenty first century schizoid man....
(21世紀のスキッツォイド・マン)
だが私を少しでも愛してくれているのなら――
どうか――
――どうか、私の元へ……
――戻ってきてくれ
[閉じられた瞼から熱い泪が零れ、頬を伝う。
そのまま、寝台に彼女の身を横たえ、重なった]
私は生きている限り、夜毎この場所に君を迎えに来るよ。
君が目を開けてくれるその日か――
――この身を君に捧げる時まで
……ハーヴェイ。
[黄金の光で満たされた瞳が、欲情に潤んで語り掛ける。
尻の丸みを、女のそれとは違う腰骨の形を慈しむように指がなぞった。]
ギルバート………
[ブルーグリーンの瞳に、艶やかな一陣の黒が走る。]
『俺は、お前の………………』
[古めかしいトヨペットクラウンは、吸い込まれるように森の中へと――]
[手は前に至り……欲望の印を柔らかく撫で擦った後、邪魔な着衣を脱がす為に立ち働いた。]
[ハーヴェイを再び抱き寄せ、覆い被さり、湿った落ち葉の散り敷かれた大地に押し倒した。]
[自分の手の中で男の首の骨が折れるゴキッと言う大きな音を、私は冷静に聞いた。
従姉の遺体を口にする事は私に取っても心理的に望ましい事ではなかったので、私は小さな天窓からの侵入者を歓迎した。彼は暗い床に伏したままの私に気が付かなかったのだろう。
明るい場所で見たならば、きっと相手は醜悪な男だったに違いない。
天井にある小窓から侵入出来る程度の身長、触れた肌の質感から20代半ば程度では無いかと思われる。けれども天窓の灯りに透けて彼の禿げ上がった頭部には、思わぬ出来事に浮かんだ玉のような汗が光っていた。
天窓から侵入してきた彼は、台座に近寄り小さなガラスのシャーレに何かを採集するために覗き込んでいたところだった。]
[背後から首を手を回してから彼の首が折れる音を聞くまで──一瞬だった。
彼は柄が短く背の部分の一切無い異様に鋭いナイフを床に取り落とした。]
[突如触れられた所にびくりと反応し、甘い吐息が漏れた。
潤んだ目は悔しそうにギルバートを見上げる]
……ぁ……っ!
[最後に抱かれたのは数年前とはいえ体に深く刻まれた記憶は簡単には消えない。
敏感な部分はあっさりと、いつか兄と感じていた熱を思い出し、声で知らせた。
熱を与えられるばかりで、幾分悔しいのか、ギルバートの手を導いていた自分の手が、彼の同じ箇所に触れた。
そこも自分同様に熱い。]
…ギル……これ……
[耳元で囁き、先をねだる]
ウゥゥゥゥ……口惜しい、口惜しい。
[振り絞るように。]
私は、宿命的に闘争者であるのだろう。
積極的に侵す獣もいれば、それを迎え撃つ獣もいる。
この燃え上がる炎は、未だ消えず……
闘争の中で、消えることも存することも許されず。
[呻き]
ウゥゥゥゥゥ…苦しいィィィ……。
[新鮮な食事を終えた私は再び、柩に戻り泥のような眠りに落ちた。
私が再び目覚めた時──、
何故か、私は愛する父の腕の中に居た。
抱きすくめられながら、熱い涙が私の頬に触れるのを感じていた。]
[トヨペットクラウンを停め、ナサニエルは落ち葉に靴底をつけた。
頭上には、月の光――
ネリーをひとり残した自分の家の中には、今ごろ"MOONCHILD"が流れているだろうか――そんなことを考えながら、ナサニエルは歩き出す。]
Call her moonchild....
(あれは月の子)
Dancing in the shallows of a river...
(川の浅瀬で遊び)
Lonely moonchild....
(孤独な月の子)
Dreaming in the shadow of the willow....
(柳の木陰で夢を見る)
[哀しげな旋律を唇に乗せながら、かの「声」が聞こえる場所へと足を向けた。]
[私には相変わらず、死者達の呻きも聞こえている。
私が今さっき喰らった男の呻きまでもが聞こえると言うのは奇妙な事だった。小男の骨からはルーサー牧師から聞こえたのと同じ「ソサイエティ」と言う言葉。]
[ハーヴェイの触れた部分は既に硬く熱く息づいていた。
ハ…と軽く息が洩れる。
かぐわしい香りが誘うままに、首筋や鎖骨、胸にと舌を這わせながら、自らももどかしげに身を捩り衣服を脱ごうとする。]
―安置所内―
[指先に触れる感触を、その時間を愛おしむように、一つ一つ時間をかけてシャーロットの着ている衣服を脱がしていく。
白磁のような肌が闇の中に浮かび上がる毎に命を吹き込むように口付け、私自身の持つ熱を伝えるように熱い掌と指先で愛撫した。]
ロティ……
私はずっと……君を求め続けていたんだ
[ストッキングと髪を結うレースのリボン以外の何物も身につけなくなった彼女をどれほどの長い時間愛おしんでいたか、定かではない。]
[俯せにさせ、きゅっと上に持ち上がり引き締まった真っ白な双球を突き出すように抱え上げる。
羚羊のような脚を撫でさすりながら、舌は背筋を這いのぼった。脇腹から薄い皮膚を通じて感じられる肋骨をなぞりながら辿った指先は、とれたての果実のような乳房を揉みしだく。
この常闇に足を踏み入れる前から激しく彼女を求め昂ぶっていた屹立は、今は軛を脱せんばかりに荒れ狂っていた。私はその狂わしい熱情そのものを楽しむように手綱を握ろうとしていたが、それも今や限界だった。]
ロティ、愛している――
[内腿をなぞり、儚い花瓣を前に打ち震えていた淫欲の哮りを深々とシャーロットの深淵に呑み込ませていった。]
[――カサリ……
幾度めかの、木の葉の擦れる音がした時、ナサニエルはとある場所――とは言っても、何の変哲も無い場所だが――に到着する。]
[目の前には、2つの人影。
時々、荒い息づかいが聞こえる。
背中の羽根を月明りに預け、ナサニエルは人影の様子をしばし観察する――]
[新鮮な血肉を得て…──
身体の内側をまた不快な電流が駆け抜けて行くのを私は自覚する。
喉を反らせた姿勢でわずかに痙攣を繰り返す私の異変に、パパが気付くかどうか。]
私が、完全に生き返った時は。
もう、以前の私では無く…──人狼になるんだわ。
でも、パパを愛していると言う事実だけは永遠に変わらない。
私も愛してる。
あなたを愛してるの──
[ギルバートが衣服を纏ったままであることに忌々しそうに舌打ちをすると彼の衣服に手をかける。
引き裂くようにはだけさせ、胸元にキスを降らせる。
ニヤ、と口端をあげ、そのままギルバートの胸元に華を散らした。
片方の手はギルバートの熱い中心部をなで上げながら、再び窒息するようなキスを送り唇のそばで囁いた]
早く…
[先に自ら自身のジッパーを下げ、締め上げていたペニスを開放する。そして次にギルバートのジッパーに伸び、開放しようとうごめく]
[喰いたい。]
[喰らいたい。]
[温かい血も、柔らかい肉も、舌に乗せるととろける甘い脂肪も、ぷちぷちと弾ける腱も。]
[ゆっくりと少しずつ衣服が脱がされて行く。
不快な電流に痺れる身体を、愛しい相手の掌が触れる吸い付くような快感が覆って行く。]
私も永遠にパパだけのもので居たい…──。
[安置所の冷気に晒される皮膚の感覚。
優しく素肌を愛撫され、パパの熱が私に伝染していく──。]
[ハーヴェイの手によってやっと窮屈な衣服から開放されたそれは、天を仰ぎそそり立つ。
唇を舐め、忙しない呼吸を繰り返しつつ、その手をハーヴェイの膝裏に掛けた。]
[私は呼吸が止まりそうになる事に抵抗するように、息を付く。それは小さな吐息にしか成らない。けれども、私の口内はまだ血の味が残り、以前よりも僅かに尖った鋭利な犬歯が見えてしまうはずだった。
俯せを選択された事に、私は内心安堵した。
また、最初の侵入者パパではなく、ソサエティと言う謎の言葉を残した死体採集者であった事に感謝した。お陰で私は愛する人を喰らわずに済んだのだから。]
どこ…近い? 駄目だわ、分からない…
[ネリーは手足を折り曲げて小さくなっていた。激しい疲労のせいで腰の辺りを中心に、歩くことも覚束ない。
ネリーは小さく呼吸をしていた。]
[獲物の身体から邪魔な衣服を全て引き千切るように剥ぎ取り、膚を剥き出しにすると、足を取って開かせ、その間に身体を割り込ませる。]
──バンクロフト邸・バスルーム──
[衣服を脱ぎ捨て、白い裸体を晒したバスルームで、
睫毛を伏せ、頤を上げて頭から水道水の雨を被る。
その姿はまるで祈りを捧げる殉教者のように──。]
水よ──、罪も穢れも全て洗い流して。
私をただの一人のヒトに、戻して──。
[過去も未来もない一人の人間として、現在(いま)を見たい。
今、この町に何が起きているのか。
何者にも縛られない自由な視点で考えなければ。]
[───けれど。]
『──嘘。』
……この罪は私だけのものじゃない。
この穢れは父からの贈り物。
罪も穢れも、私達を繋ぐかけがえの無い、
蜘蛛の、糸──…。
[喪いたくない。
喪えば父は自分の手の中から居なくなってしまうだろう。
手を伸ばしても届かない処。
母の──、
──ソフィアの元へ。]
[切なげに、閉じた睫毛を震わせる。
うなじの疵を指先で撫でると、官能が背筋を駆け上がった。]
──……ハ…ッ…。
[唇から熱い吐息が零れ出す。
精神だけでなく、身体まで敏感になっているのだろうか。
それとも、ココロがカラダに影響を与えているのか。]
これは……私が、私である、証。
お父さん──『イアン』が私にくれた、私だけの徴。
[存在を確かめるように、傷痕を、鎖骨を、胸の膨らみを、
順に指先で辿りながら、陶酔したように呟く。
視線は此処ではない何処か──、記憶の中、
自分を見下ろす情欲に彩られた父の眼差しを視ている──。]
ふ……っ…ぁ…!
[少し触れられるだけでも肌があわ立つ。
見下ろされるギルバートの顔がまるで情欲の鬼のように、しかしこの夜の下、濡れた瞳は魅入られるほど美しく。
割り込まれたからだの熱が下半身から伝わる。
受け入れるべき衝動への期待に身が震えた]
はっ はぁ……っ
ロティ、ああ……
――私のすべて
[彼女の身を気づかい抑制しようとする試みは長くは続かない。荒々しく彼女の躰を求めてやまぬ衝動のままに、掌が、指先がひたすらその感触を求め続ける。熱い唇が押しつけられ、舌は彼女の味覚を味わい尽くすかの如く這い回る。
ぬらぬらと絖りを帯び淫らな光沢を帯びた裸身を抱きしめ、躰全体でたおやかなその存在を慈しんだ。私の硬い腹筋や胸筋は、少女の柔肌の感触に歓喜に満ち打ち震えた。]
この身は――
肌も、血も、肉も……
……すべて
[舌がしなやかに撓るを首筋を這い、歯が触れる。]
私のそばに――
ずっと……
[激しい抽送。浅く、早く、そして深く。腰を打ちつける音が闇の中に反響する。]
ああ、ロティ――
私と共に
くぁ……っ
[波濤のように押し寄せる欲情が一際高まり、頭蓋を圧するほどの激しい血流に眼前に火花が散る。
全身が砕け散り、魂は真っ白に拡散し溶けゆくような快楽と共に、私は命の水をシャーロットの内奥に注ぎ込んでいた]
[両脚を抱え上げ、筋肉で鎧われた厚い肩の上に乗せる。
正面のハーヴェイを、黄金の瞳が見下ろす。]
ああ……
[渇望に餓えた吐息が、笑みを刻んだままわななく唇から洩れ。]
[そして、何の準備も施していない、その深奥へと肉欲の楔を打ち込んだ。]
[それから、幾度、シャーロットの躰を求め続けたことか。
私の欲望は、汲めども汲めども尽きることがなかった。
それは、黄金の瞳を覗き込んだ所以だったのか。
この日のおぞましい数々の出来事に、これまでにない異常な昂ぶりを感じていたためか、定かではない。
私は、シャーロットの片膝を抱きかかえるように側位で、時に躰全体を抱き上げ包み込むような座位で、はたまた両足を抱きかかえるように腰を高々と掲げ陰部をあらわにして、ひたすら彼女と交わり続けた。
それが彼女に命を吹き込む儀式として必要なことであるかのように、彼女の中に生命の証を注ぎ込みながら。]
[焦げている故に、新鮮ではない故に、
新たな息吹の血肉となれなかった青白い光。]
ウゥゥゥ……喰らうことで、他の子らはキミの中で
新しい血肉になるのだろうか…………。
[恨み言のように振り絞る。]
私たちは、キミの血肉にもなれずどこにも行けず…
口惜しい…口惜しい……口惜しい…。
せめて、あのときの答えを聞かない限りは…。
[呪縛のように、彼の炎は上にも下にも動けずにいる。]
今のキミ、何色のソウルなんだ?
[それだけ発すると、青白い炎は呻かなくなった。]
[ざらりとした舌先が、私の背筋を繰り返しなぞる。
抱きすくめられた瞬間から濡れていた私の身体は、次に来る快楽から逃れようと陸に打ち上げられた魚のように跳ねる。]
…ぁあ、パパ。
だめ、そんなにすぐに入れたら──ぁ、
[容赦無く両の乳房を揉みしだかれる感触。その感触よりも行為のいやらしさに私は羞恥心をおぼえる。そして──]
…ああ、入って。入って来るわ。
パパが、私の中に…また……ぁ、ああ…ん。
[自分の指は最早自分の物ではないように感じる。
頭の芯が痺れるように、──甘い。
掌で泡立てた石鹸の泡を白い肌に置き、優しく伸ばす。
汗も汚れも、煩わしい思考さえも溶かす、心地好い愛撫。]
………違う…。
そうじゃない……駄目よ……。
[しかし、官能を求めて動き出そうとしていた手を、
泣きそうに潤んだ声が静止する。
それはいつだってソフィーを縛る、忌々しい楔。理性の声。]
いつまでも二人きりの世界には居られない。
鳥籠は壊れ始めてる……。
わかっているんでしょう──…?
[シャワーの雨に紛れて、頬を透明の雫が伝った。]
[ギルバートの唇が笑んだ。
ぞっとする何かが背筋を駆け抜ける。
そして次の瞬間、とてつもない痛みが全身を駆け抜けた
いくら慣れていたとはいえ、何の準備も施さないそこへの挿入は想像以上の苦痛をもたらす。
先程までの快楽は全て吹き飛び、苦しさに目を見開き悲鳴を上げる]
う…あぁあああっ!
あ…あ…ぁ……!
[受け入れるにはあまりにも大きい衝動を、体を硬くして受け入れる。中はギチギチにギルバートを締め付ける]
ギ…ル……!
[それは、この世で最後の叫びとなっただろうか──]
[果てることのない欲望をようやく自らが律することができるようになった頃、シャーロットの身に付着した汚れを濡れたタオルで叮嚀に拭い身を清めた。淫水を滾々と湧きだたせる生命の泉に封印を施すかのように綿をさし、元のようにシャーロットに服を着せた。
できあがったファロスを置き、立ち上がった。]
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