――私って、そんな寂しそうに見えたかしら?
[顔は笑っているけれど、先日まで流すことのなかった光は
目元で微かに煌いて。もうすぐ会いに逝けると思っていたのに]
皆がそんなこと言うから、ちょっとだけ、
この世に未練が出来ちゃったじゃない。
[ステラに挑戦的な笑みを向ければ]
そう?
身体が万全なら、一度お手合わせ願いたかったわね。
[そう言うと、"妹"にとられた手を片方だけ外し、"お兄ちゃん"のいれた紅茶をくい、と飲み干し]
――この味も、忘れない。
[最期まで微笑んだまま、カタン……という渇いた音を立てて落ちるは空のティーカップ。口元から紅が一筋だけ垂れて、けれど今までにみたこともないような安らかな顔で動かなく――。]