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[俺があやういとみて、双子が干渉したのだろう。秘密を聞き出すための身柄の確保だったはずが、どうやらその機会を逸してしまったようだ。
もっとも、ハックマン女史は捕まったとして、おとなしく秘密を吐くようなタマには到底見えなかったが。]
《助かったぜ。ありがとよ――》
[そう言う他なかった。示し合わせていたのとは違った段取りになってしまったがやむをえない。
俺は脱ぎ捨てたジャケットを羽織り、その場をあとにした――**]
――Mundane>/南部→中央部――
[いくつかのビルを渡りながら、ようやく肉眼でも対峙する二人の姿を捉えられるようになる頃。地図上、11の光点が消えていく。位置は南部。重なるように12の光点]
……おじさん。
11は誰だっけ。オードリー、かな。
[頭を振って、柱だけとなった*塔へと向かう*]
牧童 トビーは、隠者 モーガン を投票先に選びました。
牧童 トビーは、藪医者 ビンセント を能力(襲う)の対象に選びました。
―― 星幽界<Astral>/カテドラル・オメガ ――
[白き靄が、ゆるやかに漂う]
[黒き影は、ただ静かに佇む]
[[[ォオー……ン……]]]
[耳鳴りの如く聞こえる遠吠え]
[幻聴/それとも/断末魔の記録(メモリ)]
―――壊サレタ。
[[[壊サレタ[[壊サレタ[壊サレタ]]壊サレタ]]]]
[幾重にも反響する音声]
ケルベロスモ、魔獣達モ………指揮者(トビー)ニ、全テ。
[漆黒の扇/睫毛が揺れる]
[黒目が何かを探し、残像の建物を見上げる/陽炎が揺れる]
[零れ落ちる刻の砂/長く尾を引く残響すら消える]
[静寂]
ケルベロスハイナイ―――聞イテナイ。
ナノニ、ナゼ、壊サレタ…壊シタモノノ記憶(メモリ)ガアル?
[魔窟に戻る度に自動で保存されるバックアップ]
[修復を終えた黒に何があったかを伝える三つ首の番犬はいない]
[抜け落ちるはずの記録/記憶している矛盾]
―― Astral ――
[酷く静かである。
都市機能の完全に停止したメガロポリスもまた静寂に支配されていたが、それとは趣を異にする静寂が満ちていた。
ひとつでも音を立てれば何処までも響いていき決して音波の消えることなど無いように思われた。
白い靄が低く漂っている。
足元は見えない。
ただ、確かに地面はあるようだ。]
[遠くにあるように揺らいでいるのは、メガロポリスの街並みである。
遠くにあるようでいて、街並みは確かに辺りを取り囲んでいる。まるで陽炎のような距離感だった。
メガロポリスの街並みと寸分たがわぬ様子だが、街並みは白けている。
いつか発された音の名残が、殷々と響いている。どれほどの遠くから届いたものか、既に元のかたちを失った音は耳慣れぬ騒音であり、また静寂と同質のものだった。]
[抑揚のない呟き]
[それはClosedの図書館に眠る言葉(データ)]
[死を永遠の眠りとするならば、夢見る今 *想うものは*]
[メガロポリスとの最大の差異は、誰一人として存在するものが見受けられないことだろう。メガロポリスにおいては、昏睡状態にあるとはいえ、人々の存在があった。]
―― 星幽界<Astral>
カテドラル・オメガ ――
――― memento mori
それは、いにしえの概念。
地上の栄華を空しきものとし、来世を思う人の言葉。
[ステラは、かつてそうであったように壁際へ、佇んでいる。ともすれば壁面と見紛うように白い。]
─ 現世<Mundane> / 中央部 ─
[レベッカの声に、精査の手を止め"塔"を見る]
──。
[遠目にも、"塔"の外郭が破壊され内核が露になっていることが確認できる]
あれは、お爺様を狙って?
[しばし茫然と、塔を見詰め][次の瞬間]
<────ドサリ>
[何かが、崩れ落ちる/倒れる・音]
[振り返る][整備されたアスファルトに広がる金髪]
……え。
レベッカさん?────、
[声をかける][動かない]
[視界のインジケータが電脳層の異常を捉える]
[触れる][動かない]
[ボディのバイタルはすべて停止を示している]
だれが。
[電脳層の異常、高負荷のPGM][探る][逆探査]
[そして、]
あるいは、本義よりは極めて現在に近い時代に猛威を振るったとされるPGMの名称。
最古、「死」とは夢を見ない眠りであり、カーリーの世界であるとされていました。
[淡々と情報を読み上げる声。*]
みつけた。
[特定][周囲にパネルを展開する]
[瞼を伏せ、視覚情報を全面カット]
[ポッドまで行く時間を惜しみ、義眼による潜行]
→ 理想郷<Utopia> / Under ─
[高負荷PGMの軌跡を辿り、下層領域からインフラ層を介し、攻撃者へと語りかけた]
[反響する音は出所を惑わせる]
[黒目が彷徨う]
[建造物に紛れるように佇む、白い影]
―――ステラ。
ナラバ、人(人間)デナイ我々ハ、何ヲ想ウ…?
[漆黒の睫毛が降りる]
[答えに耳を傾けるように/*眠るように*]
―― Mundane/北東部・機内 ――
[現実世界に存在しながら、電脳世界を平行して視る指揮者の左目は緑ではなく灰青。それは嘗ての意識の向かう先を目に見える形/象徴として成り立たせたものでもある。]
遥かなる高みより蒼き女神の腕に擁かれて。
[networkから、SwM exclusivelyの電脳へ向けての降臨=最奥に至るには多重なる防御の網の目/光の膜。稲穂刈る刃なき鎌が彼女の中を這入り覆い尽くすと同時に、彼女のゲシュタルトも崩壊してゆく。SwM exclusivelyのMasterの為に構築された全てのものが。]
―― Mundane/北東部・機内 ――
[SwM exclusivelyの主電脳及び副電脳の崩壊=暗い穴底へDataが花火のようにゆっくりと落ちてゆき、知性の輝きは残らない。
けれども。ビジョン/闇の中。その女神の腕に擁かれたDataは蒼く燦然と。太陽の光を反射する月の光のような優しさを持っていた――共有/Data S2。]
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