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[そのために創られたと言う言葉にすこし目を見開く。視線はまだ呆然としたままだ。]
世界を越える──…OVERDRIVE.
ニーナみたいに飛べるなら…ね。
[口に含んだHerveyの残骸をまた嚥下しながら。じわりじわりと染み込む感染した死の感触を味わう。]
ぼくには、羽根がない。
もう二度と会えないんだ。
なんだか、寒くなって来たよ。
[そう口にした途端、震えが止まらなくなる。]
立ち入っちゃいけない場所、なのか。
それなら立ち入れる条件を教えて欲しいな。
僕はどうやら君に用がある。
「今度は結果を残さなくてはいけない」。
[自然と出た独り言は、誰の言葉だろうか。
ルーサーの焔は彼の皮膚を走るが、すぐに「侵食」され黒く崩れ落ちた。
ルーサーの手を離そうと、今度は左手で直接殴る様にして光弾を打ち込む。]
だいじょうぶだよ。
誰の背中にも、羽根はあるもの。
魂を乗せて飛ぶための、目には見えない翼が。
[Eugeneの背中、肩甲骨の形をなぞるように指を這わせた]
貴方のようなAIが入っていい場所ではないのです。
【──…に入れ…は…いけ…い…iz......が中に...…】
──私に用があるのでしたら、外に行きましょう。
[一度Attackをくわえただけで、Gilbertの手を離し、小さな光の弾は防御壁で防御すると、まだGilbertが扱いに馴れきっていない左拳の光弾を避けた]
飛び方が分からないなら、教えてあげる。
先導者(パスファインダー)としての、それが私の役目だって、思い出したんだよ。
だから――
[背中から指を離し、少女はEugeneの正面に回りこんだ]
[背中に触れる少女の指の感触。
Mamに包まれるあの感覚──或いは、同級生の彼女とシンクロする時の様な、内側に浸透して来る様な心地良さを感じる。]
──…ニーナ。
[気付けば少女はGeneの正面に居る。
──何か違和感がある。
右手をふと眺めるとdataがこびり付いて汚れている。
首を横に振る。]
──…ニーナ。
違うんだ……。
[震える肩に手を置き、茫洋とした瞳に目線を合わせた。その深奥を覗き込むように見つめながら静かに微笑む]
――受け取って、ね?
――私から、あなたに。
――Thanatosではなく、Euthanatosを。
[Eugeneに口付けた]
これは。
そう、あいつ。クインジーから貰ったんだ。
僕がここに居てはいけないのは、
僕がAI、人間でない自律プログラムだからか。
その条件は覆せないから、仕方ないな。
外でも僕は構わない。
[ルーサーが何か、聴覚信号にしなかった情報を口ごもるのを見るが彼には解読は出来ない。
手首が開放されたのを知ると、左手を腕ごとまっすぐに、ルーサーの顔面にむけて伸ばす。
そのままの姿勢で小さな光弾を――彼の身体に慣れさせる為か、ルーサーを挑発しようとしてか――指先から放った。
そのままバックステップして、建物の外へ向かう。]
[NinaがGeneの肩に手を置いたのと、Geneが彼女の肩に触れようとしたのはほぼ同時だったろうか。抱擁し合う様な形になる。
GeneはNinaの瞳に吸い込まれそうに。
Gene自身も、大きく目を見開き──]
【────違う】
【違う ハーヴェイは──…!】
[唐突に違和感が鮮明になり。
咄嗟に手をNinaの肩から戻し、自らの口元を覆う。
弾けた様に立ち上がり、しかし此処から何処へ行けばいいのか。GeneはNinaから離れる様に、*扉を視界に入れる*。]
ここに入っていいのは
[睛がAudreyがあった場所へと動いた。
Audreyだったもののdate残滓を読み取り──…防御壁に包まれていた為に無事ではあったが、反応が明らかに遅れている…──目の前でGilbertの光弾が防御壁とぶつかり合い、dateが弾けるのを眺める。
既にGilbertは外だ。]
Nina、Gilbertに死を与えてきます。
「貴方」もそれとも「外へ」──?
[Lutherは、LABOの外へと向かおうとした。
外では、ウィルス除去の為にか弱いアシッド・レインが広範囲に渡って降っている。]
[Eugeneに続いて立ち上がる。伸ばした黒翼は下方に垂らされたままだった]
……何処へ行くの? この終着点にして出発点から。
[傍らで続くLutherとGilbertの戦闘に危険を感じる様子も無く、ただEugeneだけを見て*問いかけた*]
[Lutherにちらと視線を投げた]
私は――彼女の選択を、見届けなくちゃいけない。Euthanatosが選んだのは、彼女のようだから。
[一瞬の間、黙祷するように*目を閉じた*]
「ここに入っていいのは」、続きは何だ?
AIでない事が条件なら、君も入れないな。
[ルーサーの睛が移ろい、反応が鈍るのを見る。]
そこに何か用でもあるのか?
外に行こうと言ったのは君だろう?
僕は君に用がある。
だから中でも構わないが。
[彼は単なる好奇心で質問を重ねる。
ルーサーとオードリーの関係も、そのオードリーに何かあった事も。
何も知らず唯訊ねる。]
[外へ出る。
身体を弱弱しく攻撃する雨だった。
彼にとって、この程度の雨ならば「侵食」により何の影響もない。
――激しくなった場合は分からないが。
しかし、雨は単純に無駄に処理する情報を増やす。
彼にはやや不快だった。]
[TwinsはLutherのやや上にと浮かんでいる。
焔を纏う、双子のクピド。
モノクロゥムの睛──雨の中で彫像を思わせる]
貴方に続きを話す必要はないでしょう。
今、貴方は死に貫かれる。
お聞きしましょう。
私に何の用でしょうか?
[Twinsの防御壁は、これくらいの雨ではびくともしない。LutherはGilbertに微笑みを浮かべている]
…──ニーナ。
ぼくが、行きたいのは。
[手を掛けた手が震えているけれど。
────Geneは扉を開く。
だが、そこには元来た回廊は無い。linkは既に切れており、何処にも通じない。ただ、LABOと同じ壁があるだけだった。]
──Under/backstreet──
[アシッド・レインは建物や体に跳ね返り、ゆるゆると足元には河をつくる。溶かされた、分解されたウィルスが何処かへと流れてゆく]
[雨──Lutherにはdateの文字列にしか視えない。それでも、それが何を意味するのか──例えば、「天気が良い」と言われれば「それはおかしい。雨だ」と返す事は出来る。問題は、どう視えるかではないのだ]
──????/????──
[蝶を操作し、NIGERDより取り出したサンプルデータは、巨大な床から天井近くまである、仄かに緑色の…透明な薄い長方形の版のようなものの中で途絶える事なく流れてゆく。
データの最後にLiz──Elizabethの名前。]
『これは意趣返しかな?
どう思う、***。
これはカドゥケウスの杖を発動させるべきかなあ。
でもね、ボクは惜しいと思っているのさ。だって、浅からぬ因縁があろうとも、興味深くもあるのだから。
この結果を、
「ボクは見届けてもいい」
──尤も、Straycatは怒るだろうね。』
[誰かの──白い両手にすくわれた紙の蝶は、Audreyへ向けてひらひらと何処かへ飛んでゆく]
『Audrey.H。
NIGREDの感染と今回のゲームがLizの仕業として、この先あなたはどう動く?どんな結末がお望みだい。
そのPGMをどう使うかは、あなた次第だよ。』
ぼくは、今でもハーヴェイが死なない様にと願ってる。
祈り──と言ってもいい。
彼の意識が、ぼくの知らない現実世界の彼の肉体へ戻り、覚醒することを。
ぼくには、今、ハーヴェイが何処に居るのか、分からない。
ニーナは彼がアストラル界へ飛んだと言うけれど──。
[片腕のないバランスを欠いた自分自身のbodyを眺め。]
──現実世界。
彼が、みずからの肉体の元へ──、現実の肉体という鎖が、逆にかれを繋ぎ止めるのではないかと、ぼくは期待する。
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