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─Under/botanical garden─
[ドーム天井からガラスを破って二人は落ちる。
そこは学術研究に供するために、植物学の視点で、特性ごとに収集された植物、花卉、樹木などを生きたまま栽培保存し、かつ研究の基準となる搾葉標本など標本類を蓄積保存する施設としての植物園。
捻れ積み上げられた瓦礫だらけの中心部と比べると、随分と風情が有ったが、それでも朽ちかけている。
天井の穴の上には気怠げに曇った空、僅かにだけ太陽が見える。]
[植物の造形をワイヤーフレームで見たならば、随分と複雑に見えるだろう。何故か、薬草の匂いが漂っている様に思える。
柔らかな草の上、Geneは逆にHarveyを胸元に抱きこむ様な体勢で*昏倒している*。]
──SYSTEM:Mode automatic change...
[スリープの闇から意識がRISE]
……。
[しかし彼女は動かない]
[視界はフラクタルが踊るsaverの中]
──……。
[彼女は考える]
[どうするべきかを]
とにかく──。
今、どうにかしなきゃいけないのは"memento mori"。
memento moriの感染者をすべて破壊すれば……何か動くかもしれない。
あの子は違った。
Lutherは……おそらく違う。本当に?
[チェックPGMに意識の指先を引っ掛け]
Lutherをチェックする?……後手だわね。
安心するためにチェックしていたのでは、いつまで経ってもmemento moriは見つけられない。
だとすると──。
[脳裏に、今まで出会った"参加者"を思い浮かべ]
黒髪のボウヤに、かわいらしくて品の無いボウヤ。
あぁ、大通りに他にも居たわね。やたらと重そうなプログラムと、ゴーグルのボウヤか。
他にも参加者はいるはずだけど、私が知るのはその程度。
……情報が足り無すぎるわ。
──SYSTEM:Please set up the object to check.
──COMMAND>cancel
[チェック対象の設定を求めるPGMにキャンセルで返し、タスクに戻す]
・・・・・・ くっ。
[意識が戻ってくる。もっとも皮肉なことに助けることになった少年に貫かれた右肩の痛覚が彼を目覚めさせた。その少年はまるでherveyを抱きかかえるように眠っている]
ここは、一体。
[既に当初の予定とは違った場所に移動している事は明白だった。lightningは所詮指定した座標まで愚直かつ直線的に移動するだけのプログラムである。途中に明確な障害物が存在した場合はコマンドが停止する。故にその軌道上にもしこのような空間があったとしても進入することは無いだろう。それを理解可能な位、その風景は異質なものだった]
[ゆっくりと立ち上がろうと右手を動かそうとするが、うまく稼動しない。どうやら甚大なダメージを受けているようだ。もっとも、zero-fieldの暴走が始まらなければこの少年に消滅させられていたかもしれない。自身の戦闘能力の低さを呪いつつ、ゆっくりと立ち上がりながら辺りを見回す。
そこはまるで失われた都市に残された植物園のようだった。老朽化した建造物と手入れされた植物。よく観ればそれはアンバランスでもあった]
投票を委任します。
書生 ハーヴェイは、流れ者 ギルバート に投票を委任しました。
書生 ハーヴェイは、流れ者 ギルバート を投票先に選びました。
この少年が連れてきたのか。
しかし。
[まるで研究施設。彼が普段どんな生活をしているのか俄然興味を持った。だが彼が覚醒した後和解出来るという考えは甘いな、そう考えこの施設をゆっくりと調査する事にした。
一瞬、この覚醒した直後に敵になる可能性を持った少年を今のうちに破壊すべきなのかもしれないという思考が頭をよぎったが、残念ながら行動には至らなかった]
・・・・・・ 今は思考がクリアなようだ。
あの少女に接近してから何かがおかしい。
もっと冷静に行動しなければ、いたずらに犠牲が増える。落ち着くんだ。
投票を委任します。
書生 ハーヴェイは、見習い看護婦 ニーナ に投票を委任しました。
[Entry Name:Lutherは現実の世界をよく知らない。
現実世界は知識で理解され、電脳世界を構築するdateが何を指し示すのかは解読が出来るが人間の視覚として電脳世界を視た事はない。
だから、人間用視覚ソフトを通してみれば延々と続く真っ直ぐな荒野と有刺鉄線が周囲を境界のように隔てる場所を滑るように移動し、それらの区域が変化した時も、殆んど残骸となり周囲に簡単な「壁」が巡らされたspaceからdate量の多い――個々の空間構成dateの破損部分が多かった――spaceに入ったと認識されただけだった。]
見習い看護婦 ニーナは、美術商 ヒューバート を能力(襲う)の対象に選びました。
[寝転んだままぼんやりとガラスの割れた天井と弱々しい太陽を見上げる。血で染まったままのシャツに、小さな青色の蝶が止まっては、またヒラヒラとGeneの周囲を舞う。
Harveyは傍には居ない様だった。]
──ここは。
[しばらく部屋の中を探索し、戻ってきたところで少年が目を覚ましていた]
目覚めたか。どうやら危機は脱したらしい。君のお陰だ。
[部屋の中を見回しながら]
ここは普段君が根城にしている場所かい?
ずいぶんと凝った外観だなあ。
現実世界でも、植物は好きなのかい?
[まだ右腕の調子は戻らない。悟られないよう少年に向かって左斜めに体を向けて話しかける]
…鋳鉄とガラスに見覚えがある。
[起き上がろうとして、貧血に目眩を起こす。
視界が一瞬暗くなり、再び目を開くと声が降って来た。危機と言われ、プログラムに攻撃されて無理矢理移動して来た記憶が蘇る。]
ここに、以前。
同級生と来た事があったので──彼女の事を思い出して、あなたと一緒に自分をここへ転送したのだと思う。
[草の上に転がったまま、再び目蓋を閉じて言葉を紡ぐ。
HarveyのZero-Fieldとぶつかり合った時に、上着のシャツが裂けている。]
温室の左側の棟へ行けば、旧世界の東南アジアゾーンになっていて、少し改造すれば治癒に利用出来る薬草と──この植物園のメインプログラムが…。
[左側を指差そうとして腕を持ち上げる。
ぎりぎりで胸元を覆っていた上着が滑り落ちる。切傷の生々しい赤い色も、白い肌も、肋骨も、胸元も。左上半身がほぼ露出しまった事にGeneは気が付いて居ない。]
薬草が修復プログラムに利用出来るからには、他の参加者も。…根城にするには、安全とは。
スクールの上位フロアにも似た様な空間はあるけど、植物が好きなのはぼくのルームメイトの方…。
ふっ、君みたいな少年が殺し合いを好むなんてな。バーチャルリアリティも考え物だ。
薬草か、ではちょっと見させて貰おう。
ついでに君の上着も複製可能かもしれないから、少し貸してくれ。
[少年に近づくと、左手で服の一部をちぎる。なにやらぶつぶつと呟きながら薬草を探しに行く]
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