[ローズマリーの奔放な性格は噂に聞いて知っていたが、今まであんな事は一度もなかったし、実際に話をしている時の彼女はごく常識的な、明るく気持ちのいい女性だった。]
『何故急に……あんな……。』
[だから、ローズの昨夜の、非常識とも取れる行動が疑問だった。一体何故──と、そこまで考えた所で、戻って来たローズの足音に気付いて弾かれたように顔を上げた。]
あの──、
[ギルバートさんと言うのは、どなたですか?]
………あ、いえ。
[思わず、記憶の中の名を問おうとして、慌てて口を噤む。
何を馬鹿な事を聞こうとしているのか。]
あぁ、それです。
一年に一度しか来れないのに、ちゃんと綺麗に拭いてある。
ありがとう、ございます……。
[差し出された2本のボトルを見れば、嬉しそうに目を細めた。]