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[ヒューバートが屍鬼について語っていたことの断片が脳裏に浮かぶ。]
「まぁ、屍鬼ってやつはヴァンパイア的なものと考えても間違いではないようだ。」
とすると、心臓に致命的なダメージを与えることでも滅ぼすことができるってことになりそうだ。
なるほど、それで俺は……
[自分が延々とやってきた事の意味にようやく気づいたようだ。
半ば無意識の行動の理由を認識できてほっとしたせいもあろうか、
ふと動作をやめ、立ち上がってあたりを見渡す。
ここに来たとき見惚れた花。今は月と太陽の相反する性質の光に照らされているせいか、禍々しさを孕んだ色に見えてしまう。]
[「自らの命」を一番にと考え始めているのだろう。既に出来上がっている人間関係が崩壊してゆく──否、そのようなものは簡単に崩壊するのだ。薄氷の上に、現実は成り立っているのであるから。
夜桜より見れば、藤峰もスクリーンの中の登場人物の一人であり、薄膜の向こう側に存在(い)る人物なのであった。]
―自室―
う……。
[緊張の糸が切れたのか、刀を抱えたままベッドに倒れ込んでしまう]
いけない、刀の手入れをしないと……。
[呟くが、長時間の素振りに疲労していた身体は、本人の意志に従わない。瞬く間に眠りに落ちてしまう。
望月は曖昧な時間の中で、切れ切れの夢を見ている]
[立ち上がってみると、咽喉が渇いていたのに気づく。]
食堂にでも行って、紅茶でもいただいてくるか。……でもそういえば……、
ここの主人が亡くなったとなると、ここで働いている人たちはどうなるんだろう?
[気のいい青年に見えた藤峰、なかなかに利発そうな翠、温厚篤実を絵に描いたような施波といった人々の顔を思い浮かべる。
自分がどうこうできるものでも、自分にそういう力もないのを承知で
彼らの今後がどうなってしまうのか、と考えつつ屋敷へ戻る。]
──三階/天賀谷私室──
[施波や集まっていた他の使用人達から、この場で起こった事の大体のあらましを聞いた。施波の制止も聞かず、夜桜は静かに室内へと入る。
ひたひたと寄る血──女の陰より溢れ出す血のように留まる事はない。臓腑と吐瀉物の入り混じった臭いにおいが室内を満たしていた。
天賀谷は寝台の上に寝かされている。]
屍鬼とし、黄泉還ろうとするならば首を斬るしか道はないと思います。主人、天賀谷さまの御意志がどうであろうとも、黄泉に逝ったものは現世へ戻ってはこれぬさだめ。
還ってこようと、それはもう黄泉の国の住人なのです。
[室内へ、おっとりとした夜桜の声が満ちた。]
─庭→2F食堂─
[食堂に入りかけたメイドを見かけて、紅茶とマーマレードを頼む。
入ってみると、江原が一人立っている。]
よう。お前さんも落ち着かないのか、この異常事態で。
主人として見えようと。中身は違おうておるでしょう。
[屍鬼から喰われれば、単なる死者に成り下がるのみであろうが。]
[天賀谷自身が黄泉還ろうとしている様子はない。] [が]
[夜桜は、この場の一時的なる纏りを与えるため、単なる意見として述べたのであった。]
[境目たるこの異界にて、蠢く血液。屍鬼と化そうとはなさぬものの──吉凶の類ともまた違う予感を、夜桜に齎した。]
―3F客間―
……血が。
血が止まらない。
何なの、此れは……。
[不吉な紅い河は屋敷を這いずって行く。
夜桜がその根源へと歩みを進めていく。]
夜桜さん、いけない――……
[囁くような声しか出ない。
それでも翠は制止の言葉を掛けた。
夜桜は止まらない。
彼女の落ち着いた、静かな声色が響く。]
―――……。
オキナワ、ね。
[自分と江原は所属が違っていたため、同じ戦場に立つ事はなかった。
もっとも、オキナワの戦地の模様は聞いたことがある。悲惨を極める状況だったらしい。]
『……でも、ダッハウも相当なものだったんだがな』
[口には出さない。体験した戦地の悲惨さ比べなど、悪趣味というものだろうし、
語りたいものでもなかったから。]
―書斎―
[上階に集まった人々の騒ぐ声が、何故か遠いものに聞こえる。
書斎は奇妙に静かだった。]
『誰も彼も、天賀谷の部屋に集まっているのだろう。
となれば、今の内に……』
[書き物机に寄って、抽出を検めようとする。
奇妙な音に気づいたのは、その時だった。]
『水音……?』
[階段の方を見やる。
――ぴちゃり。ぴちゃり。
階段の暗がりから、何か暗い影が床に広がって、窓から入る明かりに照らされた領域に侵入した。
暗黒が、光に触れて、赤黒い色彩を帯びた。]
[オキナワ―江原が活躍した戦場でもあり、
同時に彼の故郷でもあった。]
……私は名誉と引き換えに、大事なものを失ったのだよ。
[左手で印綬に触れる。左腕の動きがぎこちない。]
………まあ、私の話はいい。
聞こえた話によると、天賀谷氏の首を刎ねる刎ねないで
揉めているようだな。違うか?
さあ、あたしにも。
翠さん、主人のこの血──何をなそうとしているのかしら。
[吐き気を齎す光景と匂いの中、翠を振り返る]
流れ、流れゆく先は、
階下みたい。
ああ、屍鬼に憑かれてしまった者は、首を刎ねないと解放されないとか、そんな話だったようだ。
とはいえ、長らく使えていた人たちが、「はい、そうですか」と納得できるかどうかは判らないがね。
[自分もうろ覚えのことを江原に*説明する*]
首を切るしか、
ないのなら。
[刀を手に。]
そうすべきだと思います。
其の時は、
「自分に謂え」
と望月様が仰っておられました。
もしも御客様の手を汚すことを良しとしないのであれば、私が。
[言葉を其処で切り]
[夜桜が翠の方を振り返った。
何故だろう、とても落ち着いて見えるのは。]
まるで意思を持っているように見える。
何かを伝えようとしているのかしら。
……階下に向けて……
行く先は……水盆?
[まさか、と思いながらも
水盆に固執する今は亡き主人の姿が脳裏に甦った。]
―自室・夢―
この塔はなに?
[そう訊ねるのは幼い望月龍一]
「山田浅右衛門が建てた供養塔だ」
……誰の供養をしてるのさ。
「浅右衛門自身が斬首した罪人たちだ。屍さえうち捨てられる者たちのため、私財を投じてこうして供養の塔を建てたという。
希有な一族だな、君の先祖は」
[気づくと連れは天賀谷の姿になっている]
「死刑執行人として、罪人に苦痛なく死を与えるための鍛錬を怠らず、辞世など詠む者の心を理解するために和歌を学んだ。それが君の先祖だ」
………ふん。
[思想家の顔から、軍人の顔へ。]
その甘さが、我々に取り返しのつかない事態を
引き起こしたらどうするつもりか、ド素人め。
[士気を高める江原を尻目に、由良は自室へ引き上げていった。]
[夜桜は翠の決意を聞くと頷いた。]
翠さん、刀を扱えるのね。
──あたし達も、向かいましょう。
[夜桜は、翠達を促した。
今や河のように流れる血。不気味である。
仁科は、濡れた頬もそのままに、この匂いに苦しそうであった。夜桜は、清潔な手拭(形は殆どハンカチだ)を取り出して、汚れた顔を拭ってやる。匂いを遮るようにと、仁科に渡したままにした。]
[来海は呆けていた。
物音がした。自分は叫んだ。
自分のよく見知っている人間、
それでいて変わり果てた人間がそこに立っていた。
彼の手が空を掴んだ。その目が何かを捉えた。
その刹那ふと彼と世界を結んでいた糸が切れた。
死んだ。 『毒』? 異常な光景だった。
紅い、黒い、おぞましい臭気。
周囲で声がした。『屍鬼』?
何をバカな。何をバカな。
これは夢だ。何かの悪い夢だ。]
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