60 Cannibalistic Carnival
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学生 ラッセル
……そう。
[誰かに頼りにされてる―そんな事今まで考えた事も無かった]
…………。
[思わず入力しかけた単語を削除してそのまま沈黙だけを送信すると頭を振った。
「ありがとう」なんて言って何になる？
もう、ギルバートは居ないと言うのに―]
【墓】 流れ者 ギルバート
[生前の肉体に収まっていた眼球の傍らで透明な板の向こう側を見詰めている頃、揺らぐ姿は通路にも転々と残像を残しては消え、間接的に中核部の事を任せた未だ少年の面差しを残す男の部屋にも現れる]
君なら――…
[生前の口唇だけが囁く物言いに今は姿が揺らぎ、見て取る事も叶わぬ想いは死亡通知を受け取った男へと届く事もなく]
冒険家 ナサニエル
[テーブルのﾞ彼ﾞを手に取り、先日彼に渡した煙草を拾うとベッドに腰掛け両方を見つめる。]
……知ってる。
[長い長い間の後にハーヴェイに一言返した。
「瞳だけを残す」条件は彼が喰われること。
煙草を見つめ、けれど吸うこともなく、
その一本だけを胸ポケットに入れた。]
俺も人なら殺されることを選んだのかな――？
[瞳は答えない。]
【独】 冒険家 ナサニエル
大事な友人に殺されて幸せか？
いや、そんなことを言うやつじゃないな。
[自分にとっての彼女は？]
好きとか嫌いとか、大切とか何とか、
きっとどれも違う。
[自分を人たらしめるもの、確認出来るもの。
煙草と一緒？]
特別だったけど、よくわからない。
【墓】 流れ者 ギルバート
[眼球の入ったカプセルと煙草を手にベットへ腰を下ろす男の気配に姿は揺らぎ、漆黒の眼差しは男へと向けられる]
[――…知ってる]
[其れは自身に向けられた言葉ではなかったけれど、何処か会話は噛み合っている様な錯覚を起こさせる返答でもあり、揺らめく姿の纏う雰囲気の微か和らぐ間もあり]
如何、かな。
[答えぬ瞳の代わりに届かぬ言の葉を紡ぐ]
書生 ハーヴェイ
…ん。
〔素っ気無い返答と、続く沈黙と。ヒトに理解の薄い此方には、ラッセルの心の機微までは慮れなかったが〕
――僕は、あれの言うことは一応
真に受けてやることにしている。
【墓】 流れ者 ギルバート
[男が人間では無いと本人から聴いていた訳でも無ければ、何処かから聴き知っていた訳でも無いけれど、薄々と感じ取っては居たのか事実に対して何の感情の揺れも無く]
俺は、足掻いた。
君も、足掻いた。
[――…其れだけ、と小さく囁きを沿え姿は揺らぎ、消えて現れた姿はベットに腰掛ける男へと手を伸ばし其の頭を擦り抜けて居て、揺らぐ度に手の位置が微妙にずれているのは生前好く男にされたのと逆に男の頭を撫でている様にも見える]
君は未だ、其処に居る。
書生 ハーヴェイ
〔ラッセルと通信を交わしながらギルバートの部屋から出、扉から正面の通路に凭れ掛かる。すぐには返信のなかったナサニエルから一言が届き憮然として呟く〕
そうか。…
……死神とお前は、時に僕へ同じ感情を運ぶ。
〔食堂での会話に途切れた続きを*口にした*〕
冒険家 ナサニエル
[ゆったりと立ち上がり、手にしていた瞳を戻す。
少し思案気に見つめて、結局持ち出さないことにしたらしく。]
託されたのは俺、か……
人は生者に何かを託して死者になるなら
託すものがない俺は死ねなくなった。
[死ぬつもりもなく、誰かに殺されでもしなければ死なず。
そこには頭がないから、その容器をそっと撫でて]
勝手に重力いじるなよ？
[言い残し、部屋にロックをかけ後にする。]
【墓】 流れ者 ギルバート
[立ち上がる男は揺らぐ姿を擦り抜けるも何の感覚が其処に残る事も無く、机の上にカプセルの戻される小さな音に掻き消えた姿はまたカプセルの傍らに現れ、容器を撫でる様子に獣の如く目を細め姿は揺らぐ]
死に急ぐ必要は、無い。
[――勝手に重力いじるなよ？]
[部屋の主たる男の言葉に仄かな微笑を浮かべ、漆黒の瞳は扉の閉まるまで其の後姿を見詰め続けて、部屋にロックのかかる音を合図にしたかの様に揺らめく姿は消え失せる]
冒険家 ナサニエル
ハーヴェイ……？
[いつかの会話の続き。
つい先ほどのことなのにどこか遠い。]
――じゃあ、案外死神なのかもな。
[返した言葉は冗談ぽくもあり。
足はゆっくり瞳の彼の部屋へ。]
【赤】 冒険家 ナサニエル
船長が死んで、
ギルが死んで。
[声は無機質]
俺らはギルのことも食べるのかな。
[少しの間]
俺は先にもらってるから、今回はいいけど。
【墓】 流れ者 ギルバート
[生前の自室の扉から少し離れた辺りにも揺らめく姿は立ち尽くし、白衣の男の他者との遣り取りを見守っていたけれど、背後から近づく気配と声に振り返らずとも、眼球を預けた男は揺らぐ姿を擦り抜けて眼前に現れる]
――…死神…
[薄い唇は二人の男が紡いだ単語をなぞる]
酒場の看板娘 ローズマリー
［――……浅い眠りは着信を知らせる短い電子音で妨げられて。
告げられる人物の死には嗚呼、と小さく呟いたきり。］
……食べられるモノが、食べられるようになった。
［闇の中でも確かな毛並みを柔らかく撫でて。
ただ一つ足りないものがあるとすれば熱だろうか。
手探りでポケットの中から携帯端末を引き出し。
ウサギにコネクトする。
液晶の反射板の発する灯りがぼんやりと部屋を照らして。］
――……I see．
結局皆、肉の塊。
食って良いか、いけないか。
腐るか、そうでないかの差。
［流れる文字にくすくすと笑って端末を仕舞い込む。］
……死んだフリの私は腐るもの？
【墓】 流れ者 ギルバート
[――自分も。]
[通信先の白衣の男へと返す少年の如き面差しを残す男の短い言葉に、姿は揺らぎ消えては現れる姿は緩やかに左右に被りを振り]
人間は――…嘘吐き。
酒場の看板娘 ローズマリーが「時間を進める」を選択しました。
【墓】 流れ者 ギルバート
[睡眠と云う仮初めの死に身を浸し死んだ振りをした女の元へも揺らぐ姿は現れ、女の紡ぐ言の葉に揺らいだ姿は白い柔らかな毛並みを纏う機械の傍らに現れる]
食べれるなら、成る必要は無い。
[――…死んだフリの私は腐るもの？]
[誰に向けて投げ掛けられたのか回答の無い儘に消えて行く問いに、揺らぐ姿は生前と同じ様に思案気に緩やかに首を傾ける]
――…真似事は真似事。
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