――二階/廊下――[水盤の座した廊下では、鏡なす水面を見つめる人物が新たに加わっていた。先ほどよりじっと黙って物思うらしき雲井>>114や、壁際の椅子に掛けて俯いた望月>>108に勝るとも劣らぬ。仁科の内心もまた蹌踉として言葉に出来ない様な――或いは言葉にしてはいけない様な、何処か漠然とした不安に脅かされているものとさつきには見えた]『……困ったものですわね。 こんな時にお倒れになるとは、叔父様にもまったく……』「……さつき様」