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ありがとう。
[しばらく、場を沈黙が支配する。クッキーを差し出されて一瞬、躊躇った。軽く肩をすくめて受け取る。笑って、一口で頬張った]
無理をしてるつもりはないよ。
…ただ、かっこ悪いだろ。
[いつまでもあんなところを見せてちゃさ、と笑った彼の表情はいつも通りで]
僕はどんな僕でも僕か。
そうだな…そうだよな。
気をつけてな、ボブ!グレンもリックもウェンディも!
[屋台の中から声を張り上げた]
[俯くラッセルを見て、その顔を覗き込み。]
ちょっと、どうしちゃったのよ?
もう、それじゃあたしが悪いことしちゃったみたいじゃない…。
あなたはそういうところを気にしすぎなのよ。
いちいちそんなに気にしてたら、いつか疲れちゃうわよ。
ごめんね、なんだか当然のように手伝わせちゃって。
あなたたちも、もっとお祭り見たかったでしょ?
[少し反省したらしく、申し訳なさそうな表情になり。]
…いいわ、明日は好きなだけおごってあげる。
今日のバイト代。
あなたたちがいてくれて助かったわ。
[ふっ、と表情を緩めて、二人をそっと抱きしめる。]
さてと、それじゃ片付けといきますかー。
[いつもどおりのラッセルの雰囲気に、ほっとした表情で]
よかった、それならいいんだ。
かっこ悪いのを見せたくないってのは分かるよ。
恥ずかしいもんね。
[そこは人のこと言えないな、と笑う。
その時、ローズに抱きしめられて戸惑った表情で]
えーと…十分楽しんだから、僕は満足だよ。
此処から舞台もよく見えたしね。
そうだね、片付けよう。3人だから、早く終わると思うよ。
[和やかな雰囲気に微笑み、...は手を*動かし始めた*]
[顔を覗き込まれて苦笑する。気にしすぎなのはどちらなのか。被害を受けたのは彼女なのに。それが彼女らしいといえば彼女らしくあるけれど。だけど、本当に――]
ごめんな。
[一言、目を見て、きちんと。伝わっただろう。肩をすくめておどけてみせる]
疲れちゃったらきっとローズマリーが癒してくれるだろうからね。
随分とお祭りだって堪能したし――
[急に抱きしめられて複雑な表情だ。これでももう十八歳の男なんだけど男として見られてないんだろうなあ]
役得って言ってもいいの、これ…?
[ぼそり。]
[三人ということもあり、片付けは意外とすんなり終わった。
残った食材をバスケットに詰めて、ぽん、とふたを叩く。]
…ふぅ、こんなもんかしらね。
後は商店街の人たちが持って行ってくれるみたい。
あはは、なんか悪いわねー、片付けまで手伝わせちゃってー。
いやー、助かった助かったー。
[なにやらしんみりとした空気を払いのけるように、おどけた口調で二人を背中を叩く。]
ふふっ、ほんとに感謝してるわよ。
おかげでお店も上手くいったし、お客さんもいっぱい来たし。
売り上げを計算するのが楽しみねー。
って、どうしたのよラッセル?
役得…?
アハハハハハハハハハ!
なんでもないよ!気にしない方がいいって!
[顔に笑みが張り付いている。冷や汗のようなものが流れているように見えなくもない]
それよりも!
いやー片づけが早く終わってよかったよかったっ。ねっ、ローズマリー!
[妙に気合が入っている。]
[...は部屋に着くと本をベッドの上に置き、シャワールームに向かった。
服を脱ぎ散らかしたまま中に。
蛇口を捻ると湯気と共に勢いよくお湯が飛び出して来た。
...は頭からシャワーを浴び考える。
今朝の出来事、キャロルの舞台、自分の中の何かよく分からない感覚に戸惑い。]
このまま、何も無ければいいいが――。
[...は呆然としたままシャワーを*浴び続けた*]
そうねー、やっぱり三人いると早いわね。
[ラッセルのなんだかよくわからない気合いに首を傾げつつ。]
それじゃ、あたしたちも帰りましょっか?
明日はまたお店開けないといけないし、あなたたちも学校あるでしょ?
起きれなくなったら大変よ。
[そう言うと、軽く伸びをしてバスケットを持ち上げる。]
楽しいお祭りの想い出とともに、楽しい夢を見ようじゃありませんかー。
二人とも帰ったらすぐ寝るのよー?
そうだね、そろそろ。
学校か……かったるいなー。さぼりた…いやさぼったりしないよ!?
ローズマリーにそんなところ見つかったら怒られるだろうしね。
[ふふ、と笑ってローズマリーの手からバスケットを取り上げて持つ]
じゃあ帰ろうか。送っていくよ。
[バスケットを取られつつ、「送っていくよ」の言葉にクスリと笑い。]
あら、あなたが送ってくれるの?
ふーん、なんだか変な感じ。
前まではあたしが送る方だったのに。
[首を傾げてラッセルの顔を覗き込む。]
ふふっ、まあいいわ。
それじゃせっかくだからお願いしようかしら?
…なんだかちょっと恥ずかしいけどね?
[肩をすくめて微笑むと、ラッセルとハーヴェイを連れて、すっかり静かになった祭りの会場を*後にした*。]
この年齢にもなって送ってもらう側だなんてかっこ悪いだろ。少しくらいかっこつけさせてよ。
[覗き込むローズマリーに微笑みを返して。]
ほら。昔と違って僕の方が身長あるだろう?
成長したの。これでも。
本当に、子どもにしか見えてないんだな。
[仕方ないけどねと肩をすくめて苦笑する。]
ハーヴェーイ。そろそろ帰るぞ、撤収だ。
ん、なんだよ。ヒューのおっさんのクッキー?
はは、残ってたのか。さっき食べ損ねたんだよな。
ふーん。面白いな。
毎度のことだけどいちいち手が込んでるよな…。
女の子は好きそうだけどな。
[ああ、だからかと何かを納得して深く頷き、崩れたクッキーを口の中に放り込んだ。ほろほろと甘く溶けていく]
…味もいいもんな。悔しいけど。
僕もなんか作ればよかったかなあ。
ま、いいか。今日じゃなくたって――
悪い悪い。待たせた。帰ろうか。
[ローズマリーとハーヴェイと三人で連れ立って帰っていく。静かな夜。仲の良さそうな姉弟たちに見える彼らを月が*見守っていた*]
[静かな夜――世界が眠りについている]
[悠久の空――生も死も内包して]
[舞躍る影――在る筈の其処には見えず]
[女と男と共に帰った後。青年の姿は其の屋根にあった。蜂蜜色を湛えた女を見つめる。命に別状はなさそうだという言葉は信じてもよさそうだ]
……キャロルさん。大丈夫そう。
よかった。ボク、本当に心配したんだよ。
だって君は
大事な、
イケニエだものね――
[ふうわりと笑って首を傾げる。芳しい血の香り。それが滴る時、どれだけ自分を優越感に浸らせてくれるだろう。彼女を貪ったら、どれだけ狂酔できることだろう。背筋を這い上がっていく快感。
ああ。
嗚呼。
あああ、疾く欲しい欲しい早く早く欲しい早く欲しい欲しい欲しいホシイ早く早く欲しい欲しい欲しい欲しい早く欲しい早くハヤクハヤク早くハヤク疾く、
ハ ヤ ク ]
……ううん、だめ。今はだめだよ。
だって黒曜と黄玉が一緒じゃなくちゃ。
[どうしてダメなのだろう。自分は彼女をこんなにも欲しているのに。この爪をその白い柔らかな喉元に――。素敵な想像は想像の域を出ない。どうして?と自分の思考に首を傾げてみたが、答えは出なかった。多分、二人が仲間だからだろう。そうだ大事な仲間だから、抜け駆けなんてしちゃあ、だめだよね――]
うん、そうだよ。それに今日はあの
[ニィィと嗤う。]
[視線の先には愚かな男。]
自警団だって――。あーんな無防備に身体晒しておいてさ。笑っちゃうね。ボクたちへの挑戦かな……?
ああ、それとも自分がイケニエになろうっていう、ヒト特有の美しい自己犠牲の精神ってヤツかなぁ……。
[くすくすくす、くすくすくす。]
綺麗な華に比べたら芳しくはなさそうだけど、宴の始まりから贅沢言っちゃあだめだよね。それに……
[瞳が半月のように細められる。つい、と唇を指でなぞって]
恐怖っていうスパイスを与えるにはとってもよさそうだから、うん、ボク我慢する……。
ああ、月がとても綺麗だ。
早く二人とも来ないかな。
散歩するのに、いい夜だよ――。ボクらの夜だ。
[ふふっと笑みを漏らして、二人を待つ。ただ待ってるだけなんて耐えられない。青年は想像の翼を広げる。何処まで行こう――]
キャロルさん、本当にイイ匂い。
ボク、食べたくなっちゃうよ……二人が来るまで、抑えられるかな。可愛いウェンディもきっと可愛いコエをあげてくれるよね。カミーラさんの血は真っ赤に艶めかしくて。ニーナは柔らかいんだろうなぁ……どんな表情してくれるの?
[だけど最後に辿り着くのは]
ああ、タベタイ――タベタイな……。
どんな華よりも気高く美しく芳しく、ローズマリー。君を骨まで……。
……ア。
だめだ、ウェンディは、黄玉のだった。
忘れちゃダメだね。
[滑り降りるように屋根から降りる。手慰みなのだろう、辺りの草をぶちぶちと抜いてははらはらと捨てている]
そう言えば……どうするのかな。
例えばウェンディが黄玉のこと信じられなかったりしたら。黄玉はウェンディを人狼だって言ってみたり、するのかな……。
[それはそれで、楽しそう。]
誰かがボクを人狼だって言ったりしたら……ボクはどうしようかな。食べちゃおうか。ふふ。
早く来ないかな――。
ボクは今確かに、昂奮を感じている。
解き放たれたい。
何でも構わない。
コロシタイ。コロシタイ。
約束の時間まで、あと40分。
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