…そりゃ、そうかもしれないけど。
[ラッセルは自分がつまらないと言った意味や人生を、あっさりと肯定する。
思う儘に生きれば良いし、思い出を抱え続けて自重で潰れないようにと助言する彼に迷いは見えない。
小さく溜息にも似た息を吐き、拳に目を落とした。
指を閉じていてもわかるざらざらとした感触。
手の中のコインには、長剣に巻き付く二匹の蛇が描かれている。
格好良い、こんなのが欲しいと長剣にばかり目にいく自分に、意味のある図柄なのだと教えてくれたのが誰かはもう忘れてしまった。
ただその意味を覚えてる。生命の樹を表すのだと]
でも例えば、お前がこれを大事に持ってるのだって、何か意味がさ…
[握り込む手から目を離して顔を上げれば、もうラッセルは立ち去る途中]