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玄関から外へ。比較的晴れた空は周りを見通しよくさせる。
ややまばらに木の生えた裏手に、佇む黒い衣装の女性。
ちらりと露出した白い手に見える、どす黒く変色した血の痕]
…シスター。
捜した。また雪だるまでも作るつもりか?
[晴れた空はここで起きた出来事が嘘のようで。
だけど、その先に見える人影はそれを「現実」と突きつけてくる。
血に汚れた手と、臭い]
ステラさん、その手はどうしたんです?
肉が解禁の宗派で生肉でも食べましたか…?
[丁寧に、装う口調は感情に負けて]
あなたが…いや、お前がナサニエルを殺したのか?
[向ける視線は、怒りと嫌悪]
[2人を見、にっこりと笑うステラの顔は、あの雪だるまを転がしていた時とそっくり同じで]
「お2人ともなんて怖い目で見るのでしょうか?
そして何を仰っているのです?
ナサニエルさん?いいえ…存じませんが…何かありましたの?」
普段と変わらぬ口調で話すシスター。
しかし漂う血のにおいは変わらずに。
怒りに任せて言葉を吐く友人を抑え、一歩踏み出す]
…シスター。ナサニエルが死んだ…いや、殺された。
今疑いがあるのはアンタともう一人。
申し訳ないが、少し調べさせてもらいたい。
[...のきつい視線にも怯えることなくくすりと笑うシスターへ一層強い目で睨みつけ]
…手を。
俺の調べ方が正しければ、お前さんの血で全てがわかる。
人狼の血は人間と同じわけがないからな。
きっと、銀を穢す。
[シスターの手を取ろうとした瞬間、...の手から血が噴きだし、シスターは身を翻して逃げようと]
…っ!
ハーヴェイ!
[ギルバートに制され、その動きを見守る。
「調べる」と言う言葉に彼が昨夜語ったことを思い出す。
もし、人狼ならば……]
「調べる?何をです?」
[この状況にあって未だそう返すステラをもう一度見遣って]
あなたが知らない、と言うのなら…ギルバートの言うとおりにして下さい。
抵抗や拒否は……
[それは人狼と認めること、と。
服の下のナイフに手をかけ、その成り行きを見守る]
[名を呼ばれ、即座に逃げようとするステラを捕らえ]
何故逃げる!
やはりお前が…お前が殺したのか!
何故だ!あいつは…ナサニエルはまだこれから…ここで死んで良い奴じゃなかったんだ!!
[捕らえられて、腕の中のその顔が笑うように歪む]
「そうだよ、ボクが殺して、食べた。
だって、しょうがないじゃない、ボクの秘密を聞かれちゃったんだから」
[その声はまるで別人のようで]
そんな…それだけの理由で…
[腕の中のそれを見つめる、既にその目は人のものではなかった]
ハーヴェイ…
[普段穏やかな友人の、滅多に見ることのない感情に、少なからず驚いたけれども、それも当然か。
切られた手首は動脈までは届かず、致命傷にもならない
シスターを捕らえたハーヴェイの近くまで寄り、何かあっても逃がさぬように警戒しながら]
仲間は、いるのか?
それともシスター、あんた一人で皆殺したのか?
[...の問いかけに、捕らえられもなおクスクス笑う声が聞こえる]
「仲間…?さぁね。そこまで教えてあげなきゃいけない理由、ないでしょ?」
猫のような目で笑うシスターに身震いを感じながら、その手を取り、掌をナイフで軽く引いた。
こぼれた血に銀の針をあてると…
針は瞬間に黒く変色し、音もなく崩れた]
…人狼、か。
[崩れ落ちた針を見て、友人が告げる声を聞き、そして腕の中のそれを見る]
……人狼…か。
[ぽつり、呟き。
捕らえたそれと反対の手がナイフを抜く]
「だったらどうするの?」
[腕の中のそれはニヤリと笑うと...の腕を掴み爪を立て、
僅か力が緩んだところを抜け出そうと]
……逃がさない、これ以上誰も殺させないっ!
[咄嗟にステラの足を払い、雪の上に転がす。
立ち上がり、逃げようとするその背を体ごと押さえつける]
ハーヴェイ…!
[ステラを押し倒し、まさにナイフで刺し殺そうとする瞬間を目の当たりにし、思わず叫んだ。
勿論、静止する気はない。
逃れようと抵抗するその体を押さえ込む。
想像以上の力で抵抗され、傷つけられた手首では長くは押さえられない]
やるなら…早く…!
[幾ら男とはいえ、その力の強さに余裕はなかった]
[振りかざす、刃。
怒りは自分のためではなく、殺された青年を思っての]
……消えろ、人狼!
あの世でナサニエルに詫びるといい!!
[その体にナイフを叩き込む。
獣のような、ステラの声が響く。
二度、三度…とその体にそれを打ち込んで。
返り血がその顔を汚すのも厭わずに。
ステラが完全にその動きを止めるのを確認して、ナイフを抜きその場に座り込む]
[死んだ体、人の形を維持できないのか、口が裂け、牙が覗き…とても尋常ではないその様は、吐き気をも感じさせる。
顔を返り血で汚し、力が抜けたように座り込むハーヴェイを支え]
…悪い。いやなことを任せた…。
でも、これで…
[安心したのもつかの間、動かなくなったはずのステラの目がぎょろりと...を睨む。
不気味にゆがみ、口だけで何かを伝える。
その言葉を読み取った瞬間、...の顔は強張ったが言葉にはせず]
[怒りに囚われたとはいえ、殺したという事実は重く。
だけど、目の前のそれが人ではない、と言い聞かせ。
気遣うような友人に首を振る]
大丈夫。ナサニエルの仇をとりたかった、だから。
これで終わるはず……
…なに?
[力尽きた筈のステラが僅かに動く、しかしその様子は...からは伺えず。
ほんの少し表情を変える友人に]
どうした…何か…。
[問いかけるもそれ以上は何も言えずに]
[それで最後だったのか、ステラはピクリとも反応を示さなくなった。
最後の呟きを聞いた...の顔は強張り、血の気も引いて真っ青だったが、自分ではそれに気付かないか]
…いや…なんでもない…。
部屋に…戻ろう…。
寒い…。
ステラは、後であの2人と…埋めてやろう…
[寒い、との言葉に、顔色が悪いのはそのせいと納得して頷く]
戻ろう。
この血…流さないと。
[汚れた顔を袖で拭い]
うん、あとで埋めよう…いくら人狼でもこのままにしておけない。
行こうか。
[そういって屋内へと戻っていく]
[室内に戻り、暖炉へまた火を入れ、冷えた体を温める。
折角人狼を殺したのに、...の顔は変わらずに無表情で]
…風呂に…。そんな血をそのままにするなよ。
[ハーヴェイを浴室へ追い立てるようにせかす]
[風呂へとせかす友人に苦笑しつつ]
あぁ、言われなくてもすぐに入るって。
でもまず湯を沸かす所から、かぁ?
じゃぁ行って来る。
[そういってまずは着替えを取りに行った後で浴室へと向かう]
[浴室へ消えるハーヴェイを見送って、一人、食堂のソファに沈み込む。顔には悲壮な表情が]
…冗談だろう…
もう一人…しかも…それが…!
[髪をぐしゃりとつかんで吐き捨てるように]
レイ…俺に…二度もお前を殺させるのか…?
――浴室――
[浴室を覗いて、すぐに湯が使えそうなことに安心して、浴槽の準備を。
血で汚れ固まりかけた服を脱ぎ、これもまた血で固まった髪を見る]
……酷いもんだな。
………この手で…
[山にあれば獣を仕留めるのもよくあることだけれど、でも、今日のそれは異形とはいえ人を形を為すもので]
……違う、あれは人狼…人じゃないんだ。
[せめてもの救いは、最後の姿が異形の物であった事。
それでも…]
血で汚れた俺を…君が知ったらどう思うんだろう。
ねぇ……
[密やかに呟く名前は胸の内に]
[念入りに血を洗い流し、その臭いが消えるまで。
浴槽に身を浸して溜息を吐く]
……これで終わるはずなのに、なんであいつはあんな顔してんだろうな。
俺にやらせたから、気を遣った?
多分違うだろうなぁ…
[そうは思うものの、湯の加減は心地よく。
先程の出来事を忘れるかのようにそれに身を*預けて*]
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