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[ドリルの振動。
野蛮でけれどもクリスタルの硬質な共鳴音。
天上の鐘の様に清らかな音。
玉は遅いのだから、軽い運動にしかならない。
ボール遊びをする様にして粉々にした砲弾の破片がGeneの全身に突き刺さり、小さく弱い無数の針に刺される様なむず痒さを覚える。]
………あぁ。
操縦席はあるのかな。
[にっこりと笑う。]
――Under/Boulevard――
[道は存在すれど建築物はボロボロ…いわゆる世紀末の風景を思わせるような場所…つまり、視界が開けた所にやって来た。
周囲に放った端末がいくつか消失している。
こちらの位置を知らせる手がかりを意図的に残してあるのでこの場所に来るはず…そう確信していた。]
ゲームだと月明かりの下に佇む…様な情景なのかもな…
――Under/Sky high? (廃棄領域?/上空?) ――
[少女の意識は断片と化して揺れ動く。
領域に満ちたノイズの波が寄せては返し、
漂う破片は互いに引き合って少しずつ寄り集まる。
遠い記憶から引き出される"back-up"。
それでも、彼女が目覚めるには程遠かった]
……あれは、なんだろう。
……ここは、どこだろう。
[そのまま、上下反転したままの体勢で、嵩高く捻れた戦車の側面にひょいと乗り、無造作に両腕を突っ込む。
ドリルで金属板を破り、内部を覗き込む。
内側にはG.I.ジョーの様な兵士が乗っている。
そのまま、脳髄に義足のヒール部分のドリルを突っ込むと、兵士は緑色の血を流して横に倒れ、巨大な重戦車ごと、砲弾と同様に黒い破片になって舞い散った。]
――Under/Boulevard――
[瓦解寸前の建築群──人間用視覚ソフトがあり、弧月さえ浮いていれば旧い街跡の退廃的美を思わせる光景──、dateとしては判別不可能な文字列となり途切れている場所へやってきた。入り口前に、Quincyが放った目玉があり、それを焔で灼やすと帽子に手をあてて口元を緩ませ、ストラを肩から掛けたAIが一体。]
Kyrie, eleison.
[緑の血と爆炎を避けるでもなく、適当に身を捻り適当に着地する。破片で細かな傷が出来た肌を無感動に眺め、ふとついでに思い出した様に、ノースリーブになったままの襤褸襤褸のシャツの内側を覗き込む。]
…痒い。地上での身体感覚は嫌いなのに、Underでは気にならないのは何故か。今回は無理矢理潜ったから、現実の自分とほぼ同じ姿だと言うのにな。
[シャツの内側に手を突っ込み、無造作に自分の乳房を捻る。]
…と、こんな大きさだったか。
malebodyのヴィジョンでログインしたかった…気はする。
[街跡の中の交差点の中央の台座…
―何らかのオブジェがあったのだろうが破壊されて台座しか残っていない―
の上の瓦礫の上に座って、先ほど消失した端末のほうから尋ね人が来るのを待った…。
その時、上空…座標軸での…で大きな処理が行われている存在を感知した。]
お客さんか…少し待ってくれるかな。
上の様子が面白そうなのでね。
[薄暗く汚い小路をふらつきもせずに歩く]
まだ居たとしたら、驚きだけれど。
もう何年だっけ?……て、これ何回も言ってるわね。
歳よねぇ。
[言いつつ、狭い三叉路を左に折れ]
──居るし。
[フレームの前にフードを被った老人の姿]
[それは、かつてと何一つ変わらない]
……久しぶりね。
[声をかけると、老人は口の端で嗤う]
─Under/Backstreet"JUNK SHOP"─
あんた、まだこんなとこで"商売"してるの?
稼ぎもないでしょうに……。
[呆れ半分に言う言葉に、老人はやはりにたり嗤い]
まあいいわ。
ソフトのバージョンアップとあと情報が欲しいんだけど。
『欲しい情報は今やってるGAMEと"死"かい?』
……そうよ。
今遊んでるような子たちに"招待状"が届くのは良いとして、とっくに引退したあたしのところにまで届くのが解せなくてね。
おまけにLogoff出来ない上にmemento moriの発生。
誰かの悪意にしか思えないわよ。
でも、Underに居るからには、姿形の修正よりもゲームに用量を配分したい。
[また無造作に手を離し、義足の硬質な音を響かせて駆け出す。]
『──昔馴染みに嵌められたかい?』
……かもしれないわね。
ともかく、現状の情報。なんかないの?
『ないね。"memento mori"に関してはいたちごっこだ。どれだけ解析してもすぐに新型が出て来やがる』
……使えないジジイね。全く。
『お前さんこそもう相当だろうが。
そんなナリしちゃいるが』
うるさいわね。良いじゃないさ別に。
とにかく情報はもう良いわ。
バージョンアップだけお願い。
[満ちては引く時間の潮。
原初の海にも似たイメージの海。
増殖するコードと解体されるコード。
assembleとcompile、繰り返される数多の舞い]
―― 死 と 、 再 生――
[そして再び眠りに堕ちる。
永遠に目覚めない夢、もしくは夢みながらの死の中に]
-under/Boulevard-
[しばしの休息をとり、疲れも消えたのを確認し体を持ち上げる]
っと、そろそろ行動を開始するか。
[とは言え、あの女性の言うことを鵜呑みにした場合これから始まるのは死の舞踏。しかも中にはあの男性PCのようなプログラムも含まれている。ある意味消去させるのに躊躇いはないが、強敵なのは間違いない。あまりの分の悪さに失笑が込み上げる]
まあいい、うまく立ち回るさ。
[hyper-motionとlightning、zero-fieldのチョイスは間違ってはいない。人間が操るコンソールとしてのアバターを人間の反応速度以上に稼動させ、さらに相手の攻撃プログラムに対して有利に事を運ぶ事が出来るのは間違いない。もっとも、最大の弱点は"近接戦闘を与儀なくされる"事だが。だからこそ極限まで戦闘回数を減らす努力が必要だ]
『見せてみな。……随分古いのを使ってるな。これじゃすぐにおっ死んじまう』
だからアンタのとこに来たんじゃないのよ。
頼んだわよ。……あたしは少し休むから。
終わったら起こして頂戴。
[言うだけ言うと老人の"店"へ入り込み、隅に蹲る]
──COMMAND>Modechange /sleep
(これで少しは神経を休めることが出来るかね)
(やれやれ。年寄りにはキツいよ)
[内心でそう呟くと、意識は*スリープの闇へ*]
・・・・・・ 近くにいくつか反応があるな。
ここは接触するか、それとも盛大に逃げるか。
[だが情報が乏しすぎる。様子を見ながら、接触を試みるべきかもしれない。
様子を見つつ、大通りへと歩みを進めていく]
[しばらく上を見上げていると満足したのか、座っていた場所からひょい、と降りると少し離れた所にいる、漆黒のコートを纏った男に向き直った]
下層に下りてようやく意思ある存在に出会えたわけだ…。
名乗る事に意味を見出すのかな?
[そう問いかけると両手を開いたり閉じたりしながら柔軟体操のような動きを行っていた。
その行為には何の意味もない…が、今までに拾い上げたデータの影響からか、今の体を動かす事は積極的に行うようになった]
『『Pange lingua gloriosi Corporis mysterium, Sanguinisque pretiosi, Quem in mundi pretium Fructus ventris generosi Rex effudit Gentium. 』』
[Quincyを無視して、クピドは謳い始める。]
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