『……厭……厭……厭……』「――さつき様!」[ぱたぱたと足音を立て走ってきた姿は杏であった。ともすれば再び崩れそうになる膝に、其の声で支える力が戻る]――っ。杏……。[上目遣いに見上げる杏に手を伸ばしかけ、其れが己の胃液に汚れた儘であると気づいて引っ込める。代りに室内へ歩み入り、床に落とした儘の封筒を手に取った]