情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了 / 最新
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [12] [13] [14] [15] [16] [17] [18] [19] [20] [21] [メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
[ジェーンは緩めた右手を、先程、打った頬へとあてて――撫でた。温かい水滴が、ジェーンの掌に染み渡る。]
さようなら……セシリア。
[毅然と。
踵を返し、檻の外へと歩いて行く。
頭から被った白い布を首元で掴んで。その左頬は、涙で濡れていた。セシリアの視線を感じないように、唯、足を進める。
空は、いよいよ、その色を澱ませてきていた――。]
それもまた、お心のままに。
――エロイーズ様
私は襲う相手については“おまかせ”してあります。
人としてはネリーに。
―翌日
――――――――
鈍色の雲が折り重なり、重々しく空を圧してゆく。
予はすん、と鼻を鳴らす。
雨の気配がした。
静閑な水底を思わせる蒼褪めた衣服を身に纏った女が、檻の中で人狼の娘と対峙している。頭から被っていた白い布が、彼女の置かれている立場を物語っているように思えた。
曇天の中だからか、檻の前の人の数はいつもよりは少ない。
そこで、どのような会話が為されていたかはわからぬが、女の言葉に、静謐な中にも決意らしき感情が籠められているように察せられた。
――――――
疎らな人影の中に、一際背の高い男がいつしか佇んでいた。
予のよく知るはずのその男が何を考えているのか、その時ばかりは量りかねた。感情の見えぬ表情だった。
“母娘”の対峙が区切りを迎えようとした頃、
男は檻の方へとゆっくりと近づいていった。
――――
――なかなかに感動的な場面だったじゃないか。
[底意地の悪さを感じさせる微笑
ジェーンに底光りのする眼差しを投げる。]
[ジェーンの掌が頬に触れる。
肉体的な傷とはまったく言えない。けれども心が軋む様に痛む。
…別れの──それは別れただった。]
…さようなら。
本当にさようなら、お母さん。
[重たげだった曇天は灰から黒へと変化し、雨が、激しい雨が──。
温かな水滴を押し流す滝の様に、唐突に打ち付けられる。檻の天井にも。
セシリアは、去り行くジェーンの背中を無言で*見送った*。]
―村長の屋敷―
[ザバァ………ザバァ………
白い布が、木製の桶の中で水浴びをしている。]
はァ………
旦那さまァが亡くなったり、ノーマンさまァが狼っ子に腕食いちぎられて大ケガされたりでよォ……こン村ァ、どうなっちまうんだろうなァ………
[屋敷の裏に貯めておいた雨水を桶の中に注ぎ込んだ。]
奥さまァも、お嬢さまァも、心労でひでェことになってっしよォ……村ン人間は、狼っ子いじめンのに夢中だしよォ……
あン狼っ子がとっつかまってからというモノ……村はめちゃめちゃだァ……
[ネリーは冷たい水の中に手を入れ、ざばざばと白い布を洗っている。]
[ウェンディは村はずれの自宅周辺で考え込んでいた。]
人狼っていうものが本当にいて、それがセシリアお姉ちゃんで。みんなはお姉ちゃんの事をどう思ってるのかな。ネリーお姉ちゃんはずんもんって言ってたけど。
神父様とか、どう思ってるのだろう。お姉ちゃんを助ける気がある人っているのかな。
[また時間があれば、神父様なり先程の黒い姿をした女性やネリーに聞いてみようと思った。]
[俄かに雨が激しく降り出してきた――。
痛みを感じる程に、激しく。]
何を……。
[頭上で、ごろごろという音が鳴り始める。
村人は、雨から逃げ出すように去ってゆく。
暗い中――クインジーの顔の陰影が、濃く。]
[曇天模様の空の下。
痩せこけた娘が、呼吸をしている。]
……はぁ……っ
ああ、もう息が白いわなァ………
[あかぎれだらけの手で洗濯物を干すと、ネリーは屋敷の外壁を見上げた。]
……村は、どうなっちまうんだべなァ……
ノーマンさまァが、旦那さまァの代わりになるんだべか?
そうなるンかなァ………
[ネリーは、視線をそっと地に落とした。]
……仕事終わったら、広場にでも、行こうかェ。
[カミーラの意志はそのままで良い、と考える。
彼女自身は、神父の纏う聖性──神の加護の可能性も考えているのがむずかしい所だ。]
────神父、ルーサー。
[雷が鳴り響き、光の下、
クインジーが悪魔のように笑っていた。
ジェーンはびしょ濡れになりながら、
寒さに――そう、寒さに――震えていた。]
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [12] [13] [14] [15] [16] [17] [18] [19] [20] [21] [メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了 / 最新