でも俺は斬るところなんて見てない!いつの間に、誰がやったってんだ!
[恐怖を激昂に紛らわせて叫ぶようにハーヴェイに言いながら、忌々しげに元は人間だったものを睨みつけた先で、ナイフを手に切断面から差し入れるラッセルがいる]
何やってんだあの馬鹿は…!
[そのグロテスクさよりもむしろ、引き攣った少年の笑みから目を逸らしたくて、吐き捨てただけで八つ当たりの相手を求め一度壁を蹴る。
ナタすら傷をつけることができなかった白い壁がもたらす爪先の痛みが、少しだけ心の落ち着きを取り戻してくれた。
振り向いて、ぐるりと悲痛な叫びを漏らす者達を見渡す。
――そうだ。落ち着かせるべきなんだ。
ハーヴェイのように。
キャロルすら恐怖を押し殺し、友達をみてやっている]
………。
[でも何が言えるだろう。
ナサニエルはただ押し黙り、痛みをひたすらやり過ごす時の顔でま周りの声に耳を傾けた]
クインジーは犯人じゃないってか。…はは。そりゃそうだろうよ…