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とりあえず始まったらしいぜ?
なんかこん中に、ただの人が6人、おおかみが2人、エスパーが1人、イタコが1人、人狼スキーが1人、ストーカーが1人いるらしいで。
あー、諸君、聞いてくれ。もう噂になっているようだが、まずいことになった。
この間の旅人が殺された件、やはり人狼の仕業のようだ。
当日、現場に出入り出来たのは今ここにいる者で全部だ。
とにかく十分に注意してくれ。
自警団長 アーヴァインは時間を進めたいらしい。
>>0:#3
なんとなく勢いで村を開始してみました。
初日は長くのんびりでも好いかと思っています。
■メモ記入事項■
・コミットの有無
一発言後は各人コミットしてください。
更新時間についての意見も沿えて下さると参考にします。
・次回登場時間
大まかで構いませんがあると絡みたい人が助かるぽいです。
・飴の個数
この辺は個人の好みでも構いません。
・自己紹介各種
初日だけでも親切設計で貼っておくと良い気がします。
/*
本当に勢いだけで村を始めてしまいました。
だって友情RP見てたら男キャラで入り直して友情したいとか思い始めちゃって如何にも村を出ちゃいそうだったから直ぐ傍にあった村開始ボタンを代わりに押してみたんだ!
寧ろ希望が通っておろおろしてるんですが。
どどどど如何しよう狩る者だよ(お前今更
/*
何はともあれこんな村建て人で本当にごめんなさい。
狩る者希望者どれくらい居たか判らないけれど取っちゃってたら益々ごめんなさい。
赤中毒なんです。
色々あるとは思うけど頑張ります。
みんなが楽しんで呉れると好いなあ。
アタシを喰ろうたら腹を壊すヨゥ。
嗚呼、恐い、怖い、強いネェ。
[コロコロコロリ] [軽やかな笑い声] [鈴の音を想わせ]
[カラコロカラリ] [下駄の音も軽く] [機嫌も好さそうか]
さて、如何しようかネェ。
[カリリッ] [林檎飴齧り] [練り歩き]
[ぺろり] [薔薇色の唇舐め] [小首傾げ]
誰ぞアタシと遊んで呉れるかネェ。
[カリリッ] [赤鬼に貰った] [林檎飴齧りながら]
[カラコロカラリ] [下駄の向く侭] [*気の向く侭*]
/*
しまった。
この時間に投下したら村建て人てモロバレだ!
入村時点でバレてる気がするから今更だよね!
そして中の人モード解除して独り言もRP移行予定。
予定は未定だから混ざってもつっこんじゃ駄目!
寧ろこの村は一応独り言での中発言おっけーだから良いよ!
/*
今確認したら赤での中発言も可能だった!(お前
と言うかお仲間誰かしら(どきどき
設定として相棒で良いのかも判らないけれど頑張ります。
寧ろ赤ログはテレパシーみたいなものなのかしらとか。
物凄い疑問が頭の中を駆け巡り中。
やばい!既に行動描写とか入れちゃった!
怒られません様に(びくびく
仲良くして呉れると好いンだけどネェ(RP〆てみた
[遠くの気配が感じられなかったことにふと気づき、辺りを見回す。
おやおやと肩をすくめ]
どうも、閉じ込められちまったようだねえ。
さて、どうしたものか。
[ふふっと笑みを漏らすと、笛を懐に*しまった*]
──あゝ、あゝ。いとらうがはし。
──擾々と、うち騒ぎたるものどもよ。
──あならうがはしや。
[墨染の衣纏ひてさ迷ひいでたる]
[蓬髪の]
[あなおそろしの姿や]
[あなおそろしの姿や]
お嬢様 ヘンリエッタは時間を進めたいらしい。
[……はらりはらり]
[薄墨いろの桜の花びらが降り頻るなか]
[墨染めの衣を纏った男は歩く。]
[乱れに乱れた蓬髪の]
[前髪の間から垣間見える片目は]
[闇のいろを宿してあくまで黒く]
[鋭く][それでいて]
[現世を見ておらぬように虚ろ]
[よくよく見れば]
[桜の花びらは男の周囲にのみ舞い散っているのだった。]
墓守 ユージーンは時間を進めたいらしい。
中/
おや。狼になったですよ(汗)
そして翠姉さんが相方さんですか♪
嬉しいような照れちゃうような。
お互い生きておりますように。なむ(-人-)
だって一人になっちゃうと…(真っ青)
[ちゃぷり][ちゃぷり]
[水に身体を投げ出して]
[告げる狐][空を睨みつける]
異形を狩る者――か。
[くすり、笑った冷たい瞳。]
のぅ喰児よ。
鬼ごっこの機会は案外早く巡ってきたのぅ。
[泉から出れば衣を纏い]
狩るのはどちら
狩られるのはどちら
[ゆらりゆらゆら――*あてもなく*]
[昨日はついつい度が過ぎて。
起きた頭に痛みが走り。
口の中には昨日飲んだ酒の味がまだ残る]
…痛…
酒とは飲むとこうなるのか…?
[夜斗は隣で心配そうに覗き込み。
遥月がおいていった瓢箪を咥えて差し出す]
あぁ、すまぬ夜斗。
[瓢箪受け取り煽ると水がこぼれ。
それをぬぐうと僅かに紅が手につく]
…?はて?口を切った訳でもあるまいに…
不思議な…?
[よろり立ち上がり、泉へと足を向け]
[泉の淵へとたどり着き水を掬い面を洗う
やや冷たい水は頭痛をも和らげ。]
ふぅ。
しかし昨日の方々は随分と生きた経験がおありのようだ
背伸びせずとも…また何かを学ばせてもらいましょう。
[淵に夜斗を置き、そのまま浴衣を脱ぎ捨てて水浴びを。その体、見た目どおりに頼りなく]
急ぐ必要はないだろうが…
何ゆえ仮の器がこのようなひ弱なものに…。
これだけでも十分、心もとないのに
さて、どうしたものか。
中/
な、なんだこのact!
ハリセンが一番上かよw
でもってオリハルコンハリセンかよw
うわぁ、ギャグノリの村で使いてぇ♪
[静かの社。
漂うは夢か現か]
[現が夢でないと誰が告げられよう]
[澄んだ声、告げる狐]
…狩る者か。
やれ…面倒なことになってきた…
[ゆぅるり。
起こす体は流れ往く]
[静かを探す足は泉へと辿り着くか]
流れ者 ギルバートは時間を進めたいらしい。
[其処に在るのは人の姿、犬の姿]
さて…どちらと問うても答えはひとつか。
[呟く声は水音に掻き消されるだろうか。
それともその耳に届いてしまうだろうか]
やれ…面倒なことだ。
主に捧げるならば見付け出さねばなるまい。
人と関わるは好かぬというに…
おや…気付かれてしまったか。
仕方あるまいな、犬の耳は良い。
[言い訳めいた呟きに。
重なるは僅かな歩の進む音]
呪いの解けぬ者と見える。
狐の声は聞いておるか?
[突然の人の声にやや驚き、内心舌打ちをするも]
また、か。
[溜息を一つ、向かってくる気配には]
何ぞ用でも?
ここにいらっしゃるのは少しお待ち頂きたい。
まだ泉から上がっておりませんので。
[突然の人の声にやや驚き、内心舌打ちをするも]
また、か。
[溜息を一つ、向かってくる気配には]
何ぞ用でも?
ここにいらっしゃるのは少しお待ち頂きたい。
まだ泉から上がっておりませんので。
[瞬きひとつ。
その後にゆぅるり向きを変え]
人の姿なぞ見られて問題があろうかと思うが。
其方がそう言うならば仕方あるまいな。
[泉に踏み出す僅か手前。
晒すは無防備な背となるか]
[かかる声に再び顔を向け。
傍らに従えられた犬に警戒を見る]
さて、用と問われれば然程のことでもないのだが。
狐の声は聞いておるか?
人が…我らを狩る者が紛れたというが。
狐…さて。聞いたような聞かなかったような。
そしてまた貴方も人妖であられるか?
先程まで寝こけておりまして。
そして僕の傍には夜斗がおりますゆえに…。
狐は犬を嫌いますから。
狐からの伝言とは。
そして…狩るもの?ふむ…。物騒な。
そのような伝言があったのに…夜斗は暫く消さねばなるまいか…。
我は人などではない。
…と言えども、信じられるとは思うていないが。
夢の中に在れば仕方があるまいな。
犬も、か。
なれば…
[懐から取り出すは薄桃色の扇。
開けば甘い香が漂うか]
[ふぅわり。
一振りすれば景色は霞み。
その内で白金の狐が告げるだろう]
[ぱちん。と扇を閉じればたちまち現へと戻ろうか]
[目の前で扇を振られ 漂う香に眩暈を覚え
朦朧とした意識の中で狐が現れ伝言を]
…っ、何…?
[ぱちりと閉じられた扇の音、
現実と現の強制移動に酷い立ち眩み
膝の力が抜けそうになるものを
夜斗につかまり何とかしのぐ]
な…るほど、このような事態が。
で、僕らに何をしろと?
まさかこの狩るものを捜せということでしょうか?
ああ…慣れぬ者には苦しいか。
次があれば気をつけよう。
[閉じた扇は懐へ。
瞳はすぅと細められ]
捜し出し捕えろと言いたいのだろう。
面倒であるが、主に捧げるならば仕方あるまい。
さて…其方は人か、妖か?
[返る問いはひとつしかなかろうが]
[カラン] [コロン] [泉へ向かう]
[二人] [一人は顔見知り] [一人は知らぬ]
おや、先客かえ?
司棋の兄さん、昨日は酒が過ぎちまったみたいだけど大丈夫かえ?
[カラン] [コロン] [小首傾げ]
[見知らぬ顔] [顔向け] [ニィと笑み]
兄さんもかえ、災難だネェ。
仮令人とてそんな問いに莫迦正直に答える者があるのかえ?
[立ち眩みは未だ直らず、やや顔は青ざめ]
失礼…やはり少々当てられたようですよ
僕…は…貴方からどう見えるのでしょうか?
あのようなことを問う時点でお分かりなのでしょう。
狩るものなど捕らえ捧げてたとて主様はどうされるおつもりか?さして美味くもないでしょうに。
しかし、心には留めておきましょう。
これは…つくづくご縁があるようで。
どうぞこちらでも良くしていただけると。
何か、狐より伝言があったようですが…
聞き損ね、彼に尋ねた所ですよ。
[下駄の奏でる音。
巡らせれば辿り着くは常盤色]
災難この上ない。
答えが返るとは思ってはおらん。
なれど、聞かずにはおれぬといったところだ。
[そうして、犬を支えに立つ者に]
さて…我にもわからぬ。
信じられるは我のみよ。
主の考えは我にはわからぬ。
なれど望むならば仕方あるまいて。
こんな所でお仲間に逢うとは思わなかったヨゥ。
仲良くしと呉れヨゥ。
兄さんとは縁があネェ。
貰った花飾りはまた枯れちまったかえ?
[俯き加減] [白い手伸ばし] [花簪に触れ]
[枯れた華] [常盤色へと] [妖しく映るか]
御狐様はアタシ達を喰らう心算らしいヨゥ。
恐い、怖い、強いネェ。
[ふと現れた常葉色 青い顔を何とか隠し]
常葉の君…
昨日はやや過ぎてしまったようで。
ご心配をおかけした様で失礼を。
[扇を持つその男には]
主様の命とはいえ…あまり関わりたくないですね。
僕はこのまま静かにいたいのですが…叶わぬか…。
皆様方とまた桜の下で杯を交わしたく。
ここであったも何かのご縁、司棋と申します。
どうぞお見知りおきを。
こちらこそ。
華がかれるのは貴女が望まぬからですよ。
何ゆえに永久を願いませなんだ?
次はどんな華をご所望でしょうか?
主様とて所詮狐でしょうに…狐に食われる犬なぞきいたこともなく。
全く。
[ゆぅるり、頷き]
桜の下、か…
[零れる音に混じるは何の色か]
…司棋。
我は開耶。知らずとも良いならば忘れるが良い。
[扇を仕舞うまま手は懐の内。
手放せぬは、さて、何の為か]
[コロコロコロリ] [軽やかな笑い声] [何時も通り]
[泉に寄り] [湖面を覗き込む] [紅と黒の夫婦金魚]
答えの無い問いを幾らしても無駄だろうさァ。
血肉が味わえるンなら兄さんも楽しんだら如何かえ?
[遊螺り] [振り向き] [顔見上げ]
[薫る白粉] [桜の色香] [司棋に顔向け]
春の宵風は好かったかえ?
また酒宴が開けるンなら兄さん達が何者でも構わないヨゥ。
でもこう物騒じゃあおちおち転寝も出来やしないネェ。
[濡れた赤髪] [青ざめた顔] [覗く碧細め]
[コロコロコロリ] [笑って] [また金魚を眺め]
[櫻の大木、木の枝の端
緋色の男が座っている]
なんだぃなんだぃ、
こいつぁなかなかどうして物騒じゃねぇか。
御狐様もどうしてうっかりものだねぇ。
[胡坐をかいて頬杖ついて
口元の笑みはにやりと浮かぶ]
そう、此れが鬼ごっこ。
遊び半分で謂ってたことが
本当になろうたぁこれはもまた縁かねぇ。
/中/
桜って咲いてるのか咲いてないのかどっちなんだ。
咲いてるんなら狂ってることになれるんだがなぁ。
…最後までに設定出せるか不安だ。
後でまとめて書いとこう。
何時も言ってるじゃないかィ。
アタシは刹那に遊ぶ者。
そして狩る者、喰らう者。
永劫変わらぬ者よりも巡り移ろう今が好いヨゥ。
儚いからこそ美しいはらはら舞う散り際の桜みたいにネェ。
[小首傾げ] [揺れる花簪] [枯れ華は薫るか]
次は何が好いかネェ。
兄さんは似合うと褒めて呉れたから、兄さんの見立てなら何でも構わないヨゥ。
ならば兄さん、犬が狐を喰らうと好い。
何故此処に来たかまでは知らぬけれど、事情もおありじゃないのかえ?
―境内の林にて―
嗚呼、貴方……ッ
はっ………あ………
[幾度と数えることすら厄介になった、或る男との「情事」――情を込めてはならぬ、身体だけに刻めと窘める遥月の肢体にかぶりつくように、「若旦那」と呼ばれる男は胸に刻まれた蝶に口づけし、何時もより深く深く遥月を求めている。]
嗚呼……いけません。わたくしを求めては……ッ。求めるべきは御身に流れる貴方だけの悦……嗚呼、……それだけで、充分でございましょう……?
[自身の身体を貪る男を宥めるように、遥月は白い指でついと男の頬をなぞる。其の感触に男は目を見開き、遥月の着物を乱暴に剥ぎ取った。一糸纏わぬ姿になった遥月を眺め、男は呟く。]
『………嗚呼、遥月。愛しているよ……』
お尋ね者 クインジーは時間を進めたいらしい。
[狂おしい程に遥月を求める男の髪を、白い指が梳いた。]
嗚呼……いけません……その言葉は……ッ……
[遥月の言葉を制するように、男は遥月の唇に自分の唇を重ね、音を立ててその紅を貪る。]
『嗚呼……遥月。遥月。お前は私のものだ……誰にも渡さぬ……!嗚呼、愛しているよ……』
[男はうわ言の様に呪文を繰り返し、遥月の白い肢体を突き上げる。しばしの悦楽――そして、男は絶頂へと導かれていった……]
開耶 様。心得ました。
しかし次もし香を頂戴するならば
もっと別の香を所望したく。
[これでは折角の香でも咽てしまう
笑いながら真理へも声をかけ]
春の宵は心地よく。夜斗が守ってくれますよ。
昨日はお見苦しい所をお見せしましたが
次はきっとお付き合いをいたしましょう。
[蒼い瞳は鮮やかさ、黒い瞳は艶を増し。
面白そうにくすりと笑う]
[鈴音のような笑い声。
向かう視線は相反し、遠く空の向こう]
…無駄とはわかっているつもりだが。
やれ…無駄は好かぬのだが、どうしたか。
[顔は落ち、視線は計ったように合い]
…血肉はいらぬ。
我が望むは静かのみよ。
『はっ………ぐ………うわあああああッ!』
[遥月の身体を突き上げ、絶頂にまで達した男が、次の瞬間には地獄の苦しみへと叩き落とされる。口許から泡を吹き、男根は赤く爛れ、全身がみるみるうちに青ざめてゆく。]
嗚呼……だから心にわたくしの紅を刻むなと、申しましたのに……
[青ざめた場所はやがてどす黒く染まり、ぶつぶつと黄色い気泡を立てて腐ってゆく。其の様子を眺めながら、遥月は結城紬を着込んでいる。]
貴方……愛しき貴方……
わたくしの紅は、毒の味……。
貴方の精は、わたくしの糧……。
貴方の『愛』は、死への誘い……。
[立ち上がり、土の上で焼け爛れた黒い塊を、遥月は紅の視線でついと見やる。]
……さようなら、貴方。
[それだけ告げると、遥月は微かに下駄を鳴らして其の場を去った……]
[寄り添い] [離れて] [擦違う] [夫婦金魚]
[パシャリ] [水面を叩き] [尾を揺らす出目金達]
夜斗は矢張り賢いネェ。
頼もしいネェ、じゃあまた呑もうかィ。
次は酌もして貰えるらしいから、旨い酒を捜しておくヨゥ。
[開耶の眼差し] [交わる碧] [僅か弧に笑ませ]
無駄は好かぬのに無駄を為すなんざァ本当に難儀だネェ。
嗚呼、五月蝿くしちまって悪かったかィ。
アタシも静かは好きだけど他が在るとついはしゃいじまうのさァ。
[次の華は、の問いかけに、子供のように笑い答え]
よろしいでしょう
刹那を望まれるならそれに相応しい華を。
[そっと蛍火を手に現しふぅと息をかけ。
ふわり浮かぶ蛍火は真理の結い髪へ白い桜の花へと姿を変え]
常盤色と鼈甲によく映えますでしょう。
それこそ、きっと望む望まぬとも直に散り行くもの。
ご希望に添えたでしょうか?
ここに来た理由?
さぁ、そこまでは貴女様でもお話することは…。
しかしここでもお会いした縁でもあり。
必要な時がくれば申し上げましょう。
今は夜斗もこの形(なり)ですが
いざとなれば本性も顕わします故ご心配無用。
好きなだけ食わせてやるのも主人たる仕事ですから。
[名を繰り返す音。
笑う声に視線を其方へ]
さて…我はひとつの香しか持たぬ。
なれど程を操ることは出来ようか。
それで良くばまた何れ。
[懐の内、ひとつ開き、また閉じて]
[香り立つは仄かだろうか。
それとも先の残り香に全て打ち消されてしまうだろうか]
[僅か細まる碧。
すぃと視線はそれから逃れ]
ああ、構いはせぬ。
ひとつふたつなら気にはならん。
何も無きは虚しい。
なれど騒がしは好まぬ。
賽の眼のようにわかんねぇことが沢山だ。
苺飴のためにアラシをださねぇといけねぇんだがなあ。
……ん?
[片目で見た先、見慣れぬ男。
金魚の泳ぐ泉の傍で
碧と赤と、あれは琥珀色]
あいつぁ見たことねぇなあ。
人間混ざってるってことだがさてさて。
狩るか狩られるか。
楽しい鬼ごっこになりそうだぜ。
今は、ひい、ふう、みい……
十一ってとこか。
[ヒトの姿を模って
戻れぬ呪いは11体。]
はぁん、ぞろ目じゃねぇか。
縁起がいいねぇ。
[軽口叩いて高揚感。
危ない橋ほど面白い。]
有難う、今度は何の花かネェ。
この香りは桜かえ?
いっとう好きな花だヨゥ。
水を浴びたら逢いに行くから其の時またみんなに見せびらかせる花もお呉れかえ?
折角似合うンならこっちだけじゃ勿体無いヨゥ。
[ニィと笑み] [司棋] [夜斗] [交互に見]
アタシァ気が短いからネェ。
早く教えて呉れる気になってお呉れヨゥ。
必要な時は来る方が好いのか来ない方が好いのか、其れすら判らぬけれどネェ。
賢い犬は何に化けるのかネェ。
たんと喰わせておやりヨゥ。
[火照った身体は其のままに、微かに下駄を鳴らして歩く。]
妖しの気が、ひぃ、ふぅ、みぃ、よぅ……
嗚呼、微かに馴染みのある心地。そして………
[白い指を紅い唇にそっと寄せる。]
……白く輝くあの色は、何処へ……
[微かな胸騒ぎを覚えながら、遥月は妖しの色が揺れる場所へと歩いて行った。]
狩るもの狩られるもの。
さぁて面白いのはどっちだ。
気に入ったなら力を貸してやらんでもない。
俺は人間が嫌いじゃぁねぇ。
愉しませてくれるんなら
これ以上はないからな。
アヤカシの血は美味いかねぇ。
[不穏、不穏な心の声は
狩る者探して楽しげだ。]
[鼻先擽る] [微か甘い香り] [逸れる視線]
[弧を描く] [碧は動かず] [開耶を見詰め]
開耶の兄さんは寛大で助かるヨゥ。
無は詰まらないネェ。
されど有の全てが騒がしい訳ではないさァ。
咲き乱れる桜は雄弁なれど静かだヨゥ。
[視線感じてか] [視線は動き] [赤鬼捉え] [ニィと笑む]
水浴びに人払いする前にまた増えちまうかネェ。
其れより先に覗かれちまいそうかィ。
[桜に喜ぶ真理へ...も嬉しそうに笑う。
あどけなさの抜けない顔は少年にも少女にも見えて]
お好きな花でしたか。それはよかった。
皆にも見せるのですか?何か…勿体ないような。
しかし貴女様が望むなら髪挿しましょう。
必要な時とはあとでわかるのでは?
目新しいものが好きなだけですよ、僕は
今は此れだけを。
司棋は…さて、何にといわれましても。
狼は犬に属します、夜斗もそれは変わりませぬよ。
もっとも、狼を顕わす機会など殆どありませんが。
――……カラン。
[下駄の音ひとつ]
おやおや皆様、御揃いで……
[遥月は、紅い唇を緩め微かに笑む。]
常盤の君に、喰児様……
嗚呼、司棋様。御身体の具合はいかがですか?
[そして、琥珀色の男へと紅色の視線を流す。]
……貴方は……?
嗚呼、貴方も妖しの者……?
学生 ラッセルは時間を進めたいらしい。
いいじゃねぇか、
櫻に惹かれて集まっちまうのさ。
それとも見られたら減るのかい?
[真理に向けた言葉はからかい、
ひらりと手を振り地面に降り立つ]
おう、遥月も来たかい。
なかなかどうして面白い事になってんなぁ。
[碧から逸れた琥珀色は。
巡り巡って桜の上]
[樹に合わぬ赤。
否、合うのかもわからぬが]
[伝わる気配は愉しげな。
僅か不快を感じ眼を背け]
…無は寂し。
騒がしは好まぬが何も傍に在らぬも好まぬ。
我が誰ぞの眼に留まるは刹那のみ。
[常盤に返すは僅か掠れた声。
何故かは自身にもわからぬままなのだろうが]
アタシァ嬉しがりなんだヨゥ。
今日の今を飾って呉れる花が無くなるのが惜しかったのさァ。
でも司棋の兄さんが惜しいと言うなら止しとこうかィ。
桜の花は此方でこっそりと楽しむのも好いネェ。
新しいものかえ?
アタシァ移ろいゆく者が好きさァ。
そうだネェ、今は是で我慢しとくヨゥ。
[夜斗へ向ける] [碧は柔らか]
犬でも狼でも夜斗は夜斗さァ。
餓えてないならのんびり過ごすのも好いヨゥ。
[新たな音。
紅いは妙に眼に強く]
…此処に在るは常ならば妖のみ。
愚問と言うべきなのだろうが。
なれど今この時。
我が妖か否かを明らかにする術はなかろう。
後程また別の華を差し上げましょう。
常葉の君ならどんな華でもお似合いでしょうから。
僕も違う華を見せる貴女が好きですよ。
このように人を見るのも新鮮で
他の人妖も見たことなく。
今は何を見ても面白いのですよ。
[夜斗は真理へまた頭をすりつけくぅんと一声]
夜斗も貴女を気に入ってるようですから
何かあれば彼にもご用命を。
[喰児の言葉に、首を傾げる。白い首筋には未だ色濃く残る赤い痕。そっと指を首筋に添え、喰児の双眼に視線を向けた。]
……面白い、事。
如何なる事でございましょうか。
嗚呼、微かに昨晩とは違う色が揺れておりますが……。
[新た下駄の音] [遥月へ] [視線移して] [ニィと笑み]
遥月の兄さんまでおいでかえ?
いよいよもって水浴びは延期だネェ。
[赤鬼] [地に降り立つ] [からかう声]
[薔薇色の唇] [微か尖らせ] [緩くねめつけ]
嗚呼、嗚呼、減っちまうヨゥ。
林檎飴じゃ買えないくらいアタシの肌は高いのさァ。
観られて乱れて桜みたいに散る気はまだ無いヨゥ。
[逸れた琥珀] [掠れ声] [仰ぐ顔見上げ]
今は傍らに騒がしいほど気配だらけさァ。
刹那の今を楽しめど、開耶の兄さんは足りぬかえ?
[さて人かアヤカシか、
明らかにする術はないという。]
ははぁん、そりゃぁそうだ。
それは俺だって同じこったがな。
見分けの術持ちがいるってぇ話は聞いたことがあるが
普通なら出番があるわけもねぇ。
―――が、この状況じゃぁ話は別だぁな。
[片手は腰に、不遜な態度。]
とっとと鬼ごっこを始めようじゃぁねぇか。
祭りの余興、
鬼と鬼ごっこってな。
[遥月が赤鬼に問う。
艶紅をさした眦と、何処か乱れた気配に哂い]
ああ、そうさぁ。
アヤカシを狩る人間が結界の中にいるってぇ話さ。
御狐様曰く、そいつらを血祭りに上げよ、
主様に捧げよってぇ話さ。
[にやり笑いは浮かべたままで]
[別の華を呉れると謂う] [浮かぶ微笑み] [言葉通り嬉しそうか]
そうかえ?
楽しみにしてるヨゥ。
でもこんなに人が多くては水浴びは延期さァ。
アタシも華を呉れる司棋の兄さんが好きだヨゥ。
其れに昨夜も謂ったが兄さんは可愛いからネェ。
新しいものが好いなら此処にはきっとまだ沢山あるヨゥ。
沢山味わってお呉れヨゥ。
何か手伝えるなら華の礼くらいはさせて貰うからネェ。
[寄る夜斗] [見詰め] [白い手伸ばし] [そぅと撫ぜ]
おや、夜斗もアタシを気に入って呉れるのかえ?
嬉しいネェ、確り司棋の兄さんを護ってお呉れヨゥ。
手が空いたらアタシとも遊んど呉れるかィ。
[琥珀色の男に、目を閉じて頷いた。]
……ええ、左様で。
目の前に居る方々が妖しか否か、それを知る術は……ございません。己の手で捜すか、或いは……。
[目をそっと開き、首を左右に振る。]
嗚呼。喰児様のおっしゃる通り、見分ける術をお持ちの方がいらっしゃるとお聞きしたことはございますが……あくまで噂。信頼できるのでしょうかねぇ。
[常盤色、唇尖らせ反論に
肩を竦めてくくくと哂う]
減っちまうかい、そりゃぁ残念だ。
林檎飴じゃぁ安いやな。
安すぎらぁ。
櫻が咲くときゃぁ是非観てみたいがね。
今は刹那。刹那は騒がし。
[遠き瞳が映すのは今か過去か]
我の望みは永久なれど。
全ては我を刹那としか見ぬ。
永久に騒がしが在るは好まぬが。
[つぃと視線は赤色へ]
鬼真似か。
我は面倒は好まぬ。
…なれど、主がご所望か。
やれ、面倒な。
[その巡り言葉は幾度目か]
[喰児の言葉に僅かに眉を寄せ]
殺し合い、ということですか?
それとも暴きあい?
狩人が僕らを狩る前に…しかし、見分けがつかねば関係ないお方にも手を掛けることになりましょうに…
同属で殺し合いとは…気が進みませぬよ…
ならば早くその見極めを求めたく。
鬼ごっこかえ?
さて、誰を追いかけようかネェ。
昨日の話の続きなら喰児を追いかけるのも楽しそうだヨゥ。
其れともアタシが逃げるのかネェ。
[小首傾げ] [赤鬼見上げ] [弧を描く碧] [吊り上がる薔薇色]
喰児は桜をお望みかえ?
鬼ごっこも始まって、春は直ぐ其処、目の前さァ。
其ン時ァ、桜の色香に惑わぬ様に気をつけるんだヨゥ。
[桜の話か] [はたまた別の話か] [コロコロ笑い]
[開耶の声] [遠き眸] [眺め] [瞬き] [また笑う]
余程面倒らしいネェ。
開耶の兄さんは永久に何を見るんだろうネェ。
アタシァ今しか判らぬ刹那の者、けれどアタシが在る限り今は連綿と続き、騒がしいも静かも楽しめるは今だけさァ。
[常盤の娘に微笑んだ。]
常盤の君、わたくしは別段気にもなりませんが……。女人の肌は、世を忍ぶ仮の姿でも、妖しの姿でも、見慣れております故。水浴びなさりたかったら、どうぞ?
[そして、ふぅと溜息をつく。]
鬼ごっこ……ですか。困りましたねぇ。
嗚呼、妖しを殺めることは気が引けてしまいます……。
ですか、それが主の望みなのですか……?
[司棋の顔に、差した覚えの無い紅が浮かぶ。]
………おや。
大丈夫ですか?司棋さん。もう少しお水を飲まれてはいかがでしょう……?
[遥月は、司棋を心配そうに見つめている。]
[遥月から] [顔逸らす] [司棋の様子]
[長い睫毛] [また瞬いて] [小首傾げ]
遥月の兄さんが如何かしたのかえ?
さて。
見分ける術を持つ者と。
それが真実と言い切れる者もいるまいに。
[白に紅の者。
皆が呼ぶ名は遥月と云ったか]
…己が手で捜すか。
己が手で、殺めるか、か。
[取り出す扇。
開きはせずにゆぅるり返し]
[こちらを見つめてくる遥月へは何とか返答をしようとも。
顔が自然俯いてしまうのはどうしようもなく]
酔いはたいしたこともなく…今朝方頂いた水で既にさめておりますのでご心配は無用ですよ
[視線は直にそらし。
夜斗も不思議そうにきゅうんと司棋を見つめるも、...は言うなといいたいばかりに夜斗の頭を撫で付ける。]
あの…その…昨日、水を頂戴した時に少し。
僕は寝ていたのですが…少し思い当たることが。
いえ、これくらいで取り乱す自分が慣れていないのでしょう、お忘れください。
そうそう、面倒でも主様の命とあっちゃぁ……
なぁ?
[琥珀に向けてにやり笑い。
ちらと司棋に視線を向けて]
まぁそれすらご所望ってこったろうさぁ。
ヒトの姿から戻れねぇ呪いが続いてんのは
どうやら俺達だけみたいだしねぇ。
お仲間も俺達を不審の眼でみてらぁな。
とっとと見極めてしまわねぇと
アッチに殺されちまいかねねぇわなぁ。
[軽く哂ってそれから問う]
どうした司棋、
まだ酒が残ってんのかい?
赤鬼を追うかい、碧鬼?
それぁ面白れぇ、
本気で逃げないと捕まっちまいそうだ。
追って追われて、悪くねぇ。
[笑いを含んで言葉を紡ぐ。]
櫻の樹の満開の下はくらくらしちまうな。
掻っ攫ってイカレそうな気分になるぜ。
其れも悪くはねぇが、
せいぜい気をつけるさあ。
[金色細めて真理を見る、
さくら、さくら霞か雲か。]
ええ。
[琥珀色の男に、ゆるりと視線を流す。]
……しかして、琥珀の方。
わたくし、貴方と相見えるのは初めてかと存じます。
わたくしの名は、遥月。
遥かなる月、と書きまして、「はづき」と申します。
……以後、御見知り置きを。
[男が差し出した扇からは、仄かに香。遥月は唇に指をあて、己の指先を舌でちろりと舐める。]
遥月の兄さんが気にせずともこンだけ人が居たらアタシが厭だヨゥ。
水浴びは延期さァ。
[パシャリ] [水面叩き] [揺れる湖面] [夫婦金魚]
[寄り添い] [離れて] [擦違い] [また寄り添うか]
御狐様の結界で魂すら祀りに留まるかも知れないネェ。
主様は人の魂も妖の魂も喰ろうてしまうお心算かえ?
[金魚追いかけ] [碧の端] [映る扇]
[長い睫毛] [ゆるり] [瞬き] [金魚を眺め]
真にどれほどの価値があるのかえ?
開耶の兄さんは誰を追うか追われるか、鬼ごっこの始まりかえ?
嗚呼、恐い、怖い、強いネェ。
[ゆぅるり。
留まらぬ視線は常盤へと]
…面倒は好まぬ。
我は静かの許に在りたいだけだ。
刹那の賑わいは永久の寂寥。
永久が永くばそれは募る。
[くつり、零れる嗤い声]
募る想いは狂わせる。
嗚呼、我は狂っているのだろうよ。
[笑む隻眼に閉じた扇は向けられて]
さて、それは何を意味するか?
其方はどうにも騒がしが好きなようだ。
我とは相容れぬようだが。
[遥月と] [頬染める司棋] [交互に見遣り]
[ニィ] [吊り上がる] [薔薇色の唇] [開く]
…はァん?
水を頂戴した折にネェ?
詳しくは訊かないでおこうかィ。
[コロコロコロリ] [軽やかに笑い]
別段に慣れずとも司棋の兄さんのそう言う処は可愛くて好きだヨゥ。
[司棋が俯く姿を見て気掛かりな色を浮かべるも、『大丈夫』と宥める彼の言葉を聞き、目を細める。]
左様でございますか……。
ならば、これから御酒は控え目に。お気をつけ下さいませね。
[そして、常盤の娘に微笑んだ。]
……嗚呼、そうでしたか。
わたくしは見られても気にしない質なので、気がつきませんでした……。
これはたいへん失礼致しました。
以後、覚えておくことに致しましょう……。
……お願いします、聞かないで下さい…。
それと出来たら可愛い、も…
子供ではないのですから…
[真理の笑顔にまた紅が差し。
やはりからかい苦手なようで終いの声も小さく]
主様はヒトの魂もアヤカシの魂も喰らうつもりか、か。
アヤカシの魂は美味いのかねぇ。
[くくくと笑って謂う言葉、
愉快そうに肩揺らす。
扇を向けられ腕組みをして]
さぁて、何だろうね。
琥珀の兄さんはお祭り騒ぎは好かねぇかい。
一杯呑んでみりゃぁ悪くねぇと思えるかもしれねぇぞ?
俺ぁ騒がしい方が好みでなぁ。
永久も刹那も紙一重さ。
愉しまなきゃ損ってな。
[ずいと身体を前のめり、
琥珀の男を覗き込む]
さァて、如何しようネェ?
摑まえて喰ろうてしまおうかえ?
けれど茄子の兄さんは六博打つにゃ運が足りないみたいだし、喰児が居ないと林檎飴にありつけなくなっちまうヨゥ。
[碧の眼差し] [未だ咲ききらぬ] [桜仰ぎ] [睫毛震わせ]
[金色の双眸] [向き直るも] [碧は幾らか] [夢見心地か]
いかれちまうにゃ未だ早いヨゥ。
酒を酌して呉れるってェ謂ってたじゃないかえ?
猪口も探して来たんだからネェ。
[開耶へと顔を向け] [小首を傾げ] [瞬く様] [あどけなく]
開耶の兄さんは寂しいのかえ?
先の先の先まで考え寂しくなるより、今を楽しむのも悪く無いヨゥ。
手始めに今宵は一献、開耶の兄さんも皆と共に酒でも如何かえ?
遥月。
…どうやら覚えおく必要が在りそうだ。
我は開耶。
其方が覚えおくかは任せよう。
[返る扇は開かれぬまま。
その隙から甘い香を漂わせるのみ]
虚言は好まぬ。それだけのこと。
さて、誰を追うか。追うは面倒だ。
追われれば逃げるのみ。
しかして…其処の赤は人も妖も気にはせぬ気がするが。
[常盤に返し、示すは隻眼]
[視線を向ければ隻眼は先程より近く]
杯も飽きた。
刹那の内は呑みたくなくとも呑まされる。
我には刹那と永久は異なり過ぎる。
愉しむ気にもならぬ。
[扇は隻眼を遮るように。
開きはせぬまま押し戻す素振り]
もう訊かないヨゥ。
でも何かあったら相談には乗るからネェ。
恥ずかしがってばかり居ないでちゃんと訊くんだヨゥ?
[コロコロ笑い] [覗く碧] [柔らか]
初めでだらけの初々しさは童子にも似てるけどネェ。
司棋の兄さんは褒められるのは苦手かえ?
中/
あなたは悪役です。以上。
あなたは悪役です。以上。
あなたは悪役です。以上。
…ストレートですね(笑)
連呼したくなっちゃうような。
御酒を飲んで、目を塞がれ、頼り無きまま鬼ごっこ……まるで芸者遊びの様ですねぇ。
「鬼さんこちら、手の鳴る方へ……」
さても、鬼はどなたで、逃げるは何処……?
[開耶の懐から出た扇の香りにまた眩暈を覚えながらも]
昼は鬼ごっこを、夜はまた飲み明かす。
一体どんな道楽なのでしょうね。
…命がかかっていることを除けば。
褒められ…って…貴女が僕を褒めたつもりでも
僕にはそうとは…。
そして相談って何の相談を?
[小さくすねながらそっぽを向き]
開耶…とか言う人の扇、あの香で眩暈がするのは…鼻が利きすぎるということでしょうか。
あぁ、本当に頭が痛い…
[またつむりを抑えて吐き捨て]
アタシも人か鬼かが問題じゃなく、アタシが好きか嫌いかさァ。
一緒に酒を呑めるンなら人も鬼もなく楽しいじゃないかィ。
追われれば敵と見做すも矢張り人も鬼も関わり無いネェ。
誰も追わぬと謂うのなら開耶の兄さんはアタシの敵じゃないヨゥ。
其ンだけ判れば充分さァ。
[扇より漂う甘い香り] [混じる白粉の香りもまた甘いか]
芸者遊びたァ中々に洒落てるネェ。
所詮は刹那の時なれば命を賭けて道楽三昧も好いのかネェ。
[常盤の問い。瞬いて]
…さて。
そうなのやもしれぬ。違うのやもしれぬ。
ただ虚しきが積もるのみ。
刹那の楽しみと後の虚無。
繰り返しばかりでもう飽きた。
…気が向けば相伴させていただこう。
[風に揺れる常盤色
薔薇色唇ふぅわり動き
それに金色細めて答え]
そう謂ってやるなぃ、
青鬼も今日にはアラシやもしれねぇぞ?
青鬼赤鬼揃やぁ強ぇさ。
また林檎飴を食わせてやるぜ。
[まだまだ早い、
謂われて笑い]
探して来てくれたのかい、
そいつぁ嬉しいねえ。
安心しな、酌み交わすまでは消えねぇさぁ。
開耶……様。
その香と共に、覚えておきましょう。
よろしくお願い致します。
[開耶ににこりと微笑み、もう一度指先を唇に。]
……ふぅ。
そうですねえ、司棋様。
妖しと人間の御座敷遊び……それだけならばまだしも。
可愛いが気に入らぬなら愛しいとでも謂おうかネェ。
抱き締めて頭を撫でて仕舞いたくなるヨゥ。
おや、何の相談か謂っても好いのかえ?
[逸らされる顔] [ニィと笑み] [横から覗く]
[揺れる常盤色] [薫る白粉] [微か桜] [ふぅわり]
アタシァ香りを纏ってるから開那の兄さんの香りは気にならないヨゥ。
妖の力が何処に潜んでいるかは判らぬし気をつけた方が好いかもネェ。
つれないねぇ、
琥珀の兄さん。
今は今しかないんだぜぇ?
[扇をぱちんと指で弾いた。
ごくごく軽くからかう様に
笑いはにやりと浮かべたままで]
芸者遊び、
ははは、謂いえてらぁ。
命が掛かってるからこその道楽だぜぇ。
[常盤色の声にまた溜息こぼれ]
どうか辞退したく。
貴女にまで触れられたら本当にどうにかなりそうな。
どうせ乗るなら別な相談を。
桜の香もこの程度に香るのがよろしいのですよ。
意識せずにもわかる程強い香はいりませぬ。
夜斗も顔を顰めてる。
僕は…その、どちらかといえばあの林檎飴の方が忘れられませんが。
あの人は昨日、勝てたのですかね?
虚しい虚しいと呟いてもきっと明日も虚しいヨゥ。
静かを捜すが開那の兄さんが楽しむ為なら好いけどネェ。
飽く程に呑んだ後かえ?
そンなら皆で酒の肴に芸でも見せ合うのは如何かえ?
近くきっと開那の兄さんの気が向いて一緒に呑めるヨゥ。
[そんな気がする] [そう謂って] [コロコロ軽やかに笑い]
[細まる金色] [倣い眇める碧] [またコロコロコロリ笑い]
そうだネェ、今日もまた楽しみにしておこうかィ。
赤鬼と青鬼から一つずつ林檎飴と苺飴を貰えるかネェ。
[笑う赤鬼] [ニィと笑み] [見詰める碧] [柔らか]
アタシァ今しか判らないからネェ。
消えちまわないうちにまた酒を呑みたいヨゥ。
[零れる溜息] [返るは] [軽やかな笑い]
如何にか成るなンて謂われたら、如何成るのか試して見てみたくなっちまうヨゥ。
別の相談も何でも司棋の話は何時でも聴かせてお呉れヨゥ。
こうして話せる事すら、アタシァ嬉しいンだからさァ。
可哀想に、強い香りは夜斗にはさぞ不愉快だろうネェ。
茄子の兄さんはまた負けちまったけれど、一緒に行った青鬼が勝ったお陰で司棋への土産はちゃあんと持って帰ったから安心おしヨゥ。
好きか嫌いか。
判り易いは嫌いではない。
追われねば我も刃は向けまいよ。
追われて向けるも面倒だが。
[揺らぐ扇はただ香を散らす。
幻を生み出さぬそれは仄かだろうが]
[隻眼に弾かれれば司棋の様子に気付き。
するり扇は懐の内]
我には所詮、意味無きものよ。
全ては我を放って通り過ぎる。
[隻眼に言うはそれだけ。続く言葉は聞き流し]
[遥月より繰り返される己が名。
唇に指先を当てるを見、僅かな目礼]
虚しいことしか知らぬなら何ゆえそれが虚しいとわかるのでしょうか…。
虚しくない時を知ってこそが虚しさを知る術でありましょうに。
こな方々は皆随分と楽しまれていたご様子、是非に一献、酌み交わされても損はありますまいよ。
虚しさと騒々しさ、どちらを取られるかは開耶様が決めること。
名を呉れた人がもう居らずとも、目の前の者達を狩る時は近かろうとも、だって今はこんなに楽しいじゃないかィ。
過去より未来より今が好いヨゥ。
[常盤の言。司棋の言。
ゆぅるり、息は零れ落ち]
刹那の愉しきが虚しさを募らせる。
なれば愉しきを忘れれば虚しさも忘れられよう。
[琥珀の瞳は目蓋の奥へ]
今は未だ、我の刹那は未だ遠い。
刹那が来れば嫌でも呑む。
芸などと言われようが、我が出来るは唯ひとつ。
酔う者も在る故にあまり遣りたくはないのだが。
[返す言。
既にその場に在ることが決まっているかのようだが。
全ては無意識の内、気付きもせず]
[また子ども扱いされているのかと唇を尖らせ。
常盤色に映える薔薇色の唇へと小さく己のソレを重ね]
試せるものなら試してみては?…余裕のある時に、ね。
僕も貴女とこうできるのは別段嫌いじゃない。
綺麗な華の似合う人、どうかあまりからかわないで下さると。僕も困ってしまう。
でないと別の華を綺麗な肌に咲かせたくもなりますよ。
[林檎飴の一言にはまたゆるく笑い]
あぁ、青司さんは約束は守ってくださる方でしたか。
今晩お会いするのを楽しみに。
次はご同行させて頂きたいな。
……左様ですか。
嗚呼、酒の席で命を掛けて鬼ごっこ。
……空虚で、哀しく、畏しい……。
愉快愉快と笑うはどなた?
芸者衆に紅を施すは、わたくしの仮姿……嗚呼、何の因果でしょうねぇ。
[ふと香る扇に視線をやり、一礼。]
嗚呼、皆様。
一度わたくし、御暇致します。
また月が昇る時にでも。
そ、好きか嫌いか、簡単だろゥ?
刃を向けられぬなら安心して酒を酌み交わせるヨゥ。
でも追いかけて尚も遊んで呉れぬとは開那の兄さんはつれないネェ。
[何の話をしてか] [薔薇色の唇] [ニィと笑み]
[ゆるり] [首振り] [目蓋の裏] [琥珀覗く様に]
永久は寂しさつのるから、アタシァ刹那に遊ぶのァ。
今だけならば楽しいヨゥ。
開那の兄さんはアタシと反対だネェ。
アタシは今だけ切り取って、兄さんは全部切り捨てるかえ?
酔わせる芸はどんなかえ?
無理にとは謂わねど機会があれば観てみたいネェ。
[カラリ][コロリ] [下駄鳴らし]
[知らぬ者も混じる賑わいの中へと歩み出し]
なんじゃ、今日は随分客人が多いのぅ。
[まるで泉が家だとでも言うように]
[琥珀の男に視線を合わせれば]
汝れとはお初にお目にかかるか。
いや――気のせいか、初めてのような気がせぬ。
なれど恐らくは初めてであろう。
妾は白水――好きなように呼ぶといい。
芸か、いいねぇ。
司棋なら花を、
白水なら水を、
皆は何を見せてくれるのか。
琥珀の兄さんは舞いでも舞ってくれんのかねぇ。
[楽しそうに笑いながら]
緩急が大事さ、
鬼ごっこの後はまた賽の眼で遊ぼうぜぇ。
青鬼赤鬼出陣ってな。
飴の所望が増えちまったなあ、こりゃ大変だぁ。
[はははと笑う声は楽しげ]
[瞼を持ち上げる。体の違和感に慣れず緩慢に起き上がり]
[見回せば社の一画。]
あやかしに関わる輩がおるのか…。
[懐から取り出す珠。
鈍く鈍く青が赤に変わりかけていて...]
面倒な…。ゆくぞ、火影。垂氷。
[立ち上がり、その場をあとに]
[尖る唇] [微か] [薔薇色掠め] [遠退いて]
[長い睫毛] [瞬き] [紅い舌] [ちろり覗く]
[浮かぶ笑み] [艶やかに] [色めく] [桜の香]
アタシの唇は高いヨゥ?
困る割にはじゃれつかれたら、アタシァ如何すりゃ好いかネェ。
もっとからかえば好いンかえ?
[コロコロ笑い] [そぅと] [赤の髪梳く手] [優しいか]
今宵もまたきっと六博振りに行くさァ。
司棋の兄さんも一緒に来て振ると好いヨゥ。
[離れる遥月には軽く会釈を、現れた白水と万次郎にも微笑みで挨拶を]
芸ならばお望みの限り。
それで酒が辞退できるのならば。
さて、僕も暫く失礼を。
鬼ごっことやらを始めるのならやはり先触れは頂きたく。
また、後ほど*お会いしましょう*。
何も…。
守るには攻めるしかありませぬ。
貴女にいたずらをされる前にこちらから。
[赤い髪梳く白い手に心地よさそうに。
蒼い目黒い眼三日月に]
夜は是非…。
それでは、暫く失礼を
[もう一度だけ唇に軽く触れ、ふわり現れた蛍火が消えるころ、夜斗も...も消えうせた]
[カラコロ
足を運ぶ途中集まる者達を認めて]
昼日中から宴か?
どうやら…この辺りのあやかしは、集まるのが好きなのだな。
[言いながら歩み寄る。
狩らん殺 カラン殺 カランコロ...]
ヒトの匂い…、其方達は気付いたか?
おや、白水の姐さん。
丁度好かったヨゥ。
昨夜泉に邪魔したら気配があったから遠慮したんだァ。
今日はずっと人が多くて水も浴びれない有様さァ。
今宵からは半刻程でもアタシに泉を貸しと呉れヨゥ。
[笑う赤鬼] [つられて笑う声] [コロコロリ]
[鈴の転がる音か] [はたまた六博振られる音か]
謂ったアタシァ大した芸も持ってないけどネェ。
今宵は二人でアラシなんだろゥ?
林檎飴がお気に入りな司棋も来たがるかも知れないネェ。
[二方へ離れる遥月と司棋。
双方へ会釈を向け僅か見送り]
面倒でなくば付き合いもするが。
…やれ、何やら面倒な気しかせぬ。
[目蓋開けば弧を描く薔薇色]
繰り返されれば飽きもする。
刹那は短過ぎて癒されもせぬ。
ならば全てを捨てるのみ。
見せるは構わぬが此処では他も巻き込もう。
機会が在るならば何れその時に。
異国人 マンジローは時間を進めたいらしい。
恐れも空虚も悲しみも
臓腑の中に納めちまやぁ同じだぜぇ。
[ひらっと手を振る遥月に向け]
白水も来たのかい?
話はもう聞き及んでるのかね。
喰児は芸をお望みかえ?
機会があらば――
[くすり][くすくす] [怪しい笑みを]
……こう言って、鬼ごっこは実現したのであったのぅ。
[愉しそうな紅は喰児をとらえ]
[向ける琥珀は紅い瞳に。
さてこれで幾人目か]
さぁ、幾度目かもしれぬが我にはわからぬ。
覚えになければ初めてと同じ。
白水。
我は開耶。覚えおくも忘るるも任せよう。
[隻眼の声]
…舞いで良くば出来なくもない。
それならば他を酔わせずとも済むか。
[そして視線は常葉の少女]
妾は何も気にせんが――汝れが気にするのであれば妾は去ろう。
水を浴びたければいつでも来ると良い。
妾は今からもぐるがの。
[帯を解けば泉のほとり]
[衣脱ぎ捨て水面を歩む]
[泉の中程 歩みを止めて]
[するりと水の中に*沈んだ*]
修道女 ステラは時間を進めたいらしい。
おや、好く判ったネェ。
アタシァ面倒で手がかかる割りに後には何も残らない、開那の兄さんの厭う処の無駄を集めて出来ている様なもンさァ。
[現れる琥珀] [覗いて] [僅か弧に笑む碧]
生憎とアタシァ未だ未だ飽きぬからネェ。
欲張りだと、茄子の兄さんにも謂われたっけェ。
削いで捨てて開那の兄さんに残るは何え?
無と違う何が其処に在るのか教えて貰いたいネェ。
楽しみにしてるヨゥ。
他を巻き込まぬ折が好ければ何時でも着いて行こうかァ。
[赤鬼の姿、白水に真理を認め]
ふむ、青鬼は居らぬな。
代わりに…昨日の―香の君―か。
入れ替わり立ち替わり……。賑やかな事だ。
[去り往く] [遥月] [司棋] [見送り]
[白い手] [ひら] [ひら] [ひらり] [振り]
夜に呑もうネェ。
[白水の衣] [解かれ] [ニィと笑む]
白水の姐さんと違って生憎と人前で晒す気は無いんでネェ。
有難く借り受けるとするヨゥ。
[狩らん殺] [下駄の音連れ] [現れる万次郎]
おや、兄さんもお出ましかえ?
酒宴は宵と決まったらしいヨゥ。
昼間は鬼ごっこなんだってさァ。
さァて、ただとは謂わせないヨゥ?
この唇の御代は何で払って貰おうかィ。
[白い指] [ニィと笑む] [薔薇色の唇に添え]
[寄せられる唇] [微か触れるのに] [コロコロ笑い]
またネェ。
次に逢う時は、たっぷりとお返しさせて貰うヨゥ。
[言に似た下駄の音。
覚えのあるそれにゆぅるり目を向ける]
…嗚呼、そういえば其方も呪いの内か。
どうやら其方は狐の言は聞いておらぬか。
[言うも誰かが――恐らくは隻眼が――説明するだろうと。
それ以上の口は開かずに]
[香の君]
[その言葉に瞬く]
……それは我のことか?
万次郎じゃねぇかい。
気づいているともさ。ヒトを屠れと謂われたことだしな。
刀を振るう機会が出来たんじゃねぇか?
それともご機嫌取りが大変かい?
[緋の髪ゆらゆら揶揄含み。
真理の笑いに眼を向けて]
俺だって見せられんのは怪力くらいなもんさ。
岩でも割って見せようか。
二人でアラシ、豪勢なこったぁ。
ご期待に添えるかねえ。
司棋にも振らせてみりゃぁ楽しいかも知れねぇ。
[常磐色に体向け、片眉を持ち上げる]
夜は酒宴、昼は鬼ごっこ?
酒宴は解る。なんだ、鬼ごっことは。
我らあやかしに、ごっこもなにもなかろう?
それとも―紛れ込んだヒトの匂いを、其方も覚えたか?
[辺りを剣呑に見回し、そのままに常磐色を見据え]
そうだったなぁ、白鬼。
言葉は呪と謂うがねえ、まさかその通りになるたぁな。
鬼と鬼ごっこだ、やはり俺が鬼の先生かい?
[なんてなぁと笑う笑う。
水底に帰る白を見送り、琥珀の答えに破顔した。]
ははは、舞ってくれるか、そりゃぁいい。
さぞかしいい香りが漂うだろうよ。
酒も旨くなるってもんだ。
そのとおり。其方は戻れずとも不便は無さそうだが…。
狐の言とな…其れは知らぬが、ヒトの匂いくらいは見当がつく。
[瞬く琥珀色に頷く。緩と首を捻り]
名を聞いた覚えが無かったものでな。
我は、万次郎と呼ばれておるよ、香の君。
[相手の問いを肯定し、重ねて呼ぶは勝手な名前]
[揺れる紅の髪] [攫う春の風]
[解れた常盤] [白い指がかきあげ]
岩を割るなら片付けが楽な処でしと呉れヨゥ?
主様の祀りに散らかしたら御狐様が五月蝿そうさァ。
司棋が一番強かったりしてネェ。
今宵も連れ立って打ちに行こうじゃないかィ。
[万次郎の様子] [瞬いて] [小首傾げ]
芸者遊びに命がけの道楽で鬼ごっこなんだってさァ。
気付くも何も、今朝方には御狐様から聴いたヨゥ。
…それは確かに面倒だ。
[ゆぅるり、息を吐き]
刹那の愉しみを望むのならばそれも良い。
我は飽きた、それだけのこと。
末に残るは我にもわからぬ。
成ってみればわかることだろう。
…ところで、幾度か聞いたが。
『茄子』とは何ぞ?
茄子の妖でも在るのか?
[問うその脳裏には何やら珍妙な図が巡っているやもしれず]
なれど此処は祭りの場。
他が居らぬ場所なぞまず在るまい。
見せらるるは祭りの終わりやもしれぬな。
アタシと司棋を主様の供物にするってェネェ。
嗚呼、恐い、怖い、強いネェ。
[詠う様] [囁く声] [楽しげ]
[隻眼の破顔に返るは苦いもの]
さて、其方らの望むようなものが舞えるとも思わぬが。
過度の期待はせぬよう。
[手は知らずまた扇に触れる。
懐の内、取り出しはせぬが]
[首を捻る万次郎に瞳は細められ]
…我は開耶。
名乗らなかった我にも非は有ろうが、その名は止せ。
[落ちる息。地に触れる前に消え]
先にも言ったが、我は人は好かぬ。
この姿は不満だ。
其の面倒が楽しいンだヨゥ。
[きっと] [付け加え] [また笑う]
静かを好むなら其れも好いとは思うけどネェ。
アタシにそう見えるだけとしても今の開那の兄さんは寂しそうさァ。
面倒につき合わせてやろうかと思っちまうヨゥ。
嗚呼、茄子の兄さんは藍いのさァ。
林檎飴の赤と混ぜて紫、茄子の色ってネェ。
きっと其の内からから笑いながら出てくるヨゥ。
[瞬き] [琥珀見詰め] [息を吐き]
アタシァ気が短いンだァ。
鬼ごっこも始まるらしいし何時消えるか先の事なンざァ判らないのに、そんな先の話をされても駄目って謂われてるのと変わらないヨゥ。
[―――我は人は好かぬ。]
当然と謂えば当然だけどネェ。
アタシァ嫌われちまってるかィ。
嗚呼、淋しい、寂しいネェ。
悲しくて、哀しくて泣き出さない様に、今だけ味わおうかネェ。
何も謂わねば判るまいさァ。
暴かれれば厭われようも、其れは矢張り今では無いネェ。
こうして過ごすこの時を楽しまぬと、アタシには何も残らないからネェ。
片付けかぁ、面倒だなあ。
御狐様に喧しく謂われちゃぁたまらねえからなあ。
しかし他に芸がねえな。
[強いかもねと例えを出され、
犬と少年思い浮かべ]
無欲が一番強ぇって謂うしなあ。
有り得ない話じゃねえ。
よおし、司棋も引き連れてご一行様といくかあ。
[琥珀のため息、笑って飛ばして]
難しく考えんじゃねえよ。
舞うことに意義があんのさ。
楽しみにしてるぜえ?
[赤鬼の笑みには軽く睨みを向けた]
随分と嬉しそうだな、赤鬼よ?
我は…この者等の
[と脇差を示して]
好きにさせるのみ。ヒトを屠るに機嫌取りなぞ必要ない。
おそらく、喜んで閃いてくれようぞ。
其方も餌食に成りたくないのなら口を慎め。
[どうもウマが合わない、と改めて思ったとか思わなかったとか]
命懸けの?上等ではないか。あやかしの性をよく視ている。
[常磐色から返る言葉に小さく笑ったようだ]
[琥珀色-開耶-の否との返事を聞いて]
…失礼した。
ならば、開耶と。
我と通ずる所があるな、其方。
其の様だと、ヒトと半端に関わる事も避けて来たように見受ける。
―――如何か?
[目を細め見透かすような視線。開耶に向け]
謂ったじゃねぇか、
俺ぁ愉しいなら何でもいいのさ。
喜んで斬るってか。
そいつぁ頼もしいなあ。
ざっくり逝ってくれんだろう?
[万次郎がじろりと睨む。
睨まれ笑って大仰に]
おお、怖ぇ怖ぇ。
せいぜい斬られないように慎むさぁ。
[はははと笑って手をひらり。
反省の色露もなし。]
ならば開那の兄さんと一緒に舞うのは如何かえ?
司棋の兄さんは林檎飴がお気に入りらしいから無欲か如何かは判らないけど、皆で六博転がすと好いヨゥ。
今宵は好物の苺飴にもありつけるかネェ。
[楽しげに] [囁いて] [ゆるり] [眼差しは水面へ]
[万次郎の] [微かな笑み] [見詰めて] [ニィと笑み]
嗚呼、恐い、怖い、強いネェ。
兄さんはアタシに振るう刀は持たぬと謂ったっけェ。
そんなおっかない獲物を向けられたら逃げないとだヨゥ。
[黒い瞳に宿るは殺気めいたひかり]
………其方で、実演してみせてもよいのだぞ。
[赤鬼に向けて低く言い放つ。
おもむろにその場へ腰を下ろすと
帯に挟んだ布を手に、垂氷をすいと抜き放ち
これ見よがしに*手入れを始めた*]
さて…我にはわからぬな。
……それも成ってみねばというところか。
[酔うていた司棋は遠く離れたろうか。
扇を取り出し閉じたままで口に当て]
そう見えるだけであろう。
我にはもう要らぬのだ。
[開かぬ扇。つぃと空気を滑り]
藍いか。藍いは良い。
空の色だ。
[色に囚われ、既に続きは聞いていないのかもしれず]
それはそうではあるのだが。
…仕方があるまいな。
酔うても文句は言うでないぞ。
やれ…気楽なことよ。
我は他に舞いなぞ見せたことがないというに。
[隻眼に言を返しつつ、扇に僅か篭る力。
それは開かんとする為の]
[万次郎の謝罪の言にひとつ頷き]
…さて、我は人とは関わりたいとも思わぬが。
人は刹那に我と関わろうとする。
そうして刹那が過ぎれば消えていくだけよ。
[ぱちり。扇の一片が開く]
…手入れの邪魔をしたらすまぬな。
そう謂う事さァ。
アタシが勝手に思うだけだし要る要らぬでは無いヨゥ。
但し、思われるせいで面倒が降りかかるかもだけどネェ?
[コロコロコロリ] [軽やかに] [笑えば薫る] [白粉]
[口許に置く] [扇子の香り] [碧の双眸] [僅か眇め]
空かィ、成る程ネェ。
茄子の兄さんは確かにあんな感じかァ。
[白い喉逸らし] [仰ぎ見る空] [一つ息吐き]
酔ってみないとそいつァ判らないヨゥ。
でも見れるンなら今は其れが好いネェ。
それはいい。
琥珀と常盤、いい取り合わせじゃねぇかい。
そこに櫻だ。好いねえ。実に好い。
[金の眼細めて顎に手を]
お気に入りってんなら碧と同じだぁな。
碧も振ってみりゃぁどうだい。
愉しいかもしれないぜ?
今日は俺も飴を齧ってみるかねぇ。
[殺気を纏った黒曜石が
刀を整え赤鬼を見た]
はははは、やってみりゃぁいいさ。
歓迎すんぜ。
矢張りいい刀だぁなあ。
[ヤる気も殺る気も心地よい。
その風体で赤鬼笑う。]
おう、そんじゃぁ初物ってわけだ、
琥珀の兄さん。
[からかうように眼を細め、
茄子談義にくくくと笑う]
茄子、茄子なぁ。
相棒も珍妙な名をつけられたもんだ。
そういやヒトが供える彼岸の馬は茄子で模られるんだったか?
こう、棒を差してだな。
[長い指で輪を作り
青空の色を切り取った。]
中/
会社のカタログ作成中なのでそっちに集中したかっただけだったり。ちらちらみてます(爆)
あぁあ終わらない〜!!
酔うって言うか、だってほら、夜斗ちゃん犬だし。
司棋ちゃんもわんこだし。
多分、においすぎてたまらないだけだと思われますよ。
アンモニアとか嗅いだら卒倒しそうな気がするです。
共に舞うはアタシじゃなくって喰児の心算だったんだけどネェ。
アタシが舞うンでも好いけどさァ。
アタシが振ると店主が泣くヨゥ。
其れに自分で振るよりも、冷かして貰う方が楽しいネェ。
今夜は幾つ取れるか、両手の林檎飴と苺飴まで届かずとも、3人から一口ずつ貰えりゃ充分な気もするヨゥ。
[しゃなしゃなり] [歩み] [凭れる] [桜の木]
刹那に遊んで呉れた礼、アタシがつけた名も中々だろゥ?
茄子の兄さんを串刺しにするンかえ?
彼岸へ駆ける馬になるにゃちぃと足りない気がするネェ。
面倒は我の望むべくではないのだがな。
[呟きは既に諦めの色を含んでいるか。
開いた一片。其処を掴み]
空の如くか。
嫌いではなさそうだ。
[会ってみねばわからぬが。
それを言葉にする前に]
[ぱん]
[強く振れば扇は全てを晒す。
舞う香は一層強くなり]
[ふぅわり、風に乗る扇。
桜を掠め、瞬間その裏側に隠し]
[次に現るときには満開の。
扇と同じ色の花弁を幾枚も散らしているだろうか]
書生 ハーヴェイは時間を進めたいらしい。
[コロコロコロリ] [返す言葉の変わり] [軽やかに笑い]
[ひらり] [はらり] [ひらはらい] [舞う花弁] [薄紅の桜]
嗚呼、良い、好いネェ。
[うっとりと] [囁く声] [甘く] [蕩けた] [吐息]
[長い睫毛] [震わせて] [花弁映し込む] [碧は潤む]
否定はせぬが…
其方が言うと何ぞ別の意に聞こえるぞ。
[開いた扇。
舞う香の内には満開の桜が見えるはず]
[ぱふり。
自身の口許を覆うように扇を当て]
さて…気には召しただろうか?
司棋にはこの香は苦しかったようだが。
[潤む碧。
それは幻の内に在るとき特有のそれか。
それともまた別のものか]
司棋の兄さんと夜斗は気に入らぬかも知れないが、アタシは開那の兄さんの芸が気に入ったヨゥ。
散り逝く桜の花弁のなんと儚く妖しい事かァ。
見るものを酔わせ惑わせる、開那の兄さんも危ないお人だネェ。
俺みたいなごついのが舞っても誰も喜ばねぇだろうよ。
舞っつうかただの祭りの踊りになっちまわあ。
獅子舞でもやってみるかねぇ。
[櫻舞う、ひらひら花弁 扇が揺れて琥珀は薫る]
見事なもんだ。
いいねぇ。これはいい。
[鮮やか艶やか花の舞
漂う香りに酔いながら]
店主が泣いちまうか、違いねぇ。
冷やかしが愉しいか、そいつぁ同感だ。
ちぃとずつでも取れるよう気張るとするさ。
物足りないとか、青鬼が聞いたら泣くぜぇ。
それとも笑うかな。
[ふふふと笑う、ひらりと櫻]
[遠く離れた外れから、ふわりと折り紙鶴を飛ばし伝言を。真理の掌に止まったかと思うと蛍火となって儚く消え、言葉が真理にだけ響く]
気に入る気に入らぬよりも…強すぎる…、彼の香は。
犬は鼻が利くともうしましょうに、あれだけ強い香なぞたかれては…。
ここまで離れなお香る強さ、どうにもできませぬよ。
しかし、嫌いではありませんが。
離れて香るのなら、よい香りと思われますよ
[舞う花弁] [白の手伸べ] [触れるは叶うか] [叶わぬか]
嗚呼、とても気に入ったヨゥ。
[凭れる桜] [潤む碧の] [訳は何処か]
[纏う色香も] [桜色] [瞬き] [ニィと笑み]
抗えば辛いのも無理は無いさァ。
アタシァ幻だって構いやしないからネェ。
[赤鬼笑えば] [碧鬼も笑うか]
獅子舞たァまた雄雄しいネェ。
林檎飴も喰児の芸も楽しみだヨゥ。
茄子の兄さんは呆れるんじゃないかえ?
あン人はアタシの顔を見ては良く溜息を吐いておいでさァ。
ははぁん、別の意味ねぇ。
さてどうだかな。
[にやり唇ゆがめた後で、
ぱんぱんぱんと手を叩き]
見事、見事だぜ。
そういう芸かい、いや術か。
愉しいねえ、ありがとうよ琥珀の兄さん。
俺ぁこの香りは好いと思うがね、
司棋のやつには刺激が強かったのかぁ?
[幻の花弁へ手を伸ばし、
はじく様な真似をする]
【中】
潜んでいるうちに纏めて置こう。
=====================
遥月が扱う毒の正体は、精液を模した白濁の液体。(もちろん性器から出ます。においや味等も本物とほぼ同じ。生殖能力はありません。)『毒の紅』とは、紅に体内から出る毒を混ぜてある状態のものです。
毒が毒として作用するためには、コマンドワードを使用する必要があります(術者、対象どちらが言ってもOK)。コマンドワードは『愛している』或いは、それ同等の言葉。(語尾や喋り方の変化に対応する為)
※コマンドワード未使用だと、毒は毒として作用しません。
毒は接触状態で発動。毒を口や腟、肛門などから注入する必要があります。そのため、killing方法は【セックス(=毒を直接粘膜に注入)中にコマンドワードを使用する】か【毒入りの紅を飲ませる+コマンドワード】かのいずれかになります。
======================
……なんかどんどんきわどい…っていうか、キワモノキャラに……orz おかしいなぁ。最初はそんなつもり無かったのに!(爆)
[白い手に] [とまる蛍火] [眺めて] [瞬き]
強過ぎる香に酔うのも一興さァ。
司棋の兄さんには天敵かも知れないネェ。
好い香りかィ。
昨夜の酒の如くに酔ってしまわぬ様に気をつけるんだヨゥ。
咲き乱れる桜は今以外を見せ付けるネェ。
名を呉れた人を想えば懐かしくもあるかァ。
其れでも巡り咲き乱れる桜は矢張り好いヨゥ。
[散った蛍火からまた小さな幾つかの蛍が舞い]
折角の好い香り、吐き気がするなどとはとても申せませなんだ。
酔うとは言っても悪酔いでしょう。
昨日の酒は中々に楽しく過ごしましたが香の場合は…どうでしょうか?
眠ってしまえば誰かに殺されてしまいそうな。
あぁ、今日も誰かに頼らなければ。
常盤の君はどうか前もってお水でも。
[くすくすと含み笑いをした声を残し、蛍火はまた*消えた*]
雄々しいかい、舞よりは性に合うだろうさ。
そいじゃぁ見繕ってこねぇとなぁ。
[1人で舞うなら小獅子だなぁ。
1人小さく呟いて]
林檎飴を獅子舞が届けてやるさぁ。
呆れ、呆れかあ、それもあるなあ。
なんだかんだで満更でもねえんじゃないか、相棒は。
[悪戯笑みを浮かべつつ]
[差し伸べる常盤の手。
弾こうとする隻眼の指]
[華は所詮幻、すぅるり擦り抜けて]
気に入ったのならば良い。
無意味に苦しませるは好まぬ。
[さて、いつ消すか。
今暫くと思うのは何故か]
[開いた扇、花弁を掬うように差し伸べて]
[乗るはずも無く擦り抜け落ちていく]
抗えばか。
司棋には見せた幻が良くなかったか。
[常盤の言。
白金の狐の伝言を見せたと思い出せば結論はそれ]
[歪む隻眼の言に目は細まり]
…其方は言葉遊びを愉しんでいる様子。
まともに取るが間違いか。
[ひらりひらり]
[落ちる花弁を迎えに揺らめく扇は。
見様には舞いの一節にも映ろうか]
酒にも香りにも呑まれない様にネェ。
林檎飴を買いに往くンなら今宵は潰れちまわぬ様、酔い覚ましの井戸水でも汲んでおこうかィ。
[笑う蛍火] [消えたなら] [そっと白い手] [引き寄せて]
[薔薇色の唇] [口接けるは] [蛍火止まった] [其の場所か]
司棋の兄さんは酔い潰れてもきっと大丈夫さァ。
殺されるよりは喰われるんじゃないかネェ。
[花弁は指をすり抜ける。
面白そうに眼で追って辿ったその先琥珀色]
言葉遊びか。
俺ぁいつでも真面目だぜえ?
[頬杖ついて笑顔のままで
金の瞳を細らせる]
今宵の宴は賑やかそうだネェ。
獅子の運ぶ林檎飴は特別に美味しそうさァ。
[すぅ] [透ける花弁] [見詰める碧] [矢張り潤んで]
[揺れる双眸] [赤鬼の金色へ向け] [僅か弧に笑ませ]
アタシに絡まれる奴ァ、大抵が呆れて諦めるのさァ。
喰児みたいに構って呉れる方が珍しいンだヨゥ。
[はらり] [ひらり] [赤鬼と碧鬼] [合間舞う花弁]
[幻術の主へ] [顔を向ける] [艶やかな笑み] [微か儚く]
司棋の兄さんは鼻が良いみたいだし、其れも原因かネェ。
こんなに綺麗なのに苦しむ訳が無いじゃないかィ。
[細まる金。
宵闇の三日月を思わせるかの如く]
そうか。
ではそういうことにしておこう。
[すぅと伸ばす腕。
その先に在る扇は微かな音と共に閉じられて]
[ぱちん]
[閉じきれば薄まり行く香。
次第に幻も解け消え逝く]
嗚呼、鼻が良い者にはきつかろうな。
それは悪いことをしてしまった。
[扇はすとんと懐に収め]
…綺麗と思われるならば幸いに。
[散り逝く櫻] [綺麗で] [綺麗で] [只] [綺麗で] [眸潤む]
[美しさ故] [幻惑の術故] [奥底で疼く] [其れは] [気付かぬふり]
/中/
…意図せず東京タワーになる回数は多いな…
しかし…お二人を付き合わせてしまっていてすまないな。
これではお二人は夜が持たないだろうに…
ちぃと遅くなるかもしれねぇが
獅子舞で運んで見せるぜ。こんな風になぁ。
[大きな掌動かして、
獅子の口の動きを真似る。
潤む碧、見て笑んで]
呆れて碧を袖にするなんざ勿体ねぇ。
俺が珍しいんじゃねぇ、見る眼がないやつが多いんじゃねぇか?
なぁんてな。
[ぱちんと鳴る音小気味よく
扇が閉じられ櫻が消える。
最後の一片掌に捕まえるように握ってみせて]
そういうことにしといてくれや。
良いもの見せてもらったぜ。
何か礼をしねぇとなぁ。
司棋の兄さんところの夜斗もさぞ辛かろうってネェ。
[消え逝く桜] [瞬いても] [碧は潤んだ侭]
なんだい、もう仕舞いかえ?
でも好いもンが見れたヨゥ、有難うネェ。
司棋の兄さんの居ない折にはまた見せと呉れヨゥ。
[赤鬼の] [大きな手] [動く様] [見守り]
[やがて何時もの] [碧の双眸] [ニィと笑み]
見る目が無い奴が大半たァ寂しいネェ。
喰児は構って呉れるから其の分寂しさ消えて嬉しいけれど、アタシァ気が短いから林檎飴は出来るだけ早く頼むヨゥ。
そゥさ、遊んで呉れるからネェ。
何の寂しい事があるもンかィ。
鬼ごっこをしようかえ?
アタシが喰ろうてやろうかえ?
妖の血肉と魂はアタシにとっては甘露な馳走。
躯抱き咲き乱れる櫻の如く、亡骸抱いて咲き乱れようかィ。
[握ったところで後には何も残らない。
幻は刹那に消える]
その言葉で充分。
我は最初から見返りなぞ求めるつもりはない。
[流すように着ていた浴衣。
僅か肌蹴けかけるのを簡易に直す]
[潤んだままの碧。
ひとつ頷いて]
あまり長くは持たぬ。
長すぎては戻ってこられなくなるやもしれぬしな。
幻は偽り。
次は真に咲くのを愉しめば良い。
別段に追われなければどっちでも好いけどさァ。
気紛れに追いかけてつれなくされて喰っちまうのも楽しいかネェ。
[カラリコロリ 遠巻きに眺める柳の輪]
[橋にかかる墨色は 半日立てばさらさら風に舞い
水の音の向こうに消える]
……また逢おうぞ。
[くるり橋に背を向けて 空気がゆらめく
ゆらり 御狐の姿。
現れる姿にゆるり、男は深々と面を下げる]
[告げられる言葉。
空気に解ける御狐を見送る藍は。
静かに瞬き、空を仰ぐ]
[開いた掌何も無く、残り香だけが漂った]
言葉だけで十分かい、
慎ましやかだねぇ、琥珀の兄さんは。
まあ何だ、そのうち俺が勝手になんか持って行くかもなぁ。
何せ初物見せてもらったわけだしな。
[ひらり手を振り余韻を味わう。
次に咲くのは真の花。真理に視線を投げてよこして]
埋もれた花を見つけられない奴らは不幸だぜえ?
皆もっと眼を鍛えるべきなのさ。
林檎飴は赤鬼青鬼に任せておきな。
[不意にすっくと立ち上がり]
獅子舞の頭でも探しに行くとするかあ。
あんな綺麗な櫻見せられちゃあこっちも気合入れないわけにはいかねえからな。
また夜に呑むとしようぜ。
かっかっかっかっか。
良いだろう。良いだろう。
[藍の瞳は細く細く]
――主様それが己の罰か。
良かろう良かろう、
赤にでも黒にでも如何様にでも染めてみせようか。
しかしそれも気分の内だがよかろうて。なぁ?
[カラからカラ 鳴る下駄。笑う声]
[林檎飴ひとつ手にふらりと何処へ行くか]
長く持たぬは惜しいネェ。
戻って来なくとも好いのにさァ。
[刹那] [遠い碧] [瞬き] [戻る] [桜の幹に身をもたせ]
[浴衣を直す様] [見詰め] [こつり] [頭を幹に寄せるか]
偽りも真も如何でも好いヨゥ。
でもこン子が咲けばきっとまた楽しいのだろうネェ。
[赤鬼の言葉] [コロコロコロリ] [笑う声]
アタシにつれないは気の毒だと思っておくさァ。
赤鬼青鬼に今宵は可愛い犬っころまで居そうだしネェ。
往くンかえ?
獅子舞も楽しみにしとくヨゥ。
[ふわ、と風とともに夜斗を伴い泉の近くへ。
それでも幻を見せる人妖達には見えぬよう
未だ残る香にまた眩暈を覚え]
〜…っ。
あぁ。幻は終わったのですか…。よかった…
[ふらり、立ち上がり少しにらむ様に翠の君へ]
…さっきの食われるとは…どういう意味で…?
あまりご冗談はお止めてくださいよ?
おや、お帰りかえ?
[睨む眼差し] [覗く碧は涼しげに] [弧に笑むばかり]
冗談なんざァ喰われかけておいて謂えた事かえ?
気をつけないと司棋の兄さんは本当に喰われちまいそうだネェ。
[コロコロコロリ] [笑う声軽く] [けれど優しく響こうか]
…求めたところで何も得られはせぬ。
それを知ったまでのこと。
無理に用意せずとも良い。
賛辞の言葉が最大の礼だ。
[直す浴衣は所詮簡易。
僅か乱れたままも気にせずに]
幻も無きに独り幻を漂うか?
刹那の愉しみすら消え失すぞ。
[つぃと向かう視線。
幹に頭を寄せるを見れば、琥珀を細める]
[そうして立ち上がる隻眼に]
嗚呼、往くのか。
また何れ、恐らく会わぬことはあるまい。
食われ…かけ…って…
[一瞬で顔に紅葉を散らし]
はぁ、大丈夫でしょう、誰もそんな物好きはおりませぬよ。寧ろ貴女がご留意すべきでは?
もっとも、そんなやからは明日明後日代わりに夜斗が本当の意味で喰ってくれましょうに。
おうよ、今宵は賑やかになりそうだぁな。
[ひらひら手振り歩き出す。
カラコロなるのは誰の下駄]
鬼さんこちら、
手の鳴る方へ……
[低く歌うわらべ歌、*雪洞の間を縫って溶け*]
[泉から離れた桜の木の影。ふらり姿を現す]
かっかっか。なんぞ皆で水浴びでもしとったか。
おやおや昨夜に無い顔。お初にお目にかかる。
まだ見ぬお仲間はちらほらおるのかのう。
[幹に頭寄せた侭] [碧の眼差しだけ] [すぃと琥珀へ移り]
枯れぬ華は詰まらないネェ。
けれど咲き乱れる桜が散り逝き続けるなら好いンだヨゥ。
刹那よりも望むもンが其処にはあるかも知れないのさァ。
[謡う赤鬼の背] [ひらり手を振り] [笑い] [現れる青鬼]
人が多くて水浴びが出来ずに難儀してたところさァ。
逢ってない奴ァ判らないけれど、未だ居るかもネェ。
[パシャリ][跳ねた水の音]
[陸にあがれば衣を着込み]
何じゃ、宴は終わりかえ?
美しい花が一瞬見えた気がしたが――。
[周りに在るはつぼみの桜花]
――咲いた姿ばかりが美しいとは限らんが
惜しいことをした気分じゃ。
[くすくす笑う][袖は口元]
[去る赤鬼と見えた青鬼]
[からころり]
[鳴る下駄の音に振り返り]
[映るは藍い]
……『茄子』?
[呼び名はそれしか知らず。
問う顔は到って真顔]
[向けられる碧。
逃れるようにか、琥珀は天に広がる枝へ]
人は桜は散るからこそというが。
所詮桜は刹那の身か。
散り逝き続ける桜に何ぞ見る?
[まるで少女の様にか] [染まる頬] [見詰め] [眇める碧]
アタシァ気をつけなくたってェ、誰も喰やしないヨゥ。
精々が呆れて遊んで呉れる程度さァ。
夜斗はアタシが危なくなっても助けて呉れるンかえ?
其んなら頼もしいネェ。
冒険家 ナサニエルは時間を進めたいらしい。
邪魔?
[小首傾げる頃] [既に姿無く] [瞬いて]
何が邪魔かも判らンけれど、邪魔より何より茄子の兄さんの林檎飴受け取らなくて好かったのかネェ。
[呼ばれる名に きょとり]
かっかっか。常葉の娘に教わったか。
まあ良い、良いか。
煮て焼いて揚げて食うのは勘弁して欲しいが。
青司とも青鬼とも呼ぶものがおる。
お前さんも好きに呼ぶと良いさ。
[茶の男にからりと笑った]
白水の姐さんお帰りィ。
[逸らされた琥珀] [見詰めた侭] [ゆるり瞬き]
散って巡ってまた咲く桜は刹那か永久かどっちだろうネェ。
躯抱き咲き乱れ散り逝く薄紅になら泡沫の夢が見れそうさァ。
[ゆるり] [首を捻り] [青鬼] [ニィと笑み]
生憎とアタシァそう言うのは気にするんだヨゥ。
茄子の兄さんに見せる程に安くも高くも無くってネェ。
昨晩は境内、今宵は泉。
普段静かな処に人が集まるのは不思議な気分じゃ。
[青司に視線をやり]
サイコロはどうであった?
――考え事をしておったので願かけに気がはいらなんだ。
[いたづらな笑顔]
ただいま、と言えばいいかの?
そんなことを口にするのは久々じゃな。
[常葉の少女へ穏やかに]
白水。
[水から上がるに名を呼んで。
扇の在る懐に緩く触れる]
望むのならば、また何れ。
繰り返すは些か疲れる。
[きょとりとした後、笑う声。
僅かつられるように口端は弧を描く]
成程、確かに空の如く。
青司、青鬼。
…青司と呼ぶとしよう。
我は開耶。
覚えるも忘るるも任せよう。
桜さくら、刹那か永久か。
不変で無い事だけが確かなものだ。
[呟き、常葉へと]
そうかいそうかい。気にするなら高くつくわ。
己は別段裸体なんぞに価値はないわ。それならいっそ安くつくか?
どちらでも良いが、色を添えねばただの肉よ。
[くつり薄い笑みを浮かべてから白の視線に]
ひとつ届かずといった所だのう。
4の4の5だったか、毎度最後の一つが届かぬわ。
次は気を入れて願掛けしてもらおうかの。
考え事が解消されねば気は入らぬか?
[開耶に向けたは優しい紅。]
いずれ本物が咲く。さすれば共に花見をしよう。
美しいからと言って望みすぎれば汝れも桜も疲れよう。
[青司の言葉にゆるりと首を振り]
考え事は過去の幻。解消も何もあるまいよ。
毎度とどかぬのもまた汝れの運か。
[くすくす][相も変わらず愉しそうに]
妾はちぃと歩いてこよう。
泉は自由に使うといい。
[カラリ][コロリ]
[歩む先は*どこへともなく*]
応。好きにいたせ。
開耶か、安心せい物覚えは良い方じゃ。
空の如くとは一体なんの事やら。
色の事なら…お前さんはそうさなぁ、
[開耶をまじりと見詰め]
地の様か?
[みもふたもない]
偶にゃそんな台詞も好いだろゥ?
[白の少女に小首傾げ] [揺れる常盤色]
[視界の端] [扇の仕舞われた] [袂揺れ]
楽しみにしてるヨゥ。
叶うなら其ン時ァ誰も居ないと嬉しいネェ。
[青鬼の言葉] [開那の言葉] [ゆるり] [瞬き]
また華咲けば永久の華無しとは言わぬとは思うけどネェ。
答えは人それぞれだろうさァ。
茄子の兄さんは其の身に色でも添えたいのかえ?
なんなら手伝うヨゥ。
[くすくす白が笑う]
白はそのように笑うてばかりじゃ。
己の顔に何か可笑しなものでもついておるのかの。
[林檎飴を指に挟み、さらり顎を撫でる]
左様か。過去では賽の目ひとつどころか遥か遠く届くまいて。
解消も何もないならば、己が運で切り開くしかあるまいなぁ。
[苦笑を浮かべ、白を見送る]
[紅に映る色に眼は細め]
何れか。
さて、今年の刹那は遅いか早いか。
…花見は気が向いたならば。
[去り行く姿を見送りて]
物覚えは良いか、それは助かる。
[青司の言にそう答えるは、先の万次郎の呼び名の所為か]
色に心。
どちらもであろうか。
[まじりと向けられる視線に瞬き、続く言に]
…さて、好きに言うが良い。
空に地と言われるは些か奇妙な気になるが。
己に色を添えて如何すると云うのか。
色とは食らう時に添えるものよ。
それでも尚手伝うと云うか?
[くつくつくつ、肩を揺らし。常葉の目を覗き見る]
[ふわり、夜斗に掴まりどこからともなく泉の近くへ降り立つと幾つか感じる人妖の気配、かすか香る覚えある香り]
これは…皆様方おそろいで。
また何か鬼ごっこのご相談でも?
[遠目からもわかるほど鮮やかな色に眼を細め]
咲くを待つは長き時。
それこそ永久を思うほど。
[すぃと巡り琥珀は空へ]
…独り幻に溶けたいか?
[ゆぅるり。
碧に向かう口許を彩るは笑みの色]
色に心か。
成る程、しかし己は空ほど広くはありはせぬわ。かっかっか。
なぁに、色を見て云ったまでよ。
他意などありはせぬが、奇妙な気とな?
[揺れる肩] [覗く藍の眼差し]
[受け止める碧] [弧に笑むか]
打つ呑むは味わったし次は買う代わりに色事かえ?
好いネェ、茄子の兄さんなら煮ても焼いても旨そうさァ。
[コロコロコロリ] [笑う声軽やか]
[現れる赤の少年] [顔向け微笑み]
司棋の兄さん、お帰りィ。
[夜店の駄菓子の甘い香りが漂う。
懐中を確かめて]
まぁ、腹が減っては何もできないな。素寒貧でもなし。
[夜店の明かりのほうへ向かう。]
鬼ごっこに相談も何もあるまいて。
じゃんけんほいで終わりじゃろう。
それとも何か別の鬼ごっこの相談かのう?
[幹に身をもたせたまま、ゆるり見回してから]
司棋や司棋。近こう寄れ寄れ。
[泉の傍にいる司棋を手招く]
司棋か。
[香は薄められたろうか。
辺りへ視線を巡らせれど、香の有り様が見えるはずなく]
[藍に向かうは流し眼に]
からり晴れた夏の空。
やれ、広さは無いか。それも良かろう。
空と地は相反と同時に常に共に。
何、大して深い意は有りはせぬ。
ほれ、約束の林檎じゃ。
[ずいと司棋の前に林檎飴を差し出し]
赤鬼にも感謝いたせ。
頼もしい相棒は見事ジゴロを引き当ておったわ。
[コロコロコロリ笑う声に
からからからり笑い声重なる]
色を添えれば食らうと云うておろう。
やれやれ旨そうとは己を食うつもりか。
気の早いお前さんに今にも齧られてしまいそうだ。
おお怖い怖い。
尤も心して食わんと腹を下すがなぁ?
[口元を上げると向けられる琥珀の瞳]
さてはてお前さんは豊穣の大地かそれとも乾いた砂地か。
赤鬼さんに青鬼さん。次は空と地か。
可笑しき縁の多い事だ。
[開耶より名を呼ばれ、微笑みながら]
先程の香、僕がいる所まで香ってまいりました。
よほど強いのかと思いましたが…よい香りでしたよ。
今は大丈夫です。ご心配をおかけしたようで。
[ついで青司より林檎飴を受け取ると心底嬉しそうに笑い]
ありがとうございます。
赤鬼…?はて、では喰児様が…?
青司様がとられたものではなく?しかしながらそのお心遣い、嬉しいですよ。遠慮なく頂戴します。
また次行かれる時は是非お連れ下さい。
その賽をふる遊戯、見てみたく思います。
[一口、齧りながらまた眼を細めて笑い。蒼い目が一瞬鮮やかさを増した]
待てば咲くなら永久じゃ無いヨゥ。
仮令咲かずも信じて待つのは好いじゃないかィ。
[浮かぶ笑みに] [薔薇色の唇] [ニィと笑み返し]
何処に在ってもアタシァアタシさァ。
幻に解けるンじゃなくて其ン時ァ幻がアタシに成るのさァ。
[青鬼に] [ニィと笑み]
生憎とアタシァ腹は丈夫だヨゥ。
[ひらり] [ひらり] [周囲へと] [白の手振って]
さァさ、いい加減に水を浴びさせてお呉れヨゥ。
みんな散った散った、覗く莫迦も居ないだろうけどさァ。
[鬼を祓い] [静まれば] [水を浴び] [*其の内に何処かへ*]
良い良い。その顔が見れて林檎飴も本懐じゃろうて。
[嬉しそうな笑みを浮かべる司棋の髪をくしゃり撫ぜる]
喰が得た分は己が食ろうた。
司棋のそれは己が買うた分よ。
うむ。頭数は多い方がよかろうて、
案外お前のような者こそがアラシを出したりしてな。
[蒼い瞳、頭を撫ぜていた手はすいと降りて
ひとさし指を司棋の瞼に当てる]
その目は怖いのう。なんでも聞いてしまいそうじゃ。
あとで瞼を縫い付けてしまおうか?
[くつり、本気か冗談か。笑む]
[お面に風車、びいどろに風鈴
目にもあやな数々の品がずらりと並ぶ店先
ひときわ甘い香りの漂う店の前に足を止め]
小父さん、カルメ焼きを二つくれるかい?
ああ、ありがとう。それと、冷やし飴のあるお店を知ってる?
[店主に教わった店で目当てのものを手に入れると、
落ち着いて飲み食いできそうなところを求め、木立の中に入っていく]
?……これは……もしかして、とんだ百鬼夜行かぁ?……
[ふふっと笑みをこぼすと、輩のものと思しきいくつかの気配のほうに向かった]
さて。
どちらであるかは我にはわからぬ。
地と言うたは其方であろう、其方が決めるが良い。
赤鬼青鬼、空に地。
やれ、確かに多きか。
[藍に向けくつり笑い]
[司棋の言に瞬き]
…やれ、矢張りあの香は強すぎるか。
其方の在るときに扇は開かぬが良いか。
そりゃ、頑丈なこって。
少しくらいは頼りないところでも見せたらどうだ。
おいおい、誰も面白がって見やせんよ。
[追い払われて、泉から少しばかり離れようと]
おやおや、小さい赤鬼さんか?
[現れた少女に瞬く]
[カラリ][コロリ] [下駄の音]
[人混み縫って露天へと]
わらわにも振らせてくれまいか?
――なぁに、ただの運だめしじゃ。
[くすり笑って][握るはみっつ]
[運試しなど何の気まぐれ]
[髪をくしゃりとされても面白そうに笑うだけ。
人差し指が瞼に触れると僅かにびく、と反応し]
この眼?青司様と同じ色ですが?いえ、青司様の目のほうが綺麗でしょうに。
しかしこの眼で青司様が願い事を聞いてくださるなら
縫い付けられる訳には参りませなんだ
まだまだ、願い事なぞ増えそうなものなのに
[やはりくすり、と楽しそうに]
僕は賭け事なぞたしなみませぬ。ただ、見ているだけでよろしいのですよ?
[開耶の言葉へはまた笑顔で返し]
いえ、お気になさらず。僕がいづくにかへ参ればよいだけ、恐らくよい香と感じられる方のほうが多いでしょうから。
[碧に追われ]
やれ…人の姿なぞ見られて何ぞ問題か。
[手を振れば薄桃の玉。
仄かな香を放つ玉を泉の方へ投げ遣って]
[琥珀に映るは赤]
…さて、其方も呪いの内か。
さてはて、いずれであるかは時が決めようぞ。
開耶がどちらかのんびりと見て居るかのう。
まこと多き縁はどう転ぶことか。
難儀とならねば良いがな?
[くつり笑う開耶に肩を竦め視線を流した]
そう言やァ邪魔ってなんの事だったんだろうネェ?
[問いに答えはあるかないか] [どちらにしろ*ニィと笑むのだろう*]
[来るな、と思う間もなく、宵闇色の浴衣の青年に声をかけられる]
おや、行儀の悪い、懐手で人に声をかけるかね。
……いや、違うな。言わなくてよかった。
[一人ごちると、青年に応えを返す]
似たようなもんだけど、とりあえずあたしに角はないやね、見てのとおり。
よかったら、半分あげようか?
[カルメ焼きのひとつを半分に割って、青年に差し出す]
[ぴくり、指先に伝わる感覚。
うっすらと目を細め]
同じ色だが、さてはて不思議。
ふむ、己が瞳は綺麗とな。
どうにもわっぱにはそう映るものかの。
なぁに今は気分ではない。縫いつけなどせんよ。
[するり、瞼を撫ぜて指先は離れる。
視線は重ねず中空を見つめる藍の瞳]
司棋は何を願うか?
[くすり][くすくす]
[何がそんなに愉しいものか]
――案外難しいのぅ。
わらわの運も大したことはない。
[渡された飴][幾度か瞬き]
ぞろ目でなくてはいかんのではないのかえ?
まあ、いただこう。
――今宵の運も捨てたものではないのかの。
[カラリ][コロリ] [飴玉持って]
[ふらりふらりと*月夜の散歩*]
かっかっか。
鬼が人に化ける時に角など出すなどどこの茶釜の狸になるか。
[差し出されるカルメ焼きを受け取る]
では有難く頂こうかの。
童に菓子を貰う青鬼とは可笑しなものだが、
腹が減っては如何にもならぬ。よきかなよきかな。
何を…?
さぁ?今はまだ何も。
…よかったら今晩の酒盛り、
呑み潰れた後の介抱をお頼みしても?
昨日は何やらいたずらをされたようです故。
またきっと、僕も酔ってしまいましょうに。
聞いていただけると、嬉しいですよ
[眼をそらす様子にくすりと笑い、そっと離れ]
[ぴちゃり] [ぱちゃり] [迫る宵闇] [浮かぶ白い肌]
[ぴちゃり] [ぱちゃり] [なぞる内腿] [浮かぶ黒い蝶]
はらはら舞う桜の花弁も好いけれど、ひらひら舞う黒アゲハも美しいネェ。
うむ。よかろう。
お前さんなら片手で担ぐのも楽そうだ。
[カルメ焼き齧り、離れる司棋を振り向き]
いたずらとな?
ははぁ、遥月か…なかなか目ざといのう。かっかっか。
いたずらで済んでよかったではないか。
取って食われるよりよかろうて。
[別の者の連れた犬に気づき]
おや、お前さんもどうだい?
[手のひらにカルメ焼きの欠片を乗せて、声をかけたが、
あいにくカルメ焼きは好みでなかったらしく、そっぽを向かれる]
……まぁ、そうだろうとは思ったが。後でくれって言ってもあげないよ。
[苦笑いしつつ肩をすくめると、誰にともなく問いかける]
にしても、これだけの妖しの輩を閉じ込めたのは
どなたさんのどんな思惑です?
[「取って食われる」の一言にまた眉を顰め口元を尖らし]
鬼ごっことやらが始まれば無防備に寝てそれこそ殺されかねない状況ですからね。喰われ千切られてしまうのはそれこそ痛いでしょうに。ごめんですよ。
[微妙に勘違い]
[赤毛の少女へ人懐こい笑みを向け]
初めましてお嬢さん。このような所に迷われるとは。
何か忘れ物?早く元のところへ戻られた方が?
[いう傍から夜斗が近づき頭を摺り寄せている]
…おや、では君も、かな?
[そっぽを向く夜斗と少女の様子にからから笑っていると
問いかけにきょとり首を傾げる]
知らずに祭りに来たのかね。
さては甘い香りに誘われてきたか。
これは狐様の結界さ。
主様をお起しになる、大事な祭り。穢れたヒトなど入らんようにと閉じるのであるが……どうにも混ざっておるようでのう。
[すいと屈めば少女の襟元に鼻を寄せ]
ヒトの香はせんようだが、さてはて上手く化けているか。
それともお前さんはただの小鬼かどちらかのう?
[からり身を上げ笑う]
泉は常葉の少女に貸したとなれば――
[下駄を鳴らして境内へ] [月に透かせた林檎飴]
[赤い赤い其の飴に、己が瞳は更に紅く――]
――この色は、好かんな。
どうせならば蒼が好い。
[水は静かに時を流れ] [時に留まり水晶の中]
[司棋に渡した其れよりも] [聊か小さい水の珠]
飴玉に見えなくもない――甘いは甘美か。
[小さな袋に飴玉入れて] [口に含むは水晶の方]
[こくり][喉を潤して] [浮かんだ笑みはあどけない]
鬼ごっこはもう始まっておろう。
遊びほど生易しくはなかろうて。
[難しい顔をする司棋へと肩を竦め]
かっかっか。食われ千切られるか。
手足も痛いが別のところも千切られないようにな。
月はあれでなかなか艶やかだ。
酒もろくに知らぬわっぱが色香にも酔うたら大変じゃ。
[宵闇色の青年のいささか不躾な仕草にわざと渋面を作ると、]
……そういうことなら、お前さんよりこっちの子の方が向きなんじゃないのかね?
[犬のほうに目をやると、表情を戻して、懐に手をやり]
あたしかい?あたしはこいつさ。
[篠笛を取り出して、振って見せた。]
かっかっか。そのような顔をするな。
すまないすまない少々悪戯心がおきたまでよ。
[かふり、カルメ焼き咥え。
空いた手でこの子と云われた夜斗をひと撫で]
確かに鼻が利くのは此方の本分か。
[さりさりさくさく。咥えたまま食べ終えて。
取り出された篠笛にそちらを覗く]
ほほぅ、笛か。笛がお前さんの正体か?
なるほどこれは同属か。いやいやさてはて。
開耶も妾も「ぶん投げる」に何とそぐわぬことであろうorz
出来れば林檎飴を常葉の少女に渡してあくしょんを起こしたかったが、妾が来るのは深夜ゆえ、間に合わぬと思うてな。
ところで皆、いつまで泉に居るんじゃろうか。
妾はええが、常葉の少女が水浴び出来ぬ(笑)
[結界を通しても流れてくる祭囃子。
そちらに目をやり、ふふっと笑みをこぼして]
しかし、あたしらは出入りかなわないのに、楽の音はお構いなしか。
あの中に混ざろうかと思ってここに来たんだけどねぇ。
[心の浮き立つ鉦・太鼓・笛の音に聞き惚れるように目を細める]
異国人 マンジロー は、なんとなく 学生 メイ を能力(透視)の対象に選んでみた。
[ぺちりと窘められたせいか、拗ねたように青司を睨む夜斗を軽く制し]
笛?ふ〜ん…。
それが犬笛でないことを祈るよ。
夜斗がどこかにいってしまうと僕が困るからね。
その笛は、どうやって使うのかな?
[年が近そうに見えたか、やや砕けた口調で物尋ね]
[しん、と静まりかえった境内]
[居心地よさげに瞳を閉じて]
静かじゃ――
このところ、連日遊びすぎたかの?
[開いた瞳は静かな紅で]
――少々中てられたか。
本来ならば、静かに時を過ごす身じゃ。
ほんに、ヒトに関わるのは酷い毒――。
[遠く聴こえる祭囃子] [視線はどこか遠く]
[木々のざわめき身に受けて] [浮かぶ笑みは穏やかに]
[刀の手入れを終えたのち、周囲の会話を聞いたり座ったままうたた寝をしていたりと至極マイペースに過ごしていた模様]
[改めて周囲を見回すと、新たな気配]
夜店ですれ違った…娘か…。
いや、違うな。子鬼よ、子鬼。其方も閉じ込められたか。
[緋色の娘に向かって不躾に問う]
[此方を睨む夜斗の顔をちら覗き目を細める]
まあ良い良い、番犬はそのくらいで無くてはな。
[噛み痕はうっすらと黒が混じるか。
さらり顎を撫で遠くを眺める少女に習う]
ふむ。奏でてこその本懐か。
混ざりたいなら早いところ混ざり物を見つける事だな。
あちらの祭りよりも此方の祭りが早く終われば間に合うだろうて。
さてはて、己はふらりと往くか。
また後ほど飴屋か酒盛りで逢おうぞ。
[ひらり手を振り。カラコロリ背を向け何処へと*歩き出す*]
[金銀妖瞳の青年に問われると、ちょっときょとんとしつつ]
どうやってって、……笛は吹くものだろうに。
まぁ、こんな具合だけど。
[笛を口に当て、一吹き。
──ざわ──
一陣の風が巻き起こり、木々は揺れ動く。
ひときわ高い音が鳴ったとき
──パキ──
乾いた音を立てて、足元のやや大きい石が粉々に。
笛を口から放すと、ふふっと笑い]
こんなところだよ。
そういえば、もひとつ小娘の姿を見掛けたが。
あの小娘はどこへやら。
[すくと立ち上がると、袂の中で腕を組み周囲を見渡す]
ところで、子鬼よ。小娘か。どちらでもよいが。
名はなんと言う?
……我は万次郎と呼ばれておるよ。どう呼ぶも好きにするがよい。
[緋色の娘を見おろし、検分するよな目つきで名を問うて]
[閉じ込められる前に見かけた青年に声をかけられ、
自分も他の者も、互いに名乗りを上げていなかったことに気づく。]
あたしの事は蘇芳と呼んでくれればいいやね。
お前さんが万次郎さんで、他は?
[誰ともなく、あたりの者に問うた]
[ざわり]
[ふいに感じる風]
[木々の緩やかなざわめきは、刹那形を変えて]
誰ぞいたづらしておるな。
――結構結構。
[戻る空気][優しい風]
[さらさら流れる白銀の髪は闇に映えて]
[ぞろり、と墨色の衣が地を擦る。
中有を睨む眼(まなこ)が映すは己が周りを舞う花弁と……]
[さくらいろの闇。]
ああ、煩い……。
蘇芳か。見目にあった名だ。
……。
[他のものはと問われ辺りの者も少ない故]
先の青い髪の男が、青鬼。
赤い髪の子鬼は、司棋…狗の方は知らん。
…他には、どのような者に会った?
[くるり見回すも、生温く緩い風と静けさ]
[木々を揺らし石を砕いたその音に夜斗は一瞬頭を上げ、...も思わず顔を歪め。
どうやら苦手な波長を前触れなく聞いたからか]
あ、あぁ、すごいな、確かに笛は吹くだけとはいうけども…こんな…。
[気がつけば周りにいる万次郎に軽く会釈をし]
僕は司棋といいますよ。えっと…蘇芳…さん?
[苛立たしいのか憎らしいのか]
[眉を顰め、ぼそり、と呟く。]
──あならうがはし。
……煩い煩い煩い。
──疾く去ね。
直ぐに立ち去れ。
[他の者と問われても、カルメ焼きと冷やし飴を買った夜店の店主はいずれも人だったので
誰にも、といって頭を振る。]
そういえば、青鬼殿か?あの御仁が混じり物が何とか言っていたけれど
……人もこの中に?
まあ、今宵は酒宴もある。
蘇芳が立ち寄るのなら、
他の者の名を問う事くらいは出来ようさ。
我は、しばし下を見てくる故…。
また酒宴にて相見えようぞ。
櫻闇…。
[ぽつと虚空に呟く単語。そのまま緋色の少女に背を向けて
夜店の賑わいの方向へ*姿を消した*]
――皆まだ泉におるのよな?
常葉の少女に泉を貸した手前、そちらへは行けんのだが。
境内も静かで素晴らしいが――少し人と混じりたい。
[中てられたのは中の人?]
[元よりとても人が好き――。]
[万次郎の後姿に軽く手を振ると、司棋と名乗った金銀妖瞳の青年とその連れの犬に]
そういえば、ちょっと驚かせすぎたようだね。悪かったよ。
[ふふっと笑うと]
音と風はまぁ同じようなものなんだろうさ。起こる筈のない石の中に風を起こす。
無理な事をさせたからああなっちまったのさ。
[と、問われたわけでもないのに、種明かしをした。]
[神域に群がる有象無象の怪を]
[見ておらぬのに観ている目で睨みつつ]
[そぞろ歩く。]
[交わされる声も耳には届かず]
[しかれども聴こえてはいる。]
皆去んで仕舞えば良いものを……。
[ぞろり、ぞろり。]
[はらり、はらり。]
[蘇芳の言葉にやんわりと笑いかけ]
いや、こちらこそ悪かったね。
その笛、ちゃんと演奏すれば普通の音も出るんでしょう?
是非今日の宴会で聞かせては頂けないだろうか?
先程の彼も言っていたとおり、夜には皆集まりますよ。
[笛で風を起すと聞き]
風…成程。ではその風に乗れば僕の犬…夜斗ももっと早く飛べるだろうか
[夜斗の頭を撫ぜながら]
*/笛の音のイメージは、昔懐かし「横溝正史シリーズ(T&U)」のオープニングです。思いっきり世代がばれてしまうなー(苦笑)/*
[異形の群のただなかで独り人型を保っていて]
[そのことを意に介した様子は無い。]
[呪詛じみた呟きを桜の花弁と共に撒き散らし]
[如何な場所であろうとも己の足の向くままに突っ切っていく。]
[……其処に店があろうと、怪が群れていようと。]
[怪の方とても、道を開け遠巻きにするのみで]
[関わろうとさえしない。]
[宴があると聞き、飲み物に冷やし飴はあるのだろうか、と首を傾げつつ]
他の皆にも会えるなら混ぜてもらいたいな。
[犬の名が夜斗であると聞き]
へえ、夜斗とやらは、天駆けるのか。たいしたものだねえ。
まぁ、風に乗って、というのはやめたほうがよいかもしれない。
下手をすると大変なことになってしまうよ。
[夜斗を眺める少女にまた穏やかに笑いかけ]
うん。夜斗は風に乗る。風も夜斗が好きだし夜斗もそう。風を頼りにするものには危害は加えませんよ。
[少年らしい笑顔で話しかけていると先程の眩暈と昼の香の酔いも手伝い、少し疲れがでたのか、足元がふらつき]
失礼、少し気分が…。
また、後で会いましょう。
直に戻るから。申し訳ない。
[よろりと夜斗に乗り、そのまま風のように駆け抜け。
社の近くまで移動すると]
…音といい、香といい…
[暫く青い顔をして昨日寝こけていた木にもたれかかっていたけどもそのまま、ずるずると根元までしゃがみこみ*転寝*]
──あゝ。本当に皆去んでしまえば良い。
呪わしい厭わしい忌々しい。
何故此処に居るのだろう。何故待っているのだろう──
──決して彼れは来ぬものを。
[司棋を乗せて走る夜斗を見送ると]
なるほど、早いな。あれなら風の力なんか要らないな、うん。
[一人ごちると、座り込んで、カルメ焼きと冷やし飴に*取り掛かった*]
[びょうびょう、]
[桜を揺らし風が吹く。]
[散らされた、花。]
[墨の衣の傍へと吹き散らかされた花弁は]
[ひゅるうりひゅるる]
[弧を描き][巻き上がり]
[白き旋風となりて]
しかし、それも今は。
もう直ぐ終わるのだろうか。
やっと終わるのだろうか。
何もかも消えるのだろうか。
……それとも、おれは。
[屋台の前、賭博の席でヒトにまぎれてその様子を眺め]
ふむ。面白そうな。ちんちろりんとやらだな?
それならば我も仕組みは解っておるぞ。
ひとつ、掛けてみようか―――。
店主、勝負を。
[しゃがみ込む。相手の振るサイコロを待って]
ふふ。店主、運が悪いな。三か。
では我も振らせてもらうとしよう。どれ、サイコロを。
[手の中で数度転がしてから―如何様はせず―器にちりん
サイコロを落とした]
む。目無しか…三度振る事が出来るのだったな?
あと二度…見ておれよ、店主。
[器の中の賽を拾い、手の中で転がし手首を利かせて]
[振った賽子の目は{3}{5}{5}]
……どうだ?
ははは。見たか、店主。我の目は五。
我の運が良かっただけの事、気に病むない。
さて、何を頂けるのだ。
[渡されたのは、賽子三つと酒の入った瓢箪。
肩を竦め]
馬鹿にされているようだ、が。まあいい。頂こう。
また、勝負に来よう。今度は役を出すぞ?ふふ。
[瓢箪肩に担ぎ、賽は杯と同じ場所へしまい込み]
酒宴でも試してみるか…。
[墨染めの男の周りに何ものも寄せ付けぬと]
[辺りを打ち払うように][花の嵐。]
[幟はバタバタと耳障りにはためき]
[露店のうちのいくつかは品物などを吹き飛ばされ]
[中にはころころと地の転がる小兵の怪さえ。]
[他の客からの歓声も気にせずその場を立ち去る]
[目に入るは、赤、黄、蒼、様々な色の奔流。
先程の闇の気配は未だどこかにあるようで
それでも、珍しいモノを見るように夜店を一通り巡り歩き]
[カランコロ カランコロ 狩らん 殺 カランコロ]
[言のような足音を立てて、社近辺へ向かう。誰か居るだろうと]
[──ふ。]
[風は突如としてぴたりと止み、]
[はらり、はらり。]
[舞い上がった花弁が降り頻るなか、]
[怪どもが無言で顔を見合わせ]
[或いは何事かを含んだ眼差しで凝視する中を、]
[ぞろり、ぞろり。]
[先刻と寸分も変わらぬ冷たい面でまた]
[桜いろの闇をまといて歩み去る。]
[びょうと吹き抜ける風。袂を煽られ物の怪と識る]
櫻闇……。また現れたか。
名だけは聞いておかねばならぬ、な…。
[呟き。ようやく辿り着いた社前。櫻の気の根元に潰れる司棋には呆れたような笑み]
これで、物の怪だというのだから…不思議よの。
[次の瞬間には表情を消し、まっすぐに立ったまま
張った声で呼びかける]
風の元よ。櫻闇よ。姿を見せろ。
そして、名を名乗れ。
我は万次郎。
[その場で刀を抜く事も厭わない姿勢は伝わるだろう]
[なるほど司棋よりは物の怪らしい者が現れたかと]
……名は無いのか。真の名を問うておる訳ではない。
其方の、通し名は。
[ふらり、ゆらりと躱す櫻闇に
剣呑な空気とともに微かな黒い霧を纏い始めて]
こちらが名乗りをあげたというに、
知らぬ存ぜぬは、少々不躾でないか…?
名乗るながないのなら、我が勝手に呼ぼうか。
それでよいのか?
[殺気はややおさまったものの、薄く本人を包み込み]
[期待することにも疲れた虚無を湛えながらも]
[問うことを止められぬ業が]
[ちらり][闇黒の瞳に浮かぶ。]
[はらり、はらり。]
あの男…?契り?
…なんのことやら。
[警戒は解かず対峙したまま]
そうよ、我は只の物の怪の一匹にすぎぬ。
其方は何者だ?
あのおとこ、契り…不可解な言葉を投げてくれるな。
[久しく、の一言で覚り、肩の力を抜くとともに黒い霧は
ふぅ
と消え去り。殺気も剣呑な空気も緩く融けてゆく]
我には、名を必要とする理由がある故。
先の強引な遣り方には、非礼を詫びよう…。
改めて…其方の名は?
有塵か。返答に感謝する。
残るは一人…若葉色の小娘を見掛けたか?
あの小娘が閉じ込められているのだとしたら…
名を聞かねばなるまい。
有塵。今宵は酒宴だそうだ。其方も来るとよい。
案外と、楽しまれるやもしれぬぞ。
[楽しめるではなく、楽しまれる――。誰にとは言わず]
[厳しく硬い視線を揺るがず眼前のもののふに注ぐ。]
おまえが彼のおとこでないのなら、どうでも良いことだ。
おれの言葉は忘れるが良い。
おれは桜。
散っては咲き、咲いては散り、永き世をひたぶるに春を待ち生くるものだ。
[カラコロコロリ下駄鳴らし]
[夜風にふわり、藍の髪
そろそろ宴に良い時間か
昨夜の場所に向かう途中
寝こけるわっぱ
見つけて見下ろす]
夜斗、そのような顔をせんでもいいわ。
今は取って食うなどしない。
[唸る夜斗を手で払いつつ、司棋の頬を軽く叩く]
[緋色を掠める櫻色。]
おうおうおう、櫻じゃねぇかい。
咲く前に散るってか、
ははは、気の早いこった。
[櫻、櫻、ひらひら落ちる。
風はごうごう吹き荒び 春一番と見まごうばかり。
男は獅子舞片手で担ぎ 月夜の櫻を眼で追った。]
どうしたってこりゃぁアヤカシの仕業だわなあ。
お仲間がまだいたってことかい。
こりゃぁあの黒い気配だなあ。
やあっと出てきたか、
遅咲きだねぇ。
[咲いても居ない櫻の大木
ゆらゆら風に揺れている。]
仕方の無いわっぱだ。
まだ酒ものんでおらんだろうに。
[司棋の傍に胡坐をかいて、
襟元を掴みぐいとひきよせれば膝枕]
酔いつぶれていない介抱の仕方なぞ知らんぞ。
[途方に暮れて赤い髪をわしゃりわしゃり撫でるか]
宴……。
ようもまあ飽きもせずに。
[眉を一層顰め]
[が、ふと思い直したように]
そう言えば、先程狐が何ぞいたしたような…。
あれは何だ。何かが起きているのか。
[名を尋ねられて問い返した時に似た]
[だがそれよりも一層強い何物かが瞳に浮かぶ。]
[いきなり襟首つかまれて頭が一瞬宙に舞えば流石に目覚めも訪れ。夜斗も呆れたように顔を一舐め。
いきなり眼に入った青司の蒼にも驚いて]
う、うわああっ!せ、青司さ…!
[膝から落ちた。ごちんと]
いっ…!
静かにって…何でここにいらっしゃるのですか…!
[恥ずかしさからか思いきり紅い顔で]
おきていきなり人の顔があれば驚きもします!
夜斗もなんで僕を起さない!?
[わたわたと。終いには犬にまで八つ当たり。
夜斗も聞く耳持たぬか、青司の隣でうずくまり]
かっかっか。
ぶらぶらしとったらお前さんが居ったからのう。
介抱すると申しただろうて。
気まぐれに介抱したまでよ。
己もそうだが、夜斗も起そうとはしたのだろうがな。
[立ち上がり、浴衣についた埃を払う。
うずくまる司棋の顔をひょいと覗き込み]
む? 気分でも悪いのか。
[かちかち鳴らす異形の歯。
被った男は長身で、
祭りの最中に眼を惹いた]
おう、飴屋の主人かい。
世話んなったな。
[「昨日の兄ちゃんじゃねぇかい。
赤い獅子舞か、兄ちゃんにそっくりじゃぁねぇかい?]
はっはっは、よく謂われらぁ。
ところで今櫻が嵐を起こしてたかい?
[「おうさ、すげぇ風でねぇ。
法被がとんでっちまったぃ」
主人指差す先にある、
見覚えのある影2本の刀]
万次郎じゃねえかい。あの嵐と知り合いなのかねえ。
[ちっ、と普段らしからぬ舌打ちとともにふと瞳に浮かぶ悪戯な色
今度は黒い眼が艶を増し、猫の爪のような弧を描く]
気分は悪くはありませんが
[また青司の袂をくい、と引くと、そのまま小さく口付けて]
介抱するならここまでどうぞ。
外つ国の物語、姫君は王子様の口付けで眼を覚ますらしいですよ?
[青司はあっけにとられたか、くすりと笑い声を立てると、青司をおいて夜斗を伴い、さっさと社の万次郎達の元へ]
集まってきたな。物の怪共が。
喰児、青司、司棋、有塵、…むさ苦しいな。
[鼻で嗤い、有塵に視線を留め]
判った、先の言葉は忘れよう。
我は名を必要とするのみ。名だけ判ればそれで良いのよ。
[くる、と騒がしい青鬼赤鬼らを向き]
昨夜は酒を馳走になった。今夜は我が提供しようぞ。
先程なぁ、夜店の博打でほんの少しの当たりを引いたのだ。
ほれ。
[酒の入った重い瓢箪一つ。懐から黒い杯にのった賽が三つ]
なら良い。むしろ気でも害し……
[舌打ちにそう云いかけて袂を引かれ、口付けひとつ。
もの珍しそうに瞬いていれば、司棋は踵を返して立ち去った]
[さらり、顎をなで口元を上げる]
かっかっか。
わっぱは悪戯好きなものか。久しく忘れておったわ。
今の場合どちらが姫君でどちらが王子様よのう。
[からからからり。愉しげに笑えば
カラコロコロリ下駄を鳴らして再びふらりと歩き去る]
[天に昇るは黄金色。
遥月はひとり、唄の一節を口ずさむ。]
『黒髪の むすぼれたる 想いをば
遂げて寝た夜の枕こそ
ひとり寝る夜のあだ枕……』
[紅をひいた唇に指先を当て、くすりと微笑んだ。]
[万次郎の話し掛けたふたりを目を細めて見遣る。]
……いや。違う。
きっと……多分……恐らくは。
[終わりにいくに従い、揺らぐ声音。]
中/
まずい〜!中が〜にやけてる〜!!!
一人暮らしの部屋のなかでそれはあんまりにも怪しいですよ自分!!
…会社じゃ覗けねぇなぁ、覗けないorz
[すとんと、社の傍らに座り込むと
ぱらり。賽を袂へ仕舞い。杯に手酌で酒を注ぎ]
[とくとく、こぽり]
[杯は満たされて、闇夜に浮かぶ月を映す]
………。
[しばし眺めたのちに、一息で杯を干した]
おう、万次郎。
そこの黒桜は連れかい?
[ひょいと獅子舞上にあげ]
へえ、当たりを引いたって?
アンタも打つのか、いいねぇ。景気のいいこった。
[酒の香漂い眼を細め]
お、ちんちろりんが出来るじゃねぇか。
なかなかどうして気が利くぜぇ。
[下駄を鳴らしてふらり歩けば、ヒトの成りした群れ]
おやおや、新顔さんかい。
案外ごろごろいるもんだ。
[しげしげと眺めるのは桜まとう黒の男]
かっかっか。
万次に喰に司棋もここか。今日はここが縁の集う場所かねえ
赤鬼か。騒がしい格好をしておるな。
[総天然色、色とりどりの衣装を見定めて]
櫻闇…有塵のことか?彼は連れではない。
たまたま、…さて意図が会っての事か、名を問うていた。
それだけのこと。
赤鬼も一勝負するかね。ちんちろりんなら判ろうに?
丁度いい事に賽も三つ頂いて来た。
器は…まあ、杯で構わぬだろう。
どうだ?
[薄い笑みにのせて、勝負を持ちかけ]
[棄てられぬ業の重みに耐え兼ね]
[妄執と成り果てた望みに千々に心乱され]
[緋の髪の鬼に声を掛けられて虚ろに]
おれは常と変わりはせぬ。
……おまえがいつも浮かれているのだ。
[暗い社] [煽る酒] [灯る桜] [薄紅色]
[揺れる常盤色] [桜色] [薫る白粉] [軽やかに]
誰も彼も鬼ごっこかえ?
喰うも喰われるも味わう余裕がないとネェ。
[誰にとも無く] [囁く声] [濡れて] [甘く] [絡み]
[傾ける瓢箪] [唇の端] [零れる命の酒] [白い指が拭う]
青鬼も揃ったか。
その内に常磐の君も白の君も見えるだろうな。
これはもう縁などというものでは無いぞ。
主様のご意志だろう。
[再び手酌で、黒の杯満たし。すいと一口で干す]
[万次郎が手にしていた酒を見、苦笑いをしながら]
今日はもう少しお付き合いできると嬉しいですが。
潰れても今日は介抱してくださる方がおりますから。
[黒い物の怪に、少し警戒を抱いたが、直に笑って会釈をし。ものめずらしそうにサイコロを眺め]
これを振るのですか?はて、ちんちろ…なんでしょうか?
[夜斗は一足先に酒へ鼻を近づけている]
いやはや、桜を纏うとは良い良い。
今宵の酒は華がある。
お前さんもそうは思わんかね、なぁ碧鬼。
[酔いもほろろか、囁く声を振り向き呼びかける。
万次郎が勝負をもちかけていれば気はそちらに逸れる]
さてはて、赤鬼に2本ざしの侍か。
今日の御伽噺は桃タロウで決まりのようじゃの。
……おやおや、皆様ごきげんよう。
[微かに下駄を鳴らし、しゃなりしゃなりと歩みを進める。結城紬の裾が翻るを白い指で押さえ、遥月の足は宴の席へ。]
見慣れぬ方がちらほらと。
深い色と、鮮やかな色……。
……好かぬ。騒がしいのは。
[ふい、と視線を逸らすと]
[足元に忽ちに花嵐。]
[巻き上がる花弁と共に][宙へと舞い上がる。]
よう、相棒。
[手を上げ鳴る鳴る獅子の鈴]
今日の酒宴は万次郎の酒でやろう。
景気がいいのに乗っかるぜぇ。
[騒がしいと謂われれば
にやり笑って言葉を返す]
なかなか豪奢でいいだろう。
この緋が気に入ったのさ。
……有塵?
へぇ、聞いた様な。
[櫻ひらひら影は黒。
対比に眼を奪われる]
[思い切るように振り向きさえせず]
[高く高く空へと]
[──決して逃れられはせぬものを。]
[それは結界の所為ばかりでなく、桜に縛られた身故に。]
[闇に咲く花に、そっと白い指先を向ける。]
ああ、あちらの殿方は……妖しの方と御見受け致しますが。
賑やかなことはお好きでは無いと。嗚呼、静かな時に相見えるよう気をつけましょうか……。
有塵の兄さんも騒がしいのは好まぬかえ?
今宵は一芸、皆が披露すれば楽しかろうと思ったけどネェ。
[桜の梢] [ひょいと降りる] [揺れる白の袂]
[しゃなしゃなり] [瓢箪二つ] [持って歩む]
約束通り酌をしようかィ。
万次郎の兄さんと酌み交わすなら遠慮しようかえ?
[赤鬼に小首傾げ] [瓢箪持って] [ニィと笑む]
[桜の闇に包まれて]
[中空を漂いながら]
[……墨染めの袖で顔を覆う。]
[濡れた顔を隠す為に]
[*声を漏らさぬ為に。*]
闇夜の桜か、
好むものがいそうだなぁ。
[万次郎の言葉の次に、金の瞳が閃いた]
勝負?
いいねぇ。そうこなくっちゃあ。
人も揃って来たことだ、いっちょはじめてやろうじゃねぇか。
[万次郎に歩み寄り
愉しげな顔で笑う笑う]
[ふわり、舞い上がる桜と男]
やれやれ歯切れの悪い奴さんだ。
花見酒にありつけると思うとったのに行ってしまったか。
[見上げれば、赤鬼の声に]
よう、相棒。
めでたい格好だのう。かっかっか。
頭からがぶりとやられそうじゃわ。
[獅子にからから笑えば鈴の音重なる]
やれやれ運がないのは己ばかり。
ひとつ遠慮なく万次の酒にたかろうか。
おやおや、遥月。
お前さんも酒をたかりに来たか?
それとも司棋で遊びにいらしたか。
うわ…
[有塵から舞い上がった桜の花びら、黒い空との対比に眼を見張り]
綺麗、といっていいのでしょうか?
人の作るものよりも人妖が作るもののはよほど華やかでは。
ではこの華に敬意を表して。
一杯お先に頂きますよ。
[手酌で一杯、こくりと。真理の一芸の言葉には]
皆様が為さるのでしたらお付き合いを。
なんだい、黒櫻は行っちまうのかい。
駆け付け3杯呷らせてやろうか。
[去る桜 見上げて笑い]
桃太郎じゃぁ
斬られんのは俺かい?
怖ぇ怖ぇ。
[獅子舞かちかち打ち鳴らし]
よぅ、碧。
酌をしに来てくれたのかい。嬉しいねぇ。
まぁちょいと待ちな。
転がすだけだ、すぐ済むさぁ。
[青司の言葉に、曖昧に笑む。]
ふふ……さあ、どうでしょうかねぇ。
ただ、揺らめくとりどりの色に惹かれてこちらに足を運んだまでのこと。
[結城紬の袖を口許に寄せ、くすりと笑う。]
それとも青司様、今宵の御相手は貴方様にお願い致しましょうか……?
[月明りに白く照らし出された首筋を傾げ、青司を見つめて目を細めた。]
…揃って来たな。常磐の君。
其方も勝負に入ってみるか?
赤鬼、…遣るのなら青鬼も、親を決めようでないか?
ホレ、一つ賽を振ると良い。まずは我から。
[ころり。ころころ {6}] 賽の目が出て]
[ぐるり] [見回し] [瓢箪傾け] [酒煽り]
なンだいなンだい、誰も林檎飴は持ってないじゃないかィ。
六博振るだけならアタシにだって出来るヨゥ。
[薔薇色の唇] [尖らせ] [赤鬼] [緩く] [ねめつけ]
[また一献] [鬼の勝負] [見る気無しか] [幹から動かず]
にしても黒櫻、
俺がいつも浮かれているたぁ随分な物言いだぜぇ。
[緋色は二倍、鈴が鳴る。
青鬼笑えば赤鬼にやり]
おうよ、なかなかいいだろう?
舞いついでにがぶりとしてやろうかぁ?
[運が無いと嘆く青、
くくくと小さく含み笑い]
呑め呑め、
万次郎の運もついでに呑んじまえ。
[鳴る獅子舞。にやりと赤に笑いかけ]
大人しく斬られるたまでもなかろうて。
物の怪が紡ぐ物語。人の物語と同じ結末かはわからぬわ。
[遥月の言葉に、カラリ下駄を鳴らして向かいに立つ]
月は色を好むか。
己は抱けぬ体故、わが子で色を浮かべる事ならできようぞ。
[伸ばされた指先はついと首筋をなぞり離れる]
かっかっか。尤もあまり色を浮かべては食ろうてしまうがなぁ。
[笑う赤鬼にノリ]
我は充分に呑んだ故、青鬼。其方の好きにするがよいよ。
さて。いい目が出たな。親は我か?それとも…。
赤鬼も早く振らぬか。勝負が始まらぬぞ。
己は良いさ。
賽の目振るより酒を振るわれるとしよう。
[からからからり、横目で賽の目ちらと見て]
なんぞ、万次は強運そうだ。
そうれ赤鬼本番までに気張れ気張れ。
異国人 マンジロー は、なんとなく 書生 ハーヴェイ を能力(透視)の対象に選んでみた。
[万次郎の誘い] [ゆるり振る首] [揺れる常葉]
アタシァ冷かすのが好いのさァ。
おや、兄さん6の目かえ?
幸先好いネェ、林檎飴屋へ六博振りに往って呉れるかえ?
[青鬼見遣り] [序に酒告ぎ] [ニィと笑み]
茄子の兄さんは勝ってるとこを見た事が無いヨゥ。
偶には勝って見せと呉れると楽しいネェ。
[コロコロコロリ] [笑えば席立ち] [また桜の幹の元]
桃太郎だと。失礼千万。
あのようなヒトと比べられるとは、我も堕ちたものだ。
ふむ?青鬼は勝負せぬのか?…つまらぬ。
司棋、其方もやってみるかね。
見ていればわかる程度の簡単な勝負よ。
[芸を見せるのどうのとのやり取り構わず、口を挟んでみた]
さて…皆様にはどのような芸をお見せしましょうか?
翡翠の君は何がお好みか?
華吹雪は開耶殿が既にご披露されておりますから。
拗ねんな、碧。
後で皆で飴屋で勝負だ。
[しゃらしゃらり、
常盤に向けて獅子舞舞わせ]
おうさ、
それじゃあ振るとしよう。
[ひらりと手を翻し
賽の眼示すは{4}の数]
[常磐色に肩を竦め]
其方もか。皆、つまらぬな。その分、呑むのだろう?
……何故、我が飴屋へ?
賽を振って、飴の個数が決まるのか?
………暇な時にでも覗いて来よう。当たれば其方に。
[微笑とともに頷く]
[問いより早く] [声かけられ]
桜の幻、現以上の儚さかィ。
司棋の兄さんは何が出来るんかえ?
アタシァ大した事が出来なくてネェ。
人を煽る役どころさァ。
どうせならみんなに見える華を咲かせてお呉れヨゥ。
後は茄子の兄さん辺りを花塗れにしたら面白そうだネェ。
左様でございますか、青司様。
抱けぬ身体とは、勿体のうございます。
青司様の御子を抱くのも一興でございましょうが、やはり言葉を交わすことのできる相手に触れたいものでございます故。
[つつとなぞられる感触に、頭を横に倒し、紅を帯びた目を閉じる。]
……わたくしは毒の蝶。
触れた相手に熱を与え、それを糧と喰らうが性。
言葉で野暮な『愛』を語らねば、あとは貴方の思うがままに抱かれましょうぞ。
……熱が欲しくば、わたくしをお呼びくださいませね。
[司棋に向かい頷いて。]
まずは一つの賽を振って親を決めるのだよ。
其処から勝負の始まりだ。
三つの賽の目の組み合わせで勝負が決まる。
振るがよい。
[司棋の手元を注視して]
万次郎、そっちの親だ。
[耳に響くは青鬼の声
違いねぇとくくくと笑う]
返り討ちにしてやるさぁ。
万次郎はご不満のようだがなぁ。
其ンならアタシァ赤鬼喰児の率いる鬼達の応援でもするかネェ。
[振られる賽の目] [覗いて] [コロコロリ]
[舞う獅子] [眺め] [碧眇め] [ニィと笑み]
万次郎の兄さん連れて行かないとかネェ。
[司棋の手元に拍子抜けした様子]
…なんとまあ。よくも壱の目を出したものだ。
我が親か。器はこの杯で良いな?
では振るぞ。
[ちりん、ちり、ちろん...賽の目は{5}{3}{3}]
ふむ?
[黒の杯に散った賽の目を覗き込み]
さァて、枯れた華簪に華を呉れるなら嬉しいけどどっちも好いネェ。
司棋の兄さんに全ての桜を咲かせる力があるなら、そっちも願いたいくらいさァ。
嗚呼、そうだ。
アタシの唇には安易にお触れで無いヨゥ。
呪いがかけてあるから人間と謂えど余り触れぬ方が好いからネェ。
[軽く真理の唇へ指が触れ]
呪い…ですか。こんな綺麗なのに。
どのような呪いか、興味がないわけでは。
[くすくす笑い]
それとも、僕ではやはりご不満が?
とりあえず、後ほど芸はお見せしましょう。
桜では芸もなく、星などを。
[青司ににこりと笑むと、賽を振る男達の方をついと覗き込む。]
……おやおや。
皆様、何の遊びかと思いきや。賽の目遊びとは、こはいかに。
何か大切なものでも、お掛けなのですか?
或いは、負けた者が御酒を呑むか。
[唇に白い指先を添え、クスクスと声を上げる。]
左様左様。色を食らえば同じものよ勿体無くなどありはせん。
言葉だけなら何とでも成るが、触れ合いたいなら他を当たると良い。
かっかっか。毒なぞ怖くてヒトが食えるか。物の怪とて同じこと。
愛なぞ御伽噺より遠い幻想じゃ。
語るものなど持ち合わせてはおらぬよ。
ふむ…よかろう、よかろう。覚えておこう。
月も熱が欲しくばいつでも参れ。
そのまま食ろうてしまうかもしれんがのう。
[吐息をひとつ、閉じた瞼に吹きかけて。
遥月からすいと離れ、腰を下ろすと眺めるのは賽の目の行方]
それは失礼申した。
ただの物語になぞらえた戯言よ。
さてはて誰が勝つものか。
[万次に悪びれた様子もなくひらりと手を振り、
地に置いた杯に酒を満たしゆるりと煽る]
[遥月が覗き込む気配にチラと見遣り]
さあな。勝った者が好きに命令でもすればよかろう?
酒など緩いものよ。少なくとも我にとってはな。
司棋にとってどうかは知らぬが…。
[赤髪の少年姿を目に留め。次いで赤鬼]
其方の番ではないか?振った振った。
おや、褒めてお呉れかえ?
嬉しいネェ。
もっと謂ってお呉れヨゥ。
褒められた分だけアタシァ綺麗にも成ろうってネェ。
アタシに触れるには色々と決まり事があるだけさァ。
遊んで呉れる誰も不満なんて言わないヨゥ?
本気でアタシの相手をして呉れる気になったら誘ってお呉れヨゥ。
[コロコロコロリ] [軽やかな笑い声] [冗談か] [本気か]
[薔薇色の唇] [触れる指] [ちろり] [紅い舌が湿らせる]
司棋の兄さんは星を如何するんだろうネェ?
楽しみにしてるヨゥ。
司棋よ、1とはなかなか。
[含み笑い、
続くもののふ出目は3]
ほおう、そいじゃあ振るとするかね。
碧が応援する鬼は強いだろうぜえ。
桃太郎には負けねぇだろ。
なあんて、なっ
[掌ひゅっと音を立て転がす賽の眼
{2}{1}{2}]
六の目を出すとは…本番に強いタイプなのやも知れぬな。
常磐の君。飴屋には司棋を連れてゆくとよいぞ……。
[人知れずつく溜め息は黒い霧となり風に流れ]
ふふふ……
賽は気紛れ。
誰の手にも負えませぬ。
万次郎様、お拗ねにならず。
今回は、司棋様の無垢な指先に、賽の神様が御味方したのでございましょう。
ふふふ………
あっちゃぁ、駄目だぁ。
司棋の出目が強ぇ。
[残念惨敗出目に苦笑。
獅子舞揺れて光を弾く。
遥月の声に振り向けば]
別段何も賭けちゃいねぇよ。
酒が飲めるんなら負けるが勝ちだなあ。
[笑いひらひら手を揺らし]
[喰児と万次郎の目と自分の目を比べ]
これは…勝敗はどうなるんでしょうか?
出目やらなんやらと…。
万次郎様?何を不機嫌に?
[悪びれなく]
ところで、先ほど何か云うてなかったか?
[赤の杯傾けて、半目で常葉の女をチラリ]
己は都合の悪い事には耳が遠くてのう。
[しれっと酒のみ転がる賽の目、
ちりんと涼やかな音に目を細める]
赤鬼も振ったか。
桃太郎などと申すからそんな目が出るのだ。
さぁて、我の勝ちとなるのだが…どうする?
敗者の扱いを決めないまま勝負を始めてしまったな。
ここは一つ…、月の君にうかがうとでもしようか?
月の君よ、敗者はどうすべきだろうな?
[薄く笑む]
[壱出す] [司棋] [赤鬼] [黒い気配の万次郎]
[しゃなりしゃなり] [囲む場] [歩み寄り] [酒告ぎ周り]
お疲れさンだネェ。
是は今日の林檎飴も期待できるかネェ。
[杯を乾かす赤鬼] [傍らに膝つき] [更に酒注ぎ]
今日は苺飴も食べれるかえ?
[青司にちらりと紅の視線を。]
さあて、いかがなさいましょう……
わたくしの悪戯にお付き合い戴きますのも悪くはございますまい。
[にこりと微笑み、ぐるりと敗者達を見回す。]
[分かってない風司棋の声、
わしっと頭を手で掴み
赤い髪を撫で回す]
決まりごとをしらねぇんだったなあ。
コイツは3個の賽の眼のうち、
2個が一致したときに、
残りの数字を「目」と呼ぶのさぁ。
つまり、司棋の目は1ってことだぁな。
数字は大きいほどいい。
[不機嫌な万次郎と酒を手にする喰児を見やり、苦笑しながら]
万次郎様へはご機嫌取りを、喰児様には酒の慰めにでも。
教えて頂いた礼を兼ね、先程お約束した芸などを披露いたしましょう。
[己の両の掌に無数の蛍火を顕わし。
手の中で花火が散るかのごとく。
夜斗の口から小さな風が起こり、それらを思い切り空へ吹き上げた。
星も見えない空へ、蛍火が色とりどりに舞い散る]
/*
チンチロリンの役も判らず入村にネタ出してごめんなさい。
誰が勝ったのか判ってません。
如何言う話になってるんですか?
[真理の言葉に苦笑しながら]
本気で…と申されましても…。
僕には本気のお相手とはどういうものかがわかりませぬ。
翡翠の君が教えて下さるのなら僕に否やはありませんがね。
今出した星は勿論、貴女様へ。
[いつの間にやら酔いが回っていたようで、判らぬ事を口にしたかもしれず。それでも、司棋のあらわす蛍火にはゆると見入り]
……見事なものよ。
我も披露できるものがあればよいのだが…
生憎と獲物無しでは披露できぬものばかり。
そればかりか、こやつ等は遊びにつき合うては呉れぬ。
嗚呼…よいな……。
[舞い散る蛍火。空を仰ぎ感嘆の溜息を漏らした]
悪戯好きとは月もわっぱか。
かっかっか、好きにいたせい。
[ふわり、司棋から舞う無数の蛍火]
杯の酒に映りこみ、ゆるり目を細めて空を見上げる]
ほぅ、これは綺麗だ。
桜の次は蛍か花火か、おつなものじゃのう。
おやおや、司棋様お見事な芸で。
[司棋の芸に、ぱちぱちと軽く拍手を送る。]
そのような芸をお持ちとは。皆様、素晴らしゅうございますねぇ……。
[空に星を顕わすと、そのまま夜斗を空へ飛ばす。
一瞬夜空に溶け込んだかと見えると、星星が一斉に流れ星となって降り注ぐ]
僕がお見せできるのはここまでのつもりでしたが…
華を気に入ってくださった翠のお方へ、特別に。
[ぱむ、と手を叩けば流れ星の落ちた木々へ一斉に桜の花が乱れ咲く]
今宵限りの幻ですが。ないよりは酒の足しにもなるでしょう。
………ところで。
[喰児と万次郎をちらりと交互に見やる。]
万次郎様、先ほどの「敗者を如何様にするか」のお話でございますが……。まさか、勝者に芸をさせたままお終いという訳では御座いますまい?
[小首を傾げてにこりと笑む。]
旨い。
[真理の注ぐ酒甘露の味わい、
苺飴は食べれるか?
無邪気な問いに眼を細め]
今日は駄目だな、調子が悪ぃ。
それとも飴の為なら力が出るのかねぇ?
[冗談めかして唇歪め]
悪戯ったぁなんだい、遥月?
[頬杖ついて上目で見れば
月の光に紅が揺れ
其の先蛍火夢幻に揺らめく]
ほぉ。これぁ見事だぁ。
昼といい夜といい眼福だなぁ。
冗談はお止しヨゥ。
アタシに本気に成ったら人間だって喰っちまうヨゥ。
[コロコロコロリ] [笑う] [けれど]
[白い手] [伸ばして] [赤い髪] [梳いて]
司棋の兄さんは穢すにゃ惜しい、喰うにゃ勿体無いのさァ。
若しアタシの顔が一日中頭を離れなくなったら教えて呉れたら、そン時は司棋の兄さんのお相手をするか真面目に考えようかネェ。
[漂う星] [瞬いて] [視界を過ぎり]
[追う眼差し] [逸れて夜空] [仰ぎ見る]
綺麗だネェ、嬉しいヨゥ。
瞬く星こそ人間どころか妖にすら永久の光かも知れないネェ。
礼は無いけれど、有難うネェ。
ほう……見事な。
[流星、そして櫻。周りが心無しか明るくなったような気さえ]
……では、敗者の名に甘んじよう…。
[遥月を見据え]
それで…、赤鬼と我が敗者になるが、なにをせよと?
先も申したが、芸事なぞできぬぞ。
[赤鬼と見比べる]
[降り注ぐ数多の星。灯る桜の花。
杯傾け、目を閉じれば蛍火の残像]
良いな。
花はいずれ散るものだ。
今宵限りでも花は花だろうて、良い良い。
[舞い瞬く蛍火] [咲き乱れる桜] [眺め吐息零し]
[視線戻し] [小首傾げ] [更なる要求] [遠慮を知らず]
綺麗だネェ、綺麗だヨゥ。
嗚呼、良い、好いネェ。
有難う、司棋の兄さん。
序にアタシの簪もまた飾ってお呉れかえ?
[赤鬼の声] [更に酒注ぎ] [今度は溜息零し]
今日も苺飴はお預けかえ?
他者の腕に任せるは楽しいが、是じゃ何時まで経ってもありつけないヨゥ。
司棋の兄さんに振って貰えばありつけるかえ?
[コロコロコロリ] [笑う声軽やかに] [舞う花弁に混じり]
そんじゃぁ一丁
[ぱぁんと叩いた膝の音]
俺も魅せなきゃ漢が廃るってなぁ。
[立ち上がれば小獅子舞、
万次郎を見下ろして]
俺と舞でも舞ってみるかい?
なんなら殺陣でもやってみるかぁ?
[掲げた掌炎が揺れて
火の粉がきらきら蛍火の横]
ふふふ……そうですね。
せっかくですから、わたくしに少々お付き合い下さいませ。
[喰児の顎をついと上げ、指先で頬をなぞる。]
おやおや、意外と良い心地……。
さあてこちらのお味はいかが?
[笑みを浮かべ、万次郎の頬に両手をそっと添えて唇をなぞる。]
ああ……良い心地。
お二人さん、わたくしがもうよいと申しますまで、しばし目を閉じて下さいね。その間、好きに身体を触らせて戴きますよ?
[袖を口許に寄せ、遥月はころころと笑う。]
[くすり、含み笑い]
顔が離れなくなるような、ですか?
それが一体どういったものか、教えていただかないと僕はわからないと申し上げていますのに…
あぁ、でも今ならわかるかもしれませんよ?
[真理の頬を捉えてまたその唇をふさぎ]
貴女のために、桜も出したのですから。
気持ちは汲んでやっていただきたいもの…
[頬に触れ、髪に触れ。唇へも何度か、触れて]
[舞を始める喰児に弾かれ、すいと手を引く。]
あらあら、これは失礼致しました。
ではわたくしの悪戯は、万次郎様に致しましょうか。
ふふふ……
覚悟はよろしゅうございますか?
[万次郎ににこりと微笑む。]
[神社の境内][静かに座り]
[聴こえてくるは][賑やかな宴会の声]
[複数声の聴こえる方へ視線をやるも]
[暫し行く気にもなれず――]
妾らしくないと言えば、らしくなく
らしいと言えば、らしいのかの。
[気まぐれはいつものこと]
[カラリ][コロリ][そっと顔出し]
今宵も賑やかなことじゃの。
――新しい遊びかえ?
[目に飛び込んだ光景に小首傾げて誰にともなく]
お?
[にやにや哂いで遥月を見て]
何だなんだ、
そういう悪戯かい、色だねぇ。
[月に透ける柔い髪、
指を伸ばしてさらりと梳いた]
かっかっか。
桜に獅子舞。良い宴じゃ。
[舞う火の粉、遠い祭囃子が聞こえてくるか。
杯を咥えてしばし魅入る。
かたや万次に迫る月の様子にからから笑うと
口の端の杯も揺れる]
そンなもんは…―――
[続く言葉] [紡ぐ前] [塞がれる唇] [瞬いて]
[僅か離れれば] [ちろり] [舐める唇] [司棋のものか]
やれ、謂っても聴かない子だネェ。
接吻の時は目蓋くらいおろさないと嘘がばれるヨゥ。
一体何処でこんな遊びを覚えてきた事のかネェ。
[塞がれる唇] [途切れ途切れ] [言の葉零し]
[寄せられる顔] [頬に添える白い手] [すぃと滑らせ]
呪いのかかった唇に触れて如何なっても知らないからネェ?
桜は嬉しいけれどアタシに触れて桜だけじゃ足りないヨゥ。
もっと貰わないといけなくなっちまうからさァ。
[滑る白い指] [頬から首筋へ]
[小首傾げ] [細める碧] [弧を描く]
[ふらり現れた人影に、軽く手を振り]
白か。宴は始まっておるぞ。
遊びか、遊びも遊びあちらとこちらで火遊びかのう?
[喰と万次を交互に見遣り、くつりと笑う]
ふふふ……
わたくしの毒を舐める時は、余計な愛など語られぬよう、切にお願い致しますよ……
[喰児に髪を梳かれ、子どもの様に目を細める。]
万次郎様お一人に致しましょうか?それとも、お二人いっぺんに……?
中々に喰児は芸達者だネェ。
[はらはら] [舞う花弁の中] [舞う獅子]
[くぃ] [眺め煽る] [瓢箪] [顎伝う酒]
おや、白水の姐さん。
お陰様で水浴びは終ったヨゥ。
今宵もお邪魔するから宜しくネェ。
今は芸披露の時さァ、姐さんも何か見せてお呉れかえ?
[笑う青鬼] [コロコロ笑い]
茄子の兄さんも、何か芸をお持ちかえ?
林檎飴なら何時でも見せてお呉れヨゥ。
――サイコロ、か。
[喰児に向けて思案顔。]
そういえば今日は気まぐれに露天でも振ってみた。
ぞろ目ではなかったが何やら役があったらしい。
[カラカラ][躊躇もなく振ったサイコロの目]
{5}{1}{3} ――だそうだ。
勝敗の基準など妾にはわからぬが。
…貴女が望まれるなら…幾らでも華なぞ差し上げますが。
[首筋をなぞる白い手を絡めとり]
遊び程度しかできませんから…どうぞ遊びでないものを教えてくださいませんか?なら僕も貴女がほしいものを上げられるかも、しれませんからね
[笑みを浮かべる唇をまたふさぎ。今度は睫毛を僅かに下ろし。それは首筋まで、落ち]
[青司に向けた視線]
火遊び――か。
[口元にあてた袖][きっと今宵も笑んでいる]
[きっと――]
[常葉の少女に視線をやれば]
芸、と呼べるほどのものもないが――
[漏らす悪戯な表情][手に落とされた林檎飴]
――戦利品じゃ。
[コロコロ笑う常葉へと]
ふむ己の芸か。よかろうよかろう。
林檎飴は出せぬが…そうさなぁ、桜に獅子舞足りぬのは何だ?
[さらりさらり、顎撫でて。
杯置けば、袂から帳面、硯に筆ひとつ]
俺ぁ其処まで野暮じゃぁねぇぜ?
万次郎のお相手をたっぷりしてやんなぁ。
[にやり笑いを深めつつ
かちかち獅子舞歯を鳴らし]
どうだい、俺の獅子舞は。
付け焼刃だが様になってりゃぁいいんだがねぇ。
[真理に流し目、鈴しゃらり]
[...は杯片手に青司の隣へ。先程先に一杯やっていたのに少し目元を紅くして]
お邪魔しますよ?ちと僕ももう少し頂きたいので。
[手を伸ばし、取るのは瓢箪。手酌で立て続けにくい、と煽り]
左様、火遊びだ。
[白に頷き、火遊びを眺め]
かっかっか。
月、万次が固まっておるぞ。
万次にもそうなるものがあったとは、愉快愉快。
ではまず、万次郎様に。
どうぞ、目をつぶっていて下さいませね……?
[万次郎の目をそっと閉じ、その唇に己の指先を当てる。]
[冷たい感触を、頬へ……首筋へ、ゆっくりと下ろす。幾度も冷たく濡れたそれを、目を閉じたままの万次郎の肌に馴染ませる。頬、首筋、額……至る所を好き勝手に、濡れたそれを走らせる。]
ふふ……そうして固まっている万次郎様は、意外と可愛らしい……。
[耳元で囁くと、つつと細く濡れた何かを唇に寄せる。]
温かな息……さすがは剣士殿。目をつぶり、成すがままでもなお、激しゅう御座いますねぇ……
[からかうように笑いながら、万次郎の目尻に指先をキュッと当てた。]
咲いて散る華の刹那が好いのさァ。
[呟く声] [司棋にかける言葉かも定かでなく]
[取られる手] [其れ以上の抵抗する事無く留まり]
司棋の兄さんは何が知りたいのかえ?
人肌の温もりなら遥月の兄さんに訊くと好い。
女の身体なら白水の姐さんに訊くと好い。
胸焦がす想いは誰も教えちゃ呉れないヨゥ。
気付いたら焦がれるもンさァ。
望まずとも四六時中其ン人が頭から離れずに、気狂いみたいに急に叫び出したくなったり、かと言えば目の前に現れた想い人に触れるのも躊躇ったりネェ。
[首筋へ降りる顔] [空いた白い手] [つぃと顎を持ち上げ]
[互い違いの双眸] [覗く] [碧は柔らか] [微か潤んでいるか]
教えられるもンじゃないヨゥ、勝手に覚えるさァ。
アタシの欲しいもンは司棋の兄さんの頭からアタシが消えなくなったら強請ろうかネェ。
[隣へ座る司棋の杯が空になると
己の手元にある瓢箪を傾け杯を満たす]
ああ良い良い。邪魔などならぬわ。
よい芸の後だ、心行くまで呑むと良い。
[再度ちりんと賽が転がる]
これまたなかなか運の良い。
罰ゲームからは逃れたようかの?
そ。
月の君、……皆が、み。見て、おるのだが…ッ。
[ぎゅうと目を閉じ、
硬直したそのまま月の行為を受け入れるしか無く]
…。
汝れはあまり酒には強くないのではなかったかえ?
[酒を煽る司棋の様子を心配そう――とは程遠く]
[くすりと笑い声かけて][髪に咲いた黒い華をさらりと一撫で]
――ついでやろうか。
[差し出した手][渡すも渡さぬも司棋の自由]
[青司に首を傾げてれば][いたづらな表情で]
赤鬼がそこにおるのに汝れは混じらんのかえ?
[受け取る林檎飴] [瞬いて] [見上げる白の少女]
有難う、今宵は苺飴だけで済みそうだヨゥ。
白水の姐さんも中々にお強いネェ。
[早速林檎飴] [カリリッ]
[青鬼にニィと笑み] [口の端舐め]
猫が欲しいヨゥ。
墨で描ける黒猫が好いネェ。
アタシに懐く気紛れで可愛い子を頼むヨゥ。
[しゃらり] [鳴る鈴] [舞う獅子へ]
[向ける碧] [弧に笑ませ] [柔らかか]
付け焼刃とは思えないヨゥ。
ほゥら、其処で噛み付いて見せてお呉れヨゥ。
どこで覚えてきたのか立派な獅子舞だ。
己の芸で食いはぐったら相棒の獅子舞で食っていこうかねぇ?
[空になった瓢箪ひとつ、脇へ避けて。
指先は硯の上をするする滑る]
[すでにとろんとした瞳で差し出された瓢箪の前に杯を]
…頂きます。
[注がれるままに、飲み干して
夜斗は桜の花となり、今夜はきっと戻らない]
僕が知りたいのは…そんな、誰でもいいものじゃないから…。
[白い首筋に一つ、桜のような淡い痕を刻み]
遥月様でなくとも白水様でなくとも
同じ形のものは幾らでもありますから。
なら、貴女様を求めても変わりませなんだ。
[ゆっくり、胸元へ頬を寄せ、子供のように]
否…気持ちは、違うかもしれない…。
少なくとも、あのお2人にこうしたいとは…未だ思いませんから…。
[喰児の言葉と青司の言葉にぽん、と手を叩き]
あれは敗者へのおしおきか。
[くすり][くすくす] [愉しそう]
免れたようで何より。
――妾も飲もうかの。
[見上げた月][紅い瞳に映りこみ]
おやおや、このようなことでも万次郎様の御身体の芯に触りますか?
ふふ……羞じらいの言葉、しかとお受け致しましたよ?
[にこりと笑うと、万次郎の手にヒヤリとする何かを持たせた。]
……どうぞ、目をお開け下さいませ。
そして、そちらの鏡をご覧下さいな。
[万次郎に鏡を向け、再び己の顔と対面させる。
そこには……芸者衆と同じ化粧が施された、白塗りに紅が眩しい万次郎の顔。]
あはははははは。
嫌ですねぇ、万次郎様。いくらわたくしでも、そう簡単には手を出しますまいて!
男前な万次郎様には、芸者衆の化粧は………くくくっ………
[目尻にぽつりと涙を浮かべ、遥月は声を上げて笑いだした。]
[獅子舞かちかち夜に舞い
火の粉を纏って燃えるよう。
どんどんかちり、太鼓の音
踏み出す足取り獅子の其れ]
ようよう、相棒。
一杯くれねぇかい?
[常より低く声を出し
悪戯含みの口元で]
ああいうのは万次郎の方が面白そうだからなぁ。
俺は慎ましやかに身を引いたってワケさぁ。
[堂々嘯き緋色は哂う]
[白が首を傾げる様子に、首を傾げ返し。にやと笑う]
相棒を見守るのもまた相棒の勤めというやつだ。
己も手が空かぬ、瓢箪も空になってしまったしひとつ注いでもらおうかの。
杯はほれ、そこの地に置いてある。
[するするするり、
指先から毀れる青墨
硯の海に満ちて。常葉の言葉にひとつ頷く]
黒猫か。よかろうよかろう。
さてはて懐くか、ふむ。ひとつ甘えそうな子猫にしてみよう。
[ひたり墨に浸して、さらりさらさら、紙の上を滑る筆]
[瓢箪煽り][司棋の様子] [横目に見]
[しゃなりしゃなしゃな] [歩み寄り]
司棋の兄さんはこっちをお飲みヨゥ。
[差し出す瓢箪] [中身は酒と同じく透明]
[けれど酔い覚まし] [ただの水と誰が知ろう]
おや、喰児も意地が悪いネェ。
お陰で万次郎の兄さんは綺麗になっちまったヨゥ。
[青鬼の傍ら] [司棋の前に立ち] [見上げる獅子]
[省みる万次郎] [肩を竦め] [遥月の笑うを見守り]
かっかっか。今しがた司棋が飲み干してしもうたわ。
出すもの出さないと獅子舞に頭を齧られてしまうかの?
[踏み出し、寄る獅子にからりと笑い]
慎ましやかときたものか。
お前さんも紅の化粧は似合いそうなものだが。
いっそ二人で化粧施し歌舞伎でも見せて欲しかったわ。
[遥月にいじられた万次郎を一目見やると一瞬硬直の後、杯を取り落とし]
…ぷっ、あはははははは!
いいお顔していますよ、万次郎様!
[笑いこらえきれないながらも只管に腹を抱えて何とか耐えている]
見守る――か。
[杯を拾えば傍へ寄り]
先に一杯いただこう。
[その杯でくいと一口]
――無礼かの?
[言いながら][注いだ酒を青司に差し出す]
[常葉の少女の瓢箪の中身は知らねども]
[くすりと笑めば司棋を任せる]
[ひぃらり]
[墨色の影が薄墨の桜の高枝に飛び乗る。]
[そよとも枝が揺るがぬのは、人ならぬ身故。]
──あゝ、あゝ。
[はらり、はらり。]
[既にその面は袖で隠されて居らず]
[濡れても居らず]
[常と同じく硬く冷たく鋭く]
は、激しいなど…っ。
[なすがまま。口だけ。目尻に冷たいものが触れると
肩がぴくりと震え]
つ月の、君…ッ…!
そ、それまでだ、それまでに…し…
[やはり口だけ]
其処が違うのさァ。
誰を求めても違わぬならアタシである必要も無いヨゥ。
アタシが欲しくて欲しくて堪えきれなくなったら謂うと好いヨゥ。
[胸に埋められる顔] [そぅと頭を撫で] [髪梳く手] [優し]
そゥだネェ…茄子の兄さん辺りなら、司棋の兄さんもアタシにしたのと同じ事が出来るんじゃないかえ?
[赤鬼の杯満たすは常葉の酌]
ああ、良いように転がったわ。
よきかなよきかな。
己の酌より華があってよかろうて。
[すいと紙から筆を放す。
描きあがる黒い子猫。小さな四肢とつぶらな瞳
筆置き、紙持ち、ふぅと息かけ子猫はふわり。
紙から離れてきょろりと辺りを見回して、
常葉を見上げみゃぁと鳴く]
気に入ってくれたんなら何よりさ。
こういう祭りは好きだしな。
ヒト喰う合間に嗜むかぁ?
[さてそれは本気かどうか含み笑い。]
そんときゃ赤鬼青鬼で舞えば面白そうだなぁ。
つぅか司棋は大丈夫なのかい、
またくたばっちまわなきゃいいけどよ。
[不意に高く笑う声。
振り向く先には万次郎]
っはははは、こいつぁ傑作だ!
やるじゃねぇかい、遥月。
ちょっとしたもんだぜ、万次郎?
かっかっか。
司棋、そんなに笑ろうては万次に悪かろうて。
かっかっかっか。
[窘めながらも笑いは漏れて。
もぬけの殻の白い紙を持つ手のまま
白に差し出された杯に口を寄せ酒を啜る]
無礼で云えば己の方が無礼であろう。
気になどせんわ。かっかっか。
……今更に何故逃げる。
怖ろしいのか。
永の年月、幾度と無く問うて答えの返らぬのに。
知りとうないのか。
決して来ぬ者を待って俟ってまち続けたと言うに。
[桜の香りと柔らかい肌の感触についうとうとと]
…青司様が…、ですか…?
あの方が…僕に触れるのでしょうか…?
僕が触れたいと思ったのは…貴女様だけ…だったのに…
[酒が回ったのか、うとうとと。母親に触れた幼子のような安心した寝顔でそのまま*眠りに*]
[右手の指に紅筆を持ったまま、両袖を口許に寄せてケラケラ笑う。]
嗚呼、嗚呼。あはははは。
万次郎様、至極お似合いで御座いますよ……っふふ。
これぞ化粧師冥利に……っくく……尽きるというものです……っふふふ……
ほう、相棒の業は墨絵かぃ。
可愛いもんじゃねえか。
喰いっぱぐれるなんてこたぁなさそうだぜえ?
[真理の声、ふふと笑って酌を受け]
意地悪なもんかい、親切心さあ。
なぁんてな。
[杯干して満足げ、
唇舐めて眼を細め]
俺に化粧ねぇ、考えただけで笑えてくらぁ。
歌舞伎は悪かねぇけどな。
[ふと見上げる月の空]
おう、櫻が帰ってきたかぃ?
[ひとしきり笑い、更に酔いがまわったのか真理に注がれた水を飲む前に既に瞼は鉛のように重く]
…あぁ…また…回ったような…。
とても心地よく…。此れが酔いというもの…でしょうか?
[ふらり、頭が揺れたかと思うと背にある桜にもたれかかり*すやすやと*]
……問わねばならぬ。知らねばならぬ。
[賑やかに打ち騒ぐ眼下の怪どもを]
[見ているようで観ておらぬ]
[熱に浮かされた眸でねめつけ]
[喰児に向き直り、笑いを堪えながら囁く。]
ふふっ……喰児様もご一緒にいかがで御座いましょう……?
[紅筆を道具箱にしまおうと、蓋を開ける。其の中に、ヒラリハラリと桜の花びら。]
………おや。
これまた、どちらからの迷い子でございましょう……?
[紅筆を置き、辺りを見回した。]
[笑われるのには耐えられず。
全身から黒い霧を靡かせ、泉に向かい大股で歩み寄り]
………月の君ッ!タチが悪いぞ…!!
[袴のまま
ざぶざぶ
泉に腰まで浸かり、顔を洗い始めた]
[ばしゃっ ぱしゃり。ざぶんざぶ…]
ご覧ヨゥ、アタシには自分から触れるのにネェ。
茄子の兄さんが触れるか如何か気にしてるじゃないかえ?
触れたいもンに触れて厭なもンはあかを咲かせりゃ好いのさァ。
アタシを玩具にするんかえ?
面白いけどこの身は簡単に呉れてやれないのさァ。
欲しけりゃアタシに惚れてから、話は其れから、まだまだ先さァ。
其ンでもきっと気をつけるんだヨゥ。
アタシァ刹那に遊ぶ者、火傷に大怪我、泣くの覚悟で遊んで呉れないと手には入らないのさァ。
[眠り始める司棋] [髪梳き] [髪に口接けて]
[囁く内容] [裏腹に] [声は優しく] [あやす様で]
左様左様。
合間に嗜みやはり人食うか。
赤の獅子で人呼び込んで青の墨絵で攫えば喰いはぐりはしなかろう。
うむ、お前さんに化粧は考えただけで笑えるかの良いのだよ。
[からり。赤へと笑みを返す]
なぁに司棋がへばれば己が担いで行こう。
…ほら云う傍から寝こけておる。
夜斗も居らぬというのに仕方の無いわっぱだ。
お止しヨゥ、冗談に決まってるじゃないかィ。
[獅子の口] [押し返し] [コロコロコロリ]
[みゃあ] [鳴く猫] [見下ろす] [碧瞬き]
茄子の兄さんが描いたにしちゃ可愛いネェ。
ほゥら、おいでおいで、飯は無いが抱いてやろうかィ。
[白い手伸べて] [黒猫拾い]
[頬寄せ] [唇寄せ] [上機嫌]
おや、司棋の兄さんは今宵も潰れちまったかえ?
林檎飴はあるけれど、苺飴は誰に強請ろうかネェ。
[猫抱き] [カリリッ] [一口齧り]
[ひゅうるり]
[薄墨いろの花弁を撒いて風となり]
[緋の鬼の傍に舞い降り]
……気が変わった。
たまには愚かしい真似もしてみたくなった。
[ぼそり、]
[面白くもなさげに囁いた。]
……あらあら、万次郎様。
お気に召されませんでしたか。
ごめんなさいねぇ。
[泉で顔を洗う万次郎に、そっと手ぬぐいを差し出した。]
いけませんよ、ただただお水で洗っては。
化粧が落ちない上に、肌が荒れてしまいます故。
ちゃあんと化粧を落とせるクリームを塗りますから、こちらにいらっしゃい。
[紅の唇を歪め、万次郎に手招き。]
/*
既に脳内がいっぱいいっぱいです。
司棋の兄さんは素直に黄門様口説いてると好いと思う。
と言うか茄子もて過ぎですよ。
流石黄門様だヨゥ。
ところでアタシァ何処へ往くのかネェ。
俺ぁ万次郎の化粧で腹いっぱいさ、
自分の化粧姿なんて見たら腹壊しちまわぁ。
[哄笑しいしい獅子舞鳴らし]
おいおい万次郎勿体ねぇなぁ。
溺れんなよぉ?
[からから笑ってもう一杯
相棒の声に視線を投げて]
おうおう、そうさ、其の通り。
寧ろ今より喰えるやもしれねぇぞ?
いいもんかねぇ、寧ろ今より強面になっちまわぁ。
[常葉に擦り寄る猫の姿を見送り]
なぁに、少々そういうものを強請られる事があっただけだ。
今を生きるその子に明日は無いが、それまで可愛がると良い。
[次いで、ゆるり。静かな藍の視線を桜の男に向けて]
己は己よ。結んだ契りは既に切れてしもうたわ。
しかし、さてはて、彼の男とは、――同属食らいの己の事か。
[すいと細まる瞳は桜の奥の男を捉える]
[濡れ姿のまま泉から上がり、しぶしぶ月のもとへ]
月の君よ、今度何かしたら叩ッ斬る故覚悟せいよ……。
頼む…。
[月の前に腰を下ろし、仏頂面で目を閉じた]
がぶりと行きゃぁ旨いかねぇ?
[真理に小さく囁いて]
よう、黒櫻。
愚かな酒宴で呑み明かそうぜ?
[獅子舞掲げて笑って見せる。
静かな問いに眼を細め]
黒櫻は男を探しているのか、
契りとは遠い約束か。
ほおう?
[細めたままの瞳で見つめ]
……おまえが彼のおとこでないのなら、結んだ契りに覚えが無いのなら、それ以上の答えは要らぬ。
[眉根を寄せて、目を伏せた。]
[白い頬寄せ] [踊る黒い髭] [目を細め]
別段に猫の一生なんて興味無いヨゥ。
明日までは共に過ごそうかネェ。
おや、兄さんは同属喰らいかえ?
[赤鬼に] [囁かれる] [言の葉] [ニィと笑み]
アタシを喰ろうたら腹ァ壊すって教えたじゃないかィ。
生憎と喰う専門で喰わす何も持ち合わせが無いヨゥ。
[手にした杯][くいと飲み]
[ともすれば藍につぎ]
お初にお目にかかるものがまだ居たか。
[はなびら][ひらひら]
[彼等のやりとり][目を細め]
猫なンざァ強請る妖も居るンだネェ。
お前さんを求めたアタシが人でお前さんは不満かえ?
[黒猫の眸] [覗く碧] [柔らか]
喰児よ。忘れたか。
おまえと初めて会うた時も、こうして問うたものを。
それとも。
あまりに昔のこととて忘れたか。
……確かに。おれも、どれ程前の春であったか覚えておらぬ。
春に人が訪れることも絶えて無い。
居るのは物の怪ばかり。
左様か。違うのならば良い良い。
[目を伏せる男に反して、ゆるり笑みを浮かべる]
かっかっか。化粧で強面は良いではないか。
青鬼は相棒が逞しくて嬉しいぞ。
何処へでも行けそうだ。
[からりからから、紙の代わりに杯手にして
常葉の女へと笑むまま肩を竦める]
刹那を遊んでやると良いさ。
かっかっか。
さぁて嘘か真かどうだろうねぇ?
ふふっ……もうそのような悪戯は致しませぬよ。さあ……目を閉じて下さいな。
[にこりと笑い、再び万次郎の目を閉じる。]
[クリームをつけた遥月の指が、そっと万次郎の頬にヒヤリとした感触を落とす。軽くぐいとそれを押し込み、肌にゆるゆると馴染ませる。]
ふふっ……好い感触の肌ですねぇ。万次郎様。陽と風と闇にさらされた、男の肌……。殿方の肌は、この心地が佳いのですよねぇ……。
[柔らかく、優しく、愛でて撫でるように、万次郎の顔に己の指先を走らせる。]
唇も、ほら……嗚呼。
[柔らかい布で万次郎の顔を拭き、元の姿へと戻した。]
ほうら、万次郎様。
呪いは解けましたよ。
目を開けて、鏡を覗いてご覧下さいな。
同属喰らいかぃ、ほうほう。
旨かったかぃ?
[別段悪びれた風もなく、
細めた眼のまま櫻を追って]
―――ああ。
[ひらりひらり舞う櫻]
……そうか、そうだったなぁ。
そうお前は俺に尋ねたのだったなぁ。
悪ぃ悪ぃ。
随分前だった気がするがねぇ。
さて、もう数えるのも面倒なくらい、前だぁな。
[獅子舞かついで緋を揺らし]
[万次郎に向かいて何やら施している若衆の背に]
[今度は視線を据えて、]
……おまえは。
契りに覚えは無いか。桜のこの時に、想うものは無いか。
[闇と桜に彩られた男に向けて、遥月は紅色の視線を流した。]
おやおや、そちらは先刻の……。妖しの方で御座いますね。
何やら寂しげな色を背負われていらっしゃる……。どうなされたのですか?
かっかっか。
不味くて仕方ないさ。
色でも添えれば幾分ましだろうてなぁ。
さてはてそれも嘘か真か如何でも良いがね。
[赤に向ける視線の間に舞う桜。はらりひらり]
桜の季節に想うものか。
[男の言葉を聞き、紅の視線をゆるりと落とす。]
……いいええ。
わたくしは、「契り」なるものを赦されぬ身で御座います。
[静かに溜息をつき、首を左右に振る。]
わたくしが誰かと契った瞬間、相手の身は毒に焼かれて朽ち果てましょう……。何の因果とは存じませぬが……嗚呼。寄る辺無き我が身は淋しゅう御座います。
[独り言のように、ぽつり呟く。]
[差し出された杯を満たし]
[ゆらゆら揺れる水面に視線を這わせ]
同族喰らいか――結構結構。
警戒すべきは狩る者のみにあらず哉。
[おだやかな笑み]
わらわは白水。呼ぶ名は好きに。
汝れが名乗るも名乗らぬも自由じゃが、
呼び名をもらえれば助かる。
[黒の男へそう告げる]
汝れも飲むかえ?
[拭う月の指先の感触。違和感。言葉、違和感。
ぞぞ、と這い上がる悪寒。]
剣士に向かって、何を言うか……。
其方、真に見境が無いのだな。
む…。落ちたのか?………落ちたな。
[解放されて嘆息。するりと掌で面を撫でた。]
……契りを交わしたのだ。
遠い遠い昔の話だ。
あの桜がまだ、若い樹木であった頃。花に薄紅のいろを宿していた頃。
桜の咲く頃に必ず……
[言葉をそこより先に紡ぐことは無く、]
……待っているのだ。契りを果たしに現れるのを。
[一度目を伏せ、再び開く。
遥月の視線には、またこれ迄どおりの深い紅色。]
ふふ……万次郎様。
見境が無いと申されますか?
そんなことはございませんよ。わたくしは、わたくしの感性と熱に「心地好い」と沁みる相手にだけ触れるのですよ。
……まあ、性別云々はさして気には致しませぬが。
[万次郎の目を見て、くすりと笑った。]
……酒を。
[ぱらり、地に落ちる賽三つ。黒の杯を取り
手近な瓢箪から酒をとっぷりと注ぎ、ぐいと呷る。
干してすぐ、とぷりと満たし自棄気味に呷る。
化粧が酷くショックだったのか何度も何度もかっくらい]
お見通しだな、有塵は。
だがちぃと間違ってらぁ。
酒は勿論だが酌み交わす相手が必要だわなぁ。
[くつくつ笑いで櫻を弾き]
酔ったか、そうかもなぁ。
[ざわり] [ざわり] [ざわり]
[理由も] [自身も] [気付かぬふり]
厭だヨゥ。
楽しくして居たいじゃないかィ。
おれは有塵(うじん)……文字通り塵芥(ちりあくた)に等しきものよ。
[笑いを浮かべたのであろうか、唇を歪め、自嘲の混じった声音と共に。]
[目を細めて月を見据え]
性別云々が、見境が無いというのだ…!!
[自分の杯を満たしてから、瓢箪を月に押し付け]
其方も呑め。忘れろ、全て。我は忘れたい。
呑め、呑め。やれ、呑め。
[ぐいぐいと。無理矢理にすすめる]
契りを信じ、待ち続けるか。
……難儀よのぅ。
[どういう意味でかわからねど]
杯は余っておらぬか――よい、作ろう。
[取り出したる水の珠]
[つぶせば形は崩れ落ち]
[ゆらゆらかたどる器のかたち]
清い水で出来ておるゆえ悪酔いはすまい。
[苦い顔には笑いかけ][杯満たし相手に差し出す]
/*
薄恷沽Y!
嬉しいけど遥月が飴募集した瞬間に呉れるって!
でもありがとう!
今日は昼間人が多かったのが敗因です(人のせい
平日人の多い村なら配分考えないと辛いなあ。
……ものの美醜は、哀しくなるほど気に致しますのに。それは見境のうちに入りませぬか?
[万次郎の目をじぃと見据え、勧められた酒を盃に注ぎ、くいと飲み干した。]
嗚呼、美味しい。
[ゆらりとくとく満たされる杯。
白に浮かぶ笑みに、するりと視線を外し]
左様。己に食われぬように気を付けると良い。
ヒトを狩るにも手探りなれば端から食らうしかあるまいな。
[杯に口を付け、桜の男へと]
ふむ、契りを交わした相手を探しておるのか。
名も知らぬ、いつ来るかもわからぬそれを。難儀な男よ。
[嘆息。常葉の視線に瞬いて]
成る程、お前さんらしい。
[頷く]
[ざわり] [ざわ] [ざわ] [ざわ]
[渦巻く] [胸の内] [押し込め]
今を楽しまず何時を楽しめるって謂うンだィ。
……羨ましい?
[ギロリ][片目に鋭き光を滲ませ]
おまえなんぞには解かりはしない。決して来ぬと……
[とまた、そこから先を口に出すことは無く]
[怒りと憎しみの入り混じった炎(ほむら)を]
[眸の奥にじりじりと燃やす。]
其の方は、普通に見境どころではない。
美醜は誰でも気に掛けるだろう…。
[盃で飲む月を見て]
なんだ、其の様は。もっと呑まぬか!
瓢箪ごとゆけ。こうだ、こう。
[瓢箪を奪い、ラッパ飲みを二口程。それをまた月に押し返す]
それでも棄てられぬのだ。
何時でもどれ程年月が経とうとも、
同じように、怒りと憎しみと、
──いとしさが、
身のうちにこみ上げてきて、焦がす。
おうおう、やめねぇかい有塵。
冷たく見えて熱いんだからよお前はさぁ。
[杯こつんと有塵に当て
相変らずのにやり笑い、
しかし金の瞳には何処か常無き色を見せ]
人ならぬ身故に、忘れることも無く、想い薄れることも無い。
死して尚、彼のおとこを想う一念で妄執の鬼と成り果てた、吾故に。
ええ……羨ましゅう御座います。
約束さえも、いいえ、深い絆でさえも赦されぬ我が身は……
深く愛すれば愛する程、相手を己が毒で犯してしまうが故……嗚呼。契りを結べず、関わりは刹那……。我が身は永遠に在れど、永遠の繋がりは赦されぬのです……。
[首を左右に振り、溜息をつく。]
しかし、このような嘆きは詮無きこと。
ましてや、待ち人を捜す貴方様には堪える話……。
嗚呼、貴方様のお気持ちも知らず、ペラペラと。申し訳ございません……。
[有塵――小さく繰り返す]
墨染桜は何故そう言うか知っているか?
元は薄紅の花をつけていたそうじゃが、
土地の領主が果てた年から白い花をつけるようになった。
――自らの意志で喪にふくした優しい桜じゃ。
[彼を見つめて首傾げ]
汝れの纏う花の色が淋しげなのは優しさか悲しみか――
[青司に視線を戻せば]
せいぜい気をつけよう。
食われる前に食うのも手かの?
[いたづらな笑み]
[ほむらを宿したまま、白水の差し渡す水の杯を受け取り、]
[礼すら忘れて、くい、と一息に飲み干す。]
[緋の鬼に小突かれ、]
……おれは。
[ふと眸が揺らぎ、杯に目を落とす。]
[有塵に当たる杯を眺め]
やれやれ、止めずともよかろうに。
腸煮え繰り返るならば好きにさせとけば良い。
[己の杯を煽り空にする。
白の笑みへと薄い笑みを返し]
食いたければ好きにすると良い。
酌の礼に一口くらいならば大人しく食われてやろうか。
かっかっか。
[咥える杯、ゆらり立ち上がれば頭をひとつ撫で]
[遥月が瓢箪から呑むのを見届けて。既に目は据わっている]
……其れでよい。
できるのなら、潰れてしまえ。先の事など忘れろ。
我は、忘れたいのだ。
…ええい、酒は無いのか、酒は。
[常に無く酔った様子。据わった視線を周囲に投げ
たと思いきや
ふらぁり
どさ、と仰向けに倒れた]
さて、司棋を放って月に紅でも塗られるのも面白そうだが
約束は約束だ連れて行くとしようかの。
月、やるならば起きている時に紅を引いてやれ。
[カラコロリ、
桜にもたれる司棋を担いで社の軒下へ
壁に背をもたせれば、膝に寝かせ
暫く離れた宴の様子を*眺めているだろう*]
[藍と碧] [挟み] [はらはら] [舞う花弁]
[浮かぶ笑み] [艶やかに櫻色] [薫る白粉]
…そうかィ。
[ちゃぷり] [瓢箪] [赤鬼の胸に] [突き出し]
[白い手] [空くのに] [踵を返し] [後ろ手ひらり]
過去も未来も約束にゃ興味無いしちょいと酔い醒ましに往くヨゥ。
まるで人間みたいだネェ。
[背を見せ] [呟き] [しゃなしゃなり]
[カラコロカラリ] [下駄の音] [*遠退くか*]
嗚呼、嗚呼。万次郎様……?
いけませんよ、そんな所で眠ってしまっては。
……ふぅ。では水でも汲んで参りましょうか。ついでに酔い醒ましの散歩でも。今宵は、詮無き思念が頭を支配しかかっております故……
[すっくと立ち上がり、皆に一礼する。]
ではまた皆様、ごきげんよう……。
ったくしゃぁねえヤツだなぁ。
……っとと
[瓢箪受け取り真理に笑う]
刹那に囚われることもあらぁな。
だから永久と紙一重なのさぁ。
……ああ。
違う。違う。そんなに優しげな、麗しい話などではないのだ……
[頭を振れば、ばらりと黒髪の乱れたる、]
薄墨の桜は何故色を喪のうたか……
[ゆうらり立ち上がりて]
墨染めの衣纏て、色を忘れんとて忘れ得ず──
[散る桜、空へと舞い上げて]
それ故に──
[撫でられた頭に幾度か瞬き]
一口か――悪くはないな。
覚えておこう。
[複雑な笑み][離れる藍を見守り]
[有塵に視線をやり]
礼などいらぬが――その杯は汝れにやろう。
清き泉の結晶じゃ。
汝れの迷える心の助けにならんことを。
[カラリコロリ][立ち上がり]
[喧騒から逃れるように][*社の裏へ*]
[ひゅうい] [桜の木] [巻き付く糸]
[くぃ] [手元確かめ] [飛び移るか]
らしくないネェ。
[黒猫] [膝に乗せ] [頭を撫ぜ]
[こつり] [幹に頭寄せ] [呟くか]
***
「名はなんと申す。」
[問うて当然] [答えて当然] [そんな口振]
[組み敷かれ] [尚も気丈に] [ねめつけて]
生憎と妖に名乗る名なぞ持ち合わせが無いネェ。
***
[舞い上がる花に目を細め]
纏う墨の内側には、未だ薄紅を秘めておるか――
[もしくは色を失うたか]
[雪のように舞降りる花を見て]
されどわらわは薄紅の桜も薄墨の桜も――汝れも嫌いではない。
いずれうらめしの情が薄まることあらば汝れの色を魅せてもらおう。
[カラリコロリ][鳴る下駄は]
[闇に向かって*消えて行く*]
***
「では真理と名を呉れてやろう。」
[浮かぶ笑み] [妖艶にして遙遠]
[返す笑み無く] [長い睫毛瞬き]
…そンなもン、欲しかァ無いネェ。
***
[ゆるり] [長い睫毛] [瞬かせ]
[世界] [切り取られ] [また映す碧]
未だ咲いても無いのにネェ。
[にゃう] [鳴く] [黒猫を撫ぜ]
[弧に笑む] [双眸] [柔らかく]
[ひらり] [ひらり] [舞う蝶]
[闇に紛れ] [赤の髪] [耳元へ]
ゆっくりとおやすみィ。
[囁く声] [柔らかく] [*闇に解け*]
[さらり、さらり、指の間を滑る髪]
「……じ」
「――せいじ」
[気まぐれに拾ったわっぱの声がする]
[遠い過去の記憶か]
[ゆるり目を閉じる]
腹が減れば人里降りて子供を攫う。
山奥まで担ぎ谷間の棲家まで持って帰り魂を食らう。
桜が咲乱れ、散り乱れ、四季が廻れども変わる事のない日々。
ある時期、長雨続いたその後で、
久方ぶりの陽光に藍の男はふらりと村を覗く。
土砂崩れで村がまるまるひとつ流された。
餌場が減ったな。男は嘆息をつく。
まあよい暫く腹は減るまいて、山を越えれば村は他にもいくつかある。
踵を返す男の前に、泣く子供がひとりぽつり。
腹が減れば食うつもりで、手を引き拾って帰る。
ただの気まぐれ。
せいじ。
次は犬をかいて
次は猫をかいて
鳥がいい。蝶も花もみんな描いて
せいじ、せいじ。
強請る子供の声。
袂引き、胡坐の上にちょこんと座る。
筆を走らせれば覗き込み、
息をふきかけ紙から離せば
子犬に子猫に小鳥に蝶が戯れはじめる。
古びた民家を駆け回る子供の笑い声
男は、肩膝ついて頬杖ついてぼんやり眺める。
[ゆるり目をあける]
[ぼんやりと、眺める宴はもう終いだろうか]
[さらさらさらり、わっぱの髪を弄び]
[男は深く息をついた――]
[ちゃぷり] [ぱしゃり] [水飛沫]
[朝の光] [綺羅綺羅] [煌いて]
[白い肌] [滑る水] [濡れた常盤]
[肩から胸元へ] [濡れて] [深い常盤色]
[遊螺り] [身を捻る] [背に這う常盤] [流れ]
[白い手] [伸ばす浴衣] [黒の染み浮き]
[淡絞りの白] [浮かぶ墨] [濡れた肌包み] [滲む]
[帯を締め] [白い手の中] [枯れた桜] [花簪] [眺め瞬く]
[結い上げる髪] [揺れる常葉色] [白い項] [撫ぜ]
還っちまったか、逝っちまったか、どっちかネェ。
[枯れ桜] [墨仔猫] [呟いて] [仰ぐ櫻]
[枝の向こう] [青い空] [広がるばかり]
[仄か薫る] [甘さ] [琥珀の君の] [置き土産]
[水面に映る] [白の面] [貝より掬う] [紅を指す]
相変わらず仲良くしてるかえ?
[二匹の出目金] [寄り添い] [離れて] [擦違い]
[また寄り添って] [赤と黒] [ひらひら] [揺れる尾]
[ぱしゃり] [猫の如くか] [水面叩き]
[跳ねる水飛沫] [弧を描く碧] [柔らか]
[逃げる出目金] [白い手] [追い掛け]
ほゥら、早くお逃げヨゥ。
[ぱしゃり] [ぴしゃり] [幾つも広がる] [波紋]
[白い手] [擦り抜け] [夫婦金魚] [また寄り添うか]
[遊螺り] [立ち上がり] [振るう] [濡れた白の手]
[ひゅうい] [風切る音] [腕を引き] [見えぬ糸手繰る]
鬼ごっこは何時始めるんだろうネェ。
[咲ききらぬ] [桜の梢] [枝の上]
[腰掛け] [片膝立て] [顎乗せて]
[肌蹴る太腿] [浮かぶ黒の蝶]
[ふらふら] [揺れる] [白の足] [紅い鼻緒]
[揺ら揺ら] [漂う紫煙] [仄か桜の香り]
昨日は苺飴を食い損ねちまったしネェ。
今日こそはありつけると好いけどさァ。
[ぷかり] [浮かぶ] [煙の輪]
[こつり] [幹に頭寄せ] [枝仰ぎ]
[葡萄色の着流し帯を締め
煙草咥えて眼を細め、
その先在るのは賽の目で。]
さぁて今日の調子はどうかねぇ。
[振る手、さいころからりと鳴って
数字ははてさて
{2}{5}{3} ]
[カァン] [枝叩く] [煙管の音響き]
[パラリ] [降る灰] [胸の煙] [吐き出す]
もゥ好いかえ?
未だだヨゥ。
[隠れ鬼の合言葉] [囁き] [コロコロコロリ]
っちゃぁ、景気悪ぃなあ。
[「ははは、おれの勝ちだねぇ」
店主が笑う。]
しゃぁねえやあ。
おらよ、負け分だ。
っと、苺飴一つくれっかい?
[「なんだぃ、あの姐ちゃんにかい?」
からっと笑った捻り鉢巻。
にやっと笑った緋色の男。]
昨日拗ねさせちまったからなぁ。
頂いてくぜ、じゃぁな。
[飴を片手に男は歩く。金色の視線走らせて]
さぁて、何処に居るのかなっと。
[はらり、はらり。]
[ぞろり、ぞろり。]
[常と同じ参道を歩く墨染めの衣の]
[今日のこの日に、常の春とは違うのは、]
[その手に提げた瓢(ふくべ)と]
[熟柿の香を帯びた吐息。]
[目の誤りでなければ、冷たく硬く血の気の無いその面さえ]
[微かに目許に朱を帯びて、]
[もう疾うにこの墨染めの、八つ当たりじみた狼藉や奇矯な振る舞いに慣れきったあやかしでさえ、一瞬奇妙な顔付きをするが、]
[やがて、ああまたこれも、と思い直したか、常の春と同じく係わり合いを避けて目を逸らす。]
水浴び水浴び謂ってことだし、
やっぱ水辺かねぇ……
っと?
[吹いてきたのは強い風。
はなびら乗せた薄墨の 春の嵐の真ん中の]
有塵かぁ。
おいおい、周りのモン吹っ飛ばすんじゃねぇぞ?
[別段とがめる風でなく、からかい混じりに手を振った。]
未だ未だ遊び足りないヨゥ。
[空の煙管] [墨滲む] [白の袂に仕舞い]
[ひらり] [地に降り] [カラカラコロリ] [人混みへ]
[響く下駄の音] [止まぬ祭囃子に混じる]
おや、喰児に有塵の兄さんじゃないかィ。
鬼ごっこでもしとるんかえ?
[常磐の女君の声聞かば]
…ああ。まめまめしいことを、と思うておれば。
目当てが居ったからか。
[常には硬い光しか宿さぬ]
[乱れ髪より覗く片目に、悪戯ないろが浮かぶ。]
[思い出したように片手の瓢を口元へ。]
[喉を鳴らし][中の酒を]
……もう無いのか。
[呑み干し、手の甲で口を拭うと面白く無さそうに呟く。]
[けぶる桜] [片目に浮かぶ悪戯な気配] [碧は弧を描く]
[小首傾げ] [揺れる常盤色] [薫る白粉と] [紛れる桜色]
有塵の兄さんの契りしお相手は見つかったかえ?
おやまた色事の噂話かィ。
青鬼ァ色乗せたら喰らうと笑ったが赤鬼は色好み何する気かネェ。
おう、碧。
[ひらりと振るは苺飴]
はは、今会ったところさぁ。
有塵は処構わず風を纏うから目立つわなあ。
[悪戯な瞳の黒櫻。
それにはにいと笑み浮かべ]
佳い女だろう?
[あっけらかんと謂ってのけ。]
お前の方こそ酔いが残ってんじゃぁねえのかい?
目元が赤いぜえ、有塵。
[白いかんばせ覗き込む。]
なんでぇ、既に呑んでるってかい。
日の高いうちから呑む酒もまた格別ってなあ。
[有塵の笑いに目を細め]
呑み足りないんならこいつでやるかい?
見つかるように祈願の酒さぁ。
[昨晩真理が押し付けた
酒を満たした瓢箪掲げ
紫煙を吐いたが風に消え]
[振られる紅い飴] [風に揺れる紅い髪]
[カラコロカラリ] [下駄の鼻緒は苺色]
昼間っから酒に賭博たァ本当に道楽だネェ。
今日は勝ったンかえ?
[歩み寄り] [見上げる赤鬼] [佳い女と謂う]
[コロコロコロリ] [軽やかに笑う声] [風に乗り]
そんな風に謂って呉れるなァ喰児くらいさァ。
[耳につく嗤い声] [振り返り] [狂躁を見詰め]
未だかィ、そいつァ難儀だネェ。
ところでお相手は生きておいでかえ?
何処ぞで塵と化してる事もありそうだけどさァ。
[カラコロ足音真理の声
にいと笑って]
賽の目のご機嫌が悪いらしいぜ。
ま、こいつぁちょっとした手土産だ。
昨日は結局振れなかったからなぁ。
[謂いつつ渡す苺飴、常盤色によく映えた。]
謂うのは俺だけなんて
実は冗談じゃぁないのかい?
[くつくつ笑ってからかい混じり。
有塵の笑い風に乗る。]
祈願、か……
待てど来ぬ者を待ち侘びて早千歳。
今更に。
……勿論、彼のおとこは生きては居るまいよ。
だが、魂が憶えて居るのならきっと。
どの様になろうとも。
そう、信じて。
[いよよ嗤いは物狂おしく、]
負けちまったのに土産かえ?
嬉しいヨゥ、態々有難う、喰児。
今宵は皆で振りに往けるかネェ。
[白い手] [受け取る] [苺飴]
[綻ぶ薔薇色] [紅い飴] [寄せ]
喰児の言葉とて冗談か本気か判りゃしないヨゥ。
[弧を描く碧] [上目遣い] [金色覗き]
[ちろり] [紅い舌] [舐める] [紅い苺飴]
しないよりぁいいさ。多少の慰みにもなるしなぁ。
[目細め、有塵を見て 笑い猶も甲高く]
あいつらの時間は短ぇからなぁ。
こういう状況だ、魂が来てんなら
結界の中に閉じ込められちまってるかもしれねぇなあ。
出くわす確率高くなりそうだぜえ。
[笑いは矢張り常のまま、瓢箪呷って酒を呑み
真理の声に頷いて]
気ぃ向いたらまた買ってきてやんよ。
そうさなあ、司棋のやつに振らせてみりゃぁいいか。
万次郎をあんなにした張本人だからなあ。
[くつくつ笑いで 常盤を見下ろし]
俺ぁいつでも真面目だって謂ったろうよ?
琥珀の兄ちゃんにも謂ったがありゃぁ信じてねぇなあ。
おうよ、呑むかい。
そんな風な有塵を見るなんたぁ珍しいねえ。
[からかいの色を滲ませて
眼下の櫻に瓢箪渡す]
顔白いから酔いの紅が映えるじゃねぇか。
遥月あたりが喜びそうだなあ。
[カリリッ] [齧れば広がる] [苺の香り]
[耳につく嗤い声] [見詰め] [ニィと笑み]
其ン魂は輪廻転生繰り返してるンか、喰われて誰かの元にあるンか、お相手は知らぬが忘れっぽい奴じゃないと好いけどネェ。
[カリリッ] [苺飴齧り] [傍らの赤鬼] [見上げ]
気が向くのを楽しみにしとくヨゥ。
万次郎の兄さんも素敵な事になってたネェ。
酒はからっきしでも司棋の兄さんなら勝てそうかィ。
[長い睫毛] [瞬き] [浮かぶ笑み] [艶やか]
偽りも真もアタシァ気にしないけどネェ。
開那の兄さんと違って信じとくヨゥ。
佳いと謂われりゃ嬉しいし佳い女にも成れそうじゃないかァ。
[渡された瓢箪をくいと呷れば]
[口の端より溢れた酒が蒼白い喉元に伝い落ちる。]
[唇を離し、熱い吐息。]
[ますます目許が赤く染まる。]
──匂ひもあへず花ぞ散りける。
……それに、もう遅い。間に合わぬ。
[遠くから聞こえる妖しの者たちのざわめく気配]
おやおや
あそこまで行くのも面倒だ。
[笛を口に当て、
ひょう
と一吹き。そのまま、遠い昔に己の持ち主が自分で奏でた調べを*吹き続ける。*]
[何処からか笛の音の聞こゆるに耳傾け]
また新参の物の怪か。祀りに見物が現れるは常なれど……
そう言えば、結界に閉じ込められた、と。
狐の呪法は巧くいかなんだのか。
[やっと訝しげに、据わった眼で気付いた様子。]
人が混じって居ると……
[ハッと息を呑む。]
一人称言わなくて良かった。
男子キャラのつもりだったけど、男女比的に女子やった方が良さそうだもんね。
万次郎さん、時々存在に言及して下さってありがとうございます。
楽しみにされちゃぁ気も向かざるを得ないねぇ。
俺も危ういところだったがねえ。
紅さしは1人で十分さぁ。
餓鬼に対しての方が賽の目は素直なのかもな。
司棋のヤツぁ相棒が持って帰ってたねえ。
宿酔いになってなきゃぁいいが。
[ふと響いた笛の音、水晶のように澄んでいて]
ほお、妖質孕んだ笛の音かい。
まだ会った事のないお仲間がいるのかぁ。
[嘘も真も常盤の前では塵同様。
笑みを深めて頷いた]
ははぁ。
矢張り碧は佳い女さ。
そう謂うなぃ。
佳い女に弱いのは男の常なのさ。
[黒の瞳を覗き込み、にっと笑って答えて見せて
続き宿った剣呑な光、御狐様のお導き]
ああ、有塵はまだ知らなかったのかあ?
人が混ざってるんだってよ。
御狐様がうっかり結界とじちまってなぁ。
鬼と鬼が鬼ごっこさ。
[にやり笑ってこの男
楽しいようにしか見えぬよう]
差し詰め有塵は黒鬼かあ。
過去も未来も判らぬアタシァ喰児より余程に莫迦だヨゥ。
どんなお相手だったのか、巡り巡った魂じゃ元の姿は拝めぬか、嘘か真か同属喰ったってェ謂ってたのは茄子の兄さんかィ。
[碧の眼差し] [笛吹く小鬼] [捉えた侭]
[息呑む気配] [横目で見遣り] [小首傾げ]
如何かしたのかえ?
[赤鬼] [苺飴] [交互に眺め]
[伸ばす白い手] [赤鬼の口許] [運ぶ苺飴]
齧って旨けりゃ益々気も向きそうかえ?
次ぎに六博振る時ァ司棋の兄さんくらい素直になると好いかもネェ。
青鬼に持ち帰られ喰われてなけりゃ二日酔いかィ。
未だ見ぬ鬼も鬼ごっこかネェ。
外じゃ祭じゃ!
[その結いもせぬ短い髪が、自らの体の動きで起こる風に乱れるのも構わず、祭の中駆け続けた。
少年のように髪は短くとも、日を浴びた事がないと見える程の肌の白さが少女であると判別させる。
わらじに足袋の足元はよく締まり、身軽な少女の動きをより助けている。
羽にも似たなびかせ方で振袖が揺れ、祭日に童が着る丈の短い着物は惜気もなく膝を露にした。
――ああ、見るもの聞くもの、全てが珍しい!]
[だが揺らいだ空気の向こう側で、白金に輝く何かを見、その声を聞いた気がしてメイは足を止める]
――…あるじ様とな?
われら異形を狩る者達が紛れこんでいて…
結界をこのままに、あるじ様への供物とする?
狩る者を探し出し、あるじ様の御前に…?
肉は新鮮なほうがよいが、魂さえあればどうなっていようと…
…おおっ、そこな店主!
[だけども少女の興味は難しい言葉の意味をよく考えてみることから、すぐに目の前の屋台に移ってしまった]
ここに人が居るのか…?まことに?
よもや。
[物狂おしさはそのままに、否、数倍にも増して、]
[しかし酔いが醒めたかのように激しく燃ゆる眼差し。]
[自ら問うて、]
[…けれどもそれは一瞬の間。]
[燃え上がる胸の炎を打ち消さんと][苦々しく]
…有り得ぬ。
迷い込んで引き込まれたのでなければ、怪どもに取って食われた身内の敵討ちに参ったのであろう。
いずれおれとは関わりの無いこと。
そんなにたくさんの、その丸いものは何じゃ?
毬にしては小さいのう。
わらわの口にも一度に入ってしまいそう。
おまけに嗅いだことの無い匂いがしてきおるわ。
さては食べ物と見たぞ。
当たっておるな?
どんな味がする、どんな味がする?
…それは食べてのお楽しみ?
わかった!
それじゃあどれ一つ、寄越してみい。
[...は、まあるい瞳をきらきら輝かせて、店主に小さな手を差し出す。
受け取ったそれに鼻を寄せても、やはり今まで一度も嗅いだことのない匂い。
一息で、ぱくんと食べて]
………っっ!
[白黒するメイ目。
たこ焼きの皮とソースに包まれた、苺味の飴などとつゆ知らず]
…………美味いぞ、店主!
[メイの口からあがる歓喜の声]
さあ同じ味のものを、もう一つ。もう一つ。
[逆の手を差し出して、にこにこ機嫌の良い店主はその前にとお代を求める。
メイの答えは]
お代とな…銭や金と?
ううむしかしな店主、そんな物、わらわは一つも持ってはおらんぞ。
[悪気もなくにっこりと]
[にこにこしていた店主のこめかみに細い血管が浮き上がっても、まだ気付かない]
ほれどうした、同じ味のものをもう一つ。
[差し出したままの手をぎゅうっと掴まれて、冗談はいけませんやと店主のえびす様が、見る見るうちに般若面へ]
…ふぎゃっ
[逆立つ毛、思わず反射的に小さく爪を伸ばしてその手を引っ掻く]
[白い手が運ぶ苺飴、
がりりと齧れば甘い香が]
ああ、旨いねえ。
気が向きそうだ。
どっかの詐欺球とは大違いだ。
[ぺろりと舐めて笑って見せて]
あんくらい素直ってなぁなかなか難しい相談だなあ。
まあせいぜいやってみるかぃ。
さぁて、鬼は鬼らしく鬼を探してるんじゃねえかい?
酌み交わす酒が旨けりゃぁ俺ぁどっちでもいいんだがねえ。
どうした、急に!
そのようなおまえの表情にはぞびぞびと、気持ちの悪いものを感じるっ
不愉快じゃ、罰として今もう食べてはやらん。
わらわは去ぬからな!
[生まれた赤い線は薄くとも、引っ込められた店主の手が再びメイへと向かう。
身構えていたメイは今度はあっさりそれを軽い身のこなしでかわし、ヒラリ屋台の低い屋根の上へ]
うむ。
上にまで人ごみはなく、空いておる!
[身の重さを感じさせぬ跳躍で屋台の低い屋根から屋根や、屋根から木へと飛び移り移動すれば、詐欺球の屋台、怒れる店主は彼方の小さな豆粒]
そろそろ下りても良かろうな。
[木の上から枝を掴んで逆さまに、頭を出せば吹く風と舞う桜の花弁]
おお…
[見ればそれは、墨染めの僧衣を纏った大男の周囲でのみ起こっている。
背の半ばまで達する髪は片目をも隠し、一見陰鬱にも見えるというのに]
おぬしが起こしているのか?
何と似合わぬ華麗さよ!
[...の興味はすぐに彼の近くに佇む、涼しげな白の浴衣を纏った常盤色の髪の女にも移る。
女の髪はきれいに結われている。
自分にも簪があればああできるだろうか?
――いや、それよりも]
その小さく丸いものは食べ物か…食べ物じゃな?
どんな味がする?どんな味がする?
[両手を差し伸べて枝から手を放したものだから大変。緋色頭の大男の前に、ぺしゃりと落ちる]
ニ”ャッ…
[あわててくるりと一回転。
…回転し終わるには高さが足りず、尻餅つきつつ見上げれば金色の眼]
金の眼か…くり抜き渡せば、さきほどの店主も機嫌を直すかのう?
[剣呑な言葉を吐くにはあまりに悪意の無い、まあるく大きな瞳でじっと眺めた]
待ちすぎて諦めちまうのぁ仕方ねえか。
まあ可能性としてなくはないぜ?
燃えて落ちて忙しいこった。
そういうとこも嫌いじゃぁないがねえ、有塵。
[軽い調子で小突いて見せて
ふと気づいた猫の声]
猫みてぇな声がすんな。
猫又でも迷い込んだかあ?
[明るい明るい歓声に、金の眼上向きまた笑う]
学生 メイは時間を進めたいらしい。
[見上げたと思ったら落ちてきた。
着地に失敗猫風味。]
おう、大丈夫かい嬢ちゃんよ。
なんだぁ、俺の眼のことかい?
こいつぁくれてやれねえなあ。
酒は匂いで何処にあるか分かるが佳い女が見れなくなっちまうさあ。
[にいっと笑って随分と下にある顔覗き込み]
ほうほう、お前さんもアヤカシかい?
…ハハ。おれが黒鬼か。
喰児の戯言もたまには的を得ることもあると見える。
[普段は血の気の無い、今は幾分か酒で紅く染まった薄い唇を歪めて嗤うが、]
[女君と緋の鬼の戯れあう風情に]
・・・どうやら飛んだ濡場に居合わせたらしい。
恋路の邪魔者は、酒でも呑んで大人しゅうして居った方が良さそうだ。
[あさっての方を向き、ぐい、瓢箪の酒を呷る。]
関わり無くとも御狐様は狩る者を狩れと仰ってたけどネェ。
[如何でも良さそうな口振り] [言う通りに等しないだろう]
そうかィ、そいつァ好かったヨゥ。
詐欺球と一緒にしたら失礼ってもんさァ。
[齧られた苺飴] [最後の一口] [ぱくり]
[薔薇色の唇] [端についた飴舐め] [ぺろり]
素直な喰児はどんなかネェ。
とまれ、気は合いそうかィ。
アタシも旨い酒がありゃどっちでも好いのさァ。
苺飴貢いで呉れるは人間だろうが異形だろうが喰児だヨゥ。
[軽い身のこなし] [少女の声] [食べ終えた苺飴]
[尻餅ついた様子] [見詰めて] [瞬く] [碧の双眸]
是は苺飴さァ、甘くてほんのり酸っぱくて旨いヨゥ。
生憎と食い終わっちまったけどネェ。
青、赤、白、碧、それに黒だ。
[指を折っては色数え
瓢箪呷る黒鬼に]
そう謂うなぃ、
お前も食うかい、苺飴?
買ってきてやるぜ?
[にいと笑って袖摘み]
ネコマタとはわらわのことかいの?
[見上げたまんまで瞬き一つ]
猫であったとは覚えている。
うむ、そして妖とも呼べるであろうそれまで以上の力が備わったとも、わらわは自覚した。
けれども、ネコマタ…ネコマタか…
[困ったように首を傾げて]
何と返事したものか?わらわは自分の事を、ただメイであるとしか知らぬから。
[近付く金色の眼。...は爪を伸ばす代わり、にいっと笑い返して]
よい女か。うん、残る無事な眼でわらわのことを見られなくなっては哀れというもの。
おぬしもそうかのう?
同じアヤカシならば、よしみで見逃してやるぞ。
感謝するがいい。
またそのような顔をする。
[眉根を寄せる蓬髪の男の表情に、不満そうに口を尖らせて、尻をたたきながら立ち上がる]
どうしておぬしのごとき暗ぁく見ゆる者のまわりで、それほど雅に桜が舞うか不思議なもんじゃ。
[しかし簪女がその薔薇色の唇で、見慣れぬ甘い香りを放っていたものを既に食べ終わってしまったと知ると、桜の花弁舞わせる男に負けず劣らず暗ぁい顔を]
そうか…食べてしまったか…残念じゃのう。
成る程、有塵の兄さんは黒鬼かィ。
厭だヨゥ、黒鬼さん。
色事は兎も角アタシァ恋路とは無縁さァ。
惚れた腫れたなんざァ芸者が謂う台詞だヨゥ。
[赤鬼の傍ら] [コロコロコロリ] [軽やかに笑い]
[猫の少女の表情] [眺めて眸] [弧を描き] [ニィと笑む]
メイの姐さんも呪いが解けぬのかえ?
如何やら余り難儀はしてなさそうだけどネェ。
安心おしヨゥ、赤鬼さんが買って呉れるってさァ。
[『買ってきてやるぜ?』の言葉ににべもなく]
いらん。くれるというなら酒をくれ。
飴は女君か、そこな女童(めのわらわ)でも買うてやるが良い。
[カラリ][コロリ] [下駄の音]
[人妖たちの集まりへと足を向け]
――まだ見ぬものがここにもおったか。
[微笑をたたえて近づいて、常葉の少女に視線を送り]
水浴びは存分に出来たかえ?
これ、珍妙め。
珍妙めが、わらわに向かって珍妙と言うたな。
[長い袖を翻しながら、尻をはたいていた手を両方とも体の前面で握りこぶしにして、抗議する]
礼儀を知らぬおまえでも、二度とわらわを珍妙と呼ばぬよう、名を教えてやろう。
[少女は自慢げに胸を突き出し、むっとして握っていた拳を腰にあてがう]
わらわは鳴によって結びつき、次に唯一の明となり、最後に命と呼ばれた者!
おや…。
[しかし口で言ってしまえば同じ“メイ”の発音に過ぎないなぁと、言い切った後で思い至る。
暫しの間の後、少しばつが悪そうに]
…ともかく、メイと呼ぶ事を許そう。
だなあ。
[詐欺球まさにその名の通り今日も誰かが餌食だろうか。]
自分でも素直なんざ想像つかねぇさ。
ああ、気があうねえ、同じ考えだぜ。
正体が何であれ、な。碧は碧なんだろうさあ。
[細めた眼、メイと名乗った子猫に向けて]
メイ、メイかぁ。見た目通りの猫っぽさだなあ。
だが木登りはまだ下手糞みてぇだなあ。
[猫の笑顔が目の前に]
おうおう、そりゃあありがとうよ。
やる気なら喰っちまおうかと思ったぜえ。
[にやっと笑って頭を撫でた]
[カラリコロリ][下駄を鳴らし現われたる]
[微笑む白水に無言で会釈]
[また一口酒を啜り]
[小さな身体で偉そうに抗議を始めた娘を見下ろしながら]
……熱い。
[墨染めの衣の襟を寛げる。]
[蒼白い胸元までが汗ばみ、うっすらと薄紅いろに染まっている。]
[くすり][愉しそうに笑って]
随分と賑やかな女子じゃな。
汝れはメイと申すか。
妾は白水。好きに呼ぶと良い。
[言いながら、歩みを止めずに帯びに手をかけ]
――来て早々で悪いが、妾も水浴びしとうてな。
話があらばまた後程。
[有塵や喰児にも軽く目線を投げて、泉の中に*沈む*]
イチゴアメと言うたか?
[それは間違いなく、先ほど簪の女が食べていたものの名だ。
メイはぱあっと目を輝かせて、袖を摘む緋髪の大きい男を見た]
のうおぬし、もしも余計にひとつそのイチゴアメを持ってきたならば、わらわも食べてやって良いぞ。
どうじゃ、銭や金はあるか?
店主の機嫌を損ねず持って来れるか?
[期待に満ちた瞳も、片目をも前髪の向こうに隠した男の嗤う声にくるり映す者を変えた]
…そうとも、わらわは心が広いのじゃ!
[にっこり笑って。褒められたとばかりに思ってる]
ははは、甘いのはいらねぇかい。
まあ俺も酌み交わす相手がいるんならそっちの方がいいさあ。
猫は苺飴を食うかねえ?
[眼に鮮やかな若葉色、くるくる動く大きな眼。
ふと別の気配がふらり。
水を纏った白い鬼。]
よう、白水。
しかし、おまえのような小妖に礼儀知らずと呼ばるるも業腹ゆえ名乗っておこう。
おれは有塵(うじん)。
薄墨の桜に棲まう桜鬼だ。
[それだけをぼそぼそと言い捨てると、酔眼で瓢箪を立て続けに呷る。]
[そよふく風、揺れる藍髪。舞う白紙。
膝に乗る司棋は未だ起きぬ。
髪を撫ぜていた手は硯に落ちて。
袂はくるり、腕に巻き
さらさらさらり、描くは薄墨の小鳥
紙を摘んで息をかけ はたり、ぼてり、
まあるい雀は司棋の顔に落ちてころころ転がる]
[からからから]
[ひとしきり笑い、雀をつついて浮かべる欠伸。
囀る声を聞きながらそのまま*うつらうつらと*]
[びゅお、と一陣の風が舞う。]
…………………?
[社の裏手で物思いに耽っていた男は、呆気に取られた顔をして、]
妖……?
いえ、これは動物のにおい……
[熱いとつぶやく黒鬼の、
襟に指を引っ掛けて
その色づく肌を覗き見て]
こりゃあ見事な桜色だなあ。
呑みすぎじゃあねえのかい、有塵。
どっかの子犬連れみたいに倒れんなよ?
[白鬼視線で見送って]
水浴びしてみるとかもいいかもなあ。
熱いんなら気持ちがよかろうさぁ。
今夜六博振る時にゃ素直な喰児が拝めるのかネェ。
そゥさ、アタシはアタシだヨゥ。
何時か消える其ン時まで其れだけさァ。
[賑わう縁日] [人型の集まるは目を惹くか]
[帯に差した団扇を取り] [はたり黒鬼仰ぎ] [差し出す]
有塵の兄さんには不要かえ?
気分だけでも涼しくなるヨゥ。
[快活な猫] [猫又と言うより] [寧ろ仔猫か]
そゥだヨゥ、苺飴さァ。
林檎飴もあるからなんなら赤鬼さんに着いてって選ぶと好いヨゥ。
鬼に着いてったら喰われちまうかネェ。
恋路とは無縁…
[ころころと軽やかに笑う女に真剣な目で言う]
諦めては駄目じゃ、おぬしは中々美しく見える。
芸者とやらでなかろうとも、ほれたはれたくらい言うても良かろうよ。
[慰めや応援など到底必要のない美人に向けて言い終わると、自分の言葉にうんうん頷いている]
ノロイ?
そう言えば屋根の上へと跳んだとき、ますます身の軽い元の姿へ戻ろうともしてみたが叶わなかった……それがノロイかの。
白金の狐が言うておったことと関わりあるか?
[赤鬼が買ってきてくれるとの言葉には、ニコリ微笑んで]
[泉の水で身体を満たした遥月は、髪から零れる滴を指先で掴むように拭う。]
……ああ、何やらまた妖し達が騒がしゅう御座いますねぇ……
[ちゃぷん、とひとつ水音を。]
[下駄の音をカラリ鳴らしてやってきた女の髪は白く、瞳は紅い]
おぉこれは…少しばかり似ている。
日の光の下で見てもわらわにはやはり、白い髪も紅い瞳も美しく見えるがのう。
[簪の女に話しかける青い着物の女を無遠慮に眺めていると、名乗られて]
これはこれは、おぬしは礼儀を知る者だな。
うん白水、わらわは一度聞けばちゃんと名を覚えるのだ。だからおぬしの名も……おおっ?
[着物を脱ぐや泉の中に沈んで行った女を面白そうに暫し眺めながらも、手を振り見送った]
[はふ、と息を吐き]
[すっかり据わった眼で流し目をくれながら]
……水浴びか。
そんなものはこんな身の上になってからは一度もしたことがない。
それも……面白いやも知れぬな。
[くつくつと喉を鳴らす。]
衣は脱げるものなのかな…?どう思う。
[何がそんなに可笑しかったのか、笑いの発作に襲われたらしく一頻り引き攣った笑い声を上げた。]
[命の顔] [見詰め] [長い睫毛] [幾度も瞬き]
[コロリ] [コロコロ] [コロコロリ] [一頻り笑い]
有難うネェ、命の姐さん。
けれどアタシァ刹那に遊ぶ者、袖触れ合う瞬間しか判らぬから、惚れた腫れたは謂う間が無いのさァ。
ノロイじゃなくて呪(まじな)いだけどネェ。
どっちも似た様なもンかァ。
御狐様の結界と祀りに紛れた狩る者のせいで人型を模る呪いが解けずに何人かは難儀してるみたいだヨゥ。
[引き攣った笑い] [黒鬼を眺めつ] [団扇を帯へなおし]
嗚呼、喰児の謂う通り水浴びも好いかもネェ。
酔い醒ましにもなりそうだヨゥ。
其れが衣なら脱げるんじゃないかえ?
尤も、有塵の兄さんの何処までが本体か判らないけどさァ。
[ざわざわと声がする方へ、ゆらゆらとした足取りで歩む。]
……おや、皆様。ごきげんよう。
[滴り落ちる水が、露になった胸の蝶つつとをなぞる。結城紬をしどけない様子で羽織った遥月は、いつもどおりに挨拶を。]
>>457
…下手とは言うてくれるな。
木登りを始めてまだそれほど日々の過ぎたわけでもないが、それでもわらわほど上手く木に登れる妖が他にいようか?
[ぷっと頬を膨らませていたが、喰っちまおうかと思ったという言葉に目をまん丸にする]
なんともはや、食い意地のはった男よのう。
さては、それほどの体になったはいいが…それを保つには、四本足ならば全てを食らうといったほどの覚悟の生活が必要か?
[それでも頭を撫でられるとくすぐったそうに喜んで、それから喰児の肩に片手を置きながら飛び跳ねると、メイも彼の頭を一撫でした]
お返しじゃ。食べ物はやれぬが、これくらいならいつでも言うが良いぞ。
おやおや、そちらの可愛らしいお嬢さんは?
[紅を纏わぬ視線を、そっと見知らぬ少女に向ける。]
妖しと獣のにおいが致しましてね……。しかし司棋様のそれとも違う。嗚呼、何かと思えば、こちらの方かと。
[唇に白い指先を寄せ、くすりと笑った。]
[覚えある声] [移す視線の先] [なぞられる胸元の蝶]
[ゆるり瞬いて] [一拍の間] [何時も通りにニィと笑み]
遥月の兄さんは今日も色っぽいネェ。
>>458
暑い?
[何の衒いもなくはだけた胸元を覗きこんで、汗ばんでいるのを見て取ると]
うむ、確かに。その飲み物のせいならば、泉の水でももらって口に…
[親切な助言虚しく、有塵は煩いと自分を切り捨ててきていた]
何?名を訊かねば、どうわらわを呼ぶつもりだったのじゃ。妙なことを言う男よのう。
[世の中の誰も彼も自分のことに興味があるに違いないと信じて疑わぬ顔で目を瞬く。名を聞けば]
そうか有塵。そなたのことはともかく、その桜の花弁は気に入ったぞ。
[そして猫は苺飴を食うかねという喰児の言葉に]
これそこの、わらわのことはメイと呼ぶが良いぞ。
イチゴアメなら、もちろん食うてやるとも!
どうかねえ、気分しだいさあ。
[素直な赤鬼、さてどんな。
可愛いものではないだろう]
碧がそうなんなら俺ぁまた飴を持っていくさあ。
ついでに酌も頼むさ。
やはり碧が注いだ酒は旨いからなあ。
色恋沙汰と無縁たぁ勿体ねえ勿体ねえ。
[笑えば風に雪洞揺れて]
ああ、そういや名乗ってなかったかい、メイ。
俺ぁ喰児。
好きに呼びな。
いいええ。
時折、着物を纏うのが煩わしくてたまらない心地がするだけで……。
[常盤を見て微笑みを浮かべる。そして、再び観察するように少女に向き直った。]
……貴女様も妖しの方ですね。
わたくしは遥月、以後御見知り置きを。
[吐く息酒の香漂って、
薄紅さした黒鬼に]
そうかい、そりゃ勿体無いぜ。
水浴びはなかなかに気持ちがいい。
ひいやりしてな。
櫻も喜びそうなもんだ。
[さて衣は脱げるのか、聞かれてふと思い立ち]
脱げるだろうさ、
なんだい、脱がしてやろうか?
[にいと悪戯に笑って見せて]
おや、遥月じゃねえかい。
水浴びの帰りかい?
艶っぽいねえ。
この姿のどこまでが本身かおれにも分からぬよ。気にしたことも無かった。
本体は薄墨桜にある故に…人に変化する化生とは違おう。
[酔いに潤んだ眸を白面の若衆に向けて]
またひとり増えた。
ああ、有塵様の衣を剥ぐとは面白そうですねぇ、喰児様。
それを為さる時は、わたくしもお呼び下さいませね?
……ふふ。冗談ですよ。
[ひとつカラリと笑い、道具箱から紅筆を取る。鏡に向かい、男はスッと唇に紅を。*]
きっと可愛いだろうネェ。
[赤鬼相手に] [冗談か] [本気か] [謂ってのけ]
[小首傾げ] [揺れる常盤色] [白い指がかきあげ]
今は食べたばかりだから飴は遠慮しとくさァ。
酒くらい幾らでも注ぐヨゥ。
結局昨日は盃も使わず仕舞いだったしネェ。
素気無くされたら寂しいじゃないかィ。
其ンなら今だけ味わう方が好いヨゥ。
[遥月の声] [向き直り]
窮屈なら脱いじまっても好いんじゃないかえ?
アタシァ自分の肌ァ晒す気は無いが別段人がどんな格好でも構ャしないヨゥ。
ははは、登るのは上手だが降りるのは下手だろう?まさに猫だぁな。
高いところに登って降りられなくなった猫を
俺ぁ結構知ってるぜ。にゃぁにゃぁ啼いてなあ。
[猫は頬を膨らます。にやにや笑いはそのままに]
俺ぁ大喰らいだからなぁ。
謂うとおり、こんだけでかいと矢張り燃費が悪ぃやあ。
四本足だけじゃなく二本足でも喰うけどなぁ。
[軽口叩いていたところ、ぽんと頭を撫でられて]
ははあ、
撫でられたのは久方ぶりな気がするぜえ。
よく届いたな、さすが猫。
気が向いたら撫でてもらうかあ。
[にぃと笑めばまた撫でて]
それはますます、食べ応えのありそうな!
[林檎飴もあると答える真理に、良い情報を聞いたという顔で頷いて]
なあに喰い意地のはったオニなど、伸ばした手をぴしゃんと叩いて、わらわが説教のひとつもしてやれば大人しくなるじゃろう。
ならなければ木の上、風の向こうにでも避難。
誰がわらわに追いつけようものか。
[自身は何ひとつ心配しない顔で、からから笑う]
[笑う中にもちゃぷんと水音は耳に届いて、遥月に目を向けると]
髪までも沈むほどに浸かって水浴びか…偉いのおぬし。じゃがちゃんと洗いはしなかったな。
[胸の蝶を指差して]
ほれそこ、まだ汚れ…にしては見事な模様じゃ。
[緋の鬼の言葉は戯言と聞き流したものの]
[遥月のそれは気になったらしく、酔眼で睨み据え]
……おれの衣を脱がしてどうするつもりだ。
おまえのは冗談にならぬ。
[そう思うのは万次郎への仕打ちを見てのことか。]
いくら素直になっても
こんな大の男が可愛いかねえ。
[顎に手を当て思案の振りを]
そうかい、そんじゃぁ酒だな。
昨晩は悪かったなぁ、折角持ってきてくれたのによ。
[素っ気無いのは寂しいと
碧の鬼は謂って笑む]
それもまた駆け引きのひとつさぁ。
大体何でも愉しいねぇ。
[袖と袖を合わせては、遥月の言にくくくと笑い]
有塵も紅をさして貰やぁいいのによ。
似合うぜきっと。
そんな短い時間で満足できるとは。
欲が無い…、のじゃなぁ。
[けれどアタシァ刹那に遊ぶ者。
真理の返事に、一応考えてみた仕草でそんな返答をし]
そうだったか。狩る者とやらは難儀じゃが、人の姿でいることも中々どうして、面白いものよ。
わらわなら困りはせん、困りはせん。
[皆も楽しめば良いのじゃと軽く笑う]
うむ、有塵もはだける事ができるのじゃから、脱ぐ事ぐらいできそうなものよのう。
[可愛らしいお嬢さんなどと聞こえると、満足そうな視線でくすりと笑う遥月をとらえ]
鼻がきくな。きっとそうであろう。
おぬしにも、可愛いお嬢さんの名を教えてやる。
メイと呼ぶ事を許すぞ。
[笑う命] [見詰め] [ニィと笑み返し]
そうかィそうかィ、そいつァ頼もしいネェ。
其ンなら飴屋へ行っといでヨゥ。
[謡う黒鬼] [すぃと視線移し]
寄って集って脱がされない様に気をつけてネェ。
[赤鬼の言葉] [眇める碧] [弧を描く]
可愛いもンは可愛いヨゥ。
構やしないさァ、昨日の分は苺飴でチャラだヨゥ。
アタシァ駆け引きなんて出来ないからネェ。
呑んで打って遊んで喰らうだけさァ。
そろそろ往くヨゥ、縁あればまた佳い宵にネェ。
[ひらり] [ひらひら] [白い手振って]
[カラリ] [カラコロ] [*下駄の音遠退く*]
司棋の兄さんは如何してるかネェ。
茄子の兄さんに喰われちまったかネェ。
[囁く声] [楽しげに] [コロコロ笑い]
夜斗が居れば大丈夫かァ。
司棋の兄さんが悪戯しなきゃ茄子の兄さんも取って喰ったりするたまじゃ無さそうだしネェ。
[白い手] [ひゅうい] [振り] [揺れる袂] [墨に染まり]
[桜の枝に座り] [こつり] [幹に頭預け] [*桜の香る煙管一服*]
[名乗る喰児にしっかり頷いて]
むろんそう呼んでやるとも、喰児。
[丁寧に挨拶の言葉をかけてくる遥月にも]
遥月だな、わかった。ちゃんと今見知った。
…おや。
[遥月が唇に紅をさしていく様子には]
遥月はオスと見たが…化粧をするのか?
しかし似合うておるなぁ。
[感心している頭に乗せられる更なる喰児の手。
ついつい細められていく目を頑張って引き締め]
これこれ。
わらわも嫌いでないがな、おぬしと違って高い場所へと向かってお返しする身にもなってみよ。
得意とは言え、一度にあまり何度もすると…
[再び跳ねて意地でも返す]
さすがのわらわの脚も、疲れてこぬでもない。
[だから今日はこれで打ち止めだからなと、幼子に説教する目で人指し指を立てる]
碧にゃぁそう見えてるのかねえ。
可愛いってぇのはもっとちまいヤツに謂ってやんな。
[からんころんと鳴る下駄と
有塵歌う歌声と]
ちゃらかい、そりゃあ好かった。
呑んで遊んで食らってかあ、
刹那に遊ぶ快楽さ。
鬼ごっこの鬼は旨いかねぇ。
[ひらっと手振る白い手に
大きな掌振り返し]
ちぃと昼寝と洒落こむかね。
有塵、樹の傍かりるぜ。
[どっかと座れば胡坐をかいて]
おうよ、メイ。
[今度は見上げる形になって]
オスメスかい、そりゃ猫ならそうだわな。
男も女も関係ないな、似合って居りゃあそれでいいのさあ。
綺麗なモンは綺麗だからな。
[お返しするのは疲れると、猫は諭すように謂う。
その様子に低く笑って]
そんなら俺が屈みゃぁいいな。
今の具合だ。
俺ぁちいと昼寝するから、また眼が覚めたら遊ぶかい?
ああ、またたび酒なんか好きそうだぁな。
[謂うと櫻の木の下で
幹に凭れ掛かる緋色の男。
*ひらひら風は薄墨の 色を添えて吹いていく。*]
……紅など。
[また戯言を、と苦く呟き]
[下駄を鳴らし遠ざかる常葉の女君の背を見送る。]
[そうして暫時]
[酔いに任せてふぅわりと、漂う心地のままに居れば]
[何時の間にやら桜の幹に凭れ掛かり昼寝の緋の鬼。]
……気侭なものだ。
[呟いて、桜の風を起こす。]
うん、行ってこよう!
[真理に声も高らかに頷いて、片目も瞑る]
昨日何か喰児のやつが、真理にわるいことをしたのなら、ちゃらにするためのイチゴアメ、どっさり持って帰らせるべく見張ってやるから安心しい。
…ふふ、わらわが戻ってくる頃には、寄ってたかって脱がされて、少しはしおらしくなった有塵が見られようか。
[それは紅をさした想像よりもずっと面白く、くすくす笑って、下駄の音と共に去る真理へ手を振った]
それもそうじゃな喰児…わらわの目を楽しませるものなら、どのようであっても構わんな。
[きれいなものはきれいとの言葉に頷いて]
よしよしお休み。また眼が覚めたら遊んでやろう。
[確かにのせやすくなったなと、紅い髪の上に一度手を置き]
またたび酒…またたびとやらも酒も、まだ口にしたことはない。何なら試してやっても……あ、これ。
[ふと思い出す真理の言葉]
…イチゴアメの約束はどうした?
[だけども喰児は幹に凭れて、柔らかな風の中]
[逆巻く風の中に散る桜の花びらの一つを、そっと風の中に手を入れてから、素早く掴んで微笑む]
有塵…
[暫し手の中の淡い色の花弁と風、幹に背を預け眠る喰児を交互に眺めた後、有塵に首を回して目を細めた]
なかなか優しいところもある。
おぬしのおかげで、喰児はさぞ心地よい夢に誘われるじゃろう。
[逆巻く風に乗りて梢に飛べば]
[はらり、はらりと]
[白の散る。]
心の抜ける心地がする……
[ゆぅらりゆらりと揺れながら]
[目を瞑る。]
[根方に眠る鬼に、降る花弁。]
[メイの言葉は聴いて居るのや居らぬのやら。]
[首にぶら下げた、猫も気にせず軽がろと]
[太く張った枝に手を突くと身を任せ]
…わ!
[有塵が風に乗って梢まで飛んでいってしまえば]
これは驚いた…おぬし、そんなことまで。
[...は見直したように目を丸くしているから、有塵の呟いた言葉は聞こえなかったのかもしれない]
わらわとてその気になればそれくらいの高さ、すぐ登れるがな…
[木にはさきほど登ったから、今は地に足をつけているので十分だと呟く。
太く張った枝の上で身を任せる有塵もまた、何事か呟いている]
何か、言ったか?
春の夢を見よう。のう。
[酔うているのか別の何かを見ているのか]
[夢見る目付きで神域を眺むれば]
[風伴わぬ桜吹雪を身に纏い]
[押し拡げ][薄墨桜を包み込んで]
[ひらり、ひらり。]
[ひらり、ひらり。]
[……はらり。]
[未だ硬く蕾んだ白が綻びはじめ]
[見る見るうちに膨らんで]
[ほろり]
[山桜の古木が]
[霞んだ白に覆われていく。]
……はは、は。
[歪みの無い、澄んだ笑い浮かべる。]
[それは常とは違う、儚い、散り際の桜のような笑みではあったけれど]
[それは、傍らの猫の預かり知らぬこと。]
ああ…
[有塵が纏った桜吹雪が薄墨桜を包み込むと、まだ硬く蕾んでいたはずの白は、目の前で綻んだ。
――眠らずとも見る夢のよう。
幻すらこうも、胸に痛みを与えるほどに美しくあれるだろうか。
傍の有塵の浮かべた笑みが、霞んだ白に覆われた古木を包む空気にも負けぬほど清浄に見えた。
ただ今にも失われてしまいそうな笑みにも見えて、メイは声をあげ笑い返すことはせず、胸を押さえ感動を噛み締めた]
[しっかりと連れられた木の枝に足をつけて、有塵に話し掛け、また見上げているつもりでいるはずのメイの目も、とろとろと閉じかけ始めるが]
いや…わるくない。
せっかくの、おぬしが見せてくれた景色じゃ。
…もう少しだけ、ここから見ていてやろう。
[言葉通り枝に腰掛けると、それでもずいぶんと長くその景色を眺め続けた。
時間が過ぎるとメイもとうとう木の枝の上、器用にも身体を落とす事なく寝息をたて始める。
きっと幸せな夢を*見ている*]
[ふわり][ぴしゃり]
[声も届かぬ水底で][目を閉じ暫しの休息を]
永らく人とは話しておらんが、
"お仲間"とこうして毎日約束もせずに会うのも久々じゃ。
――嗚呼、あの中には恐らく鬼狩りも潜んでおろうか。
[くすり][笑う][水底で]
人でなくとも毒じゃのぅ。
難儀や難儀。
[呟く声は水の中にも関わらずはっきりと]
[するりと水面に顔を出せば、減った人影眠る人影]
どこからか桜の花か。昨夜の男かのう。
さぁてわっぱはまだ目覚めぬか。
仕方の無いわっぱじゃ。
[司棋の頭をぺちりぺちりと叩いてから担いでふらり。
ぽてりと転がる雀を摘んで懐に。
社の縁側からカラコロ…コロリ
ねこける赤鬼の姿に苦笑し、はらりはらはら桜散る]
――ほぅ 咲いたかこれは。
[古木の傍、見上げて感嘆ひとつ男と娘の影に気づく]
おーい、有塵と申したか。
[見上げ、声は届くか]
さくらぁー咲いたのうー。
[綻ぶ花にあどけない顔を浮かべ]
良い桜じゃぁー。
[返事はなくとも満足げな笑みを浮かべて暫く桜に魅入る]
──ひと目見し
君もや来ると桜花
今日は待ちみて散らば散らなむ。
[そうして夢見る眼差しで長いこと森を見ていたが]
[ふと、傍らのメイが随分と静かになったと思い、振り返ると、]
ああ。仔猫は眠ったか。
[正しく仔猫の態にて枝の上に眠る娘を見て、]
[花の様に顔を綻ばせた。]
[瞳に映る白い花][僅か見惚れて瞬かせ]
[カラリ][コロリ] [鳴らす下駄]
漸く咲いたか。
ならば今宵の宴は花見となろうか。
[桜の方へと歩み寄り、いくつかの影に笑む]
[青鬼見つけた傍らの]
[司棋の寝顔に首を傾げて視線は藍に戻そうか]
春眠暁を覚えぬのは、汝れだけではないようじゃ。
[すぐ傍に見える赤鬼と][元気に話していた猫と]
[下方より掛けられた声。]
[それが定かには名前を憶えておらぬ藍の男のそれと気付いて]
[根方を見ると、やはりその姿。]
[果たして下から見えるかどうかは分からねど]
[誇らしやかな、清しい笑みを返す。]
そのようじゃのう。
[司棋担ぎ直して、白の姿に薄く笑む]
春が来たならそれも仕方なし。
お前さんも桜見ながら暁を忘れに来たか?
[桜の根元に司棋下ろし、はらり桜の花びら肩に落ちる]
[はらひらり。
手を翳し仰ぎ見る桜の合間
ねこける娘の姿と桜の男の笑みの良さ]
かっかっか。
お前さんでもそのような顔をするのか。
良きかな良きかな。桜は良い顔を呼ぶわ。
今宵の酒は一段とうまかろうてなぁ。
でもメイなら別に、早く下ろせとか言ってもおかしくないキャラか。
自分が気にするほど相手は気にしてない…ことを願って。願って。
以後気をつけます。
そう言えば太った雀って、ちょっかいかけたらまずいかな?
[有塵の笑みに目を細め]
汝れのその笑みが今日の収穫かのぅ。
[青司に薄い笑みをむければ]
妾も今起きたようなものじゃ。
[正確には眠っていたわけではないが――]
泉に入る前は咲いておらなんだ桜が
出てみれば咲いておった。それだけのこと。
[しかしどこか優しい表情で桜を見上げて]
そうかそうか。
一夜眠る間に桜が咲くとは、御伽の話のようだのう。
泉に浮かぶ桜の花もまたよかろうて。
己も一度は眺めてみたいものだ。
[はらひらり、白に舞う桜]
黒い蝶より似合ておるわ。
[顎撫でさらり、懐から雀も顔を覗かせる]
[くすり][笑って]
――確かに、御伽話のようじゃな。
咲く瞬間に立ち会えなかったことを残念にも思うたが
そう言われればこの状況も悪くなかろう。
[はらり]
[花びら]
[風に舞い]
似合うておるか――……礼を言おう。
[覗く雀に視線を合わせ]
今度は雀を描いたか。汝れの力は面白い。
咲く時か。
一度に芽吹く様はなかなか見れぬからの。
まあ良いな。花咲けばそれで良い。咲かぬ桜はただの木じゃ
[ふわり舞う花、白か桜か目を細め
懐の雀を手に乗せる]
かっかっか。
礼なぞ良いわ。思うた事を口にしただけよ。
己はこればかりだ。
昨夜は白の芸は見損ねたのう。
今宵あたりはお目にかかれるか。
[はらり花びら、手のひらの子。
羽をゆすり囀れども飛べそうにもない]
此れは丸く描きすぎて飛べぬ子よ。
かわいそうな事をしてしもうたわ。
[桜の枝に腰を下ろし]
[それとても己が宿る本体で、これはうつし身に過ぎねど]
[下界をうっとりと無心に見詰める。]
[穏かな春の夢を見るように。]
──散らば散らなむ。
所詮果敢無き夢なれど。
今ひとたびの…のう。
咲かぬ桜も嫌いではない――が、寂しくはあるか。
妾とて、芸を持っているわけではないが
汝れが見たいと申すのであれば、何か考えておこう。
[飛べない雀]
[ころりころころ手の中に]
それは……難儀じゃな。
[少しあどけなさを残した笑み]
[羽をゆする小さな雀の頭を撫でて]
咲かぬ桜に飛べぬ雀――されどそれでも桜は桜、雀は雀じゃ。
[首を傾げて*雀を覗く*]
さてはて、泉に居る白が見せるは如何様な芸だろうな。
雨など降らねば良いが、楽しみにしていよう。
[雀を撫でる手、
子はきょとりと反対側に首を傾げ
言葉はわからずとも短い囀りを返す。
眺める藍の眼は懐かしむように細まる]
咲かぬ桜に何を見る?
[白に問いかけ、桜を見上げ。
暫くしてから居眠り赤鬼と寝こけるわっぱ
傍に腰を下ろして、襟首つかんで司棋の頭を膝に乗せ
ため息ひとつ。桜の香に*目を閉じた*]
―回想―
[今朝方の冷え込みと頭痛にて目覚めた男。
重い体を引きずって泉で水を使い、その後境内の林を散策して]
[懐に珠があることを確認。やはり澄んだ蒼ではなく濁っている]
物の怪と異なるモノが混じっておるのは確かだな。
主様の命とあらば…我が命を賭して見つけ出してやろうぞ…。
[掌におさまる程の珠を握りしめ、僅かに黒い霧を纏う]
[カランコロ 狩らんコロ カランコロ...]
にがい、くるしみのゆめでなく。
あわく、やさしいゆめを。
[夢の中、さくらいろに霞んだ春の野辺をふたりの童子が駆けてゆく。]
──あゝ、あゝ。
―現在―
[林の中、木々の多い静かな場所を探し歩く]
名を集めねば。
青司、開耶、遥月、司棋、喰児、有塵、白水、真理、蘇芳…。
あと一つの気配の名が足らぬ。
風にのった小娘の名が足らぬ。
今宵の酒宴で、見(まみ)えるろうか?
[梢の向こうに見える月影見上げ。手の中の珠へ視線を落とし]
なんとしても名だけは、な。
[珠に声かけ、そうっと懐へしまい込んだ。
ふらり
どこへ向かうか、おそらくは*夜店の並び――。*]
異国人 マンジロー は、なんとなく 酒場の看板娘 ローズマリー を能力(透視)の対象に選んでみた。
[林の内、木立に紛れて白き物。
雪にも見えしそれが何であるか]
[同一で在る者に悟るは容易い]
…やれ…咲いたか。
咲きよったか、薄墨桜。
[くつり、声は零れ落ち]
嗚呼、狂うておるのはどちらかな。
咲きし薄墨、咲けぬ我。
……嗚呼、嗚呼。
[滑る足が奏でるは、
桜の花弁が舞い散るかの如く微かな音]
刹那を望むか。
望める程の物が其方には有るか。
[香は揺れる髪から漂うて]
嗚呼、羨ましきか。
[落つるは狂えた嗤い声]
刹那は要らぬ。
刹那は要らぬ。
後の寂寥が募るのみぞ。
それでも其方は刹那を望むるか。
[祭囃子に音は消え]
[人の姿は妖の中に溶けはせぬ]
[桜は桜][雀は雀]
[ほかのものにはなれはせぬ]
咲かぬ桜に陽(ひ)を見よう――。
[短く答え、赤鬼青鬼並ぶのに薄く笑う]
――もののけは一生もののけじゃ。
[呟いた言葉は風にさらわれ誰の耳にも届かぬだろう。
泉の淵に戻り来れば、花びらゆらゆら*目を細め*]
[望むは静かなれど]
[静かの内には白が映る]
[妖の内ならば紛れようか]
[避けらるは構いはせぬ]
[静かの社には向かうまい]
[落つる 落つるは狂い声]
[薄紅などは散らせない]
[祭囃子] [鳴り止まず] [白い手には] [今宵も瓢箪]
[何時の間にやら] [咲く桜] [眺め] [瞬き] [ニィと笑む]
おや、今度は有塵の兄さんかネェ。
嗚呼、良い、好いネェ。
綺麗だヨゥ。
[境内に響く下駄の音] [カラ] [コロ] [カラリ]
[赤鬼] [青鬼] [犬っころ] [見止めてまたニィと笑む]
[ひょうひょうと笛の音は鳴り続ける。
──そろそろ帰ろう、山吹──
──まぁ、もう少しここで風と一緒に笛を吹いていてはいけませんか?──
──……ではもう少しだけ──
いつしか、自分の最初の持ち主のことを思い返しつつ。]
……あたしがこの姿になれるようになってから幾百年か……
山吹のような吹き手には、結局出会えずじまいだったな……
[通り過ぎた年月のうちのほんのわずかなものでしかなかったはずの日々を
昨日の事のようにありありと、でも懐かしく思い返している]
[愉しは要らぬ]
[供も要らぬ]
[刹那の後の永久を想わせるだけならば]
……嗚呼、怨めしや
恨めしや…――
[狂える桜は*何処へ往く*]
***
「名の代わりに真理を貰いうけようか。」
[ひらり] [ひら] [ひら] [はら] [はらり]
[満開の桜] [舞う薄紅] [揺れる常葉]
生憎とそンなに安く無いヨゥ。
***
せいじ、せいじ。
猫が木に上って降りてこない。
はようとって、とって。
わっぱの声。
見上げる新緑、薄墨の子猫。
[カラコロリ]
[どこから下駄の音がする]
如何やら司棋の兄さんは無事だったみたいだネェ。
然しこの様子じゃずっとお守されてたのかィ。
春眠暁を覚えずたァ良く謂ったもンさァ。
[コロコロコロリ] [赤の少年] [見て笑い]
[ひょい] [細腕持ち上げ] [袂] [青鬼へ向け]
[淡絞り] [白の浴衣] [袂を染める] [墨の色]
消えちゃいないヨゥ。
[風に乗る笛の音鳴り止み
子鬼の姿。そちらを向いて]
おやおや子鬼も現れたか。
司棋にそこ寝る娘に、子鬼も一匹。
わっぱの多い祭りじゃのう。
[からからから、手を振る代わりに笑い出す]
/中/
狂気フラグ立つの早かった…(ほろ)
名の話が出ているし、知っているのを確認しておこうか。
《名聞き済み》
青司・白水・万次郎・遥月・司棋
《顔合わせ有り》
常盤(真理)・隻眼(喰児)
《見もせず(会話無し》
命・蘇芳・有塵
さて、最後の三人は名を聞くまで何と呼ぶか。
有塵は薄墨と呼ぶだろうけど。
てかどうやって皆に会うか。
社に向かってくれないよこの莫迦姫ー!!(名の由来が桜の語源と言われてる『木花之開耶姫(コノハナノサクヤビメ』だったり)
[気配に振り向き] [小鬼の姿] [映す碧]
昼間の笛の姐さんかィ。
好い笛の音だったヨゥ。
命の姐さんも有塵の兄さんもお休みかィ。
[青鬼の言葉] [視線はすぃと] [眠る仔猫へ]
[視界の端] [瞬く藍] [困った様子] [見下ろす]
嗚呼、黒い仔猫の煤さァ。
[先刻行きあった宵闇色の青鬼に、常盤色の髪の自分より若干年嵩の娘。
木の上にも誰やらいるようで]
……これは、……本当に百鬼夜行だなぁ
[ふふっと笑うと一人ごちつつ、ちょいと頭を下げた。]
[触れる袖][困惑を浮かべたまま]
もう猫ではないのだぞ。
鳴きも歩きもせぬ煤を持ち歩いて愉しいか?
[さらり墨の後を指先はなぞり]
そういえば……
[目の前の青鬼にも、万次郎と名乗った男にも、わっぱだの童だの言われたことを思い出し]
あたしのこのなりは、子供に見えてしまうのかな?
……山吹はまもなく嫁ぐはずだったのだが。
[と、誰にともなく問うてみた]
[からりと笑っていた先ほどとは変わり
相変わらず困ったような表情のまま、
子鬼につられるようにちょいと頭を下げる]
本当にもなにも、お前さんも百鬼だろうて。
ここにおる人のなりした百鬼共より、
まだあちらの露店通りの方が百鬼夜行のようよ。
[元の姿に戻っている物の怪を指してそう云うと
子鬼からの問い]
嫁ぐもなにもわっぱはわっぱよ。
己から見れば立派なわっぱじゃ。百歩譲って小娘かのう。
[なぞられ袂] [微か揺れ] [青鬼映す碧]
嗚呼、楽しいヨゥ。
鳴かず歩かず傍にゃ只の煤だがアタシにとっちゃ黒の仔猫さァ。
茄子の兄さんは煤に還さぬがご不満かえ?
[小首傾げ] [潤む双眸] [僅か弧を描く]
[小鬼の問い] [薔薇色の唇] [ニィと笑み]
茄子の兄さんの謂う百鬼夜行はあっちだが、妖から見りゃこっちの方が百鬼夜行かも知れないネェ。
笛の姐さんは可愛い可愛い童に見えるヨゥ。
[笛の音を常盤色の娘に褒めて貰って、改めて彼女に先刻より深く頭をたれる。
お前も妖しの者だろうという宵闇色の青鬼の突込みには、]
それもそうか。
[破顔する。あたりを見回すが、自分好みの飲み物はあいにく見当たらない。]
お嬢様 ヘンリエッタは、学生 メイに煮干をぶん投げた。
いや、好きにしろ。
今しか無いと云うたお前が、
居ない猫を持ち歩くのが不思議だっただけよ。
お前さんにとってまだ猫なら構わぬ。
[小首を傾げる常葉の双眸。
眉根寄せ、訝しげに]
なんだ、お前さんも煤抱えて泣きでもするのか?
[袖から手を離し、ふいと子鬼の方を向く]
それもそうだが、碧鬼の云うのも一理ありか。
しかしさてはて、
百鬼夜行に見えるかそれとも供物の行列に見えるのか
聞いてみなければわからぬが。
供物、ね。
そういえば青鬼さん?お前さん混じり物がどうとか言ってたようだったけれど、
それってどういう?
[先刻から頭の隅で気にかかっていたことを口に出した]
ふむ、狐様には逢うてないのか。
なぁに、この人の成りから戻れぬものの中に
狩人が混ざっているという話よ。
見つけて主様への供物にせよと、申されておった。
刹那に遊ぶから是が猫なのさァ。
[指摘受け尚] [碧は潤み] [ニィと笑む]
舞い散る桜に煤の猫に泣けば好いンかえ?
謡いつ夫婦金魚を殺しても寂しさ募るだけだろうさァ。
アタシァ楽しいのが好いンだヨゥ。
[小鬼の問い] [答える青鬼]
やれ、御狐様も随分と不精だネェ。
話くらい全員にして往きゃ好いのにさァ。
……狩人が、ね。それで供物の行列ってわけか。
という事は、狩人もあたしらと同じ気配をまとえるという事になるの、かな?
人の気配は感じられないし。
[ふむ、としばし考え込む風情]
――くつくつくつ………
[懐に、草紙を忍ばせくつくつと。]
ああ、面白し面白し……
人の慾とは面白し……
[結城紬をキリリと着込み、目尻と唇には紅を。しゃなりしゃなりと男は歩く。]
そうかいそうかい。
お前さんがそう言うなら
お前さんにとってはそうなんだろうな。
逆だ、泣くのは止せという話だ。
夫婦金魚…ああ。いつぞやのあれか。
あれらはまだ元気か?
[常葉の女に困ったような笑みを返してから
子鬼へと頷く]
左様。あまりぼうっとしていると供えるつもりが
供えられてしまうかもしれんなぁ。
そのようだな。人にしては上手く化けたものよ。
よほど鼻が利くか、気配でも見分ける術を持ったものなら或いは。
ふふっ……皆様お揃いで。
相も変わらず、酒宴でございましょうか……?
[目を細め、じぃと皆の顔を見つめる。]
……では、なさそうですねぇ。
[鼻が利く云々という青鬼の謂いに、夜斗のことを思い出し]
夜斗はここで何か食べられたかな?
[と、他愛もないことを考えていたが、
別の誰かの気配が近づいて来たのに気づいた。]
ふうん、また一人、かぁ。
[ちょいと現れた男に向けて会釈する。]
月も桜に誘われたか。
生憎宴はまだだ、酒の仕入れもしとらんわ。
[さらり顎をひと撫で]
小娘が狐様のお告げを知らぬと申すから話しておった。
アタシが泣くと茄子の兄さんは困るンかえ?
其ンなら泣いてみようかネェ。
[冗談か] [本気か] [潤む碧] [揺れ]
[コロコロコロリ] [笑う声は軽やかに]
仲良く元気に白水の姐さんの泉に居を構えてるさァ。
[現れる気配] [つぃと移る碧] [矢張り濡れて]
[遊螺り] [瓢箪掲げ] [一口煽り] [ニィと笑み]
一人で先に始めてるけどネェ。
遥月の兄さんも呑むかえ?
[カランコロ 狩らんコロ]
[相変わらずの下駄の音。響かせて社へ向かい。視界に入った白い霞が櫻だと気付く迄にしばし]
…櫻闇か。やらかしたな。
[手には林檎飴に苺飴。不似合いな甘い香りをさせて]
[賑わう者等へ近づき]
青鬼に、常磐の君に…月の君。蘇芳まで集っておるのか。
司棋は未だ眠りから覚めぬとな…?
蘇芳。其方は林檎と苺とどちらが好みだ?
どちらでも好きな方を取るとよい。
要らぬのなら……丁度常磐の君も居ることだ、あちらへ回す。
[緋色の少女に、甘い香りを放つ赤を差し出し
どちらでもと首を捻った]
[ぴしゃり][ぱしゃり]
[輪から外れて一人で遊ぶ]
泉がわらわの家なのか
わらわが泉の家なのか――
[水面に揺れる白い花]
薄墨は透明な泉によく映えるのぅ。
[くすり笑み]
[泉に映り込む月はゆらゆら揺れて]
花見酒か、月見酒か――
薄墨桜は雪とみなさば薄紅咲けば雪月花となるのかの。
[ぴしゃり][ぱしゃり] [戯れて]
ああ、困るな困る。
泣く子は不得手だ、放っておくぞ。
[ころころ笑う常盤の女。
返す藍は呆れ顔]
そうか泉にのう。なら良い。
子が増えればめでたく夫婦の証となるだろうて。
嗚呼、成る程。
[紅の視線をゆるりと流し、山吹の娘を見やる。]
そちらのお嬢さんは、初めてお目に掛かりますねぇ……
わたくしは遥月と申します。どうやら貴女様も妖しの方……以後、よろしくお願い申し上げます。
[白い指先で口許を隠し、くすりと笑った。]
しかし狩人が紛れ込んでいるとは、これで益々信憑性を帯びて参りましたねぇ。これほど多くの妖しが、こちらに導かれるとは……。
[そして、常盤に一礼。]
嗚呼、お先にどうぞ。
じきにわたくしも戴きましょうか。
[万次郎から差し出された、大小二つの甘い香りを放つ赤い玉。
──山吹、腹がすいたろう?──
──半分こならもらいます。盛遠さまもお腹がおすきでしょう?──
遠い日に聞いた声が脳裏に────
われに返り]
……あ、あぁ。ありがとう。こっちをもらうよ。
[小さいほうの赤い玉を万次郎の手から受け取った]
[常葉の女の瓢箪に、呆れ顔もすぐ直る]
ああ、ひとつ貰おうか。
[杯ひとつ懐から取り出し、万次の姿にゆるりと向く]
わっぱは未だ寝こけておるわ。
仕方の無いわっぱよ、己は今夜この姿で酒盛りかのう?
[ぺちぺちぺちり、膝で寝こける司棋の額叩く]
[甘やかな匂い誘われて、
緋色が僅かに身じろいだ。
金に映った白闇桜、
さくら、さくら、霞か雲か]
……へぇ
[にいと笑って花びら掬い]
有塵かぁ。
相変わらず見事だ。
あの春を思い出すなぁ……
あいつぁ笑ったのかねぇ。
[緋に降り積もる櫻色、
払いもせずに坐したまま]
[真理の声に仰ぎ見て]
昨夜の宴で、其方が言っていたろう。飴屋を覗く覗かないとな。
飴屋に顔を出してみたのよ…それがこの様だ。
運試しはやはりちんちろりんに限る………。
其方もどうだ。
林檎と苺、どちらが残るかはさて。蘇芳の好み次第。
[つやつやと光る赤。闇夜に映えて]
異国人 マンジロー は、なんとなく 書生 ハーヴェイ を能力(透視)の対象に選んでみた。
[独特の下駄の音] [万次郎にニィと笑み]
今宵も集まってきたネェ。
昨日は散々だっただろうけど今宵も兄さん一献如何かえ?
[はら] [はら] [ひらり] [青鬼] [見下ろす]
[呆れる藍] [潤む碧] [映り込む] [薄紅の花弁]
林檎飴の一つも貢いで慰めて呉れりゃ好いのにつれないネェ。
あン子等は雄も雌も判らぬさァ。
証無くとも寄り添い泳げば夫婦だヨゥ。
[赤鬼の声] [すぃと潤む碧向け] [紅に散る薄紅]
おや、お目覚めかえ?
誰が笑った話だろうネェ。
さァさ、今宵こそは酌をしようかィ。
[常盤が青司に向けた言葉を思い出し、紅色の視線を光らせる。]
嗚呼、そうそう。常盤様。
其れなら泣いてご覧なさいな。
青司様ならずとも、皆様がきっと貴女様の色に惑いましょうぞ……
[くつくつ笑う。]
涙は女人の武器故に。
……舐めてふくめば、甘い露と成りましょう。
おう、赤鬼、起きたか。
なかなか風流な姿だのう?
[ゆるり笑って、赤の言葉に桜を見上げる]
お前さんも有塵のように桜に想いでもあるのか。
[花びらはらりと肩から落ちて
追い見た先には小さな影が]
見たことねぇ嬢ちゃんがいるなあ。
どうしたぃ、迷子かあ?
[からかう様に言葉投げ、
頬杖付けば櫻が舞った]
[真理を見上げ、肩を竦め]
…今宵は控えよう。昨夜は醜態を晒した故な。
それに。我には成さなければならないことも有る。
[てもとの林檎飴。
てらてら。つやつや。赤は妖しく色を含む]
ふむ。常磐の君、蘇芳は苺を選んだぞ?
酒の共になるものかわからぬが、林檎飴はどうだ。
要らぬのなら、泉の金魚にでもくれてやろう。
[棒をふらと揺らし、揺らし。
相手が受け取る意思を示せば何らかの形で*渡すのだろう*]
そうかィ、遥月の兄さんは置いて先に始めさせて貰うヨゥ。
[差し出される青鬼の盃] [膝着き] [伸ばす白い手]
[とぷり] [とくとく] [酒満たし] [藍覗き] [ニィと笑む]
酒の一つで呆れも顔も納まるたァ易いもンだネェ。
[万次郎の声] [肩越しに振り返り] [小鬼との遣り取り眺め]
アタシに残ったは林檎飴かえ?
貢いで呉れるンなら有難く頂くヨゥ。
[遥月へ] [すぃと移る碧] [潤む侭]
[コロリ] [コロコロ] [笑う声] [軽く]
アタシの涙は甘露かえ?
ついぞ泣いてないから味なんて忘れちまったヨゥ。
色に惑わせるなァ、遥月の兄さんに任せるさァ。
武器に成るなら使い方くらい覚えないとかネェ。
飴ひとつで泣き止むなら楽なこった。
飴呉れるの覚えて泣くようになったらそれも困るがの。
寄り添い泳げば夫婦か。よく云うわ。
[杯くるりと手の中で弄り、月の言葉に]
月も余計な事など教えんで良い。
泣くのは子供じゃ。色も何もあるものか。
舐めたところで塩辛いだけだろうて。
[不機嫌そうな顔を向ける]
[迷子かと赫い髪の男に問われ、
もはや子ども扱いはここでは当たり前なのかと諦観の念を抱きつつ]
……まぁ、似たようなものだろうなぁ。
[とだけ答える。]
[視界に揺れる常盤色、
頬杖のままで顔を向け]
おはようさん、ってのも妙な時間だがなぁ。
ああ、櫻が笑った話さあ。
おう、酌かい、歓迎するぜぇ。
昨日の分も呑んでやるか。
[謂って片膝立て座り]
いい肴もあることだしなぁ。
[見上げてみれば墨桜]
*/うーむ、まさか月の君、1758村のハーヴェイじゃないよね?
なんとなく既視感があるようなないような。/*
いいええ。常盤様。
男の身なるこのわたくしに、涙を甘露に変える妖術は使えませぬ故。わたくしの色は、出来損いの紅で御座います。
涙の妖術を使わぬとは勿体ない。貴女様の甘露はさぞや美味しゅう御座いましょう……
[くつくつ]
[青鬼笑い、問い掛ける。
櫻は尚も鮮やかだ]
なあに、
有塵に初めて問われた日を思い出しただけさあ。
変わらず面白ぇヤツでなあ。
[くつくつ低く笑いつつ]
万次郎、
為さねばならんこととは仕返しかい?
ほぅら、昨日のお礼参りだ。
[ふざけた調子で手を振って]
なンだィ、今日は呑まぬかィ。
成さぬ事は判らぬがまた酒も呑もうネェ。
[ひらひら] [ひらり] [舞う薄紅]
[揺ら揺ら] [遊螺り] [紅い林檎飴]
[白の手] [伸べて] [受け取って]
[綻ぶ薔薇色] [寄せ] [潤む碧] [弧を描く]
有難う、兄さん。
お陰様で今日は両方食べれたヨゥ。
[青鬼眺め] [小首を傾げ] [長い睫毛] [瞬くか]
謂われてみりゃそンな手もあるネェ。
寄り添うだけで夫婦に成れるは出目金だからさァ。
遥月の兄さんには好い事を聴いたヨゥ。
けれど涙に色乗せりゃ茄子の兄さんに喰われちまうかネェ。
[万次郎にもらった苺飴を銜えたまま、
月の君と呼ばれた青年と常盤色の娘とのやり取りをぼんやりと眺めている。]
──涙が女の武器、か──
──効かないことも多いようだな。──
[と一人ごちる。それ以上その点については*考えたくはない。*]
ふふふっ…ふふふふ……
[紅の視線は青司へと。]
常盤様の色は日に々々鮮やかになっておりますよ。いけませんねぇ……それを見て見ぬ様になどとは。咲く華を愛でる心の余裕はお持ち下さいませね、青司様……
[目を閉じ、思念に耽る。]
嗚呼、添い遂げれば夫婦とは限りませぬが……添い遂げねば畏ろしい闇に襲われますのも、また夫婦。
好いではありませぬか。
むすぼれたる想いを遂げた夜を、ひとり寝の涙で濡らさぬだけでも。
あい、おはようさん。
[並ぶ] [青鬼] [赤鬼] [前に膝ついた侭]
[白い手伸べて] [紅に乗る薄紅] [そぅと払い]
嗚呼、有塵の兄さんが笑ったンかィ。
そうかィ、そンならお呑みヨゥ。
[とぷり] [瓢箪揺らし] [白い喉] [逸らし]
[仰ぐ桜] [ひらひら] [はらり] [潤む碧] [眇め]
遥月の兄さんが出来損ないかィ。
アタシァ紅にも及ばないヨゥ。
泣くより、遊んで笑って居たいのさァ。
何れ泣く時があれば、其ン時ァ誰か惑わせられるかネェ。
そうかそうか。
有塵になぁ、己の前に同じ事を問われてでもしていたか。
かっかっか、面白いか。
確かになかなか面白い顔をする男よ。
[見上げた顔の清清しさを思い返し
赤鬼の隣、杯傾けくつりと笑うも
常葉の女の言葉に墓穴を掘ったと苦い顔]
ああ、ああ、忘れろ忘れろ。口が滑った。
出目金だからか、やれやれお前さんの云う事は難しい。
子供の謎かけのようだ。
ふむ、さてはて色が乗るのに気づけば良いが。
いっそ泣く目玉を食ろうてしまうかのう。
嗚呼、常盤様。
色を乗せてしまっては食らわれてしまいますか?
……ならば、魅了すれば良いのですよ。
貴女から生涯離れたくないと、惑わし、狂わし、捕らえてしまえば……。貴女の色を貪れども、貴女の身は食らいますまい。……その香を放つ能力が、貴女様にはおありでしょう?
嗚呼、貴女様からは蜘蛛の糸が見えますよ。この愚かな蝶は囚われてしまいそうで……嗚呼、畏ろしい。
[くつくつ笑う。]
[ぽつり呟く小さな横顔、
ふと眼を細めて気配を嗅げば]
ああ、昼に聞いた笛の子かい。
なるほど、迷い込んじまったのかねぇ。
[月に窘められて短く唸る]
……しかしだな。
[杯咥えて、常葉を眺め]
[やはり短く唸り]
[おもしろく無さそうに口元下る]
泣くたまには見えんのだがなぁ。
咲く花を愛でぬわけでは無いしゆとりが無いわけでもないのだが
……ああ、いや、わかったわかった。覚えておこう。
[降参と手を上げひらり]
[くつくつ、くつくつ。]
嗚呼。お気に為さらず、青司様。
[くつくつ、くつくつ。]
……それよりも、わたくしにも御酒を戴けませぬか?少々酔いたい気分に御座います故。
[盃をついと差し出した。]
[カラリコロリと下駄を鳴らして今日も向かうは酒宴の場]
[ほとりからそう遠くもない位置][薄い笑みを持ち]
また今日も――賑やかじゃな。
[くすり笑って]
[小さな少女を目に留めて]
また――お初にお目にかかるものか。
[思い出すは木々のざわめき]
汝れであったか。
[一人納得した様子]
[繊手ひらめき花びらが舞い、
金の瞳を細めてにやり]
あぁ、呑もうかい。
櫻に杯かかげて乾杯でもしようかぃ?
[反らした喉の白さが艶めき]
碧が未熟と謂っちまったら
熟れたらどうなるのか
考えるだけで震えるねぇ。
[酒の匂いは甘美な誘い。
相棒の問いに頷いて]
そうさあ、真顔で聞いて来るのさ。
面白い顔か、桜咲かして笑ってたかぁ?
ええ、白水様。
ちょうど良い所へ。
そうですねぇ……
常盤様が甘露ならば、白水様は目の覚めるような鮮烈な刺激を抱いた果実……
[くつくつ、くつくつ。]
仮令相手が喰わずともアタシァ恋われりゃ喰っちまうからネェ。
咲き乱れるにゃ早過ぎるヨゥ。
[笑う遥月] [舞う花弁] [色めく空気] [潤む碧]
甘露な蝶なら以前ひとつ捕まえたヨゥ。
アタシの糸に何時気付いたンか、蝶だからかネェ。
遥月の兄さんは蜘蛛はお嫌いかえ?
[出される盃] [白の手伸べて] [傾く瓢箪] [とぷとぷり]
[青鬼唸り] [此方を見るに] [碧濡らして] [ニィと笑み]
誰が如何思おうと勝手さァ。
アタシァ、アタシ、其ンだけだヨゥ。
お帰りィ、白水の姐さん。
姐さんも呑むかえ?
まったく、月には敵わぬわ。
己は今日も手ぶらよ。酒ならほら常葉の娘にたかると良い。
[空いた手で司棋の髪わしわし。八つ当たり。
カラコロ下駄鳴るそちらを見れば白の姿]
今宵も酒の席は盛況だ。
桜さく酒を飲まねばなんとしよう。
[赤鬼の酔いしれる様子にくつりと笑んで、
杯カリと噛み、口元を上げる]
ああ。実に清清しい顔をしとったぞ。
あの面にして咲く花のようじゃったわ。かっかっか。
[遥月の言葉に僅かに首を傾げて]
妾を鮮烈な刺激を抱く果実と表すか。
図りかねるが汝れがそう言うのであればそうなのかのぅ?
[反対側に首傾げ]
[青司の姿が目に留まれば]
やはり、花見酒――かの?
今日も注ごうか。
近頃は、飲むより注ぐ方が性に合っているようじゃ。
[曖昧な笑み]
おう、今日も賑やかだぁな。
鬼の鬼ごっこもいいが
こういう酒宴が常にあるのはありがてぇ。
[ひらり振る手は白水に。]
遥月も呑みたいかぁ。
いいこった。
昨日の様子を見るにいけるクチだと思うが、
どうだい?
[揺らめく月のたおやかな影、
其の眦は櫻の端の紅に似る。]
[社に背き歩けばやがて辿り着くは朱の鳥居]
…嗚呼、出られはせぬというに。
戻るところで何も在りはせぬに。
やれ…戻りて何せうぞ。
[懐の内、右の腕。
ゆぅるり上げれば鳥居を伝う]
……やれ、面倒を思い出した。
舞いを約束していたな…
[気配は読めねども]
[在る場所は一箇所か]
[満たされた盃の中身を、ついと飲み干す。]
いいええ、常盤様。
わたくしは蜘蛛を好いて御座います。わたくしの身を捕らえて放さぬ蜘蛛様を、どうして嫌うことができましょう……?
嗚呼、わたくしの毒に犯され焼かれぬ蜘蛛様なら尚のこと。
[紅色の視線は、舐め尽くすように常盤を見回す。]
ところで……常盤様に囚われた、哀しくも羨ましい蝶殿は何処に?
嗚呼、聞くが野暮ならどうぞこの質問は御捨て下さいませね。
アタシァどうせ直ぐに全部忘れちまうヨゥ。
でも面白いから覚えておこうかネェ。
[青鬼見遣り] [ニィと笑み]
童の謎かけより簡単だと思うけどさァ。
さて眼を喰われたら代わりに何を貰おうかネェ。
[品定めるか] [濡れた碧眇め]
[赤鬼の声] [薔薇色の唇] [吊り上げ]
好いネェ、乾杯なんざァついぞしてないさァ。
ほゥら、喰児の盃をお出しヨゥ。
[ちゃぷり] [瓢箪揺らし] [ニィと笑み] [潤む碧]
[ひら] [ひら] [はらり] [金色に映る薄紅] [覗く]
開那の兄さんにも司棋の兄さんにも舞う花弁の時を貰い、日毎見る櫻は蕾を膨らませて、今宵は有塵の兄さんの桜のせいで狂ってるだけさァ。
咲き乱れたら甘露な涙零して喰児を惑わせてみようかえ?
[月へと向けた呆れ顔はふいと消えて]
ああ、お前さんはお前さんか。
咲き乱れるも恋われるのも良いが、
己の相棒食ってくれるなよ。
[常葉の言葉に目を細めくつり笑う。
白の申し出に、咥えていた杯手に落とし差し出して]
では貰おうか。
近頃と云うのなら以前は酒飲みか。
いいえ喰児様。
わたくしはさほど御酒には強く御座いませぬ。
戴ける盃は、有り難く頂戴致しますが。
[桜の花びらの紅を見せるように、目を閉じて笑う。]
そりゃあいい、
墨櫻の精も満開かぁ。
[青鬼見つつくつくつ笑い]
ああ、司棋はまだ寝たままかい、
寝る子は育つってなぁ。
夜斗は何処へ行っちまったんだい?
お散歩かあ?
[司棋の鼻先軽く弾いて]
嗚呼、開耶様。ごきげんうるわしゅう。
今日も佳い香りですねぇ。
[ほんのりと紅潮した頬と首筋、盃を持つ白い手首。遥月は、紅を纏った視線を開耶に向けた。]
いつにも増して色香が漂うなぁ、遥月。
謂っても会ったのはついこの間だがねえ。
[真理が勧める甘露の酒に
己が手にある杯差しだし]
そんならこれから乾杯だ。
花びらも呑みほすくらいに呑んでやれ。
有塵は騒がしいと睨むかもしれねぇがなあ。
[僅かに顔上げ櫻を見上げ、
泪の話に及ぶの聞けば]
そいつぁいけねえ、それこそ甘露さ。
佳い女の泪の前には形無しさあ。
[真意の見えぬ物言いで]
[出された杯][とくりと満たす]
飲んでも酔えぬが――よく飲んでおったな。
この身に湧き出る泉の力が酒を綺麗に流してしまう。
難儀よのぅ。
[司棋に視線を這わせれば]
あれからずっと寝ておるか。
わっぱと言われても仕方なきことやもしれん。
[くすくす笑う]
ええ、白水様。
キリリと辛い刺激を持つ果実……。
白水様の纏う色――上質な絹を思わせる黒と、目の醒めるような鮮やかな白、その色其のままですよ。
毒持つ蝶に遊ぶ蜘蛛かえ?
蜘蛛を厭わぬ蝶たァ嬉しいヨゥ。
遥月の兄さんの毒に焼かれぬ様に気をつけないとネェ。
[乾く遥月の盃] [白の手伸べて] [とぷとぷり]
[視線に瞬き] [問いに] [また瞬き] [益々潤む碧]
蝶はアタシに成ったのさァ。
晒しはせぬが遥月の兄さんの胸と同じく蝶が翅を休めてるヨゥ。
[青鬼の声] [つぃと顔向け] [ニィと笑み]
アタシァ恋われりゃ誰でも喰っちまうさァ。
謂うならアタシじゃなくて相棒に釘をお刺しヨゥ。
[遥月の声かけるに] [濡れた碧の眼差し] [向き直る]
[常葉の女に苦笑を浮かべ]
直ぐに忘れるとは鶏か。
やれやれ余計な事ばかり憶えてもしかたなかろうに。
では童の次にわからぬわ。
[浮かぶ笑みにこちらの瞳も細く弧を描く]
さあてなぁ?
食われたならばお前さんが決めればよかろうて。
[言い終えてからり笑うと、くつくつ笑う赤鬼へ]
ああ、よきかなよきかな。
桜咲くのは良い事だ。
夜斗はあれから見てないのう。
芸を気張りすぎて今頃何処かで寝こけておるかもしれんな。
育ってもこの有様ではいつまでもわっぱよ。かっかっか。
俺の心配してくれるのかい、
泣けるねぇ相棒。
[すいと杯呑み乾して
藍を見つめて笑い顔。]
強くないが受けた杯は乾すんだなあ。
そりゃあいい、
そういう心意気は好ましいぜえ。
[遥月は更に酒を呑む。
紅眦はいよいよ赤く。
また赤鬼も酒を乾す。]
呑んで酔えねぇのは難儀だねえ。
騒ぐ白水も見てみたいがなあ。
歌を歌ったりするのかね。
――くつくつ。
いやですねぇ、喰児様。
わたくしを褒めても、深みある甘露は出せませんよ?
わたくしは男、寄る辺無き身。女人の涙には敵いますまい。
――くつくつ、くつくつ。
なんなら、お好きな味を試されてはいかが?
甘露に、ハッカ……毒の蜜。
――くつくつ、くつくつ。
[白に差し出す杯満たされて、
水面に落ちるは桜のひとひら]
飲んでも酔えぬか、それもまた難儀だろうて。
泉……ふむ、触れれば濡れるか?
[訝しげに白を見遣ってから
司棋へと視線を落とす]
さてはて、何と言っていたか。
[杯口につけ、ひとつ唸る]
口付ければ起きると申しておったかのう。
気づかないほど寝こけていれば効果はなさそうだが。
[わっぱの鼻をむにりと摘む]
キリリと辛い――か。
[珍しく――心底可笑しそうに笑って]
ならば、汝れがその刺激で舌を焼かぬよう気をつけるがいい。
清浄な水の流れは毒をも流してしまうやもしれぬからの。
[告げる声はいたづらに]
[常葉の言葉に肩を竦め]
やれやれ、お前さんに云うても無駄か。
さてはて己の相棒は――
[見れば杯飲み乾し笑う赤鬼]
こちらも云うても聞きそうにないな。
心配でもして赤鬼も泣いたら青鬼は途方に暮れるわ。
かっかっか、気が向けば骨くらい拾ってやることにしよう。
[差し出される] [赤鬼の盃] [白い手伸べて] [とぷとぷり]
嗚呼、そうだネェ。
有塵の兄さんにゃ厭われようも、咲き乱れた己を恨んで貰おうかィ。
[見えぬ真意] [薔薇色の唇] [浮かぶ笑み] [変わらず]
泪の味なんざァ忘れちまったけどネェ。
喰児が形無しになっちまわない様に泣かないでおこうかィ。
[青鬼の苦笑] [肩竦め] [揺れる常葉]
鶏のが幾らか賢いかもネェ。
判らぬ茄子の兄さんも面白いから判らぬ侭で好いヨゥ。
[細まる藍] [薔薇色の唇] [吊り上げて]
其ンじゃ其ン時ァ魂ひとっつ貰い受けようかィ。
蝶よ花よと麗しいねぇ。
[言葉が飛び交い遊ぶ声。
緋色の髪をかきあげて]
愛したもんを喰っちまうとは罪だねえ。
血と為り肉と為っちまうっていうわけだ。
それはそれで甘美だな。
[人食い鬼はくつくつ笑う。
遥月の笑いが重なった。]
男だろうが女だろうが綺麗なもんは綺麗さあ。
試すなんてあまっちょろいな、
毒を食らわば皿まで、さ。
[喰児の言葉に幾度か瞬き]
騒いだ妾か。
妾とてついぞ見たことはないな――。
[真顔で思案]
歌は酔わずとも歌えるが、披露するものでもなかろうて。
[青司に視線を合わせれば]
――触れて濡れるのなら、雀はとうに消えてるじゃろうな。
内に流れる力ゆえ――ああ、こういうことなら出来るがな。
[すっと細めた目の奥に] [光る緋色は透き通り]
[――辺りは濃霧に包まれて] [暫く経てば霧は晴れ]
これを芸と言うては面白みがないかの?
[首をかしげて藍を見る]
[常盤の言葉に笑みを浮かべる。]
恋われりゃ食らう……それはそれは畏ろしい蝶々様で。嗚呼、蝶なら蝶同士、其の翅を重ねるのも悪くは御座いますまい。
――くつくつ、くつくつ。
[再び視線は白水に向かい]
ふふっ……ならば、白水様の清水にわたくしの毒を流されぬよう味わいましょうか。或いは、わたくしの身に宿った因果……毒の呪いだけ浄化願えますか?
――くつくつ、くつくつ。
[眠る司棋に近付き、唇に白い指先を乗せる。]
嗚呼、可愛らしい司棋様。
其の様に無防備な姿を晒しては、毒の蝶が貴方様を食らってしまいますよ?
――くつくつ、くつくつ。
[喰児の目を見て、紅は笑む。]
毒を食らわば、いっそ皿まで……嬉しゅう御座いますねぇ。
では、其の味を少しだけどうぞ。
……一度に味わわれては、面白みに欠けます故に。
[喰児の顎をそっと指先で上げる。]
嗚呼、移り気な蝶と笑われないで下さいませね。
[酒注ぐ白の少女] [つぃと濡れた眼差し] [なぞり]
白水の姐さんは酒には酔わぬかえ?
酒に酔わねど見事な桜に酔ったら如何かえ?
其れとも色に酔うのかネェ。
[肩竦める青鬼] [コロコロ笑い]
心配せずとも誰もアタシに本気になったりしないさァ。
茄子の兄さんの相棒もアタシと遊んで呉れてるだけだヨゥ。
[赤鬼の声] [潤む碧] [弧を描く]
愛なんて難しいもンはアタシァ判らないヨゥ。
恋われたら喰ろうてこの身、重ねるだけさァ。
[くつくつ笑う] [色めいた声]
遥月の兄さんと翅合わせるンかえ?
楽しそうだが生憎とこの身は呪いだらけさァ、寄り添うンなら大火傷じゃ済まないヨゥ。
[くつくつ笑う遥月を再び眺め]
笑い上戸か?今宵の汝れはよく笑う。
――毒の因果か。難儀じゃな。
浄化しようとして飲まれてしまっては妾が手遅れじゃ。
[浮かべた笑みは妖しくて]
泉で禊ならばいつでもするといい――。
口付けねえ、
さしずめ相棒は王子様ってワケか。
酒を口に流し込んだら吃驚して起きるかねえ。
夜斗もご主人がこうじゃあ気苦労が多いだろうぜ。
[額をつんとつついたり。]
骨を拾ってくれるかい、相棒よ。
甲斐甲斐しい事だ、嬉しいねえ。
心配なんかしなくても俺ぁ泣かねえよ。
[常盤が注いだ酒、
満たした杯掲げては]
さぁ、この有塵の霞櫻に乾杯だ。
[喉を鳴らして飲み干した。]
鶏より意地が悪いのは良く判った。
[吊りあがる薔薇色の唇に返すは薄い笑み]
かっかっか、高い目玉だ。
よかろうて、その時は目玉と言わず食ろうてくれるわ。
[杯まわせば、ゆらりはなびら揺れる
白の視線に藍を返し]
ああ、そうだったな。
滲まないのは見ておるのに己も酔っ――
[ざわり、緋色の奥][透き通るは水の色]
ははあ、気遣ってくれるかい?
泪もちぃとは見てみたいがねえ。
そんときは悲しいとかそういうんじゃないほうがいい。
[常盤を流し見 唇歪め]
白水が騒げば水も騒ぐかねえ。
いい声してんだ、歌えばさぞと思うがなあ。
[不意に濃霧が辺りを包み
幻のように消えうせた]
ほうほう、これが白水の芸か。
此処には素晴らしい芸持ちが揃ってるねえ。
どんな上等な宴会よりも面白ぇ。
[常葉の少女][告げる声に]
桜に酔うのが一番早いかの?
花弁は泉にもゆらゆら美しく舞っておるでな。
[喰児の言葉に]
ならば司棋が姫君か。
驚愕しておきて、また寝てしまっては終わりがないが。
[くすくす笑って]
[喰児に触れた唇を、ちろりと軽く舌なめずり。]
ふふ……常盤様。
貴女の炎と、わたくしの毒……どちらが強いか、いずれ御手合わせ願いますね。
[常盤ににこりと微笑んだ。]
[カラリ落ちる杯]
[司棋の襟首掴んで、数歩飛び退く。
一時の濃霧はそれでも浴衣に染みて]
かっかっか、芸というより不意打ちじゃ。
少しばかり酔いがさめたわ。
[カラコロリ、じわりと肌に張り付く浴衣。
赤鬼の膝元へ司棋を転がしカラコロ離れる]
己が王子かそんな柄ではなかろうて。
酒が足りぬ、少しばかりとってこよう。
相棒のよしみでわっぱを頼むわ。
酒を流し込むなら構わぬが、穏便に介抱すると青鬼が喜ぶのう
お?
[寄せられた顔 薄紅で
遥月の香漂った。
眼を細めて笑うよう。
ぺろりと唇舐めて見せ]
ああ、こいつぁ甘い、いい味だ。
ありがとよ。
[にいと笑って礼を謂う。]
ええ、白水様。
わたくしに宿る、解けぬ毒の呪い……禊でならば、いずれ消えゆくやもしれませぬ。
嗚呼……遠い記憶できらりと光る、あの清水が恋いしゅう御座います……。
[遥月は、桜をついと見上げた。]
[霞みけぶる辺り] [やがて晴れるに瞬き]
白水の姐さんも面白い事をするネェ。
司棋の兄さんは未だ起きずかえ?
やれ本当に良く寝るネェ。
[青鬼の膝] [眠る少年] [あどけなく]
[伸べる白い手] [赤の髪] [そぅと梳き]
口接けで目覚めるンならお守役の茄子の兄さんにして貰うと好いヨゥ、遥月の兄さんがしたんじゃ目覚めなくなっちまいそうさァ。
[盃乾かす赤鬼] [ニィと笑み] [傾ける瓢箪]
[零れる雫] [つぃと白の指がなぞり] [零す吐息]
アタシの盃は使う間も無しかえ?
[青鬼の薄い笑み] [ニィと笑み] [覗く碧]
アタシァ高くて安いし喰う専門なのさァ。
泣くから眼を喰う話だろゥ、色も無いのに喰うのかえ?
[カラコロリ、去り際一度振り向いて
常葉の女へ、肩をすくめる]
さぁて、相棒の心境は己にも計りかねるのう。
茄子は暫く席を外すから赤鬼さんに遊んでもらえ。
色は彩り、食らうは本分。そういう事だ。
[次いで赤鬼へと]
甲斐甲斐しい己は今宵の酒を足しに行くさ。
寂しい寂しいと泣かぬのなら良いがなぁ。
かっかっか。
[カラコロコロリ、薄闇へと姿を消す。
闇に目を凝らせば点々と墨の跡が見えるだろうか]
[飛び退く藍に][それでも笑みは崩さずに]
余興で酔いを醒ましてしまっては意味がないな。
泉が近く、この形(なり)でなければもう少し出来ることも多いが。
[落ちた杯を拾い][とくりと満たしこくりと流す]
酔うた経験がないゆえ、加減がわからぬ。
[悪びれた様子もなく]
嗚呼、美しい……
白水様のこの水ならば、わたくしの毒の呪いも解けるでしょうか……嗚呼。
[続いて喰児に]
ふふ……お礼を言われる程ではございません。この蜜欲しくば何時でもどうぞ。口移しで差し上げましょう。
[スッと立ち上がり、周囲を見回す。]
嗚呼、皆様。
名残惜しゅう御座いますが、少々野暮用があります故、今宵はこの辺で。
それでは皆様、好い夢を……
[微かに下駄を鳴らし、しゃなりしゃなりと*歩き去る*]
書生 ハーヴェイは、ここまで読んだつもりになった。
[遥月の様子に目を細め]
――汝れも迷子か。
[果たしてどういう意味だったか
喰児と常葉へ視線をやれば肩を竦めて]
――青司には毒だったようじゃな。
少しくらいは反省しよう。
さて、過日は礼に酌をしたが、此度はお詫びに何をしよう?
[首を捻って思案顔]
[ざわめきに意識戻せば、いつからかの酒宴]
先程の霧は白の君の仕業か。
やれ、突然のことに火影が憤慨しておるよ…。
垂氷は喜んでおるようだが。
[チャリ。一筋の刀を脇から外し鞘や柄、鍔を袂で拭い遣り
白水を悪戯っぽく見据え]
其方がヒトであったなら、火影は真っ先に喰らうであろうな。
[視線を刀に戻し、帯から布を抜き取ると
ふわり。丁寧に水滴を拭う]
どうどう、気付かぬ我も悪かった。機嫌を直せ。
直ぐに獲物を喰らわせてやろうぞ。
聞けばヒトがまぎれていると言う。時期は直ぐだ。
哀しくない泪ネェ、甘露な魂ひとつ呉れたならァ何時でも泣いて見せようかィ。
[赤鬼へと] [囁く声] [碧と同じく] [濡れて]
[白の少女] [桜は泉に映ると謂う] [ニィと笑み]
其ンならもっと酔うと好いヨゥ、白水の姐さんの力は茄子の兄さんの酔い醒ましにもなるらしいネェ。
[湿る浴衣] [滲む墨] [離れる青鬼] [見遣り]
[赤鬼の唇奪いし] [紅い唇] [手合わせと謂う]
厭だヨゥ、アタシァ臆病なんだァ。
遥月の兄さんはアタシを如何するお心算かえ?
嗚呼、恐い、怖い、強いネェ。
[去る青鬼] [ひらひらり] [白い手振って]
[点点と] [闇に浮かぶは] [墨のあとか]
アタシを喰ろうたら腹ァ壊すって謂ったじゃないかィ、戻ったらまた遊んど呉れヨゥ。
嗚呼、誰も彼も、恐い、怖い、強いネェ。
俺ぁ真面目だって謂ったろうがよ?
[常盤に笑って手を差し出し]
すまねぇすまねぇ。
余りにも注いでもらった酒が旨いんでなあ。
[金の瞳で覗き込む。
続いたのは相棒の 世話を頼むと其の言葉。]
おう、任せとけ。
まあまあそんな手荒な真似はしねえよ、
王子様が怖いからなぁ。姫に無体なこたぁ出来ないさ。
[なあ、と白水振り返り。]
そうかい、相棒。寂しくて泣かないうちに戻って来いよ。
寧ろ泣くのはこいつじゃないかい?
[つつく指先司棋の頬]
[からり転がる石飛礫]
やれ…人に向けるつもりにこれか?
獲って喰ろおうとは思わぬか。
[頬に一筋緋色が伝う]
殺すつもりならばそれで来ればよかろうに。
但し我は今、あまり機嫌が良くない。
己が命、失う気で来られよ。
[纏う気の変化に気圧されてか。
散り散りに散りて遠く離れ]
[くつり零るる嗤い声]
[薄墨桜は程近く]
[青鬼、遥月を見送って。
チャリン。刀を脇へ戻した。鍔が震え ちりちり、かたかた]
そうよな。其方等も久しく血を、肉を喰ろうておらぬか。
仕方なし…仕方なし…。
まじないが解けぬうちは、何時になるかわからぬものな。
そう憤るのも、理解できぬではないよ。
しかしな、火影よ。
正体もわからぬ相手を斬るのは、其方の名を穢すぞ。
控えるのが吉。……しばし待てよ。
[周囲のざわめきもよそに、刀と語らう姿ひとつ]
[カラリコロリ、ぺたり。
露店を歩く藍の男。下駄の跡には滴る墨跡
藍の浴衣もうすら墨に滲む]
店主、そこの瓢箪三つばかりそれから手ぬぐいをひとつ。
[墨伝う腕を差し出し。置く代金もやはり墨に濡れ。
瓢箪三つと手ぬぐいひとつ手に再び薄闇に紛れる。
荷を置き、酔いどれ物の怪見つけ
むんずと襟首掴んで物陰に引き込む]
[霧一つで] [態々詫びると謂う] [白の少女]
茄子の兄さんが戻ったらまた酌でもしてやりゃ如何かえ?
其ンで充分だと思うけどネェ。
[差し出される] [大きな手] [瓢箪預け] [唇尖り]
[墨滲む] [白の袂] [白い手いれ] [取り出す盃] [木目浮き]
乾杯するってェ謂った次の瞬間には真面目に一人で先に盃乾かしちまうんだネェ。
[覗く金色] [緩くねめつける碧] [潤んで揺れる]
[遠く] [ざわめく気配] [すぃと映す碧] [琥珀の君か]
[万次郎に気付けば薄く笑み]
妾の霧が他にも迷惑をかけたようじゃな。
以後は気をつけよう
[――鬼ごっこが始まるまでは]
妾がヒトであったなら――か。
[悪戯な目線][返す言葉もいたづらに]
火影は妾の敵となるか――結構結構。
なれば垂氷を篭絡しようか。
[くすくす笑う]
[常葉の少女へ]
なれば今宵は桜の泉に酔っていよう――。
青司の酔い覚ましとするにはいささか強引だったらしい。
[肩すくめ][赤鬼の声に]
[口元に袖][*くすくす笑う*]
[はらり散る花]
[ふるり払いて]
……やれ、あれは…
[巡る視界が捉えたは、陰に消え往く藍と妖。
ふぃと足元見遣れば黒き足跡点々と]
…何ぞ在ったか。
迷惑…と云うのならそうかもしれぬ。
もとより、こやつの機嫌が悪いのがいけないのだよ…。
我は、其方の術に興味を持ったが、火影はそうでなかった。
それだけのこと…。
[こちらも薄く笑む視線。白水と双刀を行き来して]
はて。垂氷、白の君に目を付けられたぞ。
…其方はどちらにつく?元の主か…白の君か。
白の君がヒトであったら恐ろしい。
ヒトの主は………初めてだものなあ?
[くつくつ。まるで相手をヒトと決めつけたよな物言い]
甘露な魂ねぇ。
見繕うか、それとも俺を喰ってみるかぃ?
[眼を細めて問いかける。
顎に手を当てまた笑う。
ふっと馨るは扇の色の]
ああ、琥珀の兄さんか。
櫻の樹の満開の下だ、舞ってくれると嬉しいがなあ。
[かたかた鍔鳴り、万次郎。
ぶつぶつなにやら呟きながら]
万次郎は愛剣とお喋りかあ。
刀も腹が減るんだねえ。
[低く笑って酒を呑む。]
[藍の浴衣を枝に掛け干す]
[腰を下ろして晒した肌に手ぬぐいを当てる]
少々呆け過ぎたわ。
[つぅと流れる薄墨拭いきり]
[声に振り向けば]
……開耶か。なぁに少しばかり酒に酔いすぎたのよ。
[言って袖を通すは先ほど物の怪から剥いだ黒の浴衣
物の怪は裸のまま何処かへ逃げようか]
[変わる空気の香り。琥珀の色を思い出しながら]
可笑しいか、赤鬼?
こやつらも妖しの身。
我に使役されようとも、ひとつのあやかしだ。
腹も減って当然。其方も腹は減るだろうに?
[愛しげに指先は柄を這い。
撫でる 緋色の柄。
撫でる 白緑の柄。]
それとも…赤鬼殿は、名だけのヒトか。
我はあやかしの、桃太郎か。
[くつくつ。謎掛けだか挑発だか]
[陰を覗けば妖は泣く泣く逃げようか。
見送り戻せば黒浴衣]
やれ、酔いのあまりに酒でも零したか。
[屋台の壁に肩預け。
見遣る瞳は細まりて]
それでは容易く人に狩られるぞ。
狩ろうとするならば逃げらるは確かだろうて。
さて、それならば酔われておった方が良かろうか?
■設定(今更
・刀匠の息子、万壱(ばんいち)の弟。万次郎、数え五つで水死。
・万壱、弟の名を銘に刀を打つ。
・幾年過ぎたか知れず、人型をとり。刀匠に師事。
・自ら「火影」「垂氷」を打つ。命吹き込み、使役。
まあそんなところでござる。
茄子の兄さんもだが、兄さんの獲物も難儀だネェ。
御伽噺の鬼退治、お供は犬と猿と雉かえ?
おや、ひとつ足りないじゃないかィ。
[刀に語る] [万次郎の様子] [眺め呟き]
[俺を喰うか] [赤鬼は笑う] [ニィと笑み返し]
喰児を喰っちまったら誰に苺飴強請ろうかィ。
亡骸抱いて咲き乱れるアタシと誰か遊んで呉れるかえ?
開那の兄さんが来て舞うンなら、一つ一緒に舞おうかネェ。
[ばさり、黒い手ぬぐい枝にかけ
下駄も根元に揃えておけば]
かっかっか、そのようなものだ。
[浴衣の合わせなおして
屋台の壁に凭れる開耶の傍に歩み寄る]
なぁに、容易くは狩られはせんよ。
少々不得手があるのみ。
[からり、笑って開耶の顔覗き]
己が人を逃がすとでも?
[ひら] [ひら] [ひらり]
[はら] [はら] [はらり]
嗚呼、良い、好いネェ。
でも未だだヨゥ。
未だ未だ遊び足りないヨゥ。
[常葉の声に、柄を撫でる指止めて]
…そうな、青鬼の得物も厄介だろうに。
もしや我の得物より厄介ではないか?
ふむ。桃太郎は供を連れておったな。
しかし、犬猿雉などと呼ぶとこやつらがへそを曲げる。
勘弁しておくれ、常葉の君。
[再び鳴り出した双刀。
チリチリ、カタカタ。…―――チャリ。
指で抑え遣り]
嗚呼。其方の言葉で、また機嫌を損ねたようだ。
林檎飴の恩を仇で返すか、常葉の君?
[言葉の端々に滲む苦笑。双刀に対してのものか]
[寄れば拭わぬままの頬の緋色は見えようか。
懐入れた右手の先に扇を触れつ]
不得手か。
知られるば難儀なこととなろうな。
[覗く藍に琥珀は閉ざし]
さて、青司の手並みなぞ知りはせぬが。
杯の酒を零す程に手元危く酔うておれば
人も容易く獲り逃がすだろうと思うたまで。
[真理の顔をついと覗き込み]
ははは、そう睨むなぃ。
[杯相手の唇に当て、
万次郎の言葉に答え]
ああそうだな、面白ぇ。
剣のナリしたアヤカシか。
そうだな、皆同じだ、腹は減るんだろうさあ。
[金の眼細めて舌なめずりを]
アヤカシ桃太郎に
ヒトの鬼たぁ
お天道様もびっくりさあ。
やってみるかい、喰らってみるかい?
俺もそれなりに腹ぁへってるからなあ。
[言葉遊びを楽しむように、刀と男に語りかけ]
知られれば難儀は己よ。構いはせぬがな。
手並みを知る時は食らう時だろうて。
知らぬままがよかろうよかろう。
かっかっか、云われても仕方の無い様だのう。
なあに手元が狂えど如何様にでもなるわ。
[ぺたり、裸足は一歩踏み出して
頬の赤をまじりと見詰める]
その額は如何したか。
お前さんのなりからすれば、血の気の早い事はなかろうて。
つまらぬ喧嘩の流れ弾か?
さァて、茄子の兄さんの事ァ詳しく知らぬけれど、墨絵諸共に茄子の兄さんも水に解けたりしてネェ。
[濡らしてみるかネェ] [冗談交じりに] [コロコロリ]
[未だ齧らぬ林檎飴] [手にした其れ見] [ニィと笑み]
おや、そいつァ御免ヨゥ。
頼もしい家来のお陰で桃太郎は鬼にすら勝てたのさァ。
貶すどころか褒めた心算だったんだけどネェ。
貰った林檎飴は大事に食べさせて貰うヨゥ。
[寄せられる盃] [尖る薔薇色の唇] [僅か開く]
[ちろり] [覗く紅い舌] [酒舐め] [すぃと身を引き]
昨日に続き今日まで是じゃ睨みたくもなるヨゥ。
[木目の入った盃] [白い手の中で踊り] [ひらり差し出す]
亡骸抱いて咲き乱れ、かあ。
咲き乱れんなら俺ぁこの眼で見たいねえ。
[誰が渡すか苺飴、
常盤の花が咲くのかと]
誰が遊ぶか、相棒はどうかねえ。
折角なら碧と遊ぶのは俺がいいねえ。
ああ、舞か。
そいつぁいい。
香りはするがまだこねぇな。
楽しみに待つとするかい。
異国人 マンジロー は、なんとなく お尋ね者 クインジー を能力(透視)の対象に選んでみた。
異国人 マンジロー は、なんとなく 書生 ハーヴェイ を能力(透視)の対象に選んでみた。
[睫毛がひくりと動くのは目覚めの前兆か]
ん〜…?あ…れ…?
あぁ、随分と時間が…
疲れてたのでしょうか?
見苦しい所を…。
やれ、なれば知らぬままが良いか。
青司の不得手を知れれば我は愉快だが。
[くつり嗤いて双眸開けば藍は更に程近く。
裸の足が立てる音に瞳は其方へ向かいつも]
…これか?
その辺りの妖が石を投げてきただけよ。
白金の狐、どうやら我らのみならず、他の妖にも伝えたらしく。
石飛礫しか投げられぬとは妖は狩られるが余程怖いらしい。
[くつくつくつ。
零るる声は狂気色]
[金と緋のあやかしに向け
ひらひら
掌を振って見せ]
遊ぼうとも、そう面白可笑しくもないぞ。
こやつらは我に使役されるほどのあやかしよ。
程度は知れておるだろうに?
それに気が向かぬと手を抜くでな。
其のツケは我に廻る廻る。
其方と、戯れるのは其方がヒトであった時にしようぞ。
遊びならこちらだ。やるか。
[三つの賽がのった黒の盃とりだして]
おや、やっとお目覚めかえ?
危うく色んな奴に唇奪われかけてたヨゥ。
[コロコロコロリ] [笑って] [伸ばす白の手] [赤の髪梳き]
[かすかに瞼を震わせて薄く薄く目を開ける。
昨夜は確かに夜に眠り、今また夜かと疑うか]
…ん…?
[長く眠った瞳には景色すらも捉えられず]
見たけりゃ別の魂お呉れヨゥ。
アタシァ泣いて咲いて乱れて遊ぶのさァ。
[変わりに青鬼] [遊ぶと謂う]
其ンなら代わりに茄子の兄さんの魂でも喰おうかネェ。
茄子色の亡骸抱いて喰児と鬼ごっこかえ?
[冗談か] [本気か] [コロコロコロリ] [笑う声軽やか]
[ひら] [ひら] [はらり] [舞う花弁] [見詰め] [濡れる碧]
開那の兄さんや薄紅の花弁と舞ったら益々酔っちまいそうだネェ。
やれやれ、お前さんも己で遊ぶ口か。
[半目で肩を竦め、続く言葉に目を顰めるか]
成る程、成る程、かっかっか。
寝首を掻くより先に礫を投げるとは、
少々知恵の回らぬものよのう。
[さらり、顎なで傷跡眺め]
さてはて、手ぬぐいは汚してしもうたな。
仕方ない動かずじっとしていろ。
ふぅむ。先の様だと、真に溶けてしまいそうな…。
[墨色に染まりかけた下駄の跡を思い出し]
そうだったか…。
ヒトに加担する獣などと考えていた我が悪かったかね。
済まなんだ、火影に垂氷。常葉の君もだ。
[肩すくめ。俯いてあくびを]
[絹の白い手差し出す器、
無骨な掌受け取って]
まぁた機嫌損ねちまったなあ。
いけねぇいけねえ。
[つと身じろぎをする姿。]
よう、おはようだな、司棋?
随分長い眠りだったぜぇ。
まるで眠り姫だな。
[笑い含んだ声色で]
さて、『も』というなれば、幾度目か。
青司は遊ばれる性質のようだ。
[半目に笑えば琥珀は細く]
やれ、仕方あるまいかとは思うたが、
少々虫の居所が悪く、つい脅してしもうた。
関わるまいと離れるか、危きと見て狩りに来るか。
さてどちらに転ぼうか。
[狂気の色もそのままに。
嗤えば藍は緋色に向くまま]
…何ぞ?
[問うと手が伸ばさるるは同時か。
僅か走るは緊張の]
[司棋の目覚めにゆるりと視線をやり]
――汝れのお守りは妾のせいでおでかけじゃ。
悪いことをしたのぅ。
[突然にそんなことを言われても理解したかはわからない。]
[傍にいた筈の青い色から
目の覚めるような紅い色が目に入り]
喰児…様?
[続きからかう「姫」の言葉に目を見開きがばりおきると]
な…誰が…!
[くらりと貧血、再びつっぷし]
まだじゃなくて、またさァ。
司棋の兄さんは眠り姫らしいネェ。
[コロコロ笑い] [醒め切らぬ様覗き] [潤む碧] [弧を描く]
本当に解けちまったら笑い話じゃ済まないヨゥ。
気にする事ァ無いさァ。
次からァアタシも気をつけるヨゥ。
おっかない獲物に狙われちゃ敵わないからネェ。
おや、兄さんはおねむかえ?
[赤鬼の様子] [流し目送り] [小首を傾げ]
[大きな掌] [小さな盃] [見遣りニィと笑み]
今宵も佳い宵、拗ねてても詮無いネェ。
一献注いでお呉れかえ?
さァて、知らぬ方が好い事もあるヨゥ。
今宵の花は有塵の兄さんの仕業さァ。
ぐっすりお休みの間の事は黙っておこうかネェ。
どうにもそのような性質か。
脅かす程度で済むなら甘いものよ。
[動かないようにと開耶の顎を掴み
頬の傷に舌を這わす。
赤い痕を舐めとり、ゆるり手を離せば己の唇舐めて]
腹を空かせた物の怪共の前でその色は危うかろう
これに懲りれば赤のまま捨て置かない事だ。
[ぺしり額を叩き踵を返す]
さぁて、酒がまだ来ぬといわれておるやもしれん。
お前さんは宴に行くか?
[瓢箪三つ拾い上げ開耶を振り向く]
中/
本気でログが追いつけてませんっていうか昼の伸び具合は何!?
…食われませんように。本ッ気で。
やるなら自分がいる時n(ry
[...は思うさま野を駆ける夢でも見ていたか、宴の頭上の木枝の上、大人しく納まっていた手足をもぞり、動かして――]
……を〜〜っ?
[身体は枝からはみ出、ころりと上から降ってくる]
姫は姫、お前のことさあ。
っとと、大丈夫かぁ?
急に立ち上がるからだぜえ。
[無理矢理頭を腿に乗せ]
相棒じゃなくて悪いがなあ。
白水の謂うようにいま酒を調達に行ってるのさあ。
王子様の帰還はちぃと待ちな。
[目覚める赤い髪の少年。目を遣り、くつくつ...]
お目覚めか、眠り姫。
はて。姫と呼んでよいのは、青鬼だけか?
だとしたら済まなんだ。いや、赤鬼も姫と呼んでおったな。
ならば、姫なのだろう。
[くらり、靡く赤い髪に目は弧を描く。くつくつ…]
有塵様…あぁ、あの黒いお方ですか。
では夜斗を戻してもよろしいか。
彼がいないと力が半分抜けます故
[苦笑しながら、掌にふわりと蛍火顕わし]
今日は華を髪挿しますか?
嗚呼、もゥ好いヨゥ。
有難うネェ。
[続く言葉] [長い睫毛] [瞬き] [濡れた碧] [弧を描く]
今日も挿してお呉れかえ?
昨日の桜は夜斗が分かれたもの。
無から有は生まれませぬゆえ夜斗を桜へ変えたまで。
気が向けば夜斗はおのずから戻りますが…昨日は拗ねていたらしく。
呼べば風が集まりまた形なしまする。
ご安心を。
おう、勿論喜んで、な。
[瓢箪手に持ちにやり笑み、
真理の杯酒精で満たす。
がさり猫のような音。
花びらひらひら散ってから]
なんだい、本当の猫みてぇだなあ、
そんなところで寝てたのかい、メイよ。
[くくくと笑って猫を見る。]
[突然に][空から落ちてきた少女]
確かメイと言うたか。
寝起きも随分元気じゃのう。
[くすくす笑って][万次郎が動くのを視界の端に]
[赤鬼の膝に乗る司棋に薄い笑み]
青鬼にも赤鬼にも世話をされておる汝れは一体どこの姫君か。
――結構結構。
では…
[ふわりと蛍火を吹きかけ髪に触れれば小さな鈴蘭
揺れるたびに鈴音と小さな光玉(たま)零し]
鈴蘭の香りには毒があるとか…。然し貴女様に害はないでしょう。
可憐な音をお聞きくださいね。
飛礫程度に殺しはせぬ。
その程度で一々腹を立てていては疲れよう。
[藍は近く視界に滲み。
頬を滑る物に瞬いて]
[ぺしり]
[叩かれる額を指先で撫で擦り]
…やれ、我など美味そうにも見えなかろうに。
我を喰らおうとするならば、薄墨桜を喰うが良かろう。
あれは花開いて目にも鮮やかだろうに。
[瓢箪拾うを見遣れば此処まで来た理由を思い出し]
…やれ、面倒を思い出した。
宴の席で舞う約束をしていたのだった。
反故にするわけにもいくまいて。
[高い高い木の枝、落ち行く間に今度こそはくるりと一回転――いやしかし、覚醒が遅すぎて]
ぬぅ今度の尻餅はさぞ痛かろ……や?
[ぎゅうと目を瞑りせめて衝撃に備えれば、思いのほか柔らかな感触は尻のみならず背にもあって、恐る恐る目を開けてみる]
……おお、頭に尻尾があるのかおぬし。
[抱き留めてくれたことへの礼よりも早く、高く結われてそこから生えて見える黒髪男に首を傾げる]
[周りからからかわれても寝起きで夜斗もいなければ力も入らず。口を尖らすも大人しく膝にて頭を下ろす]
男が姫と言われてなぜ嬉しいか…
[愚痴りながらも突然振ってきた娘のまとう雰囲気に目を見開き]
──!
[まるで犬が猫に威嚇するかのような。
蒼い目が一瞬紅く染まるのに気がつくのモノはいただろうか]
毒持つ華も美しいだろうさァ。
[俯き加減] [白の手伸ばし] [微か鈴の音] [光玉零し]
[綻ぶ薔薇色] [柔らかく] [上目遣いの碧] [濡れた侭に]
鳥の囀るも好いけど華の音も好いネェ。
有難う、司棋の兄さん。
かっかっか。其の通り。
しかし幾度も礫を投げられるのも興がそがれようて。
まあ良い良い。己もお前さんも好き好きだ。
お前さんだろうがなかろうが、赤は美味く映るものよ。
なぁに何も添えぬ割に悪くない味じゃった。
薄墨桜のあれを食ろうて桜が枯れてはつまらぬからのう。
花咲けば、散るまでを見ずになんの桜だ。
かっかっか、舞うというか。
それは良い。では行くかのう。
[ぺたぺたぺたり。
黒の浴衣に裸足のまま。瓢箪三つ下げて宴に戻る]
[またも] [上から] [振る仔猫]
[瞬く間に] [盃満ちて] [すぃと乾かし]
夜桜じゃなく木から落ちる御猫様に乾杯かネェ。
[落ちる仔猫] [犬っころ] [獣の眼]
お姫様は猫が苦手かえ?
[ぺたぺたり] [妙な足音] [近付いて]
[すぃと向ける碧] [映るは空と地] [寄って来るか]
[真理の嬉しそうな笑顔に自ずと顔も綻び。
小さく笑みを返すが
翡翠の少女の気配を感じた途端毛を逆立てるように]
…気のせい…?
いや…敵ではなくて…
寝ていた…どうやらそのようじゃ、喰児。
[申し訳無さそうな顔もなしに、男の腕の中でぶらぶらと足を揺らしたまま、瓢箪片手の喰児に手を振る]
いつの間にやらお日様隠れて、その代わりの月が見ゆる刻限になっておったわ。
うむ、白水!
わらわが元気でない時があれば、その次の日に降るのは槍と思うてくれて構わんよ。
[くすくす笑う白水にも朗らかに笑みを向けて]
…おや、おや。
[自分を受け止めてくれたせいとも知らずに、地に落ちた盃と賽三つを見下げ、その後万次郎をまんまる眼で悪意なく見上げて、得意の説教を打つ]
これはいかん。物は大事にせねばならんよ。
[近づく藍色][口元に袖]
何ぞ面倒なことになってはいないかと
多少は気にしてみたが――
[瓢箪三つ][後ろには開耶]
心配する必要はなかったかえ?
いやいや、それでも詫びはしようか。
すまなんだ。
[紅い瞳には多少は反省の色が窺えて]
さて、幾度も投げらるばわからぬな。
物には限度というものもあろう。
[額撫ぜる手、頬拭い]
やれ、味を覚えられては面倒か。
早々に酒に流して忘るるが良い。
[しれ、と返すは冗談に。
桜の言には答えずと]
やれ…裸足で歩くは構わぬが、傷付けることの無きようにな。
赤を散らすば我が其方を喰らうぞ。
[続く草鞋は微かに鳴りて]
[薄墨桜の宴会場。
幾つもの姿を認めればゆぅるり頭下げ]
[受け止めてほっと息をついたところ
気配に気付いて]
……其方もあやかしだな…?
慣れていようとはいえ眠り過ぎで鈍ったか。
[腕緩め、地に少女を降ろしがてら問いに眉をしかめた]
っ…。これは、尾ではない。
頭に尾が生えるわけがなかろう…!
[睨みがてら呟いて、足元に散った賽を・盃を拾い懐へ]
司棋の兄さんは命の姐さんとはソリが合わぬかえ?
犬と猫だから仕方ないかネェ。
[綻びかけた表情] [強張るを覗き] [あやす様に] [そぅと頭撫ぜ]
[メイの言葉に袖を当てたままくすりと笑んで]
ならば常に元気でいてもらわねば身が持たぬな。
槍を防ぐは至難の業じゃ。
[朗らかな笑みを眩しそうに眺め]
むう。かたじけない……?
[くるくると巡る表情の少女。懐をおさえ盃と賽を確かめる。
びょうびょう...
記憶を辿ると]
其方、夜店ですれ違ったな。
風を纏って駆けていったのは其方だな?
縄張りに入るものには警戒をするでしょうに。
それだけで。
しかし猫が化けるとあぁなりますか…。
たまには話すのも悪くはなく。
命の姐さん、林檎飴は食べたかえ?
[遊螺り] [揺ら揺ら] [白い手の持つ] [紅い飴]
[貰い物だし] [さてはて如何する] [万次郎見遣り]
折角貰ったけどあげても差し支え無いかえ?
食べた事が無いらしいのさァ。
[空と地] [来たれば] [濡れた碧向け] [ニィと笑み]
茄子の兄さんお帰りィそろそろ酒が切れそうだったところさァ。
開那の兄さんは今宵は舞って呉れるンかえ?
なんならアタシも邪魔しようかと思うンだけどネェ。
かっかっか。
山暮らしで裸足なぞ慣れておるわ。
[開耶へと からり笑って宴の席]
それ、相棒お守りの礼だ。
[瓢箪ひとつ喰へと投げ渡し]
娘にわっぱも起きたか。寝こける間に桜が散ってしまうぞ。
[白の姿に、笑みは失せ]
…良い。
己が気を抜きすぎただけだ。詫びる必要などないわ。
[とすり、先ほどと同じ所に腰を下ろす]
にゃぁおっとな。
そうかい、犬の姫は猫が苦手かい?
[説教講釈滔々子猫。
面白そうに眺めつつ]
おう、相棒、琥珀の、待ってたぜえ。
[つやつや。林檎飴と常葉色を見比べて頷く]
好きにするがよい。
其の飴はもう其方のものだ。我に聞かずとも思うまま。
ふむ。
この小娘、夜店に居たにもかかわらず飴屋を覗かなかったか。
名は何と?……めい、でよいのか。
[周囲から聞いた名をぽつり口にした]
[濡れた碧に僅か首傾げ]
長きをおいては忘れよう。
忘るる前にと思うて参った。
共に舞うは構わぬが、我は誰ぞと舞ったことなど無いぞ?
[懐の扇、取りかけて。
司棋の姿見遣れば懐に仕舞うまま]
[宴の席に向かう藍。
からり笑うに肩竦め]
そのようなものか。
案ずる必要が無きは良いか。
[常磐のひめの名誉ではない乾杯の音頭に、それでも嬉しそうに目を向けて]
おお、わらわに乾杯と?
[しかし、ふいに感じた首の後ろ毛の逆立つ感じ。
見向けば、誰もかれもに姫と呼ばれていた男の目が見開かれていて、]
――!
[双眸それぞれに異なる色は顔を彩る美麗な部分であったのに、片方の蒼と見えていた目が一瞬恐ろしげな紅に見えた。ぞびぞびとする、嫌な感じ]
……フーッ…!
[姫と呼ばれる男から目を離さないまま、喉の奥から自然と洩れる唸り声。
そのまま両の腕を強張らせるや――]
かっかっか、待たせたな。
少々開耶と戯れておったわ。
瓢箪はほれ、相棒に投げておいたわ、たまには酌をされると良い。
[常葉の女へ、瓢箪を持つ喰を示す]
[ゆっくり喰児の膝から体を起し溜息一つ]
さっきから犬だの姫だの失礼な…
[落ちてきた子猫を改めて眺めればとりあえず表情を戻し。夜斗は今日は呼べまいと諦めも。]
はじめまして…でしょうか?
皆様方とは既にお知り合いでいらっしゃいますか?
[口元は袖に隠したまま]
[失せた藍の笑みに白の其の表情も消えようか]
嫌われてしもうたかの――?
[それでも元の位置に座る藍に僅か首傾げ]
――せめて酌なりさせて呉れ。
[関わるが毒になるのはヒトのみにあらず――]
[関わらば誰であれ寂しさを思い出してしまうのだから]
[難儀、難儀] [難儀よのぅ――]
[ぎくしゃく足を運び、尾頭男の広い背へ隠れる。
否定して睨んではいるが、あの女のような顔をした男よりもよほど恐ろしく無い。
このまま尾頭男を盾とし振り払われまいと、背後の布地を掴んだまま、そこからそっと顔を出す。
油断なく、毛を逆立てさせる男に目をやって]
む、そうなのか?わらわは道を駆けるに執着し、おぬしには気付かなんだわ。
風を纏うて見えたは、わらわの足の速さによるものじゃろう。
ふむ、おぬしもお仲間じゃろう?
そうとも、わらわのことはメイと呼ぶが良い。
…それにつけても、のう尾頭男よ。
あの姫と呼ばれる男は何者じゃ…?
どうにもぞびぞびとして敵わん…
おぬし、大きな刃など持っておるのか?
ではそれで、奴めを斬って捨ててはくれまいか。
[苦手の心地がするそれだけで、冗談めかすでもなく真剣な眼で頼んでみている]
そンなら命の姐さんに譲ろうかィ。
今日は苺飴も貰ったしネェ。
[白の手] [命へ] [差し出す] [林檎飴]
[遊螺り] [立ち上がり] [一つ頷いて]
忘れる前に来て呉れて嬉しいヨゥ。
さァて、開那さんの舞いはどんなかネェ。
[青鬼の瓢箪] [赤鬼の大きな手に]
そうかィ、遠慮なく頂くヨゥ。
[小首傾げ] [喰児を見詰め] [ニィと笑む]
舞ったら後でまた酌をして呉れるかえ?
[目の前の翡翠の髪。逆立つような勢いを目の当たりに良く表情が変わるものだと半ば感心しつつも]
司棋、其方は青鬼とともに居れ。
この小娘より離れてな。
これ、小娘。
宴の席で物騒な声を出すでない。
[浴衣の襟首をついと摘むようにして、引き止めようと―――]
[白の顔に毎晩のような笑みはない]
別段、好いても嫌っても居らぬ。
[ふいと視線を逸らし]
だがお前さんの酌は気に入っておるゆえ、ひとつ頼もうか。
[ずいと差し出すべく懐を探れども]
己の杯はさて、何処にやったか。
[一旦は無理やり落ち着けたものの、本性が出てしまいそうなほどぴりぴりと]
猫の分際で…かみ殺してやろうか…
[ぶつぶつと、抑えるのにとりあえず一苦労を]
気にすんなぃ、
俺が勝手に待ってただけさあ。
[琥珀の男にからりと笑い]
舞うことに異議がある、
香りも楽しめる舞いなんざそうそうねぇからなあ。
[瓢箪掲げて真理に流し目]
ああ、たぁんと注ぐさあ。
楽しみだなぁ。
[ちゃぷりと酒が音を立て]
[メイと名乗る娘とわっぱのやり取りをゆるり眺めて]
司棋よ。司棋。わっぱ。
わっぱ同士で喧嘩でもしたか。
[万次の背に張り付く少女と司棋を交互に見遣る]
いやいや、喰児のばかめが眠りこけておったから、常磐のひめの為のイチゴアメすらも手に入れられなんだ。
[林檎飴は食べたかと問う真理からの問いに己のうたた寝は捨て置いて、怒ったように眉を寄せる]
ほ?
[新たに現れた藍色の浴衣の男に答えて曰く]
いやいや寝こける間に桜が散れば、また有塵に咲かせてもらおうぞ。おぬしは知らぬか?
あの者がどれほど見事な技を使うか…、…ふむ?
[男の袖から出ていない片方の腕を見やり]
そういうおぬしこそ、気をつけねば。
もう片方の腕はどこぞに落としてきた?
[くるりと背に廻られた。
危機感は無い。何故だか]
………駆けていた故の風か。
其方は風でも遣うのかと……なに?
あの男か。司棋という、其方とも我とも同類よ。
そして我は尾頭男ではない。万次郎と呼べ、メイ。
[片腕を後ろへ。むんずと掴むはメイの襟首
後ろへ隠れるのを隣へ移動させようと試みつつ]
司棋がヒトかどうかも判らぬに、斬って捨てろと?
断る。腹のふくれぬ殺生は刀が穢れるでな。
噛んでもいいのなら噛んでやりたいものですが…
夜斗を呼んでまでかんでやろうとは。
今の自分ではあの猫は大きすぎますし、暫し耐えるしかないかと思います
[苛々とはしているが言葉が通じる分、抑えられるか]
反故にするは好まぬ。
扇を使いたいところだが、我の扇は使えまい。
誰ぞ扇を持っておれば良いのだが。
[常盤を見遣り。
右手は懐を抜けてゆぅるり返る]
[返す手は隻眼へ]
香は使わぬ。
使えば司棋が酔うてしまおう。
[言うなれど髪からは絶えず仄か香は続いているが]
ほゥら、あンまり毛を逆立てるンじゃ無いヨゥ。
其の内に夜斗の腹も減って来たら噛み殺すか考えると好いさァ。
[逸らされた視線][続く言葉に]
好かれようとは思わぬが――嫌ってないなら好い。
[拾った杯][袖から出して]
[藍に渡せば内を満たすか]
汝れが落として行ったでの――。
[今度は白が視線を逸らす]
開耶が舞を披露してくれるそうな。
酒を飲みながら、そちらを堪能するといい。
[視界に入る犬と猫] [首をかしげて見守ろうか]
異国人 マンジロー は、なんとなく 墓守 ユージーン を能力(透視)の対象に選んでみた。
ほう?
[忙しない娘につられて返す]
有塵は散った桜も咲かすのか?
己は起きたら桜がさいておった次第、
奴さんの清清しい顔しか見ておらんわ。
[空の袖をちらと見て]
かっかっか。
そうさのう、一昨日あたりに落としてきたわ。
[金色の隻眼] [覗き眇める] [濡れた碧]
仕舞いの酒がありゃ舞いも楽しめるかネェ。
[しゃなしゃなり] [琥珀へと歩み] [ニィと笑み]
生憎とアタシも扇は持って無いヨゥ。
無けりゃ舞わぬと謂うのなら如何しようかえ?
[声かける] [赤の少年] [仔猫との遣り取り見てか] [楽しげに]
司棋の兄さん、アタシの分も頼めるかえ?
序に髪も飾って呉れると嬉しいネェ。
[掌が返る、動きは優雅で。まるで一輪の花が其処に開くかと]
今宵も舞いがつくのだな。
以前は見逃した故、鑑賞にあずからせてもらおうか。
…ふう。
[何にか、嘆息を一つ。感情あらわに忙しげなメイをおいて、
その場に腰を下ろした。地はやや冷たく。
チャリ...
双刀を脇から外し肩に立て掛けるように*抱え込んだ*]
[にらみ合うのは犬と猫、
笑いを深めて頷いて]
犬猿の仲とはよく聴くが、
猫と犬が仲が悪いたぁなあ。
こりゃ1つ発見だ。
[文句を謂うのは若葉の子猫]
ははは、悪かった悪かった。
あんまり風が気持ちいいんでなあ。
墨櫻の木の下は眠りを誘っていけねぇや。
[頬杖ついて琥珀の声に]
そういやそうだなぁ。
また司棋がくらっと斃れちゃあ大騒ぎだ。
[くっくと赤鬼喉で笑う。]
ううん屋台を覗きはしたが、わらわが口にしたのは妙な球だけじゃ。
[飴屋を覗かなかったかと問う万次郎に]
飴はまだじゃがな、それも素晴らしく良い味がしたぞ。また口にしたいものよ。
しかし食べてのお楽しみと言うから食べてやったのに、代を寄越せと店主は機嫌を損ねてのう…
[難儀したのじゃと、子供の悪戯に困らせられた者の顔で首を振る]
[それから喰児の膝から体を起こし、表情を戻した司棋に僅かに緊張を解いて]
うむ、他の面々ともそれなりに知りおうておったり、初対面であったりするぞよ。
しかしそなたとわらわは、初めてまみえたと思う。
[そして直ぐにおさらばと、期待に満ちた目で刀を見ていた瞳が真理からの林檎飴を映し、きらきらと輝く]
おお…おお…そうか、そうか常磐のひめよ。
それ程までに言うのなら、貰うてやらぬでもない。
[言いつつ、林檎飴をもう放さないとばかりにしっかり受け取った]
[猫からようやく視線を外し、扇所望の声を聞き]
わかりました。では暫しお待ちを。
[口笛を吹けば風が現れ目の前に小さな竜巻。
現れる夜斗。
夜斗も一瞬猫に向かって鋭い表情を浮かべたけれども直にたしなめられ]
では、扇二つ、お受け取りを。
[蛍火を夜斗へ振り掛ければ二つの大きな光玉に分かれ。
縮むと同時に扇へと形為し、2人の手へと収まった]
ついでではありますが…
[残り漂う蛍火を常葉の髪へ振りまいて
次に咲かせるのは白い菊]
縁起のよいものではないかもしれませぬが
菊は菊で美しく、色に罪はありませぬ故。
ああ、そのまま置いていってしまっていたか。
[渡される杯を受け取り、
満たされた酒に口を付ける]
……今日は笑わぬのか、白。
[犬猫の様子を眺めたままぽつりと問う]
異国人 マンジロー は、なんとなく 書生 ハーヴェイ を能力(透視)の対象に選んでみた。
酒場の看板娘 ローズマリーは時間を進めたいらしい。
扇の無き舞は舞ったことが無い。
出来なくはなかろうが、我は在る方が良い。
[近付く常盤。ゆるり瞬き]
やれ、喰らうわけでなく倒れさすは好まぬ。
今は幻なぞ見せずとも、薄墨が舞っておろう。
[頬杖ついての笑い声。
返す声音は冷たいか]
ああ、すまぬな司棋。
[つぃと扇を手にすれば、二三返して]
ふむ、良い扇だ。
[猫の少女] [輝く双眸] [ニィと笑み]
あい、貰って呉れて有難うヨゥ。
[受け取る扇] [白の手] [そうと握り]
[ゆるり] [空を切り] [確かめて] [唇に寄せ]
司棋の兄さんも有難うネェ。
是なら幾らか舞えるヨゥ。
[常盤色に割く] [白の菊] [俯き加減] [触れて確かめ]
おや、好いじゃないかィ。
菊も綺麗だヨゥ、仮令白かろうと華は華さァ。
む…
[僅か一瞬だけとは言え、左右異なる色を持つ瞳の男の本性を見た気がし、またも一触即発かと――いや、メイは木の上にでも駆け登ることになろうかと言うところであったが。
真理が握らせてくれた飴をチロリ、小さな舌で舐めればその顔に浮かぶは笑顔]
ふ…まあ良い。わらわは心が広いのじゃ。
おぬしは中々わらわの首の後ろをぞびぞびさせる者ではあるが、存在を許してやるぞ。
…やや?
[いつの間にか襟首掴まれ、万次郎の背ではなく自分は隣に居るのだった]
[騙し舟の折り紙を見た目で万次郎を見て]
うむ覚えたぞ万次郎。そうか、あやつは司棋か。
いたってまともな名があったのじゃな。
姫、姫と呼ばれるから何者かと思うたわ。
うーむ…
[斬って捨てるを断られれば、しかしもうそれほど残念そうな目もせずに]
けがれたならば、わらわがそこな泉で洗うてやったがな。おぬしも水浴びは不得手かえ?
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