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>>377
[髪をくしゃくしゃにされて少し憮然として。
しかしカミーラの呟きを聞くと、わずかに目を伏せて]
お……。
[俺がお前の帰る場所に、などと臭いセリフを言ってみようとして。
しかしそれが約束できるかどうかは自分でも分からないことで…]
[カミーラを胸に抱き、ドライヤーのスイッチを再び入れて、目を瞑った自分の顔に、正面から冷風を当てる]
………。
本当に…必要性が…ないの?
調査する為に…手近な人間が欲しいだけじゃ…ないの?
キャンドルの話をチラつかせて…そうやって私を騙して…っ…
[後ろから抱きしめられれば、自身を庇う言葉すら途切れて。ただ立ち尽くすことしか出来なかった。]
[しばらく後、自分の髪も乾き、ドライヤーのスイッチを切り。
二人きりの広間をぼんやりと見渡して、ついで胸の中のカミーラを見て]
…すっかり寝ちまって…。
……信用してるから、で、いいんだよな…?
[軽く髪を撫で、掬った髪の束に口づける]
…ははっ、我ながら、らしくねぇことしてるぜ…。
[ばたりとソファーの背に首を預け、天井を見上げて]
-首を振られれば丸くなってきたお腹を舐めて毛繕い-
[リリィをひと撫でして青の眼差しの気配に視線を戻し
緩緩首を振って礼は必要無いと示しふんわり微笑んで]
したい事をして、思った事を言ってるだけだから。
[続く言葉に碧い瞳は僅か見開かれ不思議そうに瞬いて
ふわりと浮かぶ微笑みは矢張り砂糖菓子の様相を呈す]
ナサニエルが嬉しくなるもの、持ってるなら嬉しいよ。
いや……むしろ「正しい調査者」であるためには、アウトサイダーとしての自分を維持しなくちゃいけない。なのに俺は何やってんだろ。調査者失格だ。
……でも、そんなことはどうでもいい。
[抱き締めた身体を引き寄せる。]
俺はローズマリーの押しの弱さばっかり気になって、……誰よりも優しいんだって所に気付かなかった。俺がどんな嫌なことを言っても、俺を傷つけ返すことなんかしないで、優しく接してくれたから。
ああ……そうか。はじめからこうすれば良かったんだ。
俺がローズマリーの押しの弱さを補って、ローズマリーが俺に足りない優しさを与えてくれれば、それで。
[そして、耳元で囁く。]
………好きだよ、ローズマリー。
君がいてくれたら、俺はそれでいい。
[渦の収まったカップの中身をゆっくり喉に流し込めば]
[緩に首を傾け、空っぽになった其れを片手で弄びつつ]
ん、やっぱり、…ありがとう、だよ。
[白から碧へと視線を動かせば、唇が紡ぐのは感謝の言葉]
君が…
メイが、…いてくれて、メイが…与えてくれる、から。
…思い出させて、くれるのは…メイ、だから。
[ふう、とひとつ息を吐き出すと、わずかに白く。
見れば、暖炉の薪は燃え尽き火も小さくなっていて]
…随分と気温が落ちてきたな…。寝るか…。
[いったんカミーラをそっとソファーに横たえて、マグカップを洗い、ドライヤーとブラシを脱衣所に戻し。
広間に戻ると、すっかり寝入ってくたりとしたその身体を大切に抱き上げ]
[二階に上がると、迷わず自分の部屋に入る]
…また風邪ひかれたら困るもんなぁ。
[誰にともなくぽつりと呟くと、自分のキングサイズのベッドに横たえ、自らももぐりこんでしっかりと布団を被せる]
[つられてコクリとレモネードを飲み両手でグラスを包む]
何かナサニエルにあげれたのかな?
少しはナサニエルの役に立ってる?
………嬉しい。
[幸せな微笑みを浮かべた侭に小さく呟いて碧い瞳を細め
けれどゆっくりと瞬けばすぃと視線を逸らして伏し目に]
ごめんね…ずっと…傍に居られれば良いのに…
此処に居れる間に、出来る限りの事、するから。
[引寄せられた体に伝わる体温が心地良くて。...は抵抗することなく身を預けたまま]
調査者失格なんて事…ない…。
ないから…だからそんな事言わないで。
それに、優しいのはあなたの方。
私は…ちっとも優しくない…。
優しさの意味も強さの意味も全部…私に教えてくれたのはあなたなのよ…?
[耳元で囁かれた言葉に、瞳は揺らぎ]
何も出来なくて…ただ待つだけの私だけど…
それでも…それでも良いのなら…私を傍に置いて欲しい…。
好きだから…堪らなく好きだから…
お願い――手を…離さないで…
[堪えきれなくなった涙は雫となって零れ落ちた]
[自らの二の腕に頭を乗せて、規則正しい呼吸を続けるその顔を、飽きず眺め、たまに頬を突付き]
…何なんだろうなぁ……。
[不謹慎とは思いながらも、オードリーとのことを思い出す。
彼女との逢瀬に、こんな甘やかなやり取りなど、皆無だった。
ただただ狂おしく人肌だけを求め、得られればそれで終わる、それこそ気の迷いとも言える時間]
……。
[申し訳なさでいっぱいになりつつも、だからといって何も返せない自分に、唇を噛む。彼女も、何もくれとは言わないだろう。
しかし]
…一度、きちんと向き合って話をすべきなんだろうな…。
[ぽつりと呟き]
[やがて、緩やかに睡魔が訪れ。
カミーラを柔らかく胸の内に抱きこむと、かつてないほどの温かく安らかな眠りへと*引き込まれて*]
ん、…謝らないで。
…………俺は…、大丈夫、だから。
…俺は、メイに…何が、出来るかな。
[青を細め、少女へと手を伸ばしかけるも、止まって]
[ぱたり、力を失い落ちれば机と当たり、カツ、と音が鳴る]
…明日は、寝室と、客室…片付けて…
それから、布団を洗濯して…干して…それで、一段落、かな。
[少し態とらしく話題を変えて、椅子から立ち上がり]
[ローズマリーの目許を、緩やかに手で覆う。]
涙……凍るよ。
泣くなら、集会所帰ってからな。
人を傷つけて追い詰めるのは、優しさって言わないよ。間違えないで。
……この村と大学と、どうやって往復するのかはちゃんと考えるから。でも、離さないのは確かだから。
………うん。
[問われれば青を見詰め不思議そうに瞬きゆるり首を振る]
何も、要らないよ?
若し望む事を叶えて呉れるなら、ナサニエルを大事にして?
ナサニエルが嬉しいのが、一番、嬉しいから。
ナサニエルの望むものも、求めるものも、まだ良く解らないから、代わりに叶えて呉れると、嬉しいな?
[音に視線を移せば温かい手を見て碧い瞳はゆらり揺れる
白い手は置かれた手に触れずそっと少し上の中空を撫ぜ]
この手は冷たくて、ナサニエルを温められないから。
ナサニエルの身が凍えてしまわないように…
[切り替わる話に立ち上がるのを見上げてふんわり微笑み]
ん、ひと段落するまで、手伝うよ。
[遅れて立ち上がれば何時の間にか寝ほろけるリリィを肩に]
…迷子には、難しいお願い…、だね?
[僅かに首を傾げて答える様子は、何処か子供っぽく]
[けれど宙を撫ぜる白い手を見遣れば小さく息を吐き]
メイの手は、冷たいのかもしれない…けど…
…俺の心は、きっと…、メイに、温められて、いるよ。
だから、せめて、俺が…メイの手を…温められたら、いいのに。
[そうではなくて、溶かしてしまうから――と呟いて]
[机から離した手は食器を持って、台所へと向かおうと]
ん。でも…今日は、もう…遅いから、戻ろうか。
リリィも、眠いみたい…だから。
…此処で、休もう…にも、毛布も…埃だらけだし…、ね。休む場所、…無さそう。
[徐々に時を取り戻し始めた室内に視線を巡らせて]
[それから、少女の碧へと、彼の青の眼差しを*帰す*]
[零れ落ちる涙を指で拭われれば、更に涙が溢れそうになり]
うん…ありがとう…ギルバートさん…
でも…追い詰められなきゃ…私…あなたの事を好きだって気付かなかった…だから…離さないで…
[振り向き、ギルバートの胸に額を預けて]
[そうだね、とへなりと笑って白いケープを羽織り]
我が侭、言って、ごめんね?でも、ナサニエルは優しいから、きっと叶えてくれるよね?
ナサニエルだけで足りない分は、出来る事なら幾らでも手伝うから。
[吐き出される小さな息と続く言葉に碧い瞳は揺れ
嬉しいのか哀しいのか白い結晶を想わせる微笑み]
ナサニエルの心を、少しでも温められたなら、嬉しい。
其れに、溶けても構わないけど、ナサニエルが凍えちゃう。
[ふんわり浮かべた微笑みが崩れる前に頷いて隠し]
そうだね、雪像は、まだもう少し、待ってて貰って、また明日、掃除、手伝いに来るよ。
リリィは、また、お腹がすくまでは、起きないかな。
[ゆるりと顔をあげれば静かに青の眼差しを覗いて
片づけを済ませて家を出れば灯るランタンの明り
手袋を嵌めた手と白い手をそうっとそうっと繋いで
はらはら舞う白い結晶の中を*手を繋ぐ二つの影*]
逢いたい時は…私からも逢いに行くから…。
だから全て一人で背負おうと思わないで?
恋や愛は…二人で築き上げていくものだから…。
[ギルバートの手を取り、自らの唇に寄せ軽く口づける。そして視線を合わせふわりと微笑むと]
ずっとここに居たら…風邪引いちゃう。
集会場へ…戻りましょう?
[繋いだ手は離さずに。ゆっくりと集会場へ*歩き始めた*]
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