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[...はギルと広間への道を歩きながら更に続ける]
王子様とキツネの話、知ってる?
お互い最初は他の何万ものキツネ、人間と同じ存在だったのに、一緒にいると離れられない存在になるってやつ。
冒険やってるとさ、結構他の冒険者の訃報とか、聞いたりもするんだよな。一日でも一緒に語ったりした奴だったりもするんだけど。
一日でも一緒に過ごせば俺の中では楽しい大事な思い出になるのに、知らないうちにそいつらは死んでいくんだよな。ホント、やるせねぇよ。
最初ここに来た時、不覚にもここにいたいという感情が出てきた。お前らとだったらもっと話していたいって。
あ、忘れてた。
[大した量でもなく、広げた様子もない荷物をひょいと取る。
そのままナサニエルの後を追い、初めて其の部屋に入って]
…うっわ、俺も改装してもらうんだった。
[慣れた色彩ばかりが満ちる内装にぽつり]
[ナサニエルの手に納まった一冊の本。
そのタイトルに少し驚きはしたけれど]
…こっから出たら、読ませて貰ってもいいか?
昔読んだっきりで全部忘れちまったよ。
[囁かれた言葉に、今はただ頷いて]
[首筋に走る僅かな痛みに息を呑めば、反動で漏れる吐息は甘く転がり落ちて]
私も――愛してます…。貴方を…
[取られた手に施された唇の余韻に浸りながらも…]
[僅かにざわめく屋内の様子に耳を傾け――]
名残惜しいですけど…そろそろタイムアップ…と言う所でしょうかね…?
[至極残念そうに微笑んで]
そう、だな。
[火のついた体が、本当はそんな簡単に、]
[落ち着くわけはないのだけれど]
……そろそろ、脱出、かね?
[身体を離して、]
続きは、また?
[残念そうな様子に笑って、立ち上がる。]
[脱ぎ捨てた衣服を、二人分、拾い上げて]
>>85
あぁ、いいよ。…もう俺には必要ない本だし。
俺さ、ただ終わったり分かれたりした後の虚しさを感じたくなかっただけなんだよね。
お前らと思い出共有するのを逃げたかっただけだったんだ。
こんなんだったから、人も好きになれなかったけど…人って変わるもんだな。
あんなキスでコロっとかわっちまう。
[ふとギルを見やり]
なんでこんなに好きになれるんだろうな。
なんで今まで知らなかったんだろうな。
[最後はやや自嘲気味だったけれども。向き合い、背伸びして口元へキスを送る。しっかりと目を合わせて、今度こそちゃんと伝えた]
好きだ。ずっと、そばにいてくれな。
[体が享楽を求めるのは自分も同じで]
[だからと言ってこの場所に留まるつもりは更々無いのだけれども」
脱出…でしょうね。ナサニエルさんとギルバートさんが…頑張ってくれたのでしょね、きっと。
[離れる体には僅かに名残惜しさを]
[そして求められる約束には、一つ頷き]
出来るだけ…近い内に…
[手渡された服に身を通して。]
[怠さを押し殺して立ち上がり――]
さぁ、広間へ向かいますか?
[ふわりと微笑む]
[...はギルとともに広間へ。ここにくればあの2人ともきっと落ち合えるはず。
使用人とはすれ違わなかったが、おそらく気取られている。急ぐ必要がありそうだ。少し苛苛とはき捨てる]
2人とも…どこで何をしてやがる…
[無言でナサニエルの話を聞きながら広間へと歩き。
不意に受けた口付けと、言葉。
暫く悩んだ末に、漸く口を開いた]
…俺は、さ。傭兵だから何もかもが金次第なんだよ。
んでもって、遂行の為なら結構何だってやることになる。
ついこないだまで仲間だったヤツだろうが、殺すことになったりもした。躊躇う暇もねぇ。
躊躇ったら俺が殺される…仲間だったヤツに。
だから…特別な感情全部、捨てようとしてた。
実際捨て切ってたよ、ここに来るまでは、さ。
[浮かぶ笑みは苦笑のような、自嘲の色]
不覚だぜ、こんなに大切になっちまうなんて。
全員無事にここから出たいとか思っちまうなんて。
…ずっと、一緒に居たいって思うヤツが出来ちまうなんて。
[此方を見るナサニエルの頬に口付けを返して]
…嫌だって言ってももう離れてやんねぇよ。
覚悟しろよな?
[くく、と笑う。楽しげに]
……ラッセルは若しかして、連れて行かれてたか?
[首を傾げ]
そうだな。
じゃあ……行こうか。
[服を着て、立ち上がった彼の手を取る]
……無理せず、つかまってろ。
[...は広間へ入ってきた2人を確認し、更にハーヴェイの首筋に目立つ紅を見つけると何かいいたそうにため息をついたが]
…わかってると思うが…脱出口を見つけた。
気を使われたら…逆にこっちが恐縮しちゃいます。
それに…求めることも出来なくなるでしょう?
[そっと囁いて]
[広間の中へと足を運んだ。]
[何時も使用人や召使の一人は居るだろう広間。
何故か今日は一人もおらず]
待つしかねぇ、か。
[誰か居れば居所も聞けただろうに、とぼやいて]
[其処へ、聞き覚えのある声]
よっす。
何だ、二人一緒だったのかよ?
[ケネスとハーヴェイの様子に小さく笑った]
正確には見合い会場までの隠し扉だな。
実は屋敷以降の逃げ道はクインジーと協力することになっているが、バラバラになると面倒だし途中に仕掛けもかなりある。
どうも使用人どもには感づかれてるようだから、早々にお暇することにしようぜ?
[囁かれた言葉に、小さく笑って]
脱出口ね、お疲れさん。
すごいもんだな。
……まあ、其処まで警戒はされないだろうさ。
[口元をゆがめ]
そうだな。早めにお暇しようぜ
ということで、俺についてきてもらいたい。
道順と暗号と入り組んでるから少し面倒なんだ。
それじゃ、行こう。離れるなよ?
[...は一昨日念入りに下見をした仕掛けを次々に解いていくと、暗い地下道へ。その道は他の地下道とは違い整備はされていない。放置された道のようだ]
ついた。ここだ。クインジーたちも向こう側に居る筈だ、合流したらさっさとおさらばする。
おいていかれるなよ?
わかった。そっちだな。
[ナサニエルの後をおいつつ]
[気を使われたくないといわれたのは、わかるけれど。]
[矢張りハーヴェイを気にして。]
[...は奇妙な暗号で書かれた「見合い会場従業員通路」の鍵を取り出すと、一気にまわした。
とても重い鍵だったけれども、何とか一回転させると、とても重い、しかけが回る音がした]
向こう側の連中、いるか?
出て来い、行くぞ!?
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