[始めの内は複雑なデザインを避け、シンプルなスーツばかりを注文するなど、未熟なソフィーの成長を待つかのように根気強く付き合いを続けてくれ、時には芸術家としてアドバイスをくれさえした。
ソフィーが独学で婦人もののドレスデザインを始めると、娘のシャーロットを伴って店を訪れるようになった。
シャーロットは美しい容姿に見合った素直で人懐こい性格をしており、人見知りがちなソフィーともすぐに打ち解け、ソフィーは彼女からもまた、多くのインスピレーションを授かった。
結果、彼と彼の娘の存在は、金銭面のみならず精神両でも密かにソフィーを支えてくれる事となった。
恐らく彼がいなければ店と自宅を維持する事も難しかったであろうから、父子二人の面倒を見る言ってくれた叔父の申し出を断ってこの家に留まったソフィーは、ヒューバートには感謝してもしきれない恩を感じているのだった。]