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……ちぇっくめいと?
[ 腕は捕まれて、首元には鞘に収められた剣。
未だ呆然としたまま、ぽつり、とその言葉を繰り返す ]
ふぇ…
[ ゆっくりと、瞬いて。
ようやっと、状況を把握した――が ]
――やだやだやだやだやだっ!
[ 途端に、だだっこモード。
ぢたばたぢたばたしようとするものの、
腕を掴まれているため、上手くいかない ]
あッ…アタシもうだめェ…
[おそるおそる尋ねてくるハーヴェイに、ピコハンのせいと言うよりも、高まる血圧が主な原因の鼻血を噴出しながら、へなへなと崩れ落ちて見せる]
ハーヴェイちゃんにぃい…支えてもらわなきゃアタシ、倒れちゃうわァ…
[一歩下がるハーヴェイへ、逃がさないとでも言うかのように力強く差し出される両腕。
手からピコハンが落ちて、ぴこっと床で鳴った]
…あらヤダ。ステラちゃんは違ったのォ?
同時期に居なくなったからって、街の噂なんていい加減……アッ
イイエ!イーエ!
いい加減な噂のせいじゃないわァ…
頭を、頭を打ったからアタシ!
きっと記憶が混乱してるのォ…
お願いッ★アタシを支えてハーヴェイ…っ
もしくは強く抱きしめてェ!
そう、ヴァナちゃんにそうしたようにィ〜
……えーと…どうしよ、…!
っ、くしゅっ!
[ジタバタされるものの、離すことも出来ずに思わずおろおろ。
相手の降参が無ければ審判の制止か…または戦闘不能までだが
流石にウェンディ相手にそれはあまりにも酷過ぎる為に、手も出せずに。
周りに助けを求める視線を何気なしに送ってみるが
審判ですらおろおろしていた。ちょっとまってよ審判。
催涙液の名残か唯でさえ涙目だったのが、思わず更に涙目。]
…んモウッ
今は試合なんかより、アタシの方が大事でショッ!
[...はぷりぷり怒って、足元のピコハンをハーヴェイへとぶん投げた。
外れた]
あらヤダ。
[そして観客席と闘技場を遮る柵を越えるピコハン]
………だってだって!
決勝までいったら、きっと…
[ シャーロットの涙目に影響されたのか、
途中で声が詰まったかと思うと……
見る見るうちに、瞳が潤んで、浮かぶ涙 ]
ふえええぇぇえぇえええぇぇぇぇんっ!!
[ 泣き出した。]
[クインジーの弱気な言葉にもう一度そちらを向けば
その言葉が囮だったとハーヴェイでも気づける罠(?)が展開され]
あ…か、勘違い…ですか、あは…あはは
…え…えと……じゃ、じゃぁ支えま…す?
[支えるか抱きしめるかならやはり前者だろうと…
それに頭への打撃は事実で、そこは心配で。
ピコハンが間抜けな音を立てて転がる中
八甲○山死の行軍張りの青い顔しつつ、
自分よりも高い身長のクインジーを支え様と腕を伸ばす。]
[審判とハーヴェイどっちがうろたえていただろうか?
有る意味ここでもバトルの火蓋が切って落されているのかもしれない。]
[ハーヴェイはウェンディの元へピコハンが戻って行くのを知らないが
知っていたら「ピタッゴラっスイッチ♪」と口ずさみながら
ピコハンが出発点に収まって終着点となるのを見るだろう]
決勝までいったら、……?
…って、わ。ちょ、泣かないで…っ!
[ウェンディの言葉に、一瞬首を傾げるものの。
泣き出せば、思わずおろり。でも手は出せないし!どうしよう!
審判頼む、おろおろしないでくれ!
とか心の叫びを他所に、相変わらず審判はうろたえていた。
そんな事をしている間に、気付けば手を緩めていたらしい。
するりと抜け出そうとするウェンディに、あ!と慌てるものの。]
………あ。
[振ってくるピコハンにも、思わず声を上げた。]
やだったらやだったらやだもん!
[ わんわん泣きながらも、
転がる白の剣に手を伸ばそうとして――
ひゅるるるるるるるるるる……
ぴこん★
飛来したピコハンは、無事(?)持ち主の元に戻った。
泣き出した事で、“力”の集中はとっくに切れていたから、
そりゃもう勢いも弱まることなく、綺麗に収まった ]
え?あ…うわっ!!
ち、体重かけ過ぎ…!!
[クインジーは時折繰り出す豪力通りしっかりした体格で。
そして自分より上背も有り、それが勢いよく圧し掛かれば。
両足に一気に掛かる不可…に絶えきれるわけもなく
………………ぺしゃん。
]
………。
[潰れたウェンディに、呆気に取られたまま思わず目を瞬いた
(ついでに名残が、ぽろん。と目から零れた)。
審判も、ちょっと黙り込んだ。お前は仕事しろ。]
[数秒の沈黙の後、漸く審判が勝者の名を読み上げて。
その声に我に返ったのか、慌てて黒の剣を置き捨てると
潰れたウェンディに駆け寄った。
ちなみに審判は、もしかしたらクビになるかもしれない。]
………………グフッ。
そ、そんな……
受け止めてくれるハーヴェイちゃんの厚い胸板に頬をすり寄せるという、アタシの…アタシの完璧な計画は、どこに行――
[再起不能かと思われたクインジー。
だが、ウェンディがべちゃりと地に伏すのを見た瞬間――]
うォオおおお!
[抱きつけなかったばかりかハーヴェイを潰してしまったショックもすっかり忘れて、拳を天に突き上げながら、クインジーは立ち上がった]
うらっしゃァーッ
VSウェンデェエィイ戦んんッ
勝者ぁ!
ク・ウィ・ン・ズィーじゃゃぁああいッッ!!
[ 目にはうずまきぐるぐるぐる。
後頭部にはたんこぶが出来ている ]
……みとめて…
もらうん、だからぁ…
[ 小さな呟きは、傍から聞こえた(ある意味真の勝者の)
雄叫びに*掻き消されたかもしれない* ]
[そして、仮にものしかかり倒してしまったハーヴェイの心配を始めた]
ちょ…
ちょっとハーヴェイちゃん…
大丈夫…よネ?
大丈夫…でショ?
[しゃがみ込んで、木の枝は見付からなかったから、自分の指でツンツン]
[アーヴァインに調書を提出するとか
メイについて話しを聞くとか
ラッセルを病院に連れて行くとか
そんなことを考えてた時期が、ハーヴェイにもありました…]
[遠ざかる意識の中、誰が勝ったのかも*よくわからなくなったとさ☆ミ*]
[ついでに、ヴァナルガンドは、相棒の危機も知ったこっちゃないと
ノンビリすわて成り行きを見守ってて。
それでも流石にハーヴェイの意識が途切れれば、
ハーヴェイを背に、ラッセルは襟首を咥えて病院へと搬送するだろう]
わ、ちょ、ウェンちゃんっ!?だいじょーぶ!?
[しかし気絶してたんこぶが出来て、目を回している時点で、
如何見ても大丈夫じゃない。
ふと、何か口許が微かに動いた気がしたものの
その呟きは、雄たけびで掻き消えちゃったようでした。
医務班の担架で運ばれていくのを追いかけようとして。
はた、と自らの剣と少女の玩具が転がっているのを見れば
慌ててかき集めて、遅れ医務室へと*向かって*]
[昨夜。
クインジーが何か言っているのを苦笑で聞きつ。
やがて二つともの試合がおわると、そこらでのびてる人とか気にせず席を立つ。
すぐあとに何か叫び声とか聞こえた気がするも…………
聞かずに*どこかへ*]
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