人狼物語

37 Monster in the Carnival


書生 ハーヴェイ

[目には見えねど決して消えぬ、妖の血の臭い。たとえ周囲のヒトにはわからなくても、遥月にはそれがわかる。
 ――妖の血のにおいを微かに纏った『ヒト』に、遥月はにこりと微笑んだ。]

おかえりなさい。お待ちしておりましたよ。
しかし…随分背が伸びましたねぇ。すぐにわたくしのことなど追い抜きそうで。嗚呼、不思議なものです。あの頃はまだまだ「わっぱ」と呼ばれていたのに……。

[――ヒトの成長は早く、命は短い。
 ――目の前のヒトは、少し見ぬ間にまた変わる。
 ――遥月は、ヒトか妖か。
 ――ヒトならば、ヒトと添い遂げられよう。
 ――妖ならば、その命は長く、いずれ再び長い長い孤独を味わうのだろう……
 ――その孤独こそ、彼が妖を裏切った『罰』なのか。それとも……]

それにしても、今回は長かったですねぇ。貴方が帰って来るのを心待ちにしていたら、こんなに歳をとってしまいましたよ。ふふっ……

[遥月は、目の前のヒトに手を伸ばし、にこりと微笑んだ。]

[雑踏の中、石畳に三つの足音が響く。たわいのない会話、家路に着く道程。

 ――花街の空は、いつしか紅い紅い夕暮れに包まれて居た――*]

(1041) 2007/04/04(Wed) 01:39:22

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