[しかし、安堵の心持ちと共に食事を再開したさつきは気づかなかったのである……廊下の様子を窺うように、杏がちらと視線を逸らしたこと、そしてはしばみ色をした彼女の瞳が何処か妖しい色合いを帯びて輝いたことには。給仕の用は無くなったと見たのか、杏は一礼して背を向けた]