[枚坂の話は簡潔で要点を得ていた。由良の部屋に向かおうとしたさつきを杏が押し止めたのは、まさに丁度、シロタと江原が殺し合って居た時であったのだろうと推測する。尤も――此の異界の中で、己の時間感覚がどれほど確かなものか、其は疑わしいことだったが]『枚坂先生だけでない……望月様もまた同じように。屍鬼の黄泉還らんとする事を押し止めようとしていた……』『その反対に、雲井さんは……』