――夕刻・屋上――
[夕陽が山の向こうへと沈んでいく。
私は屋上に設けられた花壇に腰掛け、膝を抱えてその様子をずっと眺めていた。次第に西空は朱に変わり、金色の光は血のように赤く染まっていった]
……もう、5人、か……。
[前回の選抜を終えて残った顔ぶれを思い浮かべる。
次回で最終選抜だとアーヴァイン教官は言っていた。その時に彼が漂わせていた雰囲気と、顔に浮かんだ表情は――気の重い役目を終えた人間特有の、疲労とも安堵とも取れるものだった]
ナサニエル、コーネリアス、ラッセル、私、そして……
[一陣の風が吹きぬけた。まだ春とは呼べないこの季節。
その冷たさに私は唇を閉ざし身を震わせたけれど、もう少しの間は屋上に残っていようと思った]