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[そうか、と船長と呼ばれた男は静かに答え]
[――――――、―――。]
[揺らぐ姿は仄か微笑み部屋から消え失せた]
――Got it.
[ハーヴェイからの通信に短く答えて。
ウサギを抱き上げたまま暗い部屋を出かけて――]
……。
[一度部屋の中に戻ると、テーブルの上の首輪をポケットにいれる。]
……壊れたか、無くしたか。
うーくんトレースできる?
[きょとりと首を傾げるウサギに、こちらも首を傾げて。]
[照明を消した暗い部屋の隅にじっと蹲って]
―まだ大丈夫。空腹は感じていない。後1日は持つ―
[ギルバートを喰らう―それが何故か躊躇われて。食堂にも部屋にも行く気が起きなかった―]
[呟いて数歩歩いてから足を止める。]
――……船内に無い、といったか。
ということは必然的にセシリアの端末は外……か?
[軽い眩暈のようなものに眉間を抑える。
アーヴァインを喰っていくらかマシになっても極度の飢餓状態には変わりない。]
……端末が君みたいなのなら兎も角。
アレの端末が一人歩きするなんて話はついぞ聞いてない、な?
[軽く首を捻った後、足を脱出艇の格納スペースへと向ける。]
[生前の自室で目蓋をおろしているのと同じ頃に、揺らめく姿は白い柔らかな毛並みを持つ機械を抱き上げた女が部屋を出て行くのを見守り、揺らいだ姿が消えかけた頃に再び部屋の扉は開く。
女の行動を見届け室内が無人に成ると姿は揺らぎ、コマ送りに消えては現れる姿は壁を擦り抜け女の数歩後を追う]
〔容認し合う先にある矛盾には今は言及せず、額へ当てた手を浮かせて大丈夫だと伝えるように振る。自分のように鈍感ではない筈のナサニエルを逆に案じる沈黙があって〕
記憶。…思い出と言うのかもしれん。
〔口数少なに付け加えて、手にしたままだった注射器のキャップを戻す。そんな些細な仕草で相手の動揺は見ない振りを〕
託されたもの、な。…
〔一度ギルバートの屍を見遣るも、そればかりではなかろうと朧に感じ取った紫苑の行方には口を噤む〕
殺さずに済みそう、程度にしておけ。
〔愛想の欠片もなくナサニエルへ答え、コーネリアスへと視線を向ける。今の遣り取りで自分に殺意が向けられていることを彼も気づいたのだろうから〕
――お前は、僕が守りたいものに含まれない。
〔銀の髪持つ青年の膝元へ、タブレットを放る。義務は果たしたと告げる代わりに、常の突き放したような視線で彼を見下ろした〕
[同じ頃に少年の面差しを残す男の部屋で揺らぐ姿は、暗い部屋で隅に蹲る男の前に立ち静かに男を見詰め、男の口唇から零される呟きに姿は揺らぎ貌を覗き込む様に首を傾ける]
肉は、有る。
[コマ送りに揺らぐ姿は男の前に片膝をつき]
君は――…何色?
……誰もアンタに守ってくれなんていってない。
[少し赤くなった瞳で緩やかに睨み付けながら]
…そもそも、誰かに守ってくれなんて頼んだ覚えなんてない。
ニコルにも代わりに死んでくれって頼んだ覚えもない!
[感情の高ぶりのままに強く声が響くか]
……みんな、勝手だ。
[生前の自室に立ち目蓋を下ろしていた姿は揺らぎ、開いた漆黒の眼差しは一度は其れを施した男へと向けられ、更に童子の様に泣いていた男へとおりて]
そうだね。
[静かに同意の言の葉を紡ぎ姿は揺らぐ]
君も、思う通りにすると好い。
[白衣の男の手のレーザーメスと生前に自身に向けられた銃を視界に捉え、姿は溜息でも零す様に揺らぎ其の場から消え失せる]
――
そんな声をしていたんだな。
Cornellius Northanlights.
〔一度散じた殺意を呼び込む作業に困難さを憶えつつ、コーネリアスの感情が迸り出すのを受け止める。〕
…では僕も言わずにおこうか。
〔「代わりに死んでくれ」とは――〕
〔細いコードが宙へ翻って弧を描く。アタッシュケースを自分の体の前へと突き出して盾としながら、コーネリアスの瞳を狙い〕
〔"ヂッ"――蒼白い閃光を彼は見ただろうか〕
[青白い光、それが視界に飛び込んできたのを見たのが左目の最期の光景]
───っ!
[左目を灼いた痛みに声をあげなかったことは彼なりのポリシーにもとづいたものか。
赤い涙を流す左目を押さえながらわらった。
銃は床に落ちたまま]
……殺したいならさっさと殺せよ。
俺を貪り食って生き延びればいい。
どうせ、もうここに居続ける理由もない───
[光を見続ける右の瞳だけが強く光るだろう]
[生前の自室から姿が消失し亡骸の周辺で殺戮の始まろうとする頃には眼球の収まるカプセルの前に揺らぎ像を結ぶ姿もあり、漆黒の眼差しは対の眼球を前に黙し静かに見詰め合う]
――…泪を零せれば良かったのかな…
[薄い口唇だけが紡いだ筈の言の葉は誰に読み取られる事も無く、届かぬ呟きすら誰に宛てたものかも判らずに]
[悠然と、そこに争いなど存在しないようにゆったりとした歩調で彼に近づく。
殺意などなかったから注意は向いてなかったかもしれない。
銃をの所までたどり着けば拾い上げ、無機質に眺めて。]
……――。
[銃をくるくるまわしながら赤い涙を流す彼を側面に感じ、彼が吐いた言葉に瞬き回転を止めて握り直す。]
――じゃあ死ねば?
皆生きるのに必死。
生きる気のないやつにかくる情けはない。
[視線は正面を向いたまま――
腕を側面に延ばして引き金をひく。]
[どれほど闇の中に蹲っていただろうか―ふらりと立ち上がるとロックも外したまま廊下に出て当所無く彷徨い始める―]
船長、ギルバート…次は誰?
[囁く声は空気を微かに震わせ消えていく―]
[少年の面差しを残す男が立ち上がり擦り抜けていくのに、姿は揺らぎコマ送りに部屋を出て行く男の背中を振り返り、ゆっくりと立ち上がり男の後を歩き始める]
たぶん――…
[彼、と小さな囁きも男に届く筈は無く、一人分の足音だけが響く通路に零れて消える]
…死ぬさ。
俺に生きる気がなくても俺の肉を冷凍にでも放り込めば、まだしばらくはみんな保つだろ。
[ナサニエルの言葉を俯いたまま耳にする。
その口元はとても穏やかに微笑んでいるか]
…───。
[かすかに唇が揺れて空気を吐き出す。
ニコルとの約束は結果的に破ったことになるのだろうか、と頭の端で考えようとしたけれど、響いた銃声によってその意識は硝煙の香りを感知すると共に*ブラックアウト───*]
[脱出艇を使うためのコントロールパネルの前。
うーくんと制御システムをコネクトする。]
――……誰か出た形跡があるな。
しかもつい先刻……
[居なくなった、といわれた該当人物だろうか。
思案顔でうーくんを抱き上げる。]
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