[彼を面白がって電脳警官のように仕立て上げたのは一体誰か、また何時頃の事か。
「探知」プログラムを組み込まれ破壊対象をウイルスに限定された彼は、何処へでも身軽に添付し移動できたその重さと、修復プログラムを意に介さない武器の切れ味、そしてデータ容量を増やさない破壊を、対ウイルス戦に存分に生かした。
特に彼の「情報量を増やさない破壊」は、回線の負荷軽減になるとかなり喜ばれたようだった。
彼の名はギルバート。送り先のとある男性と同名に付けられたその名は、彼が幾度更新を重ね軽量化を図りデータを書き換えても、「昔の自分」と対峙した時も、それだけは変わる事がなかった。]