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[枚坂の鼓膜を其の声が震わせる事は無い。だがさつきには判っていた。此れが必ず、枚坂だけに届くであろう事を]
――東京の。
――長一兄様と勝利兄様、それに美代子姉様。
――いずれ、年近い女の子が生まれた折に。
――先生がまだご存命でしたら、きっと。
――お会い致しましょうね――――
―天賀谷自室
翠さん……
望月君――
[二人へ向けられた眼差しは眩しげに細められていた。]
生きてここを。
そして、私に機会があるなら見せてくれ。
君たちの幸せな姿を。
…………。
[無言で頷く。]
大好きだよ。
[その一言ともに、江原の周囲の空気が緊張し始める。
彼の中の力強い脈動が伝わっているのだ。]
見習いメイド ネリーは、医師 ヴィンセント を投票先に選びました。
[さつきの背から、何か憑き物が離れて行くような感触があった]
『目……を…………?
嗚呼……暗い……見えぬ……
何処だ、何処へ行けば良い……?
教えて呉れ、来海……』
[江原の胸に顔をうずめる。]
──…大好き。
[子どもの様に純粋なままだ、と思う。
それなのに、江原は鬼であったのか。]
あたしもあなたが愛しい。
…有り難うございます。
見習い看護婦 ニーナは、書生 ハーヴェイ を能力(襲う)の対象に選びました。
『嗚呼……だが、お前は……
そう云って呉れるのか……共に、
共に行こう…………と』
[声には穏やかな調子が混じり、何処か安心した様な響きがあった。やがて彼の声は空間の中に消えて*いった*]
[さつきの声に]
娘よ、天賀谷の娘よ。
我々が犯した過ちを繰り返すな。
お前が歩もうとしている道は、熱い砂でできていて、我々が歩んだ道によく似ている。
その道は滅びへと通じている。
―天賀谷自室
[夜桜に影を見られた望月青年はそうではないと、確信があった。
江原青年の誇り高い横顔を思い出す。
――彼もおそらくは違うのだろう。
ならば――]
望月君、翠さんには一刻もここから出てもらわなければならない。
私のすることは、一つだ――。
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