■設定、他
12歳以前の記憶がない。
6年前のある朝、見知らぬ街の修道院で目覚めた彼女がぼんやりと覚えていたことは、生まれてから片時も離れたことのなかった双子の兄リックが、誰かに手を引かれ、自分の傍から去っていった星の綺麗な夜のこと。この銀色に輝く弓は、その兄を連れて行った人が、無言で自分に手渡したものだ。
そして彼女が理解できないことは、その目覚めた12の朝から、自分の体はちっとも成長しないということだ。呪術師の話では、少なくとも病気でそうなったのではないだろうということだけは判っている。
行き交う旅人から何か情報――自分の体のこと、弟の事、男のこと――が得られるだろうと、必死で弓の技を磨き、紆余曲折の上なんとか国境警備隊に入隊できたのは、去年の春のことだった。
身長は152cmで痩せ気味。雪の日も風の日も雨の日も、毎日森の中(西の国境は森だ)を駆け回っているため身のこなしは軽い。魔力はまだまだ発展途中。名前が知られているのは見た目と魔弓のおかげであるのは否定できない。
――ちなみに。
精神はしっかり18歳であるため、子供扱いされると不機嫌になるだろう。