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逃亡者 カミーラは、見習いメイド ネリー を投票先に選びました。
[ジェーンの掌が頬に触れる。
肉体的な傷とはまったく言えない。けれども心が軋む様に痛む。
…別れの──それは別れただった。]
…さようなら。
本当にさようなら、お母さん。
[重たげだった曇天は灰から黒へと変化し、雨が、激しい雨が──。
温かな水滴を押し流す滝の様に、唐突に打ち付けられる。檻の天井にも。
セシリアは、去り行くジェーンの背中を無言で*見送った*。]
―村長の屋敷―
[ザバァ………ザバァ………
白い布が、木製の桶の中で水浴びをしている。]
はァ………
旦那さまァが亡くなったり、ノーマンさまァが狼っ子に腕食いちぎられて大ケガされたりでよォ……こン村ァ、どうなっちまうんだろうなァ………
[屋敷の裏に貯めておいた雨水を桶の中に注ぎ込んだ。]
奥さまァも、お嬢さまァも、心労でひでェことになってっしよォ……村ン人間は、狼っ子いじめンのに夢中だしよォ……
あン狼っ子がとっつかまってからというモノ……村はめちゃめちゃだァ……
[ネリーは冷たい水の中に手を入れ、ざばざばと白い布を洗っている。]
[ウェンディは村はずれの自宅周辺で考え込んでいた。]
人狼っていうものが本当にいて、それがセシリアお姉ちゃんで。みんなはお姉ちゃんの事をどう思ってるのかな。ネリーお姉ちゃんはずんもんって言ってたけど。
神父様とか、どう思ってるのだろう。お姉ちゃんを助ける気がある人っているのかな。
[また時間があれば、神父様なり先程の黒い姿をした女性やネリーに聞いてみようと思った。]
[俄かに雨が激しく降り出してきた――。
痛みを感じる程に、激しく。]
何を……。
[頭上で、ごろごろという音が鳴り始める。
村人は、雨から逃げ出すように去ってゆく。
暗い中――クインジーの顔の陰影が、濃く。]
逃亡者 カミーラは、医師 ヴィンセント を能力(襲う)の対象に選びました。
文学少女 セシリアは、医師 ヴィンセント を能力(襲う)の対象に選びました。
医師 ヴィンセントは、双子 ウェンディ を投票先に選びました。
文学少女 セシリアは、牧師 ルーサー を能力(襲う)の対象に選びました。
[曇天模様の空の下。
痩せこけた娘が、呼吸をしている。]
……はぁ……っ
ああ、もう息が白いわなァ………
[あかぎれだらけの手で洗濯物を干すと、ネリーは屋敷の外壁を見上げた。]
……村は、どうなっちまうんだべなァ……
ノーマンさまァが、旦那さまァの代わりになるんだべか?
そうなるンかなァ………
[ネリーは、視線をそっと地に落とした。]
……仕事終わったら、広場にでも、行こうかェ。
[カミーラの意志はそのままで良い、と考える。
彼女自身は、神父の纏う聖性──神の加護の可能性も考えているのがむずかしい所だ。]
────神父、ルーサー。
[雷が鳴り響き、光の下、
クインジーが悪魔のように笑っていた。
ジェーンはびしょ濡れになりながら、
寒さに――そう、寒さに――震えていた。]
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