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酒場の看板娘 ローズマリー は、流れ者 ギルバート を占った。
次の日の朝、自警団長 アーヴァイン が無残な姿で発見された。
噂は現実だった。血塗られた定めに従う魔物“人狼”は、確かにこの中にいるのだ。
非力な人間が人狼に対抗するため、村人たちは一つのルールを定めた。投票により怪しい者を処刑していこうと。罪のない者を処刑してしまう事もあるだろうが、それも村のためにはやむを得ないと……。
現在の生存者は、学生 ラッセル、酒場の看板娘 ローズマリー、流れ者 ギルバート、吟遊詩人 コーネリアス、冒険家 ナサニエル、文学少女 セシリア、書生 ハーヴェイ の 7 名。
うん。
ちゃんと生きてあえてうれしいよー。
[へらりと笑って灰色の瞳を細めたけれど。
髪を撫ぜた手をゆるく捕らえられたならきょとんとして首をかしげるだろう]
あ、ほんと?
さすがだねーニコルは。
じゃあやろうやろう。
…あー、今暇?
[本当に作ってもらえたうれしさでつい彼の予定を尋ねるのを忘れた結果、後から聞くなんていう間抜けな状況にはなったけれど気にしないように笑った]
[コーネリアスの言葉に紫苑の双眸は微か揺れるも、彼の笑顔に直ぐにまた一つ瞬いて、取った彼の細い手を暫く見詰めてから静かに放し、誘いの言葉に顔を上げる]
良いよ。
何処でする?
[ゆっくりと首を傾げた]
[中核部へ向かう途中ではあったけれど、プログラムはラッセルと共に組んだのだし、今更急ぐような仕事がある訳でもなく、殆ど確認作業が目的だった為に、了承の言葉を紡いでコーネリアスを見詰める]
[――生きてあえて…]
[コーネリアスの手を見れば此の侭では彼もそう長くもたないかも知れないと、何の色眼鏡も無く冷静に判断する]
……幸せだよ。私の唯一のね。
[乗せられた手の荒さも特に気にした様子はなく。
押し遣られた輸液にウサギにも似た仕草で首を傾げ。]
――……食べる前に少しでも太らせようって心算?
でもありがとうといっておく。
[冗談めかした様子で受け取った輸液を手の中で転がし。
うーくんに意味ありげな視線を向けて、飲んでみる?と聞いてみる。
ウサギは食べられると思ったのか大慌てで首を左右に。]
[半ば怯えるようにしているウサギに嘘々、と向ける笑みは
人に向けるものとは違って柔らかいものだけれど。
極度に栄養の不足している今は普段よりも少し弱いもので。]
心配しなくても君を食べようなんて思ってない。
……多分な。
[ウサギはやっぱりやや及び腰だが、やがて唐突にぴたりと動きを止める。
繋いでいた携帯端末に流れる文字の羅列に瞬いて。]
――……ふぅん。
あながちうーくんも間違ったことはしてないようだ。
[良くやったね、とウサギの頭を指先で撫ぜ。]
酒場の看板娘 ローズマリーは、書生 ハーヴェイ を能力(占う)の対象に選びました。
[手首の端末からアラーム音が聴こえ視線を落とし、アラームを止めて通信内容を確認し、ゆっくりと瞬いてコーネリアスへ向き直る]
ごめん、将棋はあとで。
[返事も待たずにコーネリアスの脇を通り抜け、足音はせずとも常より足早に中核部へ向かい、モニタへと視線を移し状況を確認する]
機械は、融通が利かない。
[小さく呟きながらタッチパネル式のモニタを骨ばった指先がなぞり、暫く思案気にモニタを眺めて後に回線を繋ぐ]
船長、トラブル。
[返答が無いのにゆっくりと首を傾け、モニタの時計を確認するも船長の就寝時間には遠く、幾度か呼びかけてみるも応答は無い]
酒場の看板娘 ローズマリーが「時間を進める」を選択しました。
[報告と指示を仰ぐのは諦め机の引き出しを開き、取り出したゴーグルをかけて仮想キーボードを叩き、暫くすればモニタのエラーメッセージは消える。
ゴーグルを外し引き出しに仕舞って、動作確認を終えると席を立ち、中核部を出て思案気に通路を歩き始め、船長の部屋へ足を運ぶも不在]
――…
[端末から船に残る各人へと船長の行方を問うメッセージを投げ、部屋の扉の脇に寄り掛かり、透明な板の向こう側を見詰め瞬く]
[撫でられてぴるぴると耳を動かしていたウサギが再び動きを止める。
くいくいと袖を引っ張る動きに首を傾げると、各人に投げられたらしいメッセージ。]
……そういえば見ていないな。
あの人はまだ船にいるのか。
[すっかり忘れていた、と腕を組む。
うーくんに向かって首を傾げると、嘆息。]
……小言を貰いそうだから居なくていいんだが。
居ない方がいいならいっそ――
[殺して食べちゃう?
何て冗談めかしてウサギに問うてみた自分の考えが酷く甘美なものに思えて。]
なんて、ね……
唯一か。
言葉で限ってしまうのは恐ろしいことだ。
――奪われる危険を御裾分け…だな。
〔礼には真顔で応じて肩から手を離す。ローズマリーがパートナーと戯れ交じりのやり取りするのを聴きながら鞄を閉じ〕
何か企みでもしていたか… ――、ん…
〔去り際、うーくんの意思が文字を通してローズマリーへ伝えられるらしき様子に、咎めるでもなく尋ねようと。其処へインカムから信号音が届いて耳元へ手を遣り、音声データに変換されたギルバートのメッセージを聴く〕
……。
姿は見ていない。
〔呟きながら、昨夜の通信で耳にしたアーヴァインの思い詰めた声音を思い起こす。顎を引いて中央区画の方角を見遣り〕
自殺でもしたろうかな。
それはそれで、僕たちに向けて
引かれた引金かもしれんが。
本当にそれ以外に何もないのだから仕方ない。
奪われたなら奪われたで構わない。
うーくん以外にはあまり拘りはないんだ。
[こつりと軽く指先でテーブルを叩く。
思案しているような、そうでないような、虚ろな視線が宙を漂い。]
――……或いは何らかの事故か。
自殺するような無責任な艦長ならこの船の行末はどうあろうと最初から決まってたのかもしれない。
[かたり、と席を立つ。
多少ふらつくのはもうこの状況では仕方ない。]
……うーくん。
[相棒の名を呼ぶと、ウサギはぴょこりとテーブルから飛び降りる。]
仕方ないから探すか。
/*
暇だから見つけてみたい気もしつつ。
他に見つけたい人がいるかもしらんので夜までまとうかなー。
もふもふ。
[重力室へ赴くもコーネリアスの姿は無く。どうするかと迷ってた所にギルバートからのメッセージが届き]
…………。
[すぐさまギルバートの個人端末に「少なくとも自分は見ていない」と返信する]
[ハーヴェイからの通信には了解の旨を伝え、添えられたアーヴァインの通信記録を聴き、透明な板の向こうを見詰めた儘に思案気に瞬く]
――…同じ…
[直ぐ壊れる、とは口唇だけが――通信の切れている状態では声にしたところで誰に聴かれる事も無いだろうけれど――音無く呟いて、ラッセルからの通信にも了解の旨を伝え、先程コーネリアスに逢った旨も添えておく]
――Solomon Grundy.
[かつん、と無人の通路に足音一つ。
平行感覚の危うくなった今では規則正しく足音を刻むことは出来なくて。
一歩が酷く遠い。]
Born on a Monday
[それでも変わらず薄い笑みを浮かべたまま。
ゆっくりと歩いていく。
後ろからはのんびりとウサギが跳ねてついてきて。]
Christened on Tuesday
Married on Wednesday
[長い長い通路を曲がると、鼻をつく生臭い臭い。
消費エネルギーを抑えるためか、非常灯だけがついた薄暗い空間に。
無造作にペンキでもぶちまけたかのような黒く光る水溜り。]
Took ill on Thursday
[少し首を傾げた後、軽く手でウサギを制する。
白い毛皮が汚れるのを厭うたのかもしれない。
ワークブーツの踵が広がる池の淵を踏む。
何か引き摺ったように、池は細く長く、通路の先の部屋に伸び。]
Worse on Friday
――いや、俺はいい。
[重力室へ行くかどうかの問いには少し考えてからそう答えて彼を見送った。船内で重力差異は自分にとって好ましいものでなく。
自室にゆったりと向かう途中に入ったギルバートからのメッセージには短く「知らない」と*返す*]
[アーヴァインの部屋の傍らの壁に寄り掛かった儘、透明な板の向こう側を見詰め続ける間にも、獣の本能は此処で待っても部屋の主は帰らないと告げていて、嗅ぎ慣れた気配の傍ら、透明な板に映り込む口許は――…笑みに酷似したカタチに歪む]
[ギルバートからの返信に]
そう。―自分は部屋に戻る。
[探す必要も特に無いらしいと判断し更なる返信を終えると自室へと向かった]
[ナサニエルからの通信にも了解の旨を伝えて、ラッセルからの返信ににも捜索を依頼するでもなく、船長の部屋の傍らで壁に背を預けた儘]
将棋、出来るかな。
[ずるずると壁をずり落ち通路に座り込んで、まるで主の帰りを待つ犬の様に、アーヴァインの気配が近づいて来るのを、静かに待って――船長の帰還を全く期待しておらず、或いは発見の連絡の方をこそかも知れないが――いる]
[ぴちゃりと濡れた音は静かな通路に響き渡る。
開けっ放しの扉の奥は薄暗く。
そう広くない室内、奥の壁、戸口に立つ女の足元から伸びる影の下。]
――Died on Saturday
[乾いた唇が張り付いて、漏れる声は囁くように。
一層濃い死臭が室内から流れ出る。]
Buried on Sunday
[薄暗い部屋の中でもはっきりと分かる濡れた体。
池の端はその物体から始まっている。]
/*
ところで私にやらせると何処までもグロくしてしまうんですけど。
どの程度OKなんだろう。
や、やりすぎない程度にするけど……!!
[それは不幸な事故だったのかもしれない。
傍に転がった船外作業用のマシンが同様の色に染まっている。
機械の暴走か、或いは意図的なトラブルか――]
君がやったの?
[自身がメンテナンスしていた機械だが、問うても返答などあるはずもなく。
少し悲しそうな目でそっと機械に触れる。
だが次に転がった物体に視線を落とした時には既に表情は無く。]
……まだ暖かい。
[指先についた血糊の生暖かな感触に僅か眉根を寄せ。
考えこむようにただソレを*見下ろしている。*]
〔職務柄、船内を歩き回ることは多くない。訪れたのは、船外射出ブースの片隅。隔離すべき廃棄物の処理や、死者を宇宙葬に附す為の小部屋へ続く隔壁〕
――置いてきたつもりだったが、
捨ててきた…のかもしれんな。
〔扉へは不器用に触れたのみ。感慨が倦怠感を連れて来そうになるのを嫌って、インカムのスイッチを入れる〕
…誰か見つけたか?
〔短い呼びかけは、『誰か』というワードから
全員への文字メッセージに置換されて伝えられ*〕
/*
皆して私の認識はうーくんのご主人様か(笑
あ、今更ですがロゼからは縁故張りません。
ロゼは人間に対して興味がないので。
[眠る気にもなれず船内をふらついていたところハーヴェイからの通信。どちらにも否と返答して
端末を閉じる。
インカムを外す。
直接接触以外に術を持たなくなった体一つで]
船長――…逃げたのかしら。今更?ありえない。
[すぐに全身を包む空腹感に意識が行く。食料が尽きてからほぼずっと感じていたものだが、ふとした瞬間に気に掛かる]
ああお腹空いた――ロースカツが食べたい、な―。
……空腹は闇に似てる。
ううん、思考論理にも影響ありだわ。
おとといのレーションとっておけば良かった。
[ぐうっと伸びをして再び歩き出す。向かう先は*自室*]
[眠らぬまでも俯き目蓋を下ろしていたけれど、ハーヴェイからの通信にちらと端末を見て時間を確認し、部屋に戻って来る気配は未だ無い事を伝え]
もう――…
[遅い、寄り掛かる壁に頭を預けて船長の部屋の扉を見詰めながら、小さく呟く言の葉は誰に向けたものでもなく、通路にも殆ど響かず身じろぐ音に掻き消えた]
〔ラッセルとセシリアから入る返信はどちらも言葉少な。其々の名からさもありなんと納得はするも、最近オペレーターのセシリアとは直に顔を合わせていないことに思い至る〕
…声はよく耳にするんだがな。
〔低く呟いて、踏み出す歩を居住区画へと向ける。
途中、ギルバートからも通信があり――〕
真綿で首を締められるよう…とは
こんな状況を言うのかもしれん。
Nicholas Gilbert――
…何処で待っているのか知らんが、
身体はなるべく冷やさんようにしろ。
〔労わるともなく、インカム越しにギルバートへ告げる。戻り来るセシリアとは、彼女の自室前にて行き会うようで――〕
…入れるか?
〔視線で部屋の扉を示しながら*尋ねた*〕
―自室―
[部屋に戻り、座るわけでも横になるでもなく硝子板の向こうを見つめながらそちらへ向かい、壁に寄りかかりその闇をのぞき込むように見やる。
ハーヴェイから入った通信は聞いていたのにどこか聞いてないようで暫くそのままで居て、少しして思い出したように]
見てない……探してもいない。
[と返した。
元より指示待ちをあまりしないため――指示が来れば従うがわざわざ聞いたりはしない――に彼の中での船長とは接触のない船員と*変わらないようで*]
[――真綿で首を…]
[徐々に削られていく体力と精神力に、感じて居た事を言葉にされ、同意を示す如く――見えないとは判っているが――緩やかに瞬き]
闇の侵食は、止まらない。
[フルネームで名を呼ばれれば幾許かの間]
――…ハーヴェイ。
人間を人間足らしめるものは?
[忠告とは全く別の問い掛けをして、其れでも立ち上がりアーヴァインの部屋から毛布を拝借して、同じ場所に毛布を被って腰を下ろした]
―回想―
[人工的な照明の光に煌く細い針が血管へと刺し込まれ血液の抜けていく感覚、注射器へと溜まっていく自身の体液を見詰め緩やかに瞬く]
「Nicholas Gilbert」
[名を呼ばれ次いで事務的な口調で紡がれる問い掛けに淡々と答えていき、差し出される幾つかの服用薬を受け取る。
消毒薬の香り、白い壁と白い床と白い天井と白い白衣と白に覆われた世界。
テスト結果に対する賞賛とも取れる――其れとて事務的な口調だが――言葉にも、静かに緩やかに瞬くだけ]
闇か? …光のようなものだと思っていた。
〔望まぬものまで晒け出す残酷な光。名を呼ばれたギルバートが暫し黙るのに気が至れば、自分が彼をフルネームで呼ばわることも似たような意味を持つのかもしれないとも思え〕
――そうだな。…矛盾、いや…
〔模範解答を避け、無意識に問いかけに答えようとして打ち消す。これは自分の言葉ではない――先刻短い通信を交わしたナサニエルの顔が脳裏に浮かぶ。探してもいない、と言った悪友の台詞に此方は「だろうな」と答えたのだが――稀なことに、僅か声音に押し殺した笑みが混じり〕
――思い出、と言っておこう。
ヒトは過去のために費やす時間を持っている。
〔ギルバートの声に此方への反発が含まれなかったことから、冷えについて何らかの対策が取られるものと判断し…それ以上は言わず〕
[かつてヒトだったモノ――否、今もひょっとしたらまだ生きてるのかもしれない。
だが、身動ぎ一つせず、壁に凭れ掛かって俯くソレの生死を確かめる気もなく。
無言のままに部屋の明かりをつけると部屋が一瞬で朱に染まる。]
……。
[灯りにより陰影の生まれた顔は確かに船長と呼ばれていた男のもの。
他人の名を覚えようとしない彼女に名を呼ぶ術も無く。]
――……殺して、食べる?
[自問。
答えは――――]
末端は、同じ。
[自身の名に何を想うか言の葉に乗せる事は無く、けれどハーヴェイの紡ぐ答えを聴きながら、微か細められた紫苑の双眸は刹那伽羅色の煌きを零す]
其れなら――…
[含まれる微かな笑みの気配に静かに瞬く]
獣を獣足らしめるものは?
[相変わらず探し物をする様に、人工的な天井の照明を見詰め続けながらも、ゆっくりと首を傾けた]
[自室へ戻る途中、というか扉の手前でハーヴェイと行きあう]
ハーヴェイ、残っていたのね。
ギルバート…―――、――……。
[次いで視界に認識される褐色の髪の同僚。言葉をかけようとしたが逡巡に逡巡が重なり、何も言わないままとなった]
ハーヴェイ。お腹空いた――空かない?
[自己の状態を端的に述べ、且つ、問う]
もう、限界。体が重くて仕方ない。倦怠感。
ところで、船長は見つかったの?
……訊くだけ無駄か。その様子だとまだ、ね。
何処に居るんだろう……。
――欲と衝動が獣性を形作る。ヒトも獣だ。
お前は抗うか? 闇とやらに…自らの獣に。
〔先頃相手へ発した台詞を繰り返しながら、思うところを答える。ギルバートの視覚には届かずとも、背筋は伸ばされて〕
現在地は、Cecilia Vaughanの部屋前だ。
気付けが欲しいときには連絡しろ。
〔通路の分岐にてセシリアと落ち合うと、瞼で頷くという挨拶らしくない挨拶を。ギルバートへは手短に現況を伝え〕
…ああ、Nicholas Gilbertだ。伝言でも?
〔通信の相手を悟るらしきセシリアに片眉を上げて尋ね〕
[盗み聞きに関しては言及せず]
…そんな会話する人間なんて、ギルくらいしか居ない。
闇とか、獣とか、ヒトとか。
真面目に対応するハーヴェイも変ってる。
ナサもコーネルも同じ。変ってる。
伝言は――…自分で伝えるからいい。
[一度だけ首を振って辞退する。目を閉じながら眼鏡のブリッジを持ち上げ、すぐに瞼も持ち上げた]
ふらふらする――。何かいい方法は?
…胃痙攣を起こす一歩手前まではいったな。
〔空腹の申告を受けながら、セシリアの顔色や挙動を無遠慮に観察する。衰弱の度合いを推し量ってか、片手を差し出し――縋るかどうかは相手に任せる様子〕
――物資を抱えて立て篭もるような
人物でも…またそんな状況でもないからな。
探すにも却って厄介だ。
[――お前は抗うか?]
[ハーヴェイの問い掛けに薄い口唇は、余程注意して見ていなければ変化に気付かないくらいゆっくりと、両端が持ち上がり細い朧な三日月の如き笑みを引いていく]
如何、かな。
此処で未だ其れが必要なら――…
[探す、とは音にせず笑み浮かべる口唇だけが紡ぎ、ハーヴェイの状況に関しては了解を伝えるのみで、其処に居る同僚について触れる事は無く]
影響を及ぼし合うことを、望むが故だろう。
我ながら稀なことだが、あれはそういう気を起こさせる。
――影響と言えば、Cecilia Vaughan…
お前の声もそうだが。
〔伝言が不要とのことに頷いて、素っ気無く添える。〕
少し横になれ。
…電解質とビタミンくらいなら補給してやれる。
影響…不思議な人。
声?私の声に何かあるの?
[差し出された手には縋らず、軽く壁に凭れた。
緩やかな呼吸]
横になって休むよりも、こうして話していた方が落ち着く。
今まででは考えられなかった事態。
私の思考回路も、相当いかれてる。――変だ。
[ハーヴェイへ向けて、僅かに目を細めたのは笑みをつくりたかったようだ。が、途中でなれないことは諦めた]
〔セシリアの正面へ回ると、身を屈めて身振りで舌を出すように促す。片手は白衣のポケットを探り――通信が拾う些細な沈黙の内には、ギルバートの面持ちの移ろいを見る心地もするようか〕
僕からお前に伝えられることは少ない。
…迷ってもいいが、惑うなよ。
通信を切る。
〔互いの間に通じるものがあったか否か。何を惜しむもなく、回線を落とす。彼についてセシリアが評価を置くのを聴き〕
ヒトらしくないから不思議な奴だと僕は思うがな。
[力なく壁に凭れた小さな体躯。しばらく固形物を口にしていないことでよりいっそう小さく見えるかもしれない]
……医者、いなくなったんだっけ。
ん。
[べ、と舌を出してみせる。その間目は閉じたままで。
途中、返答が返って来ると、邪魔になるのも構わずに喋る]
ヒトらしくないのは――ハーヴェイも同じじゃない?
[――そう、と決めたら行動は早かった。
作業するための機械は傍にある。
メンテナンスに使うから、細かい器具も持ち歩いていた。
すでに多量の失血をしていたから、服に返り血を浴びる心配もない。
「誰か見つけたか」――そんな通信に、暫し瞑目。]
――Negative.
[否定の意を伝える。
もう其処に船長はいないから。
床に散らばる指。
引き剥がされた皮。
何かのオブジェのように血溜まりに放り出された頭。]
――……生臭いな。
[切り取られた肉片は、一目見ただけでは人のものとはわからない。]
[常は殆ど其の面に感情の浮かぶ事も――感情自体が内に浮かんでいるかも疑わしい――無いが、ハーヴェイからの更なる忠告に朧な三日月の笑みは深まる。
何か言葉を返す事も無く無言の儘に、通信が切れると俯き、小刻みに肩を震わせ声も無くわらう]
此処に――…
[毛布の端を掴んでいた骨ばった掌を目線まで持ち上げ、緩やかに握り拳をつくっていくうちに、其の貌から三日月の笑みは静かに引いて、力無く拳を脇へだらりと下ろした]
[自室に居たにも関わらず煙草を吸うことはなく、
飽きるほど見つめた闇から身体を離して部屋を出る。]
滅入るな。
[小さい呟きは静かな通路に溶け込み、常のように彷徨うように。]
[考え事をしているような呟きに近いトーンで唐突に囁くのは]
……船長が目の前に居ても居なくても構わないが
見当たらないと他の可能性がどうしても頭を過ぎる。
[誰かが馬鹿な考えを起こしていなければいいけど、と添えた物憂げな声音は件の人間への心配は入っておらず。]
餓死や事故ならこの先船に居合わせる全員にありうるだろう。
でも――
[言葉はそこで途切れる。
もし殺人が起こるようならば、と思考の端に念を寄せ。]
お前の声には、いつも奥底に不満が滲んでいる。
…興味を引かれるし…記憶に残る。
〔取られない手を下ろして、小さな包みの封を切る。セシリアが舌を出したなら、常は鮮紅色だろうそれの奥を暫く覗き込んで――ブドウ糖のタブレットを乗せるだろう〕
沈んでいるようで、昂ぶっている――そんなところか。
思考回路、な。…自己評価は聞いておきたいが。
〔何にか微かに眉根を寄せて、屈めた身を起こす。小柄な姿は視界に何処か消え入りそうにも映り〕
ああ。つまらん感染症にはかかるなよ。
〔治せん、と言い切る。まだ部屋に入る様子のない相手に残り少ない輸液パックを渡し…彼女からの言葉にすうと目を眇める〕
僕はヒトらしくないか?
…それは嬉しい評価かもしれん。
[事故死や餓死ならいいけど――
その考え方をしている時点でまともな人ではないのだと自嘲的な笑みを浮かべ、けれど人気のない通路でそれが見える人間はない。]
既に事切れた人間の肉を食べるのは
より多くの人間が助かるためには必要悪――?
[ろくでもない思考回路だ、と溜息一つ。]
……む。久しぶりの食料。ありがと。
[タブレットを口の中で溶かしながら礼を言う]
不満?別に不満なんて無いけど…敢えて言えば、人間でしかない自分に不満―――、嘘。忘れて。
[即座、口にした言葉を撤回する。壁に凭れたままハーヴェイを見上げ]
一応これでも、元・船外活動員志望だったんだから体だけは丈夫のつもりだよ。ただ空腹なだけ。
[輸液パックを受け取って、たぷんと水分の重みを手の中でもてあそぶ。まとめられたチューブの先の針―キャップがかかっているが―を確かめる]
其処で喜ぶところがヒトらしくないんだ。
あーあ、まともなのは私だけなの?
[後半は独り言と化す。輸液パックを軽く掲げて挨拶に代えると、踵を返し―と言っても数日前より鈍い―一旦自室へと戻る]
[通路はどこまでも静かで、ゆっくりと――単に行くアテが特になかったからか、足取りは船長の部屋へ。
勿論、探すつもりがあるわけではないけれど。]
……そもそも部屋に居るんなら誰も探さない。
[けれど足が向いたのは、暫く見ていないから。
彼の心配をしたのではない。その心配は別のところに。]
[生きていようと死んでいようと体の一つでもあれば状況と現状が或る程度推察出来るものを、と溜息一つ。]
"見つからない"のは一番厄介だ。
[考え方は壊れてる――?
――否、元々俺はヒトじゃない。]
[屠殺などしたことないから、解体の仕方は随分いい加減で。
積み木の城を遊び飽きた子供が壊したような乱雑さで
部屋の中にはヒトの様々な部位が転がっている。]
このままじゃダメだな。
火を通せばまだ何とかなるかもしれん。
[常よりルージュを引いてる自身の唇は普段よりも紅く。
同じ色に染まった手のひらで軽く口元を押さえる。
嗅覚が麻痺しそうな程の血の臭いは嘔吐感すら呼んだ。]
――……私は一体どうしたいんだろうな?
人間どころか畜生以下じゃないか。
傑作だ。
[部屋の惨状に浮かぶ笑みは自嘲めいていて。
切り取られた肉片と、いくつかの臓物を手の中に。]
[部屋の灯りをつける。人工的な光の瞬きに僅か、目が眩んだ。緩く頭を振ってから輸液パックをベッド脇に据え付け、束ねられたチューブをばらす。片腕をまくって針を包むキャップを外しダストシュートへ。白い肌にうっすら見える青紫の血管に針を、つぷ、と刺した]
…精神面で空腹なんだから、こんなもの気休めでしかない。
ロースカツ………。
[倒れこむようにベッドに横たわる。輸液はじわじわと吸収されていって栄養を補うだろう。しかし精神的な満足感は得られないまま]
[足音と気配の近づいて来るのに俯いた儘に視線だけ流し、其処にナサニエルの姿を見止めると漸く顔を上げ、常と同じく挨拶の代わりに緩やかに瞬く]
船長なら、居ない。
[ナサニエルを見上げて恐らくは此処へ来た理由に対する回答を述べ、半ば肌蹴ていた毛布を手にゆっくりと立ち上がる]
たぶん、もう――…
[戻らない、と口唇だけが予測を紡ぐ]
[素手のまま肉片を掴むのは酷く悪い気分だった。
べたつく脂と、ぬめる血。
変わらず薄暗い通路の先、たたずむ白い姿。]
……うーくん。
[まるで現実と非現実の境界のような紅い沼を越える。
相棒は近寄る主をきょときょと見上げて。]
……汚れるから。
今は撫でてあげられない。
行こう?
[促すと、意図を理解したウサギは主よりも少し先を歩いて。]
[時間とともに輸液は確実に減少してゆく。
時間とともに精神的な空腹感は増大してゆく。
―――――…。
どれくらいが経ったろうか、いつの間にか目を閉じて浅い眠りについていたらしく思考がぼやけていた。眼鏡を外し瞼を擦りながら起き上がると、輸液パックはぺたんこの空になっている]
ああ…ハーヴェイから貰って、それで私…。そうか。
[少し体が軽くなった気がしないでもない。眼鏡をかけなおすと針を腕から抜いて、輸液パックごとダストシュートへ]
お腹空いたな…。誰かにタブレットでも貰おう。
[身なりを整えると、灯りをつけたまま自室をあとにする]
――そう。
[船長に会いたくてきたわけではないから、返事は簡素なもので。
いつものように彼を見つめていたから紡がれた予測は見て取れて]
戻らない?
[驚いた様子もなく、機械的な繰り返し。
彼がゆっくり立ち上がる間も徐々に近づいて、もしもふらつくようなことがあれその身体を支えるだろう。]
不慮の事故ならいいけどな。
[くだらない言葉だ、と思いつつ。]
―通路―
[mappingもなしに出鱈目に歩いてみる。普段では無いことが最近たびたび起こっているような気がしてならない。
と、通路の先にグリーンの髪を揺らす姿をみとめ歩み寄る]
…うーくん!…とロゼ。
それは、何?
実験材料………には見えない。
[ローズマリーの手にする血濡れの塊に怯えるでもなく首を捻り素直な感想を一言]
[戻らない――イコールそれは居ないということ。]
不慮の事故じゃないなら何だっていうのかね。
[自分に対して白を切る。
脱出艇には乗っていないはずだから――。]
脳に栄養が回らなければ判断力は鈍る。
[船長の話かはたまた船員の話か]
機材の扱いを間違えればあっという間に天国行きだし
考え方を誤ればあっという間に地獄絵図。
[溜息一つ]
どちらも良い世界じゃないな。
矢張り栄養というやつは必要なものだ。
[思案気な呟き。]
[少しの間の後、今度は明確にラズへ向けた言葉]
危険なことは一人でするなよ。
[もし目の前に彼が居たならいつものように髪を撫でていただろうけど、其処には居ないから気遣う声だけが届けられて]
いつでも気にせず呼べばいい。
[素っ気無く言葉を足した。]
……セス?
[主の声にぴくりと反応して。
白いウサギはセシリアの足元に寄っていく。]
これ……?
[自身が手にしているものを持ち上げる。
……何と言えばいいのだろう。]
食料。
生のまま食べるのは推奨しない。
[ふらつく事も無く立ち上がり再び壁に背を預け、問い掛けに頷く代わりにまた一つ瞬き、端末の時計を確認してからナサニエルに向き直る]
最初の通信を送ってから、連絡は無い。
[――不慮の事故]
[そう紡ぐナサニエルを静かに見詰め、思案気にゆっくりと首を傾けて、透明な板の向こう側へと視線を移す]
もう、行く末は変わらない。
殺して喰うか、死んだものを喰うか。
若しくは、大人しく死ぬか。
ナサニエルは――…
[透明な板に映り込むナサニエルへ焦点を合わせ]
如何する?
ラズは放っておくと自分を省みなそうだ。
[自分は或る程度自分を省みるけれど。]
このままの状態が進めば、船は徐々に安全じゃなくなる。
/*
すれ違いばかりで傍に居てやれなくてすまん。
あまり会話を交わせていない気がする――。
[と、中の人はコアタイムのズレを嘆いている。悪いな。]
――回想・セシリアの部屋前――
〔旨そうに動くセシリアの頬を眺めて被りを振った。
一食分にも満たない欠片は生殺しのようだと〕
――…断る。だが記録は消しておこう。
〔撤回の申し出を一部却下して、併し胸ポケットのボイスレコーダーは今は弄らず存在も知らせない侭〕
…僕は自分の患者から一目置かれる
存在であればそれでいい。
よく休め、Cecilia Vaughan――"まとも"でいろ。
ヒステリックに上ずった声など聞かせてくれるなよ。
〔自室の扉へ消える小柄な姿へ、今度は首を傾げるに似た会釈を向けて送り出した。白衣の裾を捌いて歩を巡らせると、枯葉色の瞳を伏せて*その場を離れ*〕
うーくん、久しぶりだね。
[しゃがみ込んで白い毛並みを撫でる。そこからローズマリーを見上げて]
―――…食料?
[信じられないと言った様子で彼女を見つめる。しかし嘘をつくような性質ではないのを分かっているから否定はせず]
お腹空いてるんだけど、料理するから一緒に食べていい?
もし他にもあるんなら…皆に報せる。
[ひとしきりうーくんと戯れて撫でて、立ち上がる。
携帯していた端末に手が伸びてインカムを引っ張り出そうと]
みたいだな。
[連絡はない――其の言葉に顔色一つ変えずにまたも簡素な返事。
特に時計を見ることもせず、彼が外へと視線を映せば釣られるように己も視線を外へとやり]
行く末――頭のどっかではわかってるんだけどさ。
変わらないなら、変えられないなら、そうだな。
[透明な板越しに視線を合わせて]
死んだ肉なら喰えばいい。もう食料はないんだし。
殺すのは、殺す側も体力を削られるからお勧めはしない。
大人しく死ぬなら皆の糧になる覚悟をするといい。
俺は――もう少し、様子見?
[口許だけに笑みを浮かべて。]
[星の色に似たナサニエルの視線と、闇を写し込んだ紫苑の眼差しが交わり、紡がれる言葉に緩やかに瞬き、焦点は闇へとぼやけていく]
誰も大人しく死ななければ――…
[殺すしかない、と常と変わらず小さく呟く]
そう。
[視界の端に捉えた口許だけの笑みに、視線を戻す事無く僅か目を細め、暫く思案気に沈黙した後にナサニエルに向き直り]
若し、俺を喰う事に成ったら――…
[一旦は口許を引き結ぶ]
文学少女 セシリアは、学生 ラッセル を投票先に選びました。
[小さな呟きに目を細め、笑みは絶やさず眺めて]
そうだな。
俺が言ったのはただの奇麗事。
[随分と血なまぐさい奇麗事だと内心は自嘲気味に。
視線を硝子越しではなく直に感じると、自分もまた視線を彼に戻す。]
ギルを?
[ゆっくり首を傾げて相手を見る。
驚きだとか、そういったものは矢張りなく。
静かに口許を見つめ、言葉を待つ。]
[ウサギはぴるぴると耳を震わせて。
主とセシリアの顔の間を視線がいったりきたり。]
別に構わない。
私に料理は無理だからセスに任せる。
[他にも、という言葉には一つ首肯を返して。]
――……ああ。
通路を真っ直ぐいった先を左に曲がった部屋に転がしてある。
[まるで食料庫にでも案内するような気軽さでそう告げる。
食べたければ好きにしろ、と。]
――……ああ、それと……
[そうして紡がれた言葉を読み取るのに一拍ほど要し、]
ん。わかった。
[とだけ告げると彼の頭を撫でようと手を伸ばす。]
そうなったら、な。
じゃ、料理…する。
[インカムに伸ばしかけた手は下ろされて、ローズマリーの背後に続く通路へ視線が移された。ちらと見てから頷く]
転がしてある……そう、わかった。
取りに行ってから食堂に行く。ロゼは食堂に行ってて。
[何がわかったのか、言わずに]
またあとでね、うーくん。
[調理したものが食べられるとなると行動は早い。其れがなんであろうと構わない。おおかたの予想はついていたが触れずに済ませ、ローズマリーの脇をすり抜けようと]
…それと、何?
綺麗?
[別段にナサニエルの内心を読んだ訳でも無いけれど、問い返しゆっくりと首を傾けるも、彼からの問いには瞬き一つで肯定を示す。
間を置き返される言葉にゆっくりと瞬き、ふと会話の内容からはかけ離れた穏やかな気配を纏い――…]
[伸ばされる手にも――血生臭い話をしていた割に警戒もせず――常と同じく抗う事は無くて、伸ばされたナサニエルの手には柔らかな癖のある褐色の髪が絡まり、さらさらと緋色の煌きを零す]
ならないとは、云い切れない。
[小さく囁く頃には微笑みも消え失せた]
手を汚さずに居ようとしてる者の視点だよ。
死んだら喰うが、殺すのはお勧めしない。
けれど、誰かが死ぬ原因は餓死か事故か殺人のどれか。
[そこまで言えば笑みは消える。
――それまでの会話には表情を変えなかったのに、浮かんだ笑みには驚いた顔で相手を見つめ、髪を撫で始めた手も止まったままに瞬く。]
逆もまた然り――なのかな?
[彼の笑みが消える頃には柔らかな髪の質感を愉しむように。]
嗚呼、でも、ギルと違って俺は……残してほしい部位はないな。
真っ黒な肺は不味そうだから残るかな。
[くすりと笑う。]
判った。
[一刻も早くこの気持ち悪いものを手放したいから二つ返事に頷いて。
すり抜けていくセシリアを振り返らぬまま。
見えない顔には、無表情も似た笑みが張り付いたまま。]
――……ギルバートも食べられるモノ。
[そう告げて。
うーくん、と相棒に声をかけると食堂へと歩き出す。]
[相手の思うところあずかり知らず、付け足された言葉にはうーんとうなって]
…ギルって嫌いなものあったっけ…?
[思い出そうとしながら、ロゼの傍をすり抜け通路の向こうを左に曲がる。
とたん、異臭。鉄のような匂いが部屋一杯に立ち込めて。
不器用に切断したと思われる人体の一部が散乱している]
………やっぱり。
[予想に近い光景だったことに呟きをもらす]
船長、この旅は成功させるよ。
成果はきちんと持ち帰る。
だから、最期に私たちの役に立って。
[周囲を見回して刃物を探す。程なく大振りのナイフが見つかりそれを手にして放置された胴の部分に歩み寄った]
[ナサニエルの言葉に思案気に瞬き]
生きる事は、殺す事。
殺す事は、殺される事。
[其の貌から笑みの消えていくのを見詰めるも、驚くらしきには不思議そうに――伸ばされた手を妨げぬ程度に――首を傾け、交わる視線が束の間途絶える時も視線は逸れず]
如何か、した?
[髪を梳かれるのに獣の如く目を細め、問い掛けと共に再びナサニエルの貌に笑みが戻ると、漸く緩やかに瞬く]
如何、かな。
煙草を吸って無くても人の肉なんて――…
[旨く無い、とまた口唇だけが囁いた]
野菜は無いから、ソテー…?
[屍を目の前に献立を考える。一先ず背中側の腹あたりに切っ先を当てて丸く切り取ってゆく。脂肪と筋肉を分けて丁寧に刃先を滑らせる。脂肪は脂肪で脇に置いて]
ロース……。
[血は殆ど抜けているとはいえ、切込みを入れれば残った赤い液体が飛び散る。一旦ナイフを置いて眼鏡を外し大事そうに上着の下の胸ポケットへと仕舞いこんだ]
それから…バラも…。
[ごろり。胴を反転させて胸から臍下辺りまでを四角く切り取ってゆく。こちらも脂肪をより分けて。
結局は大振りの肉塊が二つできた]
―――…このくらいかな。
[二つの肉塊を見下ろしてどうやって運ぼうかと思案する]
[調理スペースは使われなくなって久しく。
すっかり乾いたシンクに皿をひっぱりだすと肉塊を乗せる。
こうしてみれば幾らかマシな食べ物に見えるかもしれない。]
……気持ち悪い。
[ぎとぎとになった手を、洗剤でしつこい程擦る。
洗っても、洗っても、洗っても、洗っても。
一向に綺麗にならない気がして、苛立つ。]
……っ
[擦れて赤くなった手は、未だ血を纏うようで。]
あぁぁぁぁぁぁぁっ!!
[思い通りにならない手はシンクへと思い切りぶつけられる。]
[言葉を刻むように視線は口許に注がれて]
殺す事は、殺されること――か。
[問いかけには瞬き一つ、ゆるりと首を横に振り、或る程度撫ぜれば矢張り最期はくしゃりとかき混ぜて絡まる髪から手を離す。]
ま、食べたこともないけど。
人間は雑食だから美味しくはなさそうだ。
[草食動物の肉の方が美味いなんてのはよく聞く話で。]
俺の肉は肺じゃなくても不味い。多分。
ニコチンなんて毒みたいなもんだし。
[けれど生存競争にグルメなど求めるはずもなく。]
そうか、台車。
[機材を運ぶための台車が部屋の片隅に置かれていることに気づいて、ナイフを置いた。血濡れの手を作業着であるパンツで無造作に拭う]
これは、結構な量かもしれない。
[つまむ様に端末からインカムを取り出し装着。船内放送に切り替えて]
『こちら、オペレータ・セシリア。食料を調達した。現在の乗員分はゆうにあるため、食堂にて調理する。食べたい者は食堂に集まること。以上』
[淀みなく言ってのけ、二つの肉塊を台車にのせる。ちょっとした肉体労働は、空腹の体にこたえる。時間がかかってしまった。ローズマリーが待っているだろうと、台車を押して食堂へ向かった]
[水の流れる音。
肩で息をすることしばし。
ふと振り返ればウサギの黒い瞳と目が合う。
其処に移る自分の顔は酷く歪んでいる。]
――……空腹は精神を破壊する。
やはりヒトは面倒臭い。
[変わらず赤い手で顔を拭う。
いつもと少し様相の違う主を心配してか、足元に付きまとうウサギを抱き上げて。
船内を流れるセシリアの声に表情を戻すけれど。]
――……私が死んだら、君は悲しんでくれる?
[普段ならばそんな問いかけ等することもなく。
答えに窮しているのか、あるいは最初から答える術がないのか。
ウサギはそ知らぬ顔で、*毛繕い。*]
[食堂に近付いたところで、悲鳴のようなものが聞こえた]
…?
[パンツは拭った血でまだらに赤く染まり、手もまだ赤の色が残っている状態。
そんな姿で台車を押して厨房側から食堂に入る]
ロゼ?うーくん?
お肉持って来た。簡単に調理できそうな所だけ。
内臓は血抜きが面倒だからやめたほうがいいかも。
ロースとかバラなら、殆どそのまま使える。
炒め物かソテーにする予定。付け合せは無いけど。
[まるで普段の食事について話すように躊躇いは無く。肉塊を一つずつシンクの脇に置いていく。これも時間がかかる]
[なぞられる言の葉に静かに瞬き、投げた問い掛けに答えが無いらしきには其れ以上問うでも無く、さらさらさらさら緋色の煌きを零してくしゃりと混ぜられるのに、また一つ瞬き被りを振って視界にかかる髪を払う]
人間だからだと思う。
[喰われる人間の事なのか喰う人間の事なのか、何処でも無い何処か遠くへと視線を投げ、小さく呟いてナサニエルへと骨ばった手を伸ばす]
黒は、死の足音を連れて。
自ら毒を摂り安定と生す。
[放送から流れるセシリアの声に、ナサニエルへと伸ばした手を止め、彼の貌を覗いて静かに見詰める]
行くけど、如何する?
[態々問うたのは先程の――様子見をするとの――言葉故かも知れず、ナサニエルの回答を待つ間もあり]
調味料があるならスープもいいかも。
目立たなければ、好き嫌いもないだろうし。うん。
ちょっと使うよ。
[ローズマリーの脇からシンクを使う。手の脂と血をすっかり流して備え付けのタオルで手を拭いた。
さて、とばかりに腕まくりをして調理器具のしまわれた棚から包丁を取り出す。
まずはバラから。余分な脂を削いで皮を剥がして。一見して何の肉かわからなくなる程度にまで手を加える。更にそれを切り分け、一つが文庫本大になるまで続ける]
うん、上出来。…ちょっと休憩。
[グラスを持ってきて水を一杯流し込む。
嫌悪感は全く無いようだ]
――生体実験室――
〔作業卓には、開けっ放しの医療ケース。此方は持ち場へ戻った早々、大型犬のケージに向かっている。手袋つきのアームホール越しに触れるシェパードは、よく懐いていて〕
……溶断ユニットは…何処かな。
〔犬を戯れさせながらも、視線は溶接されたケージの継目に。自らにも意識せず漏れ囁く声音は、普段の硬質な其れでなく――何処か甘やかすような響き。
やがて室内のスピーカーから、セシリアの声で船内放送が入り…触れる犬が怯むのを宥めつつ耳を欹てる。その内容と、声が孕む感情とを暫し比べて瞑目し〕
――…ああ。拭われてるじゃないか…
ただいま、アイスを食いながら
「肉の部位」というHPを見てロールを打っています。
素直にばら肉のスープうまそうとか思った。
ところでギルは食べるのかな…wktk
人間だから?
[イマイチ理解は出来なかったようで、けれど追求などはせずに、彼の視線が遠くに馳せられるのを見守り伸ばされた手は避けようともせずに見守ったけれど。]
毒をもって毒を制す、ってのに似てるのかな。
――それも違うか。
[ふい、と逸らした視線は船長の部屋の扉を見つめて。
セシリアの放送にもゆっくりと長い瞬きをして]
一応、行くよ。
[そこで漸くギルバートに視線を戻して言葉を返す。]
[休憩を終えると、大鍋に水とバラの塊を数個放り込み火にかける。煮立つ間に調味料を探して回り、どうにかスープの味付けに使えそうなものをそろえてきた]
ばら肉のスープだ。
おなかに良さそう。久しぶりの食事だから、ね。
まずは、ウォーミングアップからかな。
ね、ロゼも食べるでしょ。
[うーくんを抱き上げたまま怯えたようになった背中に言葉を投げた。心中を察することは、セシリアにはできない。
煮立った頃、おたまを器用に使い灰汁をとってゆく。一通り済むと、今度は調味料で味付けを。あれこれと色々なものを入れて。偶に味見をしては独り頷き]
んー。こんなものかな。
じゃあ、人じゃない俺はどうなんだろう?
[浮かべた表情に色などなくて。
ただ純粋な疑問を浮かべ、けれど直後に打ち消す。]
食料を調達――出来ると思う?
それも全員分。
[独り言のような囁きを。]
とりあえず行ってみるけど、さ。
[と言って、手元は煙草のあるだろう位置に僅かに触れた。]
〔『退屈』が、と呟く。ふっと苦笑に近い吐息が漏れ〕
済まないが、また…だ。急ぐのでな。
〔均衡が破られ傾いたなら――新たな"作業"が生まれる筈、と名残惜しげにケージから離れる。常の如く毅然と振舞えるよう、饗される食事についての心積もりは食堂へ向かう間に*整えるだろう*〕
[問い掛けには交わる視線の瞬き一つ返すだけで、紫苑の眼差しはナサニエルの口唇へとおりて、抗われる様子の無い手は彼の――良く煙草を咥えている――口許へと伸び、骨ばった親指がすと視線注ぐ先を掠めなぞり置き]
如何、かな。
生きて逝く為の――…
[確認かも知れ無い、と小さく囁く頃には指先も離れ、ナサニエルの視線を追い船長の部屋の扉を見詰め、同行の言葉と共に視界の端に彼の瞬きを捉え、頷く代わりに緩やかに瞬く。
一旦は船長の部屋に毛布を置きに入り、もう使われる事は無いであろう部屋をぐるりと見回して、部屋を出るも足を止める事無くナサニエルに顔を向け]
――…行こう。
[夢遊病者の如き足取りで通路を歩き始め]
[味付けを済ませ、スープから引き上げたばら肉を包丁で細かく刻む。原型はわからないが租借は出来る程度に]
切ってからの方が良かった…失敗。
[刻んだ肉をスープに戻し、煮立たない程度に温める]
これでジャガイモでもあったら良いんだけど。
残念ながら無いんだ…。
[出来上がったのはコンソメ味のばら肉スープ。
もうあとは器にとりわけるだけとなった]
誰か来るかな、うーくん。来ると良い。
皆、空腹なんだろうし。
[彼の動作にはやはり抵抗も見せず、なぞられたならそのままに――紡がれた言葉に一瞬視線は彷徨ったけれど、すぐにまた常と変わらぬ目線を返す。]
確認……しなきゃ、生きていけないのならそれはきっと酷く脆い。
[彼が毛布を置きに入る様も静かに待ち、けれど視線は硝子板の外に向けられたままに。準備が終わったらしい様子にチラと視線を向ければ、促す言葉と共に*食堂へと*]
[還るべき星の色を宿した眼差しが彷徨うのに緩やかに瞬き、戻る眼差しを受け止める紫苑の双眸はただ静か]
そうだよ。
[部屋から戻りナサニエルと共にゆっくりと通路を歩み、前を見詰める儘に不意に口を開き]
だから――…ナサニエルに頼んだ。
[何をとは言葉にする事は無く、やがて食堂付近で気配に足を止めハーヴェイを見止め、緩やかな瞬き一つを挨拶に代え幾らかの言葉も交わしたかも知れず、共に食堂へと向かい厨房を覗く]
手伝う事は、ある?
[セシリアとローズマリーの貌を交互に見て、ゆっくりと首を傾けた]
[水を飲んで休憩しているとハーヴェイ達が顔を出した]
…来た。
ばら肉のスープ作ったんだ。
手伝いはもう、いい。
絶食明けにロースカツなんて食べたくないでしょ。
座ってて、今持っていく。
[出来立てのスープを人数分器にとりわけ、スプーンとともに運ぶ]
あったかいうちに食べて。
[――ばら肉のスープ作ったんだ]
[そう言葉を紡ぐセシリアの貌を見詰め、了解を示す為に緩やかに一つ瞬き、席に腰掛けると程無く温かな湯気のあがるスープが運ばれてくる]
――…
[セシリアのものかまたは他の者も既に食べ始めて居たのか、食器同士の合わさる微かな音が響く中で暫く器の中を無言で見詰め、肉の出所を問う事も無くスプーンに骨ばった*手を伸ばした*]
―回想―
「…めん…ニコル」
[腕の中で謝罪を繰り返され貌を覗くも、伽羅色の瞳は既に焦点がぼやけて自身を捉えて居ない事が判り、ぬるつく体液に塗れた震える手を伸ばされ、導く様に自身の手を沿え口許に引き寄せる]
[――体液の香り]
[紅を指した様に染まる口唇を舐めると、錆びた鉄の如き味がじわりと舌の上に広がり、頬を通り髪を梳く震える手の通り道が体液に塗れるのも気に留めず、ただ静かに獣の如く目を細める]
「…肉、食べて…
ニコルの肉に、成…から
も…離れたり…ない
この瞳も、返…」
[白衣を染めだくだくと流れ出す温かい体液は、まるで命其のものが零れて逝く様でもあり、死に際の願いを撥ね付ける事も出来ず、抱く腕に僅か力を込め体液を零す口許に口唇を寄せる]
――…
[舐め取る体液の味が口中に広がり、幾度も舌を這わせる内に同じ味に味覚が麻痺し始めても尚、其の味は苦くて噎せ返りそうでじりじりと胸を焼く程に――…甘やか]
「…コル…」
[弱々しく名を呼ぶ声に貌を覗くと、体液は殆ど拭ったけれど唾液に塗れた口唇は、微か震えて音も無く愛の言霊を囁いて後、優しげな微笑みを浮かべ動かなく成った]
…ニコル?
[時間は遡る。
将棋にはそれほど未練はなかったが、仄かな熱を失った指先がそれを追うように伸ばされ、衝動的に体すらも追いかけようと]
ニコル────────っ……
[追いかけようと、走り出そうとしたところで何かによって規制がかかり、意識が緩やかと思うまもなくブラックアウト。
水面に波紋が広がるように髪が床に広がっていた。
規制をかけたのが自分自身の体とは知らずともうっすら気付いたかも*しれないが*]
―回想―
[コーネリアスの声に振り返る事も無く緊急事態らしき中核部へ向かおうとしたけれど、背後でする物音に其処で起こった事を想い描き振り返る]
コーネリアス?
[足早に歩み寄り片膝を着いて覗く顔は血の気が失せ、頬に触れてみるも反応が無いらしいのに、コーネリアスの身を自身に寄り掛からせる様に抱き起こす]
コーネリアス?
[間近でもう一度名を呼ぶも起きる気配が無いのに、コーネリアスの脇の下と膝裏に腕を通し抱き上げると、痩せ細った彼の身体は無重力状態でもないのに易々と持ち上がる]
[胸元にコーネリアスの呼吸を感じ生存は確認するも、其処からならば彼の部屋より自身の部屋が近いと判断し、彼を自室へ運びベットへ横たえブランケットをかける]
――…ごめん…
[何に対する謝罪なのか意識の無いコーネリアスにそっと囁き、乱れた長い髪を整えて寝顔を見詰め緩やかに瞬く刹那、紫苑の眼差しは誰にも見られる事も無く揺れた]
――…
[目覚めた時の事を考え水のボトルとコップとハーヴェイに貰い受けた――ベットサイドに置いてあった――タブレットを月白色の机の上に置き、どちらも摂取して構わない旨の短い電子メモを見え易い場所に添えて*中核部へと向かった*]
/*
今気づいた。
うっかりセスの名前を呼んでしまった。
ミス!!
ギルバートは食べ物認識なので名前がよべます!(どういう基準
〔空腹は最上の調味料というが、味覚はそれ以上を受け取り――空の食器を卓に戻す際セシリアとローズマリーへ礼を告げた。僅かに胃がひくついたのは、嫌悪感なのか単に数日振りの温かい食事に慣れなかったのか――自らにも判別はつかず〕
…もう出て来れないほど衰弱している者がいるのか?
〔気分を変えるように見渡す顔触れが、記憶と数が合わないのを*訝しみ*〕
[船内放送に身を起こし―結局ロクに眠った記憶は無い―]
…食料?
[訝しげに呟きつつも肉体は素直に反応する]
…………。
[空腹を主張する腹を押さえながら食堂へと]
―生体実験室の動物ならまだ良い。だけど―
[それならばハーヴェイが黙っているとも思えず。悪い予感しか浮かばず沈黙し―]
―自分も行く。
[――出されたスープを飲み干す。
原型を留めなければ何も感じない。
ウサギの黒い瞳には常の自分の顔が映っている。]
……死に直面すればするほど自分がヒトで在ることを認識させられる。
複雑な気分だ。
[独りごち、空になった皿をスプーンで掻き混ぜる真似。
解体したアーヴァインはもう可食部分は無いだろうか。
ハーヴェイの言葉に瞑目すること暫し。
うさぎの背中を撫でる顔は長い髪が覆い隠していて。]
もう動けないなら、食べる?
[持ち上げられた視線はハーヴェイから順にその場の面子をゆっくり彷徨って。
最後にギルバートに止まると彼を見つめること暫し。
――そのまま伏せられる。]
―食堂―
[見回せばそこには幾人か足りない姿もあれどおおむね揃っていて。テーブルの上には湯気を立てるスープが置かれている。浮かんでいるのは肉片だろうか―]
……頂きます。
[礼儀正しく手を合わせるとスプーンで一匙掬い恐る恐る口を付ける]
―食堂―
[ラッセルが部屋に入ってきた時点で肉の元は一人しか居らず、ナサニエルとの会話が決定的に成っていくのに、カップから上がる湯気を見詰め緩やかに――何時もと差がある訳でも無く――瞬く。
どれくらいぶりに固形物を口にしたのか、黙々とスプーンを動かしてカップを空にしていく最中、ハーヴェイの言葉に口の中の肉を租借しながら、俯き加減にゆっくりと視線を向けるも、何か言葉を口にする事も無くまたスープを口に運ぶ。
ローズマリーの呟きを聴きながら最後のひと匙を飲み干し、骨ばった親指で口許を拭い――口許は笑みに似たカタチに歪む――ながら、彼女の眼差しを受け止め緩やかに首を傾け]
――…なに?
[視線が途絶えてもローズマリーを見詰めた儘]
[この中の何人がこの肉の正体に気付いているだろう。
勘のいい人間は或いは気付いているだろうが。
再度視線を上げれば首を傾けているギルバート。
少し目を細めるとうーくんの背中を見つめて。]
――……いや?
ただ私の見つけた"食料"はここにあるだけでネタ切れのようだ。
時間が経てばまた皆飢えるに違いない。
君なら如何する?
[相変わらず視線はウサギに向けられたままだから、
その問い掛けが誰に対してのものかははっきりしないまま。]
[再度交わる眼差しは束の間で、ローズマリーの視線が逸れるのに、空になったカップへと視線を落とし、未だ握った儘のスプーンを揺らしながら]
死ねば只の――…
[肉塊、とは口唇だけが音も無く囁く]
新しい食材を探す。
[自身に向けられた問い掛けかも定かでは無かったけれど、常と変わらぬ口調で答えてスプーンを置き、ローズマリーの視線の先のウサギへと目を向け]
其れにインストールした崩し将棋のプログラム。
別物だって伝言は伝わった?
生きていても同じだ。
ただの肉塊――差異があるとすれば腐敗するか否か程度だろう。
[ゆっくりとウサギの背を撫でて。
件の伝言の話には一つ頷いてみせる。]
聞いた。
別物だろうが何だろうが暇が潰れればいい。
緩慢に死を待つだけなのは先に精神が死にそうだ。
……色々あったせいでまだ遊べていないが。
[今遊ぶ?とでもいわんばかりのウサギに、首を振る。
そんな気分じゃない、と少し気遣わしげ――に見えるのはきっと彼女だけだが――なウサギに曖昧な笑みを一つ。]
〔食卓へ遅れて加わるラッセルへは、浅く頷くような挨拶を向けた。僅かずつだが交わされる会話の端々に、語られない肉の正体も今後のことも滲む頃合か〕
是非もないな。
〔食器を片付けるために席を立ちながら、ローズマリーの問いへにべもなく答える。彼女がうさぎを撫でる仕草が、逆に縋るようだと感じてはいたけれど〕
――……。…
〔動く視線の不自然さに、彼女とギルバートを束の間見比べて双方の顔色を観察する。何か口にするでもなく食器を運びながら、ぽつりと〕
動けない者を残しておくほうが、
後が「楽」だとは思うがな。
[――生きていても同じ]
[ローズマリーへと視線を移しゆっくりと瞬く]
そう。
[否定も肯定もせず短く静かに答え、続く言葉に不思議そうに瞬き、ウサギに曖昧な笑みを向ける様を見守り]
未だ、生きてるの?
[後が楽。
意味を捉えると、口角を上げる。]
――……正論だ。
だが何れにせよ皆動かなくなるだろう。
その時誰が最後まで動いているかは――私にはわからん。
[引き結ばれた唇は言葉を閉ざすこと暫し。]
――……どっちに見える?
[視線を感じ席を立ったハーヴェイへと顔を向け、其の口唇から零される言葉に暫く彼を見詰めて後に静かに瞬き、自身も食器を持って席を立つ]
そうだろうな。
[厨房へ向かい歩み始めたところでローズマリーの声に足を止め、束の間の沈黙を静かに見守り、問い掛けにゆっくりと首を傾げ]
――…死んだふり。
[小さく囁いて厨房へ向かう]
/*
さてここで出来ればギルにキリング申込みたいところなんだが。
ハーヴェイを占っておきたいんだよなぁ。
むーん。
>>room
[ようやくゆっくりと浮上した意識が天を仰いだとき、目の中に飛び込んできたのは痛みを感じるほどの極彩色]
…あれ。
[自分の記憶は廊下で止まっていたから見覚えはあるけれどいた覚えのないその部屋にきょとんとしてゆっくりと体を起こした。
サイドボードに残るメモと、水のボトルとタブレットに少しだけ視線を合わせた後、タブレットに手を伸ばし、それを半分に割って半分だけ下の上でゆっくりと溶かした後コップ一杯の水を飲み、タブレットはありがたくポケットへと残りの半分を滑り込ませ、水はそのままテーブルの上へ。
本当に気持ち程度の応急処置だったが、それなりには動けるようになったこともあって]
…で、何がどうなってるんだか。
[とりあえずは姿が見えない部屋の主を探そうと部屋を出て廊下へ]
…………!
[久々の滋養に皿毎中身を飲み乾しそうになるのを必死で堪えながら表面上は平静を保ったまま―それでもかなりの速さで―食べ終えてスプーンを置く]
……ご馳走様。
[手を合わせて頭を下げるその姿は黙祷にも似て―]
[予想外のギルバートの答えに、失笑。
珍しく声を漏らして笑うと、短く息を吐き出す。]
面白い答えだ。
君の理論では死んだら只の肉塊だという。
では死んだフリをしているのは何なんだろうな?
[問いの答えは必要とはしていないのか。
ウサギを抱き上げると食堂を出る。]
[急くわけでも味わうわけでもなく、出されたモノを腹に入れる。
正体は知っている――けれど感慨はなく。]
ごっそーさん。
[普通に食事を終えたような素振りで食器を片付けようと席を立つ。]
[かすかに鼻を鳴らすのは久しぶりに食べ物のにおいを感じたからで、それに誘われるように足が自然と食堂へと動く。
抗う術など毛頭なかった]
…でも、何で。
[匂いにつられながら歩く足がふと止まるのは疑問を感じたから。
食料なんてもう尽きたはずなのに、自分がタブレットで糖分補給したのだってさっきのことなのに、どこからその肉が用意されたというのだろう]
[背後にローズマリーの笑い声を聴くも歩調の変わる事も無く、厨房へと届く問いに食堂へと視線を戻し、回答を待つ事無く出て行くらしき彼女の背中を眺め]
ローズマリーの理論なら、どちらも肉塊。
[淡々と呟く声は捻った蛇口から零れる水流の音に邪魔され、誰かの耳に届いたのかも定かでは無いけれど、食器を洗い片付け終わると、鍋の底に残るスープをよそって食堂を出る。
通路を進むうちには向かいからの気配もあり、部屋に寝かせたコーネリアスの歩く姿を見止めれば、微か和らいだ色を浮かべる紫苑の双眸をゆっくりと瞬かせ]
大丈夫?
[嫌な予感、というべきものだろうか。
先ほどまでは恐ろしく軽く歩いていたはずの足が、縫い付けられたように止まり、指の一本動かすことすら躊躇われるほどに重く。
先ほどまで眠っていた部屋の主がやがて現れれば少しだけほっとしたように詰まっていた息を吐き出した]
───ニコル。
…ごめん、ありがと。
たぶん、平気だ。
[食器を運びながら小さく呟く]
―自分を喰らうと言うなら…絶対生き延びる事。それ以外は望まない。
[船長発見の報は未だ入らず、代わりに得た物が得体の知れない肉塊。そして食料が得られたと言うアナウンスを全員が聞いたはずなのに船長はここに来ない―気付かない方がおかしい]
[コーネリアスが通路の真ん中で立ち尽くす姿に、片手にスープを持って常と変わらぬ足取りで彼へと歩み寄り、ゆっくりと首を傾ける]
食べれる?
[実際には何も訊いていないけれど予想はつく料理に対しては何の説明もせず、ただ未だ微か湯気のあがる器をコーネリアスへと差し出す]
[食器を洗い始めて、聴こえた呟きに]
確かに、食われた上に無駄になるなんてのはヤだな。
[こんな馬鹿げた日常会話。
それは既に非日常。]
[ウサギを抱えたまま戻るのは自室。
暗闇に閉ざされた部屋の中は物らしい物はない。
ただテーブルの上に小さな首輪が一つ置かれている。]
……うーくん。
[毛布一枚置かれているだけの寝台の上。
胎児のように体を丸めると抱き込んだウサギに顔を寄せる。
今の自分が死んだフリだというのならば何年前からその状態なのだろう。]
Nobody knows me.
君だけが知っていればいい。
だけど。
[何もない闇の中空を捉えていた瞳は、ゆっくりと閉ざされる。]
――……What am I?
[ただの肉の塊か、それとも否か。相変わらずウサギは*答えない。*]
バウアー…。
[囁き掛ける声には幾分力が無く―]
―吐かないから。
[「それが毒で無い限り絶対に吐く事だけはするな―作ったモノだけで無く喰らわれたモノにも失礼だ」それが父の教えだった―だから幾ら嫌でも吐き出さない。船長への最期の礼儀として―]
…食べる……?
[かすかに唇が震えながらその言葉を繰り返す。
暖かそうな細い湯気と香気は確かに胃を刺激はしたけれど。
スープに浮かんで見える塊に、瞳を見開いて]
…ニコル。
……これ……「誰」?
[何の肉、ではなくて「誰」としか尋ねる以外思いつかなかった。
肉が費えたことぐらいとうに知っている───]
…食べられる所があるなら自分が―食べてあげる?
[こちらの半疑問系はそれを望んでいるのか自分でも分からないから。
バウアーが壊れる―『死ぬ』なんて想像もつかなかった]
[見開かれていくコーネリアスの瞳と対照的に、紫苑の双眸は細まるも視線を逸らす事は無く]
たぶん――…
[船長、と小さく囁いて]
[呼ばれた声には苦笑一つを返し、]
そういうこと。
[吐かない――彼のその言葉に幾分か柔らかい笑みで
常のように髪をくしゃりと撫でた。]
〔今こうして忠告めいたことを言い置く自分もまた、と含めて水音に背を向ける。食卓へ戻ると、外していたインカムを着け――ギルバートとローズマリーが出て行くのを見送る〕
雄獅子の如き怠慢は、流石に二度は許されんな。
〔すぐに食堂を後にはせず、行儀悪く椅子の背へ腰掛けラッセルとナサニエルの会話を耳に入れる〕
…生を託すか。気休めだが、それも必要だ。
――尋ねるが、この船を無事降ろすのには
何人のクルーが必要だ?
[聴覚を通して響いた声に眩暈だけが強く強く感じられるものになり]
………嘘。
[緩やかに小さく吐き出された声と吐息には嫌悪以外の何も混じらず。
要するに気持ちの問題ではあったけれど、それをあっさりと受け入れて飲み干すだけの許容も、拒否して捨ててしまえるほどの潔さも、どちらも持ち合わせぬが故に]
どうだろう――
でも、死ぬくらいなら喰うな、って怒るかも。
[もしも魂があるのなら。]
俺達自身、生きるために喰らうわけだから。
あるのかな、食べられるところ。
でも、ラズが腹壊したら困るから、食べなくてもいいよ。
[んー、と考えるような素振りで。]
ただ死ぬだけってのはさ、誰の糧にもなれない。
出来るだけ皆を生かしたいのに、其の術は喰われることじゃなく。
難しい。
[曖昧な笑みともつかない表情。]
……らしくないな。
[――………嘘]
[コーネリアスの口唇から零れ落ちる短い言の葉に、ゆっくりと被りを振り彼を見詰め続け]
残る他の乗員は、全員居た。
[嫌悪を滲ませる様子にも静かに事実を告げ]
食べれる?
[先程と同じ問いを繰り返し貌を覗く]
[ハーヴェイの声に視線を投げかけ、ゆるく瞬くこと二度。]
託す――のかな。
必要に迫られてだと、それももはや妥協に近い。
ホラ、俺って身勝手だから。
喰うだけ喰って死ぬんじゃねえよ、って思うだけ。
[問いには少し考えて]
――腕と運があれば最悪一人でも降ろすだけなら降ろせるだろうけど、それも全く微妙な話だ。どこまで無事かわからない。
3人前後かそれ以上居れば多いほど幾分かはマシ。
[それでも常と同じように安全な着陸ではないだろう。]
――…
〔自分を喰う者に、どう生きてほしいのか。其処を考えようとはするけれど、言葉にならず瞼を閉じて〕
ああ。
――旨かったな…
〔誰も口にしない、自らが言われたくないこととは真逆の台詞が吐息と共に零れた〕
緊急避難で人を死なせた事を悔やんでも…自殺は駄目。―無駄死にさせた事になる。
[緊急避難法が適用されるか否か―罪に問われるか否かでは無く。後で死ぬくらいなら最初から人を死に追いやってまで生き延びなければ良い―無駄に罪を重ねるだけだから]
…相手を憎むのは不毛過ぎるから、
というのが実際のところではあるな。
お前の身勝手もそういう性質のものかもしれん。
〔褒めとも貶しともつかず悪友への評価を加え〕
…成る程。
僕が1人生き延びる無意味は承知しているが
帰還条件は矢張りシビアだな――
出来れば、この船には僕の患者たちを
巻き添えにせず無事帰還して貰いたいものだ。
[旨かった、という言葉には小さく黙祷を捧げて。
作った人間と、食べられた人間への礼儀として小さく頷いた。]
自殺は確かにいただけない。
[ラッセルに返す肯定の言葉。
――そういえば船長がこうなった経緯は事故死だったのか餓死だったのかそれ以外の理由だったのか、ふと頭を過ぎったけれど。]
そんなはずないか。
[セシリアが生きているものの命を摘み取って調理するというのはどうにも想像できず、第一発見者が誰であるかも知らず。]
皆が皆生きなきゃならないなら、自分だって同じになる。
自分が殺されることで憎むなんてことはしない。
でも、確かにハーヴェイの言う通りな部分は思い当たる。
[評価には喜びも怒りもせず至極真面目な顔で]
ハーヴェイが一人じゃそれこそ運任せ、か?
奇跡が起これば帰れるかもしれんぞ。
[と、気休めにもならない――冗談。]
お前の患者が巻き添えにならんことを俺も祈っておこうか。
今そう言えるお前はなかなかのものだ、Russel Saul.
僕などはこの騒ぎが起きる前から…
Captainが自殺でもしてくれないだろうかと
密かな願望を抱えていたというのに。
〔自らの言葉で語るラッセルを見遣る眼差しは、
何処か懐かしいものを眺めるような其れ。〕
[ラッセルとハーヴェイの言葉にくすくす笑って]
ハーヴェイの考え方もまた有る意味では正しい。
生きるがためだ。
けれど生者の命を刈り取るのも難しい。
[矛盾、と小さく呟く。]
[嘘を嘘だと認める言葉はなく、言葉はただ真実として受け入れることを求められ。
乾いた笑い声が小さく響いた。
膝が笑って、ぺたんと、崩れる。
食べれる、と訪ねる言葉に、声もなく首をただ横に]
[崩れ落ちるコーネリアスへとスープを持たぬ腕を伸ばし、彼の前に片膝をつきしゃがみこんで]
食べないと――…死ぬ。
コーネリアスの体力では、長くもたない。
[冷めていくスープへと一旦視線を落として後に、再びコーネリアスの貌を覗き込んで]
其れでも、食べない?
…無理だ。
食べられない。食べられるわけ、ない───
[声が震えるのは怯えでも悲しみでもなく、具茶混ぜの感情の行き場の末]
長く持たなくてもいい…ここまで生きてられた、それだけでもう、充分だ──
[ゆるゆると俯いたまま首を横に降り]
そう――…
[零れる溜息に混じり小さく囁かれる声音には、ほんの僅か悲哀と安堵とが綯交ぜにされた感情が滲み、コーネリアスを見詰める紫苑の双眸は揺れる]
コーネリアス。
[大切な友人の名を静かに紡ぐ]
〔捧げられる黙祷に、しく、と痛むのは胃か胸だったか。曖昧な箇所をてのひらで摩り〕
ん…お前の身勝手は不快じゃないという話だ。
奇跡な。絶望はいつでも出来ると思っておこう。
お前にとっての奇跡も実は大差ないか?
〔実験動物たちの無事を祈ると言うナサニエルへ、深い頷きで感謝を示す。船さえ無事ならば、彼らは保菌状態ながら恙無く生命を維持できるのだが〕
成果は上げたし、データも送信済み。
――だが、命は送れん。侭ならんものだ。
[ハーヴェイの手が動くのを静かに見守り]
不快でないのなら光栄だ。
[ハーヴェイが避けなければ髪を一撫でくらいはしたかもしれない]
いつでも出来ることは今日しなくていい。
――頭の片隅には入れておくべきでもあるが。
[大差ないかと言われればくすりと笑って頷いた。]
ホント、ままならない。
[溜息をつきいながら肯定を返して]
死神でもあるまいし――
人が刈り取った命に人生の味感じようとするのは傲慢だ……。
[死神が命を刈り取ってくれるならそれは幸せなことで。
人が人の命を刈り取るのはただの――]
殺人だ。
[どんな理由があろうとそこに救いなどありはしない。
生き延びたものは罪を背負ってこの先を歩むしかない。]
[呼びかけに応えぬコーネリアスを見詰め]
俺は、他の誰を殺して食べても構わない。
でもコーネリアスが死ぬのは見たく無い。
だから――…
[緩やかに瞬く紫苑の双眸は伽羅色の光を零し]
俺を――…
[一瞬の空白。
何をいっているのかわけがわからなくて]
…何で?
そんなこと、できるわけないじゃん。
何で、俺が食べられないのにニコルを殺すの?!
…そんなの、狡い……っ…
[首を横に降る。
自分の狡さと、彼の優しさとで訳が分からなくなっていた]
――……船長を、食べたのが引き金になるかな。
[今後のことをぼんやりと考える姿は外見には投げやりに見えて。]
もし、ラズが殺されるようなことがあったら
――俺が殺してやるから。
すぐ呼べ。
[殺すのは殺そうとした相手か殺されそうな相手なのか。
恐らく彼がその時に望む方を。]
[被りを振るコーネリアスを見詰め、常と同じ様に緩やかに瞬き、開きかけた口を一旦は引き結び]
――…ごめん。
[でも、と小さく続け]
其れだけは、厭だ。
[静かながらはっきりと言い放ち、ゆっくりと立ち上がり、床にへたり込んだ儘のコーネリアスも起こそうと手を伸ばす]
[外の会話など露知らず
ただ、コーネリアスが入ってこないことだけを認識し]
生きる意志は、あるのかな?
[と、小さく*零した*]
[コーネリアスの灰色の瞳は泣き出しそうなのに、緩やかに瞬く紫苑の眼差しは何処までも優しく]
俺から、誰よりも一番に遠いから。
[口許にふと仄か笑みを浮かべ]
コーネリアスは、未だ生きてる。
/*
中発言失礼。
今日日が変わるけど、どうしよう。襲撃希望ある?
(狼が俺だけなので今日は乱数とか起こすの自重してるんだが。)
吊り先といっそ合わせて延ばすか、それ以外か。
それ以外は襲撃出来る相手ならば誰でも有りだと思ってたり。
さて、時間ないのですまん。そしていつもコア合わなくてすまん。
/*
如何、かな?
[思案気にゆっくりと首を傾け]
本物の戸籍上は、死んでる。
身体は、未だ動いてる。
[判らない、と小さく呟くも緩やかに被りを振り]
食べたく無いなら、食べなくて好い。
殺したく無いなら、殺されるだけ。
生きる気の無い者は護り通せない。
だから――…
[真っ直ぐに灰色の瞳を見据え]
生きているうちに殺して欲しいだけ。
うん…その時はバウアーが殺して?
[どちらを、か―それは濁して]
*/自分も特に希望は無い。自分こそ合わなくてすまない。/*
……。
[唇は戦慄いて、何かを伝えようとしたのだけど、言葉の代わりに涙だけ]
………わかった。
だけど、今すぐは、無理だ。
[ゆるゆると、首を横に振って]
…少し、時間をちょうだい。
[ずるずると、ニコルから手を引き戻し、背を向けて逃げるように廊下を*走った*]
学生 ラッセルは、流れ者 ギルバート を投票先に選びました。
[コーネリアスの口唇が震えるのを映し、紫苑の瞳は微か揺れ、彼の頬を伝う涙に緩やかに瞬く]
解った。
[駆け去っていくコーネリアスの背を見届け、踵を返し食堂へ戻ると冷めたスープとスプーンを厨房に置き、話し込む三人のもとへ歩み寄り、ハーヴェイへと顔を向け]
少し、二人で話せる?
[常と変わらぬ様子で緩やかに首を傾けた]
――食堂――
…僕はお前に不快な思いを
させているかもしれんが、…
〔頭上へ伸べられるナサニエルの手を目で追って、言葉を途切れさせる。他者に対し撫で癖を持つ男なのは知っていたが、自分がそうされたのは初めてか――〕
……Nathaniel Regel.
いよいよ煙草が切れたようだな、お前。
〔彼の手首を取って、如何にもらしく脈を測る真似事。〕
〔稀な戯れを返した後は、素知らぬ態。ナサニエルに傲慢を呼ばわられると、僅かだが容れる笑みが過ぎり――何か答えようと口を開きかける。〕
……。死神とお前は、――
〔言いかけた言葉は、ギルバートが食器を手に戻り来ることで途切れる。やがて声をかけられて席を立ち〕
ああ。
医務室で構わないか?
〔残るラッセルとナサニエルへ目配せめく目礼を馳せると、白衣の裾を捌いてギルバートと*連れ立っていき*〕
[残るラッセルとナサニエルへ緩やかな瞬き一つ挨拶に代え、ハーヴェイと共に通路を進む歩調も常と同じ夢遊病者の如き其れで、通された医務室をぐるりと見回し扉の閉まる音を聴く]
俺の両眼球を傷つけず摘出して貰える?
麻酔は必要ないけど、保存状態で欲しい。
[常と変わらぬ口調で淡々と希望を告げ、其れが可能か如何かを確かめる様にゆっくりと首を傾け、ハーヴェイを見詰めて緩やかに瞬く]
其れと、タブレットが余っていたら譲って貰える?
―回想/食堂―
[去り際にラッセルに呼び止められ振り返ると、其の手に差し出されているのはタブレットで、不思議そうに瞬き彼を見詰め]
貰えるなら、貰うけど――…
[食事が摂れたとは云え其の場限りの栄養補給、帰還の目処が立たない現状では其れも貴重な栄養源に変わり無く、緩やかに首を傾け]
ラッセルは、要らないの?
〔此方とは僅かにも重ならない、ギルバートの特徴ある足音。紫苑の瞳と彼の足元とへゆるりと視線を往復させ――何を問うでもなく医務室へと。彼の求めを聴くまで動かなかった眉が、不機嫌そうに寄せられて〕
……お前な。
〔あれこれと悪態は浮かぶものの、口をつかず…
鼻の頭に浅く皺を寄せてギルバートを睨みつける〕
タブレットは余っていない――
Cornellius Northanlightsに渡す分なら持っている。
あれに生き延びる気構えがあればだが。
―現在/医務室―
[ハーヴェイの表情が変わるのも緩やかに瞬くのみで、鋭い視線も紫苑の双眸はただ静かに受け止め]
コーネリアスは、肉は食べないと云った。
如何見積もってもそう長くもたないけれど、補給船が何時見つかるかも解らないなら、少しでも永らえさせて助かる可能性を増やす。
コーネリアスの前に――…
[変わらぬ口調と何の感情も浮かばぬ貌]
俺を喰えば好い。
―回想/食堂―
[ラッセルの言葉に緩やかに瞬き、手渡されたタブレットとラッセルの貌を交互に見詰め、手の中の其れを握り潰さない程度に拳をつくり]
――…有難う。
[タブレットを胸ポケットに仕舞い、暫くラッセルを見詰めてふと微か目元を和らげ]
大切な人の裏側はきっと――…
[醜くても大切、と何時かの問いへの私見を小さく囁き、ハーヴェイと共に食堂を後にした]
…それを抉るのか。
〔互いに確かめるように呟いて、長く深い溜息。
沈黙は長くは続かず…白衣を脱いで椅子へと投げ〕
お前とあれの友誼に口を差し挟む気はない。
座して死を待つ者を更に待つ気もないが――
〔険しい目つきのまま、踵を返して手術着を取る。
部屋の奥へと続く手術室への扉を視線で示し――
感慨を捨てず抱えたまま忙しなく用意をはじめ〕
お前が僕に頼る形がこれだと言うなら、
…それもいいだろう。
〔黙って聴いていた、食堂でのラッセルと彼の会話を思い起こしつつ低く押し殺した声を漏らす〕
―回想/通路―
[――それを知っても大切で居られる?]
[発達し過ぎた聴覚には微かラッセルの声も届き、夢遊病者の如く歩みながらも思案気に瞬く]
人の心は、移ろい易い。
其れでも――…
[刹那タブレットの入ったポケットへ意識を向け]
変わらないものもある。
[頷く代わり緩やかに瞬き――其れももう直ぐ出来なくなるけれど――一つを返し、ハーヴェイの動向を見守り、示される手術室へと向かい歩き始め、扉に手をかけゆっくりと彼を振り返る]
其の時は思う通りにすれば好い。
だから、此処に居る。
俺は俺のやり方で、足掻くだけ。
[準備を始めるハーヴェイを見詰め、紫苑の眼差しは伽羅色の煌きを零し、緩やかに被りを振る]
ただとは云わない。
俺の血肉を生で喰えば当分の間、感染症の類は危惧する必要がなくなる。
[手術台に大人しく収まり渡されるメスを握り、ハーヴェイと鋭い刃をもつ其れを交互に見遣り、手順を問う如くゆっくりと首を傾げた]
[ハーヴェイの言葉に一度は不思議そうに瞬き、次いで口唇はゆっくりと朧な三日月を浮かべて、暫くは小刻みに肩を震わせる間もあり]
――…足掻いてるよ。
[メスを見詰めぽつりと呟く]
ハーヴェイには、そう見えなくても。
闇と光で目が眩む中でずっと――…
[足掻いてる、と口唇だけが音も無く繰り返す]
…了解した。
お前の遣り方とやらは、この船が記録するだろう。
〔手術室へ据付の記録用カメラを示して口にする。眩しいほどの白色光の下、紫苑の瞳へ兆す異なる色合いに目を細め――遣り切れないといった態で被りを振る〕
それは…魅力的な見返りがついたものだ。
Nicholas Gilbert――お前は何を背負う?
〔畑違いも甚だしいとは言え、治療の為の施術ではなく摘出のみであれば問題はない筈で。程なく用意が整うと、ギルバートの瞼周りへ手早く塗布式の局部麻酔を施し〕
――……
これは嫌がらせだからな。
〔マスク越しのくぐもった声。〕
〔声が返る前に、彼の瞼は見開いた状態で周りの皮膚へと縫いつけられていき――〕
記録なんて――…
[要らない、と小さく呟き、眩い光に殆ど視界は奪われているけれど、ハーヴェイの被りを振るらしき気配は感じ、身じろがずとも何処か不思議そうな様子は滲むか]
俺の事は、知らない方が好い。
運良く還れても、殺されては無意味だ。
[必要無いと伝えた筈の麻酔を――殆ど麻酔は効かないのだけれど――施され、皮膚の縫い付けられていく幾らか麻酔に和らげられた感覚にも、さしたる表情の変化も現れず]
そうかも知れ無い。
違うかも知れ無い。
人間は――…嘘吐きだ。
[自分の部屋へ戻る。
頬をぬらす水は袖で強くぬぐうと部屋の中を引っ掻き回してからようやくひとつを見つけてほっとしたような表情の後にそれを手にし、重みに少しだけ眉を潜めた後、それをポケットに滑り込ませて自室を出る。
タブレットの残り半分を下の上でゆっくりゆっくり溶かしながらニコルを探す。
先ほどの廊下、食堂、中核部、そして──医務室のほうへと。
一応とばかりに扉をノックして中に誰かの所在があるかを確認して]
流れ者 ギルバートは、吟遊詩人 コーネリアス を投票先に選びました。
…Nicholas Gilbert.
〔弱音は吐く癖に頼らない。この友人未満の男は。
手付きに苛立ちは表れず、降らせる声は獣を甘やかす如き其れ〕
僕がお前に伝えられることは少ない。
お前が僕に伝えたいのは知識ではない。
それだけは知っているから…
今笑うな。
今泣くな…
いま、殺したくなる――
〔傍らへ用意してある義眼が灯りに透ける。似て非なる色味よりはと、透明感のある黒を選んだ。手元はやがて眼窩から収めるものを引き上げる、ねちゃりと体液の絡む*音がして*――〕
如何、かな。
[泣きも笑いもしないのは云われたからでもなく、其処に何の感情も浮かばないからでしかなく、何の施しを受けている心算も無い素振りは野良猫の様でもあるか]
――…ハーヴェイに殺される気は無い。
[代わりの瞳が入るも違和感は残り、幾度か瞬いては具合を確かめるもあり]
助かった。
[手術が終わり謝辞ともつかない言葉を述べ、視力を失った筈なのに伸ばす手は迷い無く、自身の眼球の入った其れを確りと掴んで、緩く首を傾け両手で形状を確かめ、ゆっくりとハーヴェイへと顔を向け]
中核部でトラブルがあったら、ラッセルを頼ると好い。
[二度と逢う事も無いであろう相手にも後ろ髪引かれる事も無く、云い残し自身の眼球を持って手術室を出て、一度は自室に立ち寄りベットサイドから煙草を取る]
[煙草を咥え火をつけるでもなく部屋を出て通路を歩く姿は、歩調は違えど煙草を呉れた人物に良く似ていたかも知れず、ナサニエルの部屋へ無断で入り込み、自身の眼球が入ったカプセルと、咥えていた煙草をテーブルの上に置き、メモも残さず入った時と同じく静かに部屋を出る]
崩し将棋は――…無理か。
[呟き夢遊病者の如き常の足取りで、コーネリアスを探し通路を歩む]
[医務室にいたのはいつも以上に不機嫌そうなハーヴェイで、ニコルの所在を尋ねればやはり不機嫌そうに出て行ったと告げる言葉。
ややしてから男に尋ねる]
──人は、心臓と脳と、どっちを壊せばすぐに死ぬ?
[迷いも躊躇いもない声に軽く面食らったような表情の後に答えを教えてくれた不機嫌な研究者に礼を告げて、そしてやはりニコルを探して彷徨う。
廊下でその姿を見かければ声を発しただろうか]
───ニコル。
[稀な戯れには無言で和やかな視線を返し
去り際ハーヴェイが言い掛けた言葉に思考をあてて、
その表情には何も色はなく彼の去り際に薄く笑った。]
死神なんて、いない……。
[居るのは¨人間¨。
ラッセルの問いかけには]
――ああ、俺は……
[ちょっと、と言ってラッセルを見送った。]
[見えずとも気配に一旦は歩みを止め、声が聴こえると一旦は瞬くももう無意味と思い直したか、僅か口許を緩めるもあり]
コーネリアス、将棋しよう。
[相手の返事を待つでもなく、自室へ向かい常の歩調で歩き始め、部屋に着けばラッセルより貰い受けたタブレットを胸ポケットから取り出し、コーネリアスへと差し出す]
はい。
酒場の看板娘 ローズマリーは、流れ者 ギルバート を投票先に選びました。
…将棋?
え、あ。ちょっと。
[決心が鈍らないようになるべく短い時間で済ませたかったのだけれど、当の本人があれでは無理だろうと嘆息してから彼の後を歩き出す。
極彩色の部屋の中へと足を踏み入れたなら、差し出されたタブレットに唖然として]
…なに、これ。
[受け取ることなく、そのまままっすぐにニコルを見返して]
[戻るなりテーブルの上の゙それ゙と煙草を見つけて]
……それが、お前の答えか。
[苦い顔。]
どいつもこいつも馬鹿野郎だ。
[自分もまた――
ゆるゆると首を振り、テーブルの煙草の代わりに受け取ったオムライス味のレーションを胸ポケットに入れる。]
ちょっと行くとこがあるから。
……後で迎えに来るよ。
[瞳にそう言い残し……部屋にロックをかけて出かける]
コーネリアスの食料。
肉は食べないんでしょう?
[受け取られる事の無いタブレットを持った儘に、視線は感じるのか緩やかに首を傾げ]
冒険家 ナサニエルは、流れ者 ギルバート を投票先に選びました。
冒険家 ナサニエルは、文学少女 セシリア を能力(襲う)の対象に選びました。
書生 ハーヴェイは、流れ者 ギルバート を投票先に選びました。
俺が好かれる要素なんてあるはずもない。
好かれることも望んでない。
嫌われても平気。
[彼女と居ると、少し人間になれた気がした。]
君が誰かに殺されるのも、
君が誰かを殺すのも、
君が誰かに食べられることも、
君が誰かを食べることも……
…そういうことを聞いてるんじゃ
[ない、と言い切ることが出来なくて、俯いた。
瞳の色が変わっていることに気づけないほど、全てに耐えられないままゆっくりと手を伸ばしてタブレットを手にするだろう]
……ごめん。
[呟いた声は、空気に溶けて消えてしまうほどに小さく力なく震え]
コーネリアスが謝る事は、無い。
[受け取られるタブレットに手を引き]
コーネリアス――…
[薄い口唇を噛む]
我が侭は、もう云った。
是以上は、厭なら無理強いはしない。
でも――…
[拳を握る]
叶うなら俺を――…
[食べて、と小さく囁いた]
[足はまっすぐにセシリアの所へ。]
――ちょっと来い。
[ぐい、と腕を掴んで相手の承諾も得ずに引き寄せる。]
……船長、見つけたのは誰?
事故死か、殺人か……お前じゃないのはわかってる。
[耳元で囁いた声。
セシリアの髪を――常の乱雑さではなく――優しく撫でて、その手にレーションを握らせる。]
……やる。
前に煙草と交換で、ギルにもらった。
[彼に煙草は返された。
彼は覚悟を決めた。
食べるのは彼でも自分でもない。]
[どうせなら、心も完全に無くしてほしかった。
つまらない感情で動かないように。
くだらない感情で苦しまないように。
人ほど豊かな感情はないくせに、
意志や半端な感情を与えられた身は
曖昧な世界で浸食されて尚
今更こんな行動に走らせる。]
人は……残酷で、無慈悲だ。
機械は所詮機械――ならなんで、
完全な機械にしてくれなかったんだろうな。
…っ……!
[手の中に残ったタブレットの包装が、強くこぶしを握ったことで少しだけ悲鳴を上げた。
どうしようもない状況なのに、どうしたら彼の望みを叶えてやれるだろうかと考えることはそればかりで]
……ごめん。
ホント、ごめんね。
[涙が落ちるのと同じくらいだろうか。
タブレットを持たない手に握られていたのは子供騙しのような旧世紀時代のデリンジャー。
叶うならば、と告げる言葉にようやくまっすぐに前を見据えて]
…わかった、食べる。
他の、誰にもやらない。
ニコルの全部、俺が食べるから───
[堪えていたはずの涙がぼろりぼろりとやはり頬の上を伝い古い銃口はその額を狙って───]
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