[実業家の父らしい、読み易く几帳面な文字で綴られた内容は同封の写真に写っていた女性がさつきの母であることを裏付けるものであった。上海に居た戦前の当時、とある酒家で働いていた娘だったのだと、長彦の文章は語っていた。そして其の娘と懇ろになり、生まれた赤子を長彦に預けたのが今からおよそ十六年の昔であった、という――]