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[右手に握った銃も、掻き消える。]
おい、ランサーのマスター。
お前もきっと、俺が殺してやる。
その日まで、生きていろよ。
[そう言い残し、
そのまま、歩く。
にげるように。]
マスターは。
感情が、欲しい、と思っているのかしら。
[キャスターの言葉を聞いて、ぽつり、とそう呟いた。]
有難う、ヴァイナさん。
[サーヴァントの魔力のぶつかり合い、そして1人のサーヴァントの消滅が齎した、川原の惨状を見渡しながら]
貴方とは、同盟を組んでこうして話をしてますけど。
情報交換という駆け引きとか、そう言うのを、超越してしまいますわ。
おかしいですわね。
[それは闇であって闇ではない]
[ただ闇に見えただけ]
[それは人の顔だった。怖くなどない。苦しんだ表情でもない]
[けれど、幼い自分にそれは辛過ぎて、その最期を残して全てを闇に沈めた]
[何一つ思い出さないように]
[もう同じ思いをせずにすむように、全ての感情とに蓋を、全ての人としての業に忘却を]
[それは、ただの自己防衛本能の結果で、死ぬまで解けることはないのだと]
[けれど解け始めた。聖杯の魔力が、サーヴァントを通して体内へと循環する。それは自身にたまることはなかったが、感情の糸を解き始めた]
…その欲しいって気持ちにすら気付けないとしたら。
当然過ぎて普通は分からないだろうけど、それは凄く辛い事なんだろうなぁ。
[マリアの言葉に小さい声で答える。]
ん、お礼なんて別にいいよ。
俺が思ってる事を言っただけだし。
[マリアのお礼の言葉に、微笑んで言葉を返した。]
んー、俺としては大歓迎だけどね。
何気ない事を普通に話せて、しかも相手がマリアちゃんときたら…そりゃもう喜び以外でも何物でもないし。
[あとは露葉にも沖田敬一郎が消えた方向にも目をくれず、来た道を、公園の外へ向かって歩く。]
…お前。
[そこに、宗冬の姿を認めた。
目を逸らす。
今の俺の、このみっともない姿を、この男だけには、見られたくなかったのに。]
遅かったじゃねぇか。
クハッ。
もう、終わってるぜ。
戦いはよ…。
[敬一郎とアーチャーが去ると同時その場に座り込む。]
…
[ランサーの御霊の残照を感じる。
それは意外にも邪悪な気配はなく…いやほんとうはわかっていた。その願い悪意からものでないことは。
無色に感じるそれは他のなにかの意思を受けて自分達…人類の存在を否定する意思を放っている。]
…謝らないわよ。
私達は自分の目的のために精一杯戦っただけなんだから。
どちらも謝る必要なんてない。
さよなら、ランサー。
[アーチャーが近付くにつれ刀が震え始めた。刀も武者震いをするのだろうか。刀の鼓動を感じ宗冬は立ち上がる。]
終わっていない。それがしと貴公の二人が居る。それで十分であろう。
[意識が、遠のくのを感じる。
「彼」の、お出ましだ。]
…残念だ。
お前とも、戦いたかったがな。
また、戦ろうぜ。
いつかきっと。
[だらりと、両腕が垂れ下がる。
瞬間、剣呑とは言えず、しかし戦いを渇望して止まなかった空気が、平凡なそれへと変わる。]
…やぁ、宗冬さん。
この間は、楽しかったね。
痛ててて…。
今回の傷も、まったく、酷い。
[顔をしかめる。]
……ヴァイナさんたら、お上手ですわね?
お若い時は、さぞ、沢山の女の子を泣かせたのでしょね。
[くすくすと笑いながら、そう返答する。
シャルロットは、恋を知らない。
生前、政治の思想に囚われ、男性を共闘の相手としてしか見ず、多くの男性に想いを寄せられながらも、断頭台で首を切られた彼女は、恋を知らなかった。]
もう、「彼」は、ここにはいない。
その刀を振り抜けば、僕を殺せる。
それくらい、僕は弱い。
[右手の中指で、眼鏡をつり上げる。]
…ま、そうしようとするなら、全力で逃げるけどね。
[左手を、右の脇腹に当てる。
斬られた傷より、性質が悪い。
これだけ深く、肉を抉り取るとは。]
[刀にやり場のない怒りを感じる。仕方なく宗冬はぼろぼろのアーチャーを峰打ちにした。]
すまぬが、とりあえず打たせてくれ。
まさか。
ずーっと振られ続けた人生だったよ。
[苦笑しながら腕を組むキャスター。]
こんなに普通に話した相手なんて、マリアちゃんが初めてじゃないかなー?
"もし"マリアちゃんが俺の名前を"思い出し"たら、調べてみるといいよ。
[そこまで言って、キャスターはふと気付いたような顔をした後微笑んだ。]
そういう意味では、こうしているだけでも召喚された価値があったね。
いたい!
酷い!無抵抗の僕に!
さぁ、宗冬さん。
「彼」は君とも戦いたがっていた。
その望みをかなえるためにも。
…治療を、開始する。
[安心しろ。
僕が必ず、万全の状態で、戦わせてやる。
そうしなけりゃ、僕の望みは叶わない。
そして今回は、それだけじゃない。
「彼」の悔しさを、*僕も分かるからだ。*]
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【システムメッセージ】
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【システムメッセージ終了】
先程は刀の情に押されて「終わっていない。それがしと貴公の二人が居る。それで十分であろう。」とか言ってしまったであるが、それがしは特に戦いたいわけでもござらんでな。
そして今は刀の失望を晴らす為に、打ちたくもないお主を打ち据えているわけでござる。
とりあえず叩き終わったら酒でも飲みにいこうではござらんか。
地上に舞い降りれた天女たる美貴殿も紹介しましょうぞ。
[この後、峰打ちはアーチャーが気絶する迄続いたという。*]
いやいや!
厳しいって!
[あ、お花畑が見える。
あふぅ。]
あ、危ない。
この傷でこのままだと、本格的に逝ってしまう。
[気絶する寸前、応急処置だけを終える。
露葉が家へ連れ帰ってくれるという儚くも淡い期待だけを抱き。
そのままお花畑へと、*ダイブしていった。*]
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