[───シボレーが発進する直前。話の輪から少し離れた処で若い恋人に凭れるように立つローズマリーと、彼女の肩を抱き口の端に薄い笑みを浮かべながら集った面々を眺めていたギルバートをちらりと盗み見た時、此方に気付いて顔を上げたギルバートと、視線が結ばれた。]──…!![──刹那、ソフィーの全身を悪寒が貫いた。慌てて視線を引き剥がし前方を見たが、ヘイヴンには珍しい琥珀色の瞳から発せられた鋭い光は、春先のアイリッシュローズに宿る柔らかな棘のように、ソフィーの胸の奥にそっと突き刺さった。]