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まだ人狼がいるのなら始末しないといけない。
俺らがここから出ることができても彼がいつの日か人に害を為さないとも限らない。
…殺すべきだろうな。
[ステラの最後の足掻きがそれを意味していたとは知らず]
そんな事を?
まだ仲間が……でも…
……ラッセルが?
[否定しようにも、それ以外に可能性は無く]
ラッセルが、人狼だ、と?
……そんな……
[それが友人の苦悩の全てと知り言葉に詰まる]
殺す…?
確かに人狼は生かしては置けない、でも
まだラッセルがそうだとは……
[ふと思い出す、彼にはそれを知る手段があるのだ、と]
…とりあえず、ラッセルの部屋へ。
誰かが死んでからでは遅すぎる。
逃げるなら…殺すだけだ。
[先程の苦悩など微塵も感じさせないほどはっきりと言い切る]
来い、ハーヴェイ。
[ウェストポーチの中身を確認しつつ、ハーヴェイを促す]
[どれだけの時が過ぎたのか。ようやくそこから顔を上げる。]
もう泣かないよ。
[口唇が小さく呟いて。
それから、ベッドの脇に皮袋を置く。]
明日、かなぁ。
朝のうちに、―――を弔って。
それから、崖を降りようかなぁ…できないだろうけど、落ちても多分、死なないし…
[右足首はまだ痛めど、痛みが残るばかりで、怪我には強い。
見える程度の場所に落ちていた体を思い出す。
あそこならば、なんとかなるだろう。]
[急かす様な友人の様子に戸惑いはするものの、人狼であれば、との思いに立ち上がる]
わかった、行こう、ラッセルのところへ。
[そういって友人の後を追う]
[一片の迷いもなく「殺す」と断言した。
一体どんな思いで口にしたのかは本人しかわからない。
胸の痛みとざらつきは耐え切れないほど大きく自分にのしかかってきたが、目は迷っていなかった]
…ラッセル、いるか?
[2階、ラッセルの部屋。今から人を殺すかもしれないとは微塵も感じさせず]
[あけられたドア、何も知らないようなあどけない顔。
それらがまた自分を苛むが]
少し、聞きたいことがあってな。
邪魔をする。
[断りもなく、部屋の中へ。ラッセルの腕を緊張からから少しきつく掴み、ソファの上へ無理やり座らせた]
っ、痛いって
[腕を掴まれたときに、一瞬よぎったのは恐怖の色。
しかしそれはすぐに消えて、慌てたような声を出す。
赤の弱い抵抗は軽くいなされ、ソファに座らされて]
どうしたの?
[先を行く友人の姿はいつもと変わらず
…否、いつもとは違う気配を纏って]
ギルバート…!
[どこか胸騒ぎがして。
辿り着いた部屋で二人が対峙するのを、ただ、見守る]
[まとめられた荷物を一瞥する。彼がここから出て行こうとしたのは一目瞭然で。
ちり、と焼け付くような喉から、声を絞り出す。
恐らく感情が抑えきれず、逆に顔は青ざめて無表情となり]
…今日、ステラを殺した…。
彼女は人狼だった。
仲間がいると、言っていた。
ローズもハーヴェイも、人狼ではない。
…なら、お前に聞きたい。
お前は、狼、か?
人を殺す、人狼なのか?
[声は 震えていた]
[そこにある姿はいつもと変わらずどこか弱く、儚げで。
戸惑うように揺れる赤を見つめ]
………
[ギルバートが、これから行うだろう事を息を呑んで見守る]
……彼がそうでなければいい…
ギルバートもためにも……
[祈るような言葉は、誰にも聞こえないだろう]
ステラさんが?
[赤の、小さな口唇は、そう言葉をつむいだ。
それから、青い顔の彼に、そっと手を伸ばす。]
大丈夫? 真っ青だよ。
…ぼくが、そうだと、ギルバートさんは思うの?
[質問に回答ではなく、返すのは質問]
思ってるんだね…?
[伸ばされ、触れられた手に少しだけ、目を見開き]
俺は親友を疑えない。
ローズが人狼なら自分が殺したアーヴァインへあの悲しみ方はありえない。
違うと言わないのか?
…言ってくれないのか…?
[震える声は今にも崩れてしまいそうで]
…手を。
[掴んだままの腕から手を無理やり引き上げると、そこにナイフを走らせた。
無意識の迷いからか、ステラほどの力はいれず]
[ギルバートの言葉と、ラッセルの声。
問い返すそれに思わず言葉が零れる]
……ラッセル、君は……
[問い返すその様子に、不安が募って]
……君は……
[それだけを繰り返し、ただ、呟く]
[薄っすらとにじむ血に当てるのは穢れを嫌う銀の針]
…そん…な…
[瞬間。
力の抜けた手より落ちるのは銀色のナイフと
先程まで同様の銀を持っていたはずの黒い針]
[ラッセルの手に走る朱に、ほんの一瞬息を呑み目を逸らし。
だけど
見届けなければいけない、と]
……ギルバート……
[友人の行動を見つめる
結果は、分かっているような気がした]
…そうかなぁ。
好きな人だから殺すって言うのもあるって、きいたけど。
[首を傾げて。
声の震える様子に、困った顔を。
しかし、無理やりに引き上げられた腕。そして彼が持つナイフを見て、目が、見えている目が見開かれ、その光景を映す。]
っ…やだっ…!
[しかし体はその恐怖からか固まり]
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