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[右脇が異常を訴えるが、無視をする。
長期の戦いは不利、彼はそう判断した。
後数歩と言うところから、左足で跳躍。
飛びつつ振りかぶり、着地と共に面を叩き込もうと]
[ギルバートが飛び込んで来る…。
それを左手の光剣で右下から薙ぎ払おうとした。
だが、左手で剣を振るう為のデータが存在しないので、その剣先がぶれた。]
…しょうがねぇなぁ…
[ギルバートが振り下ろした剣が頭部からずれ、左肩から袈裟斬りの形で叩き込まれた]
見習い看護婦 ニーナは、お尋ね者 クインジー を能力(襲う)の対象に選びました。
お尋ね者 クインジーは、書生 ハーヴェイ を投票先に選びました。
お尋ね者 クインジーが「時間を進める」を選択しました
[彼の短刀はクインジーの左肩に当たる。
が、その衝撃に右脇腹が軋む。
短刀は振り切ったものの軌道が斜めになり、着地も上手く出来ない。
クインジーの前で片膝を付く形になる。]
["Audrey.H."は揺蕩い己の再生を待つ]
[幽界の如き闇の中で]
──Where's this?
──Inside of cyberspace.
──Really?
──Probably.
──Really?
──Likely to possibly differ.
──So,I asks once again....Where's this?
──Nowhere.
──Really?
[無意味な自問を繰り返しながら]
[クインジーの前にギルバートが隙だらけの姿を晒している。
その隙を逃すはずが無いのだが…すでにクインジーにその余力は残されていない]
[左手の光剣が消失し、クインジーは前のめりになって倒れた]
ここまでか、そういやあんた、なんて名だっけ…?
聞いた事がなかったなぁ…。
[何かが通り過ぎる気配]
[視覚を失っている彼女はそれが何かわからない]
────?
["端末"であるAvatarは未だ再生の途中]
情報が、乱れる。
これが、「痛み」、なのか?
[彼は右脇腹を見詰め、眩暈に似た物に耐えている。
と、気付く。戦いはまだ続いている。
慌てて顔を上げクインジーを見上げる――が、そこにクインジーは居ない。
彼の横で何かが地に落ちたのを知るとそちらを見る。
クインジーが倒れていた。
短刀を左の手で握るが、まだ情報が整理しきれずに膝を突いたままだ。]
名前?
僕の名は、ギルバート。
君の名は?
[反射的に、訊ねる。]
[Lutherの言葉だけが少女の耳元を通り抜けていく。
「今から満たされに行くのです」「これはとても喜ばしい事だ」
――禍々しい託宣のように狂気に満ちてその声は少女の思考に浸透していく。拒絶と畏怖の感情が生まれる。顔を上げれば今にも強大な焔を放たんとする二体の小天使]
――駄目、それはまちがってる!
[叫んだ瞳を青に輝かせ床を蹴る。
もう間に合わないと知っていた。
それでもあの焔が彼女を包めば総ては文字通り灰燼と帰す]
この外見だとクインジー…マスターが決めた名もあったんだが忘れちまった…。
ギルバート…ね、
この身体を構成しているコンポーネント、もうすぐ空っぽになるからあんたにやるよ…。
どんな形になっても戦い続けれ…ば…
[ザザ…ザザザ…とクインジーの視覚的データが崩壊していく]
[雷光の速度で空を駆ける。しかしそれでは間に合わない。
クピド達の賛歌が途絶え、終末の炎が生まれ出ようとする。
Lutherが最後の一句を唱えた]
――神様。
[祈り。願った瞬間――
『あなたはそのために備えられ供えられたのですから』――執事の囁きが脳裏に浮かぶ。何故こんな時に、と疑問を生むまもなく詠唱が口を衝いた]
[言葉は言葉にしか過ぎない。
──狂っているように聞こえるのであれば、それは人間の狂人がよく使う言葉だからだろう。
いや、使う機会を変えれば、須らく言葉は狂いを表す事になるのだろう。
人間が理解をするように、
AIは、言葉を理解をする訳ではない。]
クインジー。
そうか。
[左手で短刀を握り直す。
右脇腹を庇うようにして立ち上がり、短刀を両手で構えようとし――
クインジーの身体が崩れていく]
「あんたにやる」?
[クインジーの言葉をくり返すと、呆然と成り行きを見守っている]
[どこかで、酷く重いデータの渦が音を立てた]
[Avatarの再生プロセスは徐々に終了に近づき]
──Where's this?
──Nowhere.
──Where will you go?
────Inside of cyberspace.
──Really?
────Yes.
[ギルバートの見守る中、クインジーの身体が消失した。
左手があった所に銀色に光る球体が二つ転がっている。
攻撃用プログラムや視覚演算などを行う領域の結晶が*そのまま残っていた*]
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