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─Under/Backstreet "Alchemist's LABO"─
[──こつこつ]
[音がする]
[壁に凭れかかり、周囲を見渡す]
[───ここは?]
[>ERROR
herveyからの逆流の損傷にくわえ、先程──展開したNIGREDまで攻性プローブの海に巻き込まれ、その増幅効果で内部のプログラムを休止しなければならないだろう]
[Audreyを発見。
近くにいる獣を払うように殴打すると、
指の一本一本が硬質な長い棒に変化する]
[Audreyの頭へ向けて、貫かんと打ち込んだ]
ん?
[音がした。近くに自分以外のPCがいる。
恐る恐る近づいていくと、以前見かけた女性PCと、llutherを目視した]
・・・・・・ lutherか。
[獣が悲鳴を上げる]
──COMMAND>Absolute A/B /Autonomous mode /shell
[同時に視界にコマンドのBOXがPop]
[しかし障壁が展開されるより早く背後からの刺突]
──!!
[彼女は動けない]
[しかし、鋭い刺突は起動を変え]
[──はらり、と]
[数本の赤毛が中に舞った]
[>Target Audrey
[>Result failed
[後ろの壁が破壊された。dateが消滅。
[己が右手をみるように。──再実行。
此処は──。
[着地は案外にふわりとしていた。
古めかしい電子音と共に回転する木馬が視界に入る。移動式遊園地と言う単語が浮かんだが、ゆっくりと回転するメリーゴーランド一台を除いて其処は巨大な空き地。まるでサーカスの移動に取り残された様にぽつり。瓦礫も建物も何も無い淋しい場所だった──。
先刻、闇の中で見かけた少女の姿を探す。]
[lutherがその女性PCをターゲットにしている。
Eugeneのように、静止すべきか。むしろ静止すべきだろう。だが一体何故静止すべきなのだろうか。
*何かが壊れてきているのかもしれない*]
――Under?/chaosphere? (廃棄領域?/混沌界?)――
[上下左右の方向感覚が入り乱れる。
全ての認識が歪み狂う空間。
――否、空間なのかどうかも判然としない猛烈なデータの乱流]
“ここ”は……?
“いま”は……?
“わたし”は。いったい――
[自問する意識に答えは無い。解体され飲み込まれそうになる中、一つのイメージが心の中に浮かび上がる]
――“青をこころに、一、二と数えよ(Think Blue, Count Two)”。
[青く光る球体のイメージ。
自らの内に満ちた“Solitaire Trap”の結晶。
ひとつ、ふたつ――数えるうちに認識が安定する。
混沌(カオス)の中に極限を見出す。
その行く手にあったのは一つの解。ストレンジアトラクタ]
――Under/Amusement park (廃棄領域/遊園地) ――
[確かな手ごたえを感じた瞬間に凄まじい勢いで引きずられ風景が嵐と化した。
思わず瞼を閉じ、やがて開いたその場所は曲線の屋根。
他に何も無い遊園地跡にただ一つ残った回転木馬の庇の上だった]
……どうして、こんなところに……?
[回転木馬を支える台から、ゆっくりと流れている単調で楽しげな曲はsmall world。曲のタイトルが、かつて同級生とスクールの図書館の古いフィルムメモリの中にあった其れだと気付く。]
ここは、随分暗いね……執事(バトラー)?
[呼び掛けてみたものの、黒革の右手からは何故か応えは無い。
首を傾げて見つめる内に、かすかな音楽に気づいた。そろそろと端に這いより、覗き込もうとする。
唐突に、頭上から柔らかい光が降り注いだ]
[空き地を随分と進みかけて木馬を振り返る。
──と、そこに探そうとしていた少女が、座り込み周囲を見渡す姿が。崩壊を逃れ生き延びた参加者の一人だとするなら、用心するべきなのだろうけれど。]
…彼女は。
[吸い込まれる様に、近付いて行く。]
[光に照らしだされ、細身の人影が浮かび上がる。こちらに気づいてか近寄る姿に立ち上がり、屋根からふらりと飛び下りた]
……こんばんは。はじめまし、て?
[制衣が空中でふわりと広がり、落下速度は奇妙なまでに減衰した。羽毛ように静かに着地し、眼前の姿に声を掛ける]
[つられた様に慌ててギクシャクとお辞儀をする。
慌てていても、それなりに丁寧な動作ではある。]
…今晩は。
ぼくは、あなたが空を飛んでいるところを見た──と思うのだけど。あ、ぼくはEu…geneと言います。
[其処まで言って何を続けていいのか分からなくなり、]
此処は月も、太陽もありません──ね。
──Mundane/dawntown (現実世界/地上) ──
[朽ちかけのプレハブ小屋。負荷に耐え切れず熱暴走で逝ったデッキ。
あと3秒、プラグぶっこ抜くの遅かったら死んでた…とか遠くで聞こえるわけで。
んー…なんかよくわかんね。視界が白黒でちかちかする。
…俺、何してたんだっけ?
てゆっか、俺、何処? これ、誰?
黒猫何処行った?
胸ん中と頭ん中がからっぽで…何か置いてきちゃったような気分。
…ってゆっか、俺…誰?]
わたしは、ニーナ。あなたは、Eugene――良い(Eu)-生まれ(gene)、ね。いい名前だわ。
[そう答えて少し考え込む]
そうだね。もしかしたら、空も飛べるかもしれない。
わたしだけじゃなくて、誰でも。
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