[はしばみ色をした杏の瞳には、其れまでに無かった強い光が宿っているようにさつきは感じた。だが、少女へと尋ね返す声はあくまで硬く、冷たい響きさえあった]何故?杏が私を信じるのに、一体どんな理由があるというのかしら。私の胸の音を聞きもしないで?「……それは。 ……さつき様が、誰よりも初めて、杏のことを……ひとだ、と。 ……そう、仰ってくださったからです……」[哀切を交えた答えとともに、杏の両瞳からは透明な涙が流れ始めた。凭れかかる少女を抱き、さつきは胸中に起こる想いに瞼を*閉じた*]