──昨晩の回想──
[夜桜は炊事場にとって返し、グラスに水を汲んできた。
なみなみと入れたために気泡は多い。
歩く間に、気泡は消え──
そっと差し出すと、望月は一息に飲み、落ち着いたようだった。その望月に問う。]
申し訳ありません。
先程、耳に入ってしまったのですが──どちらかの剣豪さまの血を引いておられるのですか?山田──何某と
[聞こえてしまいました]
[語尾は尻すぼみと化した。何故ならば、夜桜の元へ仁科が来たからである。
仁科の話は、屍鬼が現れた事を明確に示す。一月とは言え、仁科が酒を飲んでも酔わないという事は同僚からの話や噂話に聞いている。(同僚の失敗談から始まった話だったのだが) これは遂に──]
仁科さん、これは主人に伝えてしまいましょう。
あたし達に出来る事は
[と言いかけ、口を噤む]