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―――…吼えた記憶は一寸も無いが。
[大きく溜息を付けば、
突きつけられたナイフに臆す事無く
背後のネリーへと視線を向ける]
何が狙いか知らないが…
貸せ、使いこなせと言うなら聞いてやる。
ただし―――それ以上は保障しかねる。
俺は一国の行く末に、元から興味は無い。
[不愉快だと言わんばかりの表情は
隠そうとしない。]
「厄介事とわかっていて、こういう目にあっているんですから、吼えているようなものですよ」
[先程とは別人のような微笑を浮べて]
さて、それでは今から使い方を教授しましょう。
[そうしてハーヴェイを連れ出した]
[ナサニエルが部下に案内され、執務室に現れる]
よく来て下さいました。
楽にしてください。
コーヒーとお茶、どちらがよろしいですか?
[淡々と話しかける]
[従者に連れられてやってきた執務室で、ナサニエルは飲み物の質問に答えず、ただじっとメイが何を考えているのかわからずに、見つめていた]
そんなものはどうでもいい。
俺に何のようだ?
[壁に背を預け、腕組みをしながらそう質問する]
そうですか?
では私はお茶をいただきますね。
[部下に命じ、自分の分だけの紅茶を持ってこさせる。その間、一言もしゃべらず黙っていた。届いたお茶を一口含み、切り出す]
さて、お呼びたてした要件ですが…私は、あなたを刃としたいと考えています。
[ナサニエルの心の奥を覗き込むように、静かに見つめる]
刃……?
[どちらかというと、先程の闘いについて何か言われるものと思っていただけに、一瞬思考が停止する。
しかしすぐにそれが『クーデター』に関してだと思い至る]
……何故、俺がお前の自己満足のために手を貸さなければならない?
そんな馬鹿げた話しかないのなら、俺は宿に戻るぞ。
[腕組みを解いて、ドアに手をかける――]
[のんびりとお茶を飲みながら、背中を向けたナサニエルに声をかける]
無論、タダとは言いません。
あなたの探している仇、その実行犯と元凶を作った者。
その情報と引き換えです。
あなたにとって損な取引ではないと思いますが?
[うっすらと笑みを浮かべる]
[探している仇、その実行犯と元凶を作った者――。
その言葉に、半分開いていたドアを閉じて、殺気に満ちた眼差しをメイに突きつける]
……何故、お前がそのことを?
いや、それよりも……。
[大股に歩き、メイに数センチのところまで近寄ると]
そいつは何処にいる?
[殺し屋としての冷たい空気を纏い始めた]
[ナサニエルが部下に案内され、執務室に現れる]
よく来て下さいました。
楽にしてください。
コーヒーとお茶、どちらがよろしいですか?
[淡々と話しかける]
[近づいてきたナサニエルをみて、うれしそうに微笑む]
ふふふ、いい顔です。
まあ、落ち着いてそこに座りなさい。
[来客用のソファーを指差す]
まずは報酬の前渡をしましょうか。
あなたの家族を虐殺した、元凶を生み出した者。
その人物の名前はグラードといいます。
聞き覚えがあるでしょう?ニーナさんの師匠に当たる方です。
現在、居場所を変えたようでニーナさんも今の所在地を知らないでしょうが、私どもはその隠れ家を特定しました。
[その居場所をナサニエルに伝える]
ここまでが前渡分です。
この情報と引き換えに、あなたの覚悟を見せてもらいます。
[あくまで主導権を握るつもりなのだろうが、今のナサニエルにそれを奪い返す事など、頭にはなかった。
ただ、二度目のお茶の無視し、それでも話が長くなりそうだとソファに乱暴に腰を落とした。
ばふっと圧縮された空気が隙間から吹き出るが、普段なら気にするそんな小さな障りも、今の彼には届かない。
そして前渡としてもたらされた情報に、ナサニエルの眼が真っ赤に見開かれた。
教えろ。
そいつは何処にいる。
そう続けようとしたとき、メイの雰囲気が変わったように感じて、怒りという本能を、殺し屋としての本能が強引にネジ倒した]
覚悟だと?
[ナサニエルの目をじっと見つめる]
私の用意した施設に移動してもらった三人。
その三人を、始末してください。
[慈愛に満ちた笑みを浮かべる]
あなたの復讐にかける覚悟が本物なら、難しいことでない筈です。
それを成し遂げられたなら、以前お話した私の仕事をやっていただきます。
すべてを為し終えた暁には、報酬の残りの支払いとして実行犯の居所をお教えしましょう。
こちらも、調べはついています。
[また一口、お茶を飲み微笑む]
それとも、あなたの復讐にかける覚悟は、その程度のこともできないほど軽いものなのですか?
[挑発するわけではない、本当に疑問をぶつけるような口調で語りかける]
三人の始末だと……。
[真っ先に思い浮かんだのはウェンディの笑顔。そしてラッセルの真っ正直な馬鹿笑いに、怯えているがどこかうらやましげなニーナの視線。
もちろん、前渡された情報から、ニーナを思い浮かべるや心に殺意が芽生えたが、それでも三人の抹殺となると、やはり心が凍りついた]
く……。
[家族の顔とウェンディ達の顔が交互に浮かんでは消えていく。
復讐にかける覚悟?
本物以外に何がある?
お前がクーデターを誓ったように、俺にも譲れない最後のものなんだ!
心の慟哭は表情にありありと浮かび上がる。
迷いが悩みを生み、心を苛み始めた時、家族が彼を呼んだ気がした――]
いいだろう。
『依頼』として受けてやる。
ニーナ=ウェニー、ラッセル=ハドリー、そして……ウェンディ=レーニ。
[そこで一旦言葉を区切ると、何かを切り捨てるようにこう宣言した]
『チェイン=ファング』が消してやろう。
[その時の彼の瞳は、メイと同じだったのではないだろうか? だが、それがわかる人間は、誰もいない――]
[ナサニエルの言葉を聞き、微笑を浮かべる]
そう言って下さると信じていましたよ。
あなたにも準備が必要でしょう。
また、あなたをあちらにお連れするためにも若干の手続きが必要です。
しばらく宿のほうでお待ちください。
部下があなたを案内します。
……そうそう、あなたが首尾よく仕事をなし終え、万が一私が命を落とした場合、その場合にもあなたに報酬が渡るよう、手はずは整えてあります。
安心して仕事をしてくださいね。
[わずかに残ったお茶を飲み干し、顔を上げる]
用件は以上です。
質問はありますか?
[修羅の決断を行った人間に、これ以上何を求めえようというのか。
先程と同じく無言で踵を返すと、また無言でドアに手をかけた]
質問はないようですね。
では最後にこれを渡しておきましょう。
[机の引き出しを開け、中から錠剤が数錠入った小瓶を取り出す]
私の軍の特殊戦隊が使用しているコンバット・ドラッグに手を加えたものです。
罪悪感や恐怖心といった感情を抑え、肉体の反応レスポンスを向上させます。
効果時間はさほど長くありませんし、オーバードーズの副作用は大きいものです。
気をつけて使用してください。
[無理やり、ナサニエルに押し付ける]
これで用件はすべて終わりです。
さがりなさい。
よい働きを期待していますよ。
私とあなたと、双方のためにも。
[ナサニエルに退出を促す]
[退室前に押し付けられたドラッグを、メイに着き返そうとしたが、一度伸ばしかけた腕を戻して、ポケットにしまいこんだ。
そして、紅い涙を一滴だけ、零して、*部屋を退室した*]
[ナサニエルが退出し、誰もいなくなった部屋にたたずむ]
ふふふふふ、ははははははは
本当に期待していますよ、ナサニエルさん。
これで駒もそろった。
これで何もかもを………
お義父さん、お義母さん、もうすぐです。
もう少しで、すべてが終わります。
待っててくださいね……私が終わらせますから…
あはははははははは
[うつろな笑い声が、誰もいない部屋に*響いた*]
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