>>50[溜息を吐く表情は、床に落ちた視線では捉えられない。言葉と共にするりと手から抜ける紫。ようやく上げた視線の先で、それは彼の胸元に揺れ。ほっと安堵の微笑が浮かぶ][差し出された赤い薔薇。取るのはその赤ではなくて――彼の手ごと]俺も、お前を誰にも譲らない。[驚かせないよう、そっと。それはまるで誓いのように、薔薇を持つ甲に唇で触れる]