[身体にまとわり付いた水分をタオルで拭き取り浴室を出て。クローゼットを開けば並ぶ服をしばし眺める。考えた末選んだのは濃いこげ茶のパンツスーツ。何があっても良いよう、動きやすい物を選んだ。長く柔らかな髪は後ろに緩くまとめて垂らす。
ここで信じられるのは、己だけ──。
誰が自分に害成すものか分からない。青髪の少女と菫髪の少女達のように心許せるものを作れて居ない。己の身は、己が護るしかない]
…一人でも心許せる者が居れば、少しは気が楽なのかもしれないわね。
[彼女達を羨ましく思う。このままでは狂気に巻かれて自分を見失ってしまいそうで。己を見失ってしまったら───きっと、無差別に皆を傷つけてしまうだろう。出来ることなら、それは踏み止まりたい。
意志を、しっかり持とう。
気弱になりそうな自分を奮い立たせるよう、ふるふると頭を振って。紅茶でも飲んで気を落ち着かせようと部屋を出て厨房へと向かった]