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じゃあ、こんな所でいいかしら?
[ネリーは自分を期待されているような言葉に弱い。
急かされるように少し手捌きが早くなったが、落ち着いてディナーを完成させた。CREAM STOUTのビールを用意する。
席に着く前に、わざとボブの後ろを通り抜けてウィンク。]
[電話機のそばで壁にもたれたまま、目を閉じる。
目が覚めて、全てが夢だったらと思った。
指先を動かすことすら躊躇われるのに、想像の翼は今日も羽ばたく。
明日はバンクロフトの家へ行こうかな、と何となく思う。
もしも明日があれば、の話。
この天災の中、明日があるのかはわからなかったけれど]
はい、旦那様。
美味しいかしら…? よかった。だってこれ、旦那様が教えてくれたものじゃないですか。
[ボブの顔を見てネリーは嬉しそうだ。]
うんうん、このメニューね。私大好きなんだよ。
[カチャカチャと食事を進めながら。]
あまり満足な食事はできなかったけど、
たまに食卓で出たんだよ。小さい頃ね。
唯一の肉親で、親愛なる母さんが作ってくれたんだ。
[私はこの数日、何処かとも知れぬエネルギーを感じるようになっていた。明確性、具体性など全くないものだ。
それが何かは解らない。ヘイヴンの大人が身につけることの出来る一種なのだろうか。非力な私はただ考える事しか出来なかった。]
[背に腕を回され、シャーロットもヒューバートの首に腕を回した。
目を閉じたままちいさく頭を振る。]
…ううん、パパ。
私、信じないから構わない……
[それだけでは意味のはかりかねる言葉をかすかな声で続ける。
きっとあれは嘘だ。
それなら、明日…──確かめて見ればいいのだ、とシャーロットは思い付く。近くで響く心臓の鼓動に落ち着いたのかシャーロットはそのまま眠りに落ちて行く。]
お母様…お母様も、旦那様のように苦労されてるんですよね。
旦那様が育ち盛りの頃って、大きな戦争がありましたもの。
私は知らないけれど、私の親も苦労してました。でも旦那様のお母様のほうが大変ですよねきっと…
あ、私の親ですか? もう私はいなくなってしまったけど、ヘイヴンのはずれに叔母がいます。まだまだ元気ですよ。
[ビールを摂取しながら明るく答える。]
私はね、父親に会ったことがないからさ。
というよりも、わからないと言った方がいいな。
[サングラスによって、瞳はわからない。]
自分と血を繋がっている人が、元気だと
わかっているのは、非常にハピネス感じることだよ。
ネリー、それはとてもとてもいいこと。
[微かに手が震えている。]
さすがに、母よりおいしい料理だとは言えないけどさ。
でも、それでも母と同じくらいおいしいよこれ。
[シーツの中で、糖蜜をふんだんに用いたミルク菓子のようなシャーロットの甘美な芳香に、激しい渇きと内なる欲求が勃然と熱を持つのを感じる。柔らかい膨らみが厚い胸板に触れ、滑らかな脚が私の脚と絡んでいた。
今は父親でありたいのだ、と私は願い、それらから意識を遠ざけようとした。他の男もまた、このようにままならないものだろうか。私の意志とは裏腹に、私の情熱の塊は痛いほどの昂ぶりでその存在を知らしめている。
やれやれ、と私は内心深い溜息を吐いた。
このままで眠りに落ちることができるのだろうか、と思いながら。
「信じないから」というシャーロットの言葉は謎めいていたが、私はそれ以上問うことはなかった。彼女が話してもいいと思った時に、いずれ話してくれることを信じて。]
──ローズマリーの部屋──
[ヒューバートに運び込まれて何時間経っただろうか。
僅かながら休息を得たソフィーの意識は浮上しつつあった。
熱で節々が痛み、横になっていてさえ時折吐き気を催したが、
そんな最悪のコンディションの中で夢現に想うのは
やはり父であるイアンの事だった。
何年ぶりだろう、倒れる程熱を出したのは。
───嗚呼、あの時だ。
父が、イアンが、初めて自分を抱いた日。
あの日も自分は、こんな風に熱を出して倒れたのだったか。]
──回想──
ソフィアを演じる私を相手に、
父の本能は食欲より性欲を優先させたようだった。
その剥き出しの欲望に翻弄された私は
途中で気を失ってしまったらしく、目を覚ました時には清潔なアイリッシュリネンのパジャマを身につけ、自室のベッドの上に居た。
身体がだるいのは行為のせいだけではないだろう。
母を亡くしたショックと事故の傷跡、それらによって蓄積した疲労が、元々頑健とは言えない体質のソフィーに高熱を出させていた。
だるさに任せてぼうっと天井を見上げていると
水の入ったコップと解熱薬を手に、父が部屋に入って来た。
私が目を覚ましている事に気づいた父は、
薬をサイドボードに置き、私の肩の辺りに腰掛ける。
父の体重を受け、スプリングがキシリと音を立てた。
見上げると、父は優しい眼をして、汗で額に張り付いた前髪を、
普段針と鋏を器用に操る長い指でかき上げてくれた。
父の指が私に触れても、私は怯えたり嫌がったりする事なく、
それ処か指先から伝わる温もりに安堵の溜め息さえ漏らした。
父は大きな手を額に宛がい熱を測ると
軽く溜め息をついて立ち上がり、薬を取ってまた戻った。
細くとも確かな筋肉を備えた腕で私の肩を支え、
冷たい水を口元まで運び、薬を飲ませてくれた。
私はそれらの動作を、大人しく、
甘えん坊の子供のような素直さで受け入れた。
それは男と女、雄と雌のものではなく、
間違いなく血の繋がりを持った父と娘の仕草。
慈しみあう親子のものに他ならなかった。
ただ、部屋から出ようとする父が一度だけ、
何も言わず、辛そうな表情で私の額にキスをくれた時、
心の何処かがズキリと痛みを発した事を覚えている。
父が出て行った後、優しい朝の光の中で、
私は初めて声を殺して泣いた───。
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