――夜・廊下――[夜の色を映した窓が並ぶ廊下を歩きながら、単語がふと口をつく]……感傷なんだろうね。きっと。[感傷――そうでもなければ、こんな意味があるとも思えない行動を私がするはずも無かった。なぜなら、この建物なんて、私にとっては――いや、今残っている“候補生”の誰にとっても――自分の身体以上に、内部構造を知り尽くしている場所だったから]