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[長鉾はアーノルドの腕を肘まで引き裂く。
覆面の男はスーツの内側で肉感触に満足したように長鉾を引き抜き、今度は背中側からアーノルドの心臓を狙おうと鉾を振り回す。
──その時。
二つに裂けたアーノルドの腕がブクブクと奇妙な音を立て増殖するカルスの様に膨らみ、降下して来た男の首を──まるで、肉食植物が──或いは獰猛な恐竜が襲いかかるように────一口で喰らい殺した。]
[襲撃者を食らった後も増殖は止まる事無く、鎌首を擡げてのたうつように階段を這い回る。
だが、そんな事はアーノルドには、どうでも良かった。
アーノルドの目に映っているのは、階下の争いの中のごく一部の光景。
────無惨に/バラバラの手足/鞄に縫い付けられた///可憐な少女の貌。──見間違うはずが無い。]
──…養女だったッ!
…だが、私の娘だッ!!!
[増殖し奇妙に獰猛な肉塊と成り果てた左腕の先端を右手で引き千切り、その場に打ち捨てると、飛ぶように階下へ走った。
頭部の陥没したDrの死体を鏡面のように磨き抜かれた靴で踏み、ミッキーの側に転がったDrの鞄を抱える。肘から先の無い左腕で抱えるのは難しく、右手に力を籠め胸部に鞄を押し付けるようにして、階上へ向かおうと──、
乱れる事の無かった、アーノルドの前髪がバラバラと目に掛かる。スーツは相変わらず無機質な光沢で輝いていたが、アーノルドの首筋には汗が浮かんでいた。
──前方の確認も、常よりも甘く。]
[暗澹たるじくりとした滲みがビジョンを犯し始める。全裸で踊る異国の青い女神――第三の目/ペロンとエロチックな色の滑り気のある液体で剥がす/映画フィルムが火で炙られて捲り上げられるように――**が込み上げる。
理性の顎が噛み付いて離さなかった欲望<主体>が身体の全身に広がる――禁断症状のように痙攣する指先/異様な冷たさ――を感じたような気がして、心x魂も震える――まだ本当に在るならの話。]
[手を伸ばした理由?
――水が欲しい時に理由が欲しい?
アーノルドを見上げる目=渦を巻く赫
しかし、ハっと正気付くとアーノルドが持つトランクを手放す――。]
──ハッ!
す、すまない。
[動揺している所為か、咄嗟にグレンに謝る。
片腕でバランスが悪く、鞄を再び抱えるのに苦心しながら。]
Drのトランクを――何だ、お前は。前方不注意だぞ。
――Drの後釜か。
[アーノルドに一瞬触れたかもしれないし、人と違った体組織となっている事を理解しているかもしれないが――今のグレンは強い興味は抱けない。]
後釜?
まさか…。
あれ(=Dr)と一緒にされるのは、心外だ…が、
[トランクの事を聞かれ口籠る。
何故か会社でも、被験者であったシャーロット(まだ少女であると言うのに)との愛人関係を噂されていた事を思い出し──咄嗟にどう説明したものか、迷いがアーノルドの言葉尻を不審に小さくさせた。]
(否、私は…この娘を──シャーロットを助けたいだけなんだ。)
[鞄がアーノルドの腕から滑り落ちる。血に混じって緑色の体液が左腕から滴り落ち、再生とはまた違う芽吹きを傷口の肉の隙間に見せた。
グレンに差し出された腕につかまり、何とか体勢を立て直す。]
…ああ、私はアーノルド・デ・ラ・ロッチャ。
傷口は後からどうにでもなる。
ぶつかったのはすまなかった。
…まだ、この娘は生きているんだ…ろう。
助けなくては。
[新芽は、血臭に淡く甘い緑の香りを混じらせる。傷口に痛みはあまり感じないのは、肉体構成が変質してしまっている所為か。
アーノルドは仕事人間だった所為か、良質な被験者を確保する為に手段を選ばなかった所為か、元妻にも「冷血だ」と言われた事があり──といってもエレノアもアーノルドとある意味同類だったのだが、また、人体実験後に、大きな人生の挫折を味わっているにも関わらず、人間的な感情が失われつつあることを自覚していた。
シャーロット=レリアの事で動揺していたが、それはまだ彼が人間で有る事を証明している様でもあり、アーノルドは心のどこかで安堵を感じていた。]
――ああ。
生きているか死んでいるかは分からない。
だが、話した事はある――可愛い声だ。ドクと2人、幸せそうだった――。ああいうのを、平和な家族とでも言うのだろう。
[言葉尻が小さくなった事には気づく――誰でも秘め事の1つや2つはある。後数時間で意思のなくなる俺には関係ない。
本当はトランクを持とうかと差し出した手ではあったが、アーノルドが体勢を立て直すのを淡々と手助けする。]
…冷たい手だ。
君も具合が悪そうだな……。
[過去に数多くの被験者──特殊な身体の持ち主も含むをみてきた勘が、奇妙だと告げていた。それに先刻の会話では──リビングデッドと言う言葉が。
だが、グレンの言葉に動揺でやっと抱えたトランクをまた落としそうになる。何度も揺さぶられる所為か、抗議のようにトランクの中から「…ほう」と言う溜め息のような声が漏れて来た。]
…Dr.oddとシャーロットが家族?
莫迦な……。
私と…。私の……娘だ。
[Drがトランクを閉じる瞬間に口付けていた光景が甦り、鼻に皺を寄せた。]
[階上から何かがくだけるような音と悲鳴が聞こえた。
階段の上にアーノルドが振り捨てて来た、凶暴なモンスターと化した左腕の先は見当たらない。階上へ登り暴れているのだろうか。]
エヴァーグリーン。
再生し続ける緑――粋なものだ。
[一瞥し呟く。
このMr.Perfectのような男が此処まで傷つき、動揺する事――一般市民よりは数十倍は良い生活をしている高官がグレン達と同じ感性を持ち合わせている事を面白く感じる。]
トランクを階上まで持っていってやる。
ドクの仕業さ――メイ・ランツァに要らぬものを――
[口元を歪める。怨念のような激情――]
俺は将来死んだら――海に灰として撒かれるもんだと思っていたが、どうなるものか。あと数時間で、Chaos Bloodの人形になるとは――思ってもみなかった。
[呟き――階上からの音↑視線を、アーノルドへも向ける。]
シャーロット?
[レリアの事か、と頷く。]
有り難う。
[トランクを運んでくれると言うグレンに頷く。
前髪は乱れたままだ。当然のように鼓動は落ち着かない。]
──あの娘の血──Chaos Bloodは、腐食の血か。
腐食+活性=→リビングデッド、成る程、そこの金属が溶けたわけだ。
彼女を殺しても、支配下に置かれる事を防げないのか?
[ゾンビ化については無理だろうか…と首を捻る。階段を上がりながら、踊り場の腐食した金網を指し示す。]
[シャーロットがレリアと名乗った事に、更に動揺しながら]
シャーロットだ。
トランクのこの娘は、確かに買収されて来た被験者ではあったが。
三ヶ月前から私の養女になっていた…んだ。
書類上も、間違いは無い。Dr.oddは業界の有名人だったとは言え…──何故こんな未来の無い場所にシャーロットが。
………………。
嗚呼、君は生きたいか?
気にするな――。
[アーノルドからトランクを受け取ると、抱きかかえるようにして持ち運ぶ。筋肉はあるようだ。(左手の甲の刃の傷がおかしい事にも気づくだろう)]
腐食・溶解――ついでに俺は、あの祝祭の日――メイ・ランツァが引き起こした、あの白き白亜の噴水で生き残った人間でもあるんだが、後遺症に悩まされている――自分の経験を基準とした幻影<ビジョン>を見るという。今は――前より酷い。おっと、間違えないでくれ。
俺は人を覗き見る事は出来ない――。シャーロットのビジョン<過去や未来>なんて見れやしない。
[踊り場で一息つき、また一瞥。]
メイ・ランツァは殺す――溶解や腐食の効果は、血とドクの賦活剤<エーテル>の混合剤を飲んだ俺には効かないようだから、その間に――。
[政府の犬はどうでもいいとの雰囲気は如実に現れている。]
……それでも、俺が意思をなくし、Living Deadとなる事を防げないだろう――ドクの予想が違っていなければ。俺には研究者共の言葉は分からないから、食い違いが出るのかは知らない。
――Drを殺したのは早計だったか。
被験者を買収?
そういう事はよくある事なのかは分からないが……Dr.oddが、お前から奪った糞野郎だという事は理解した。派手好きなDrの事だし――そういえば、Drは手元から離したくなかったようだが……父娘と名乗っていたぐらいだから。
[唐突な質問に、]
当たり前だ。
俺はさっさと生きて出たかったから――契約書にサインをしたんだ。
[淀みなく答えた。]
だが今は――
[沈黙。]
[アーノルドの左腕の傷口はすでに半透明の緑色の皮膜によって血が止まっている。その隙間から伸びた新芽が次第に太く硬く長く成長を始めている。
緑の色はエメラルドグリーンに輝き美しくもあったが、アーノルドには、ただ苦々しく思えた。]
フラッシュバックする幻視──…か。
否、私はシャーロットの過去は知っているんだ。
彼女が6歳の時に犯した過去の殺人時のデータ内容が、私が所長を務めていた研究室で希望していた被験者の条件にピタリと一致した。だから、長く……知っている。
[希望する被験者を得る為にラボを持つ会社は、なんだってやるさ。時には被験者の住居の隣に引っ越して、その家族と親しくなる事からはじめる場合もある。
シャーロットも数年越しの交渉の末、彼女の14歳の誕生日を待ち──職業殺人鬼としての将来を保証すると言う契約と共に、養女になってもらう事の承諾を得たのだ。アーノルドのラボの優秀さは、適切な被験者を選択出来る所長が居る事に由来していた。
アーノルドが人体実験の成果よりも、当時のシャーロットの境遇から彼女の幸福を考えたのは、希有な出来事だったが。]
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