[ざあざあ][ごうごう]
[結界が破れた。主様も消えた。
風かたくさんの気配か。なにやらに圧されもまれて]
……ばんにい!あの岩の影になにかいる!
ほら、光った…。
[風の中、幻を見た。目の前に懐かしく恐ろしい光景が広がる。
川縁に青年と少年の姿。はしゃぐ少年を黒髪の青年が窘めて]
でも、あんなに大きいのを見たのは初めてじゃ。
ばんにいがゆかぬなら、おれがゆくっ!
[ばしゃ][ばしゃばしゃ...ざぶ、ざぶぅん]
[川の瀬鳴りを背景に、水面を乱し進む少年。
青年は呆れて見ていたが、その内に表情を変え後を追う]
あと…もう、ちょっと。いた、また光ったもの!
ばんにい、すごいよ!ほらぁ!
ね…ばんに……ッ…!