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どうしてソフィー様が無実と決まったと?
ソフィー様を見たのは
ユージーン様だけではありませんの?
先生も、何処かでソフィー様を見たの?
[記憶違いか?
おもいだしながら]
違う、違う、ちがう!
だって、シャーロットは……シャロは……
ともだち……だ……。
///
言い募るユージーン。ヘンリエッタの悲鳴。
けれど、我が身を抱きしめる身体を包むのは、シャーロットが遺した衣服。
メイが私を疑う根拠も、どうもつかみ辛い。
「私が犯人でないとつじつまが合わない」の一点張り。
まだ君の視点ではこの薄気味の悪い男と、ソフィーが犯人である可能性も残されているはずなのに。
私はソフィーを信じている。
だが、君が彼女を信じるのは何故だ?
私はこう考える。
君たち犯人グループとしては、私は必ず殺さなければならない。
きっと「結論ありき」で論理を組み立てているのだろう。
まだ、私の視点ではソフィーが無実と 決まったわけではない。占っていないからな。
だが、これまでの話を聞く限りでは、やはりソフィーがやったとは考え辛い。
彼女は双方の占い師を注意深く見極めようとしている。私は彼女が真実を見極めようとしている、普通の旅人な気がしてならないのだ。
だって、見たなんて、
一言も言っていないんじゃありませんの?
先生が見た上で確かに無実だと述べたのは、
マンジロー様、
キャロル様、
そして、私――ヘンリエッタだけですわ。
ヴィンセント先生は、もうヘンリエッタも、ソフィーさんも、見たのだと。そう主張しているんだとばかり思ってた。
それらしいことは、確かに云っていましたから。
///
憮然とする。
ごめん、少し考えさせて。
それでも、ヴィンセント先生か、そっちのひとか、どちらか偽物の占い師を退治しないと、いけないと思う。
///
廊下の端にしゃがみこんだ。
私が「占ったのは」マンジロー、キャロル、そしてヘンリエッタの3人だ。この3人はいずれも無実だ。
そして、この薄気味悪い男の相方候補はシャロ、ソフィー、君の3人になるのだが
わずかな殺意が大きな影響力を持つであろうこの状況の中で、この薄気味の悪い男が仲間を売ろうとしたとは思えない。仮に霊能者が生残ってる状態で仲間を売ってしまったのなら、それこそ一貫の終わりだからな。
ソフィーは私が名乗り出た時点で対抗しなかったのを私は不自然と考えているし、今もこうして一生懸命真実を見極めようとしている。
そして、君の論理の飛躍っぷり。
これを見て、奴の相方は君しか考えられないと言っているのだ。
やれ、やれ――
前半はまともだったが――後半は。
まぁ、そう、だな。
眼鏡――彼としては。
私と。彼女。
[つい、と翠色の髪の少女に視線だけ向け]
ふたりを繋げて。
残りのふたりを。どうにか、味方につけるしか。
ない、から。な。
成、程。
時間をかけ――ヘンリエッタを。
占った、としたのは。
前半の言い訳を。
作るため、か。
[男は、メイの肩を叩いた。]
そうか、今までの説明がわかりにくくて、すまなかった。
もし、君が無実だというのなら、一緒に、犯人を見つけ出そうじゃないか。
大切な仲間を消した、忌まわしき犯人を・・・
名乗り出た時点で、対抗しなかった。
その、事実を。
彼女を信ずる言い訳としているが。
彼女が仮想犯人唯その場合。
仲間であるはずの。私は、何をするのだね?
結論ありき。
自らを棚に上げる所業。
真。ご立派な遊説。
くつくつ。
ソフィーさんと、そこの男か、
ヴィンセント先生と、ヘンリエッタか、
それとも……ああ。それとも、
シャーロットと、ヴィンセント先生か。
シャーロットと、そこの男なのか。
でも、もう決めないといけないんだ。
――煩わしい。くだらない。面倒臭い。
いい加減。茶番も伸び過ぎた。
文学も。音楽も。美術も。
あらゆる芸術。のみならず。
全ての事象に、結論を。
君が、最後なのだろう?
幻想たる、夢想たる、悪意たる、害意たる、霧。そしてその担い手。
あの小さな少女が仲間だとは。
考え辛いのでね。
そろそろ。結びたい。
[鈍い光を絶え間なく取る瞳を、ゆっくり閉じる。もう厭いたとでも言うように]
――終わらなければ。
くつくつ。
御笑い種だった。
それだけ。唯。それだけの、話。
考えて考えて、考え抜いているはずのソフィーさんは、なんで顔を上げないの?
いつ次の犯行があるか、わからないっていうのに。
だから、決めた。
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