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[助けて、と言えばたぶん助けてくれるくらいには、まだ気安くは思ってくれているだろう。
でも、足手まといになりたくはなかったのに。
だからといって、来ないでほうっておいていいと言ったら、困らせるだけかもしれない。
困惑、途方に暮れた顔をして、視線を彷徨わせる]
書生 ハーヴェイは、鳩の非常食すら尽きた。
[ラッセルの姿は見えない。
だからナサニエルは一気に踊り場の真横にある空き部屋まで移動した。
そこでもう一度ナイフを使って様子を伺うと、かなり神経質になっているラッセルの姿が見えた。
おそらくこれだけ時間が経っているのだから、上にも気配を探っているだろう。
だが、それでいい。
何処からくるか疑心暗鬼になっているからこそ、
. . . . . . . . . . . . . .
ナサニエルには都合が良かった]
[...はこれほど自分に有利なはずの状況を作り上げても、尚神経をすり減らす緊張感にしきりに生唾を飲み込む]
返事が無い…
一体、ナサニエルさんはどうする気だ…くそ、
聞こえなかったのか!
早く武器を捨てるなり、姿を現すなりしろ!
[気持ちの悪い汗が髪の間から流れ頬を伝っても、両腕は塞がっていて拭うこともできない。
困惑するニーナの目付きも、努めてその姿をウェンディとして目に入れないようにしている手の中の人質の途方に暮れた顔も、警戒以上に気にする余裕が無いことはむしろ幸いだ。
こんな時に、迷いまで生まれていてはたまらない]
…あまりキョロキョロ動かないで。
[実はナサニエルにも魔力はある。
だが、それはオイルがあるのに、火がないので使えないのと同じで、体内に蓄積されていくだけのもだ。
アーノルドはそこに目をつけ、発射するための武器製作を知り合いの錬金術師に依頼し、完成したのがチェイン=ファングだ。
グリップに魔力を込めていくと、無尽蔵に吸収し、それを破壊力に還元していく。
だから、壁越しに二人の姿を思い浮かべ、魔力の最大出力を込めていく時間をとるには、ラッセルは動いてはいけなかった。
精神が衰弱していく。
魔力が枯渇していく。
体力すら失われていく。
その中で必死に壁を凝視し、顔から血の気が引いた瞬間、大声をあげて、
――発射した]
ウェンディィィィィ! 伏せていろぉ!
[チェイン=ファングから発射された魔力光弾は、一瞬で壁を飲み込み、突き破り、そのままラッセルの足元である踊り場に向けて突き進む]
[不気味なくらいずっと静かで、そして返事すら無かった。
それなのに突如として、背後から声が聞こえた。
ナサニエルの声が]
……―――!
[息を飲んで振り向く。
そこには壁しかない。
染み一つないヒビ一つない、真っ白で頑丈な壁だ]
ふ…“伏せてろ”?
[一体壁の向こうから何ができると言うのか。
思わずウェンディから手を離し、想像上の壁から出てくるナサニエルと対峙するような格好で、両腕で剣を持って構える]
[ナサニエルの名前を呼ぶ声が聞こえ、反射的に身体が動いた。背後から聞こえた気がしたが、深く考えている暇はない。
ラッセルに掴まれていない左手を無理矢理、自分の喉と剣の間に滑り込ませると、そのまま渾身の力で刃を押し、刀身を喉から離そうと試み、なんとかしゃがみこもうと]
[人が壁を越えて、こちらに向かってくるともで言うのだろうか?
――思わず構えてみたものの、何も起ころうはずが]
…ぁああああ!?
[起こってしまった。
わけのわからない眩しい何かが壁を飲み込み、突き破り――]
(あれがぼくを狙ってる…!?)
[ゾッとして身を翻す足元、ラッセルそのものと言うよりは踊り場目がけてそれが突き進んでくる]
[...は事を初めから見続けていた。誰にもそれを気づかれないように]
こうでもしないと、手の内を隠しかねませんからね、二人とも…
[部下の一人がこっそりと耳打ちする。「このような事態、かまわないのか」と。]
一向に構いません。
むしろ感心していますよ。
あの勝負にかける執着、見事なものです。
詰めが甘いのはどうしようもありませんがね…
[そしてまた、気配を完全に隠し監視を続ける]
[そうして刀身から逃れようとしたとき、ラッセルもナサニエルの背後からの声に驚いたのか、戒めを解いて、剣を構えた。
拘束から解かれ自由になった身を、すぐさま床に伏せさせる]
(ミゴトナモノダ シュダンヲエラバナイ スバラシイ)
(シカシ ナゼモットテッテイシテヤラヌ?)
(テヌルスギル!!)
[全力を混入しきった意識が、一気に白濁する。
眼球に流れていた血流が消え、視界もブラックアウトする。
だが、ここで膝を折るわけにはいかなかった。
勝ち残らなければならない。
そしてウェンディを助けなければならない。
何故――?
彼女は知り合いだから
どうして――?
彼女は自分を親身になって慰めてくれたから
今は足手まといなのに――?
今はそうかもしれない。けれど、今見捨てれば後悔してしまう!
彼女は大切な――!
[一瞬、視界が戻る。
その中で、まだ壁を抜けたばかりの魔力弾が目の前にあった。
殆ど触れそうな距離を追って、ナサニエルはウェンディを庇うために、一緒になって踊り場に飛び込んだ]
[頭を抑え、踊り場に身を伏せている。何か大きな魔力の塊が、こちらへ襲い掛かろうとしているのを感じ、身を竦めたが、不思議と恐怖は感じなかった]
[果たして壁をあっさりと破壊したような光弾を、防げるものだろうか。
あるいは、受けて無事でいられるものだろうか]
あ…ああ…避けなきゃ…
避けなきゃ死ぬ!
[Uの字型に曲がった踊り場と酒場を分ける手すりの部分を引っ掴むと、そのままひらりと身を翻し、階段から飛び降りることで回避しようとする。
…だが当の、ナサニエル本人はどうだろう?
己の技の強大さくらい、自身が一番わかっているだろう。
あんな光の弾にぶちあたっては、きっとただでは済まない]
[それでもナサニエルは迷い無く、踊り場に飛び込む。
ウェンディを庇うためにだ。
自分が勝負を有利に運ぶために人質にとったウェンディを、彼は自身の体がどうなるかもまるで顧みずに、庇うため自ら光の弾に触れそうなほどの勢いで、無防備に飛び込んできたのだ。
――その事実が僅かにラッセルの動きを鈍らせる。
そして光弾の速さは、その僅かな鈍りを捉えるのに十分なものだった]
―――……っ!!
[避けきれず、それでも少し掠っただけの光弾の威力がラッセルの軽い体を簡単に吹き飛ばす]
[その時身を支えていたのが、飛び越えようと手すりを掴んでいた片手だけで、足で踏ん張ることすらできない空中に体自体もあったということがますますまずかった。
受身を取る間もなく体は踊り場から向こう端に位置する壁にまで飛んでいき、背も腰も足も頭までも強くそこに叩きつけられる]
ぐっ…
[息ができず、すぐに恐ろしい痛みが全身を襲っていっそ気を失ってしまいたかった。
ずるずる床に崩れ落ち、それでも必死でもう汗ではなく血の流れ落ちてくる頭を振ってどうにか意識を保ち、気になるのがライバル達の姿。
かすむ目を、今は距離の離れた踊り場に向けて凝らしている]
…!?
[不意に聞こえた声。
しかし、様子はおかしく…]
…ぇ…?
[光が階段を飲み込んだ。
轟音と共に、階段では何かが起こっている…?]
だ、大丈夫…なの…?
[見に行こうにも、まだ戦いは終わってないのでは無いのだろうか?
しかし、早くしないと危ないかも…
その狭間で、少女は足を固まらせていた]
[横を抜けた光弾が、ナサニエルの頬を焼く。
だが痛みよりも体は、まだ先を走っていた。
その瞬間が光弾の着弾より早く、ウェンディにその身を届かせる。
腕のうちに全てを抱きかかえられるくらい小さな彼女の体を抱き、踊り場に体ごと落ちる。
瞬間、光弾は踊り場を打ち抜き、続いて場を支えていた柱すら砕く。
踊り場は二人を飲み込んで、そのまま崩壊した――]
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